朝松健 「邪神帝国」 The Cthulhu Mythos Files 3

 朝松健さんの「邪神帝国」は、1999年に早川文庫から発売された小説なのですが、その後に絶版となったのか手に入らないレアな書籍となっていました。しかし2013年に「The Cthulhu Mythos Files」シリーズの第3巻として、新装版になって復活しました。
 なお、私は1999年の文庫版「邪神帝国」を読んだことがあります。詳しくは覚えていませんが、文庫版が発売されてから数年後くらいのタイミングで読んだのではないかと思います。もう10年は昔です。内容はほとんど覚えていませんでした。
 今回、「The Cthulhu Mythos Files」シリーズの第3巻として復活し、しかも”新装版”ということだったので再読してみることにしました。ネット古書店で安価に手に入ったというのも再読の理由ではありますが…。
 「邪神帝国」は、7つの短編作品が収録された短編集です。いずれの短編も朝松健さんの作品で、ナチス及びヒトラー等とクトゥルー神話とを絡めた物語になっています。ただし物語間のつながりはあまりなく、それぞれ独立した個別の作品として読むべきものでした(第2話「ヨス=トラゴンの仮面」と第3話「狂気大陸」には少しだけつながりがありましたが)。
 以下、「邪神帝国」に収録された各物語のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

<“伍長”の自画像>
 ホラー作家の私は、池袋のパブで美大を目指す予備校生の平田と知り合います。平田は、“伍長”というあだ名で呼ばれており、ホームレス同然の生活をしていました。また平田は、人種偏見の激しい人物でした。
 3ヶ月後、私は平田に呼び出されます。待ち合わせ場所に現れた平田は、見違えるほど清潔な身なりに変わっていました。平田は、<星智教団>という怪しげな教団に入り、神官に自分の前世を、甦らせる行法を教えられたと話します。その行法は60日かかり、今日が60日目であり、私に行の完成に立ち会って欲しいと平田は言います。
 平田のアパートの部屋には、裏返されたカンバスが置かれ、床にはアブラメリンの魔法陣が描かれていました。カンバスには自画像が描かれていると平田は言いますが、見せてはくれません。
 平田が呪文を唱え始めると、様々な音や光が部屋を満たします。危険を感じた私は、平田を殴り倒し、魔法陣を壊して行を止めます。しかし、平田は雰囲気が変わっており、次に会うときはもっと大きくなっていると言い残して去って行きます。私がカンバスを表返して自画像を見ると、そこにはアドルフ・ヒトラーが描かれていました。
 その後、平田は与党第一党の政治家となります。

<ヨス=トラゴンの仮面>
 1937年にドイツのベルリンで開かれたナチ党のパーティーに参加した日本陸軍情報部の神門帯刀(ごとうたてわき)は、ナチの親衛隊長官ハインリッヒ・ヒムラーに呼び止められ、親衛隊の秘密情報員クララ・ハフナーを紹介されます。ヒムラーは、祖国遺産協会の建物に捕らわれている魔術師クリンゲン・メルゲルスハイムの救出と、彼の持つヨス=トラゴンの仮面の移送を依頼します。
 神門はクララと共にメルゲルスハイムが捕らわれている建物へやってきますが、警備兵は殺され、メルゲルスハイムの口枷が解かれていました。副総統ルドルフ・ヘスの部下の仕業のようです。メルゲルスハイムは、魔術を使い、神門とクララをフリードリッヒ街へ飛ばします。
 フリードリッヒ街では、ルドルフ・ヘスが配下と共に、ヨス=トラゴンの仮面を探していました。ロンギヌスの聖槍を持つヘスは、神門とクララを捕らえ、仮面を探させます。神門とクララは、仮面が入っている金庫を発見します。金庫からは怪物が現れますが、ヘスが聖槍の力で怪物を倒し、仮面を手に入れます。
 ヘスは仮面を被ります。仮面はヘスに何かを見せ、ヘスは失神して倒れます。メルゲルスハイムが現れ、ヘスが見たのはヨス=トラゴンの姿だと言い、ヨス=トラゴンに会った人間は必ず失神し、気づいたときには聖者か狂人になっていると話します。メルゲルスハイムは、仮面を残して姿を消します。神門は、仮面をヒムラーに渡し、ドイツは日本・イタリアと三国協定を結んだのちにソ連と手を結ぶという情報をヒムラーから仕事の報酬として聞かされます。
 その後の仮面の行方はわかりません。

<狂気大陸>
 1939年。リヒャルト・フォン・ハオゼン陸軍少佐は、ハインリッヒ・ヒムラー中尉により一年間のノイシュヴァーベンランドの警備を命じられます。ノイシュヴァーベンランドは、一年前に探検家アルフレート・リッチャー大尉が南極で発見したという温暖な地域でした。ハオゼン少佐を含む32名の兵士と、彼らを監視する14名のSS隊員及び2名のゲシュタポと、SS上級大隊指揮官ヴィルヘルム・ブラスキとが南極へ向かう船に乗り込みます。この船でハオゼン少佐は、クレンツ陸軍中尉、ミュラー陸軍少佐及びハインリッヒ空軍少尉と同室となります。
 ある日、ハオゼン少佐達の船室にブラスキ及びゲシュタポのハイニッケがやってきて、ミュラー少佐を連れて行きます。ハイニッケは、ヨス=トラゴンの仮面をミュラー少佐に被せろとヒムラー長官に命じられたと言います。仮面を被ったミュラー少佐は、巨大な石造建築物や海百合型の生物を幻視し、この生物にレンに近付くなと警告されます。
 一行を乗せた船は南極に到着し、ノイシュヴァーベンランドまで犬橇での移動となります。またSS隊員達は二台の戦車を持ち込んでおり、ブラスキは狂気山脈を超えた先に存在するものを崩壊させると語ります。ブラスキは、飛行機に乗り、先にノイシュヴァーベンランドへ向かいます。
 犬橇で進んだ一行は、途中で天幕を張って休憩を取ります。眠っていたハオゼン少佐は、ハイニッケの悲鳴で目を覚まします。ハオゼン少佐は、ハインリッヒ少尉及びクレンツ中尉と共に、ハイニッケ及びミュラー少佐の天幕へ駆け付けますが、そこには大きく深い孔が空いているだけでした。
 指揮官のハイニッケがいなくなったため、階級が最も高いハオゼン少佐が指揮を取ることになります。ハオゼン少佐は、急ぎの出発を決定します。一行は複数の犬橇で目的地を目指しますが、次々と雪煙が上がって犬橇が消失していき、あとには大孔だけが残されます。
 かろうじて生き残った犬橇は、春のように温暖な土地、ノイシュヴァーベンランドへ到着します。そこには、ドイツ軍の基地が建てられ、飛行機及び戦車も用意されていました。ハオゼン少佐達が兵舎に入ってみると、中はSS隊員達の死体が散乱しており、ブラスキも死亡していました。ブラスキの部屋には、ヨス=トラゴンの仮面と、多くの資料が残されていました。その中には、ミスカトニック大学南極探検隊の狂気山脈に関する報告書がありました。またヒムラーからの命令書には、今回の作戦名として「ショゴス掃討作戦」と記載されていました。
 その晩、狂気山脈から多数のショゴスがノイシュヴァーベンランドへ押し寄せて来ます。兵士達は戦車で応戦しますが、ショゴスを倒すことはできません。ハオゼン少佐は、ショゴスがヨス=トラゴンの仮面に惹かれて集まってきていると考え、仮面を持ってハインリッヒ少尉と共に飛行機で飛び立ちます。
 その後、ハオゼン少佐は今回の事件を記録した手帳を飛行機から基地に投下し、狂気山脈へ向かいます。手帳には、仮面ごと狂気山脈へ特攻するつもりであると書かれていました。

<1889年4月20日>
 S・L・メイザースは、友人のスコットランド・ヤードの検視官であるウィリアム・ウィン・ウェスコットの家で暮らしています。メイザースの恋人のミナ・ベルクソンは、連続殺人事件の犯人「切り裂きジャック」の正体を夢に見ます。夢によれば犯人は、背の低い、前髪を額に垂らした、チョビ髭のオーストリア人で、イニシャルがA・Hの人物でした。また事件の被害者を検視したウェスコットは、被害者の身体に「NYARLATHOTEP」の文字と逆鈎十字のマークが刻まれていたことをメイザースに教えます。
 メイザースは星幽体投射の魔術を使って殺人犯との接触を試み、幽体離脱したメイザースは殺人の現場に現れます。現場には、カウボーイ風の男と、頭から被衣をかぶった背の高い男がいました。いずれもミナが夢で見たチョビ髭の子男ではありませんでした。2人の男は、幽体であるメイザースに襲いかかってきますが、メイザースは傷を負いながらも何とか逃げ延びます。
 その後、切り裂きジャックの殺人が魔術的なものであり、最後の犠牲者となるのは、二十代前半の小柄で黒髪のユダヤ系又はフランス系の美しい女性であることが分かります。ミナはこの条件に当てはまっていました。ウェスコットに相談しようとしたメイザースは、ウェスコットに届いた手紙から、ウェスコットこそが切り裂きジャックであったことに気付きます。メイザースは、ウェスコットを探し歩きますが発見できず、とうとう最後の被害者が出てしまいます。しかしそれはミナではありませんでした。
 ウェスコットが残した置き手紙には、今回の連続殺人は魔術的作業であり、ゲルマン民族の英雄を創造する手助けをしたと書かれていました。
 そして翌年の1889年4月20日に、アドルフ・ヒトラーが生まれました。

<夜の子の宴>
 ヒャルマー・ヴァイル少尉が率いる部隊は、ルーマニアの山中で道に迷っていました。部隊は霧に包まれ、周囲から何物かの咆哮が聞こえ、女の歌声が聞こえ、兵士達は意識を失って倒れていきます。
 ヴァイル少尉が目を覚ますと、部隊はどこかの村におり、村人達に囲まれていました。意識を失った兵士を起こそうとしたヴァイル少尉は、兵士の首に二つの穴が穿たれていることに気付きます。同様の状態で、三人の兵士が死んでいました。
 この村の司祭は、死亡した三人をこの村の方法で弔いたいと願い出ますが、その方法を聞いたヴァイル少尉は怒って司祭を殺します。これを見た村人達は、ヴァイル少尉を「ツェペシュ」、「ドラクール」などと罵ります。ガソリンと兵士の食糧を要求するヴァイル少尉に対して、村長はポプラ館のD**伯爵夫人が何とかしてくれると言います。
 村長に案内されてポプラ館へ行ったヴァイル少尉は、伯爵夫人のカテリーナに会います。カテリーナは、食糧及びガソリンの提供を承諾し、その代わりに近くの遺跡の破壊と村人達の皆殺しを願います。取り付かれたようにヴァイル少尉は、遺跡の破壊と村人達の虐殺を実行し、カテリーナの元へ戻って来ます。カテリーナは、ミイラのような老婆の本来の姿を現し、遺跡と村人達が闇の民を見張る役目を持っていたことを話します。そして兵士達は、現れた何物かに襲われて全滅します。

<ギガントマキア1945>
 エーリヒ・ベルガー中尉は、黒覆面の人物、通称“伝説(サーガ)”氏と、彼に付き添う美人看護婦インゲ・ヴェルサーと、サーガ氏が持つ“物件”とを脱出させるという命令を受けます。ベルガー中尉達は、まずウィーンから飛行機及び船でスペインのラコルーニャまで移動します。その間、彼等の後を巨人の影が追跡してきましたが、サーガ氏の魔術で防ぐ事ができました。
 ラコルーニャでベルガー中尉は、アルゼンチンのマルデルプラタ港へ向かえというハインリッヒ・ヒムラー長官からの命令書を受けます。ベルガー中尉達は、Uボートに乗り込んで目的地を目指します。
 そして海底までも巨人は追いかけて来ます。潜望鏡で巨人の姿を見たベルガー中尉は、真紅に輝く一つ目の巨人であることを知ります。
 あるときベルガー中尉は、インゲに連れられてサーガ氏の特別室へ赴きます。特別室は潜水艦内には有り得ない広さで、先に来ていた潜水艦の艦長が生気を抜かれたような有り様で座っていました。サーガ氏は、命令書に記されていた“物件”が入ったトランクを開けます。中には「ペリシテ人の炎宝」と呼ばれる赤く光る物体が入っていました。ベルガー中尉は、「ペリシテ人の炎宝」が巨人から奪ったもう一つの目であることに気付きます。サーガ氏は、「ペリシテ人の炎宝」の魔力でヒトラーとして蘇生しようとしていました。ベルガー中尉は、サーガ氏を殴り倒し、インゲを連れて特別室を出ます。
 潜水艦内は、巨人の再度の出現に混乱していました。ベルガー中尉及びインゲは、艦橋のハッチを開けて外に出ると、海に飛び込んで逃げます。巨人は、潜水艦を破壊してサーガ氏を捕まえ、目を取り返します。巨人は、サーガ氏の正体である親衛隊中将ラインハルト・ハイドリッヒに対する警告をドイツ語で話した後、サーガ氏を口に放り込んで去って行きます。その後、ベルガー中尉及びインゲは、漁船に救助されます。

<怒りの日>
 クラウス大佐は、人間に似たかたちの巨大な何かが人々を襲う悪夢を見ます。夢の中に現れたロマ人の黒髪の女は、あいつが来たらみんな滅んでしまうと言います。
 職務についたクラウス大佐は、エルヴィン・ロンメル元帥に極秘裏に呼び出されます。クラウス大佐が指定されたレストランの賓客室へ行くと、中にはロンメル元帥を含む8人の国防軍の重鎮が集まっていました。彼らはヒトラー暗殺を計画しており、クラウス大佐もこの作戦に加わることになります。会合が終わったあと、ロンメル元帥は二年前に北アフリカで発見された遺跡に関する資料をクラウス大佐に渡します。
 資料を受け取ったクラウス大佐は、自宅へは戻らず、不倫相手のリル・ホレンダーのアパートへ行きます。リルは以前から隣の部屋から奇妙な音がすると言っており、クラウス大佐がアパートの外からリルの部屋の隣を見ると、蟹のハサミのような手の影がカーテンに映りました。また近くの廃墟では、ペチャクチャ喋る30センチ程の人間が逃げて行くのを目撃します。
 リルの部屋に着いたクラウス大佐は、ロンメル元帥から渡された資料を開きます。資料に含まれていた石板の写真には、クラウス大佐が夢で見た怪物が彫られていました。また、ナチスの重鎮達が勢揃いした写真には、黄色い法衣を着た怪物がヒムラー長官と並んで映っていました。ここに映っているべき人物は、ヒトラーが傾倒しているチベット人のテッパ・ツェンポ導師のはずでしたが、クラウス大佐が夢で見た怪物に変わっていました。またゲシュタポの二人の男が、身長50センチに満たない小さな人間を持ち上げている写真もありました。そして次の日の朝、リルは別人になっていました。
 クラウス大佐は、ヒトラー暗殺を実行者に志願します。暗殺には爆弾を用い、ヒトラーと共にツェンポ導師、ゲーリング及びヒムラーも爆殺する計画です。
 計画実行の当日、クラウス大佐は時限爆弾が入った鞄を持って会議に参加し、鞄を置いて会議を抜け、逃走します。しかし、会議室に遅れて入ったツェンポ導師が爆弾を見抜きます。爆弾はツェンポ導師を殺害しますが、ヒトラーを殺すことはできませんでした。暗殺計画に加担した人々は、処刑されます。

 以上が、「邪神帝国」に収録された短編の各物語です。
 「狂気大陸」は、面白がったです。ラヴクラフトの「狂気山脈」のその後をナチスと絡めた物語で、「狂気山脈」を読んでいる人はものすごく楽しめる作品だと思います。「狂気山脈」を知らない人には、訳の分からない物語かもしれません。
 「狂気大陸」以外の作品は、イマイチでした。短編だからか、物語が始まってすぐにオチという内容で、物語にひねりも何もなく、予想内の結末に落ち着きます。クトゥルーな要素も少なく、宇宙的恐怖も感じられませんでした。
 その中で、「怒りの日」は、日常がジワジワと異常なものに変わっていくという内容でクトゥルー的な雰囲気はありました。ただし、その日常の変化を描ききれていない、という印象を受けました。作者の書きたいものは想像できるのですが、作者の技量が不足しているように感じられました。ちょっと惜しい作品でした。
 収録されている複数の作品にもう少し関連性があれば良かったのではないかと思いました。せっかく舞台や時代は共通なのに、各話がバラバラなのは惜しい気がしました。全話にヨス=トラゴンの仮面を登場させるとか。そして最終話に、全体を通じてのドンデン返しとかか用意されてたら最高なんですけどね。


映画 「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」

 映画「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」は、2013年5月に公開された日本映画です。言うまでもありませんが、2011年に公開された映画「探偵はBARにいる」の続編です。原作小説の「ススキノ探偵シリーズ」では、第5巻の「探偵はひとりぼっち」に相当するそうです。
 以下、映画「探偵はBARにいる2」の物語です。ネタバレ注意です。

 探偵(大泉洋)が通うオカマバーのホステスのマサコ(ゴリ)はマジックを得意としています。マサコは探偵の勧めでマジックコンテストに出場し、全国大会まで勝ち進みます。全国大会はテレビ放送され、マサコは優勝し、そして二日後に何者かによって殺害されます。事件から3ヶ月が経過しても犯人は捕まりませんでした。
 探偵は、マサコを殺害した犯人を探す決意をし、マサコが働いていたオカマバーへ情報収集にやってきますが、何故かオカマバーの従業員は非協力的でした。オカマバーを出た探偵は、路上で客引きをしている通称源ちゃん(マギー)、モツ(徳井優)、学生(近藤公園)の三人から、マサコが政治家の愛人で、政界の闇に触れて消されたという噂を聞きます。
 探偵は、以前から知り合いのホモの新聞記者の松尾(田口トモロヲ)から、北海道で人気のある政治家の橡脇孝一郎(渡部篤郎)が、15年前に東京でマサコと恋人関係にあったが、政界進出を機に別れたという情報を得ます。
 その後、探偵は、自宅へ帰る途中に尾行者の存在に気付き、尾行者を殴り倒しますが、尾行者は女性でした。この女性は、マサコが応援していたバイオリン奏者の河島弓子(尾野真千子)でした。弓子もまた、独自にマサコを殺害した犯人は探していました。探偵は自分の依頼人になるよう弓子に勧め、弓子はマサコを殺害した犯人を探し出すことを探偵に依頼します。
 その後、探偵は、知り合いのヤクザの相田(松重豊)から、橡脇の後援会長の新堂艶子(筒井真理子)に気をつけろと忠告されます。また客引きの通称“学生“は、マサコが殺された日の晩に、橡脇がマサコのマンションの方から出てきたのを見たと証言します。
 探偵及び助手の高田(松田龍平)は、橡脇の事務所の張り込みを開始します。しかしその晩、探偵はマスク姿の大勢の男達に襲われ、何とか逃げ延びます。何者かが探偵の名を語って記者クラブに電話をかけ、橡脇がマサコを殺した証拠を持っていると発言したため、橡脇陣営、反橡脇陣営及びフリーの三派から探偵は命を狙われることとなってしまいました。反橡脇陣営を仕切っているのは、前回の事件で因縁のある花岡組で、手を組む事は難しそうです。
 探偵の名を語って電話をかけたのは、弓子でした。弓子は、探偵を襲う人間がマサコを殺した実行犯かもしれないと主張しますが、探偵は自分を囮にする作戦を却下します。
 探偵は、オカマバーのママのフローラ(篠井英介)から、マサコと仲がよかったホステスのトオル(冨田佳輔)のことを聞き出します。トオルは、マサコの死後に、マサコが昔に橡脇と付き合っていたことがあると店で話し、その後に行方不明となっていました。探偵、高田及び弓子は、トオルを探しに、トオルの故郷である室蘭へ向かいます。
 室蘭で探偵はトオルを発見します。トオルは、橡脇陣営の人間に金を渡され、ススキノから出て行くよう脅されて、故郷に戻ってきていました。トオルは、マサコも室蘭出身だったと話します。探偵達は、マサコの実家を探し出しますが、荒れ果てた廃屋となっていました。
 室蘭からの帰路、探偵達の乗る車をつけてくる車がありました。この車には、花岡組の人間が乗っており、探偵達に襲いかかってきます。カーチェイスの末に、探偵達は、通りかかったパトカーに救われます。
 その後、弓子は、警察署の前で記者会見を開き、失踪していたことを謝罪するとともに、探偵及び高田を友人として紹介します。弓子は、探偵達の姿をテレビに映すことで、探偵達の命を狙いにくくすることを考えていました。
 しかし、マスク姿の男達は、オカマバーのママを人質として探偵を呼び出します。探偵及び高田は、マスク姿の男達を返り討ちにし、男達が橡脇支持者の一般人の集まりだったことを知ります。
 新聞記者の松尾は、マサコの殺害現場の近くに薔薇の花束が落ちており、花束は橡脇が購入したものであることがわかった、との情報を探偵に話します。
 探偵は、橡脇の事務所に一人で乗り込んで行きます。後援会長の新堂艶子は探偵を追い返そうとしますが、橡脇は探偵を招き入れます。橡脇は、あの日にマサコに会って花束を渡したが、直ぐに別れたと話し、マサコ殺害を否定します。
 探偵は、これまでに集まった情報を弓子に報告し、橡脇を訴えることを提案します。
 その後、探偵及び高田は、道端で出会った客引きの“学生“を連れて飲みに行きます。飲み屋で話しをしていた探偵は、“学生“の目撃証言の矛盾に気付いて問い詰めます。すると“学生“は、探偵に襲いかかってきます。マサコ殺害の犯人は、橡脇ではなく、“学生“でした。“学生“は逃走し、道路に飛び出して車に轢かれて死亡します。
 探偵は、真犯人を告げるために弓子に連絡を取ろうとしますが、弓子は行方をくらましていました。
 新聞記者の松尾から探偵へ、マサコの過去の調査結果が伝えられます。マサコは、幼い頃に両親をなくし、親戚に引き取られましたが、折り合いが悪く家を飛び出し、新宿で身体を売って生きてきました。しかしマサコは、稼いだ金を大阪の親戚に引き取られた妹へ送っていました。そして、この妹が弓子でした。
 その頃、弓子は、橡脇が参加するイベントの会場にやってきていました。橡脇は大勢の支援者に囲まれており、弓子は刃物を手に、人混みの中を橡脇目指して歩いて行きます。そして弓子が橡脇の目前まで来たとき、弓子の前に探偵が立ちはだかります。探偵は、弓子が持つ刃物を自身で受け、弓子を止めます。
 探偵の傷はそれぞれ深くはなく、直ぐに病院を退院します。弓子は、辞めようと考えていたバイオリンをもう一度やる決意をします。

 以上が映画「探偵はBARにいる2」の物語です。
 第1作と同じく、ヒロインが復讐を果たして死ぬパターンかとドキドキしましたが、違いましたね。よかったです。
 結局は無関係な橡脇が疑われていい迷惑だったという・・・何となく微妙な結末でした。でもまあ、面白かったです。1年に1作くらいのペースで新作を作って欲しいシリーズですね。
 所で、今作の重要人物である被害者のマサコですが、ガレッジセールのゴリさんがオカマ役を演じています。何故、ゴリさんだったのでしょう?もっと美人なニューハーフのタレントさんか、又は、女優さんの方がよかったのではないかと思いました。橡脇が花束を持ってマサコに会いに来るシーンとか、本来は感動的なシーンのような気がしますが、お笑いなシーンになってしまって感動できませんでした。この作品以外でも、ゴリさんがオカマ役という作品を見たことがある気がします。ゴリさんのオカマ役は、評価が高いのでしょうか?謎です。
 今年の冬には第3弾の映画が公開されるそうです。DVDのレンタル開始は一年後くらいでしょうか。気長に待つことにします。

 



 

永井豪 「デビルマンサーガ」 第6巻

 永井豪さんの「デビルマンサーガ」第6巻は、2017年8月末に発売されたばかりの最新刊です。
 前巻の第5巻では、物語の中で特に大きなイベントが発生する事もなく、何の進展もないままでした。第6巻こそは、大きな進展を期待していたのですが・・・。
 以下、「デビルマンサーガ」第6巻の物語です。ネタバレ注意です。

 不動勇希の元を訪れたクロード・ギラン博士は、地獄について勇希と語り合います。クロード博士は、悪魔の鎧が生まれた世界のイメージが地獄のイメージであるとし、時間を超えて人類に影響を与えていると考えています。そしてクロード博士は、ル・ファール社の悪魔の兵士達が世界の戦場に投入されていることを勇希に知らせます。魔将軍ザンが率いる悪魔の兵士達は、戦場では無敵の力を誇り、暴れまわっていました。
 同じ頃、殺人現場で刑事が捜査をしていると、国軍省軍事調査部の土巣六郎と上園正子が現れ、この件は軍事機密となり、管轄が警察から国軍省に変わったと告げ、刑事を追い返します。
 クロード博士は、悪魔の鎧を装着した者が巨大化する事について、仮説を述べます。一つの悪魔の鎧につき一人の異次元生命体、デーモンが憑いており、鎧を装着する事でデーモンと合体していると。また鎧には異次元の物質を取り込む力があるとクロード博士は考えています。クロード博士は、悪魔の鎧を装着し続けることで、デーモンに意識を乗っ取られる可能性があると言います。クロード博士は、悪魔の兵士が人類に制御出来なくなったときに世界の終焉が始まると恐れています。勇希は、自分が知らないうちにデビルマンとして悪魔と戦っているのではと、疑いを持ちます。
 クロード博士と別れた勇希が自宅マンションへ戻ると、駐車場で軍事省の土巣及び上園が待ち構えていました。土巣及び上園は、人の仕業とは思えない殺人事件について勇希に尋ねます。しかし勇希の妻の美紀が二人を追い返します。美紀と上園は、中学生時代に女番長として争ったライバル同士で、知り合いでした。自宅に戻った勇希は、風呂から上がると目の前にアモンの鎧が立っているのに驚きます。
 同じ頃、亀井は部下の根本及び田中と共に焼き肉を食べています。亀井は、悪魔と合体して食べた生肉はもっと旨いと話します。その後、田中はキャバクラで知り合ったキャバ嬢を連れてホテルへ行き、悪魔に変身してキャバ嬢を食べようとします。
 突然目の前に現れたアモンの鎧は勝手で勇希と合体し、気が付くと勇希は空を飛んでいました。そして悪魔化した田中がキャバ嬢に襲いかかろうとするホテルの一室に飛び込みます。アモンは勇希に被害者が出る前に殺せと告げ、勇希は戦う決意をします。そして勇希は悪魔との戦いを楽しみ、悪魔を燃やして殺し、その場から去ります。
 長風呂を心配して美紀が様子を見にくると、勇希は風呂の中で眠っていました。勇希は悪魔との戦いを覚えておらず、夢と感じています。勇希は、アモンに体を乗っ取られ、記憶を消されているのではないかと疑い始めます。
 ホテルでの火災はテレビで放送され、助かったキャバ嬢は化け物を見たと警察で証言します。亀井とその仲間達は、田中の悪魔の鎧が激しく損傷して戻ってきたことから、田中の死と、敵の出現とを確信します。亀井は、田中を倒した敵が勇希ではないかと考えます。
 一方、アメリカのル・ファール社では、悪魔の鎧を着るときに被るヘルメットが開発されています。このヘルメットは、悪魔の鎧から出る微弱な電波、悪魔波との同調を助けるためのものでした。ヘルメットの開発者は、増え続ける悪魔の兵士に不安を感じていました。魔戦将軍ザンことジェイソン・ゴーダーが率いる軍団は、既に300人の兵士を有し、更に同数の軍団が2つ、訓練を開始していました。
 会社の仲間達と居酒屋に来ていた勇希は、帰り道に見知らぬ酔っ払いに絡まれ、殴られそうになり、とっさに殴り倒してしまいます。
 国軍省では会議が開かれ、ル・ファール社が貸し出している悪魔の兵士への対策が検討されています。智円万次郎は、日本独自に悪魔の兵士を開発する必要性を説き、キーパーソンとして不動勇希及び亀井迅の名前を挙げます。
 勇希の会社に刑事がやってきます。刑事は、勇希が殴り倒した酔っ払いが勇希を訴え出ていると言い、事情を聞くため勇希を連れて行きます。しかし、勇希が連れてこられた先は、国軍省でした。智円は、悪魔の鎧について勇希に協力を要請します。智円は、亀井が属する中熊重工が独自の秘密の動きをしていると話します。亀井の上司の由田部長が取締役に就任し、亀井は部長に出世していました。亀井の部下には人格の変化が見られ、中熊重工の周辺で異常な事件が発生しています。智円は、ル・ファール社の悪魔の兵士の映像を勇希に見せます。智円は、どこかの国が日本へ悪魔の兵士を送り込む可能性もあると言い、悪魔の兵士に関する情報を話して欲しいと勇希に頼みます。
 一方、ゴーダーが率いる悪魔の兵士の軍団では、新兵達のフラストレーションが溜まって爆発寸前でした。ゴーダーは、フラストレーション解消に、新兵達に白縫翼を襲わせることを思い付きます。白縫がトレーニングを終えてプールへやってくると、ゴーダー部隊の兵士達に囲まれます。兵士達は、白縫に襲いかかります。

 以上が、「デビルマンサーガ」第6巻の物語です。
 前巻に続いて進展のない巻でした。やたらと説明っぽいセリフが続き、正直なところ読むのがダルかったです。物語の背景設定を延々と語られても・・・。漫画である意味がありません。面白くも何ともありません。惰性で仕方なく読んでる漫画になってきました。そろそろ何とか物語を動かさないと、打ち切りは近いのではないかと思います。


宇宙戦艦ヤマト2199 メカコレクションNo.20 「ガイデロール級航宙戦艦」 塗装完成

 宇宙戦艦ヤマトのメカコレNo.20の「ガイデロール級航宙戦艦」の続きで塗装を行いました。
 このガイデロール級について素組したときの感想に、素晴らしい出来とべた褒めしてしまいましたが、塗装してみて少し評価が下がりました。組み立て易かったんですが、塗装が難しかったです。もう少し、黄色の部分を塗りやすいパーツ構成にして欲しかったところです。
 色の選択は、淡い緑色については次元潜航鑑で気に入った明灰緑色を採用しました。濃い緑色をどうするか悩みましたが、暗緑色というものを採用しました。この明灰緑色と暗緑色は、どちらも(中島系)と括弧書きが名前に付されており、相性がいいのではないかという根拠のない色選択です。ところで、中島系って何でしょうね?日本軍の飛行機か艦船の分類だと思われますが、知識がないのでよく分かりません。
 黄色については、イエローにニュートラルグレーを少し混ぜたものを使いました。ガミラス特有の左右の穴は、いつも通りに、ホワイト→イエロー→オレンジイエロー→オレンジの順番で階段状に段々に塗り重ねました。前後の穴の内部は黒鉄色です。台座はブラックです。ここまで使用した塗料はアクリジョン、筆塗りです。
 その後、つや消しトップコート→墨入れ用塗料で墨入れしています。また墨入れ後に、エナメル塗料のレッドで左右の砲門?を塗装し、オレンジで艦橋の窓?を塗装しました。そして最後にもう一度つや消しトップコートで完成です。
 以下、完成写真です。

fc2blg0322_figa.jpg

fc2blg0322_figb.jpg

fc2blg0322_figc.jpg

fc2blg0322_figd.jpg

fc2blg0322_fige.jpg

fc2blg0322_figf.jpg

fc2blg0322_figg.jpg

fc2blg0322_figh.jpg

fc2blg0322_figi.jpg

fc2blg0322_figj.jpg

 濃い緑色が少し濃すぎたかなと思わなくもありませんが、まあ許容範囲内と思っています。少しホワイトを混ぜても良かったかもしれません。箱絵には近い印象になった気がしますが。
 自分的に出来はまあまあかなと思ってますが、如何でしょう?


エミリー・ロッダ 「勇者ライと3つの扉」 第1巻 「金の扉」

 エミリー・ロッダさんの「勇者ライと3つの扉」第1巻「金の扉」は、日本では2014年7月に発売された作品です。「スター・オブ・デルトラ」第1巻のあとがきで、デルトラクエストと共通の世界での物語を描いた作品として紹介されていました。「デルトラクエスト3」の最終巻が日本で発売されたのが2005年6月であり、「スター・オブ・デルトラ」第1巻が2016年11月なので、「勇者ライと3つの扉」はちょうどこの2つの作品の間に発表された作品と言うことになります。
 「勇者ライと3つの扉」の物語は、デルトラ王国が存在する島(大陸?)とは別の島である「ドーン島」が舞台となります。物語の中で「ドラゴンが住む島」が海の向こうにあるとの会話があり、恐らくこの島がデルトラ王国及び影の大王の国がある島を指していると思われます。また「影の帝王」という名称が会話の中で登場しますが、これがデルトラクエストの「影の大王」のことを指しているのではないかと思います。なぜ名称が違うのかはよくわかりませんが、翻訳者が異なっている関係で大王と帝王の差が出ているだけな可能性もあるかもしれません。
 「勇者ライと3つの扉」というタイトルが暗示していますが、このシリーズは全3巻です。読み聞かせてもそれほど時間はかからなそうです。
 それでは、以下「勇者ライと3つの扉」第1巻「金の扉」の物語です。ネタバレ注意です。

 千年前。魔術師ダンはドーン島にある輪形の「禁断の森」を通って中心に至り、高い壁に囲まれたウェルドの街を作りました。ウェルドの人々は、壁に守られて安全に暮らしていました。
 ところが五年前、夏になると怪鳥スキマーの大群が夜に壁を超えて飛来し、街の人々を襲うようになりました。壁の外に住む蛮族がスキマーを差し向けていると考えられています。街の人々は、夜になると家に閉じこもって耐え忍んでいます。
 ウェルドの街に住む蜂飼いの女性リズベスには3人の息子ダーク、ショルト及びライがいます。ある日、ウェルド総督は、壁の外にいてスキマーを差し向けている敵を倒しに行く有志を募ります。条件は、18歳以上の男子です。もうすぐ20歳になるダークは志願し、壁の外へ旅立ちます。
 音沙汰なく一年が過ぎ、リズベスの元にダークの死亡通知が届きます。この年に18歳になったショルトはスキマー退治に志願し、壁の外へ旅立ちます。
 また音沙汰なく一年が過ぎ、リズベスの元にショルトの死亡通知が届きます。ライはまだ18歳になっていません。ある日、リズベス及びライの家がスキマーに襲われ、庭に植えられていたベルツリーの木と蜂の巣箱が壊されてしまいます。蜂飼いとしての生活の糧を失ったリズベスは、家を捨て、ライと共に仕事と支援を求めて総督塔へ向かいます。ライは、折れたベルツリーの木の枝を杖として持って行きます。
 総督塔に着いたリズベス及びライは、仕事を紹介されますが、離れ離れで暮らさなければならなくなります。リズベスと別れたライは、指定された少年舎へ向かわず、スキマー退治の有志の受付へ向かいます。
 ライは、受付の男に18歳と偽ってスキマー退治に志願します。しばらく待つとウェルド総督が現れ、ライを秘密の部屋へ連れて行きます。部屋の壁には黄金のメダルが取り付けられており、メダルに触れたライは、「扉の間」に飛ばされます。
 「扉の間」の壁には3つの扉がありました。金の扉、銀の扉及び木の扉です。ライが扉を見ていると、部屋の暖炉から一人の少女ソニアが現れ、一緒に連れて行ってとライに頼みます。ライは、木の扉に惹かれますが、兄ダークなら金の扉を選ぶと考え、金の扉を選びます。ライは、ソニアと共に金の扉をくぐります。
 金の扉をくぐり抜けたライ及びソニアは、禁断の森に出ます。振り返っても、ウェルドの外壁や金の扉は見あたりません。禁断の森の外を目指して歩き出した二人の前に大きなトカゲのような怪獣フェル・ドラゴンが現れます。
 怪獣から逃げた二人は、鏡のように輝く丸い沼「ダンの魔鏡」に出ます。ライが沼を覗くと水面に「飲め」という言葉が浮かび上がります。言葉に従ってライが水を飲んでみると、とてもおいしい水でした。ライが水を飲むと、たくさんの人々が現れて沼に近づいて来ます。この中の一人の女性エデルは、自分達は禁断の森の先住民である「フェルの民」であり、試練を乗り越えられる人物を待っていたと話します。「ダンの魔鏡」の水を飲んだ事でライは試練を乗り越えたと見なされたようです。エデルは、小さな茶色の袋をライに渡し、袋には九つの魔力が入っていると話します。選ばれし者に袋を渡すという約束を果たしたフェルの民は、去って行きます。その後にソニアが沼の水を飲むと、とてもまずい水
でした。ライが沼にダークの居所を尋ねると、オルタンを目指せとの言葉が浮かび上がります。
 ライ及びソニアは、禁断の森を抜けます。ウェルドにあったドーン島の地図では、禁断の森を抜けると海に出るはずでしたが、海は見当たりません。ウェルドで教えられたドーン島に関する事柄には嘘が多いようです。
 禁断の森を出ると橋や道があり、二人は、野原の真ん中に建物を発見します。蛮族の地とされる禁断の森の外側であるため、二人は用心深く建物に近づきます。建物は、空っぽの家畜小屋でした。一本角の大きな毛むくじゃらの獣、ツノイノブタが二人を目掛けて突進してき、二人は家畜小屋に逃げ入って扉を閉じ、立てこもります。
 家畜小屋の中でライは、フェルの民に貰った袋を開けてみますが、中にはガラクタのような物が入っていました。中に入っていた小さな水晶にライが触れると、水晶は魔法の光を放ちます。しかし他の物は、使い道が分かりません。試しにライは、灰色の糸で編まれたみすぼらしい指輪をはめてみますが、何も起こりません。しかも、フェルの民は九つの魔力と言っていましたが、中には八つの物しか入っていません。二人はあきらめて一休みします。
 次の日、ライが家畜小屋から出ると、ツノイノブタが待ち伏せしていました。逃げたライはものすごい速さで走る事ができます。どうやらはめたままにしていた指輪の魔力のようです。そしてツノイノブタは、偶然に馬車で通りかかった商人のフィッツフィーの弓矢で倒されます。
 フィッツフィーは、ライ及びソニアを馬車に乗せ、オルタンまでの道のりにあるフリードと言う町まで送ってくれます。馬車には娘のポプシーか乗っており、フィッツフィー及びポプシーの会話から、オルタンの町にいるオルトという首長が暴君であり、夏至の前夜に何か恐ろしいことが起こるようです。夏至の前夜は、明日に迫っていました。
 フリードの町ではフィッツフィーの知人ナニオンがライ及びソニアをかくまってくれます。フリードは馬の名産地として有名な町でした。ナニオンは、オルトの圧政から逃れるため、町の人と馬を連れてドーン島から逃げ出す計画を立てています。逃げる先は、海を越えて西方にあるドラゴンの国とのことです。オルタンの町が夏至の前夜の儀式を行っている隙を付いて脱出する計画のようです。
 フリードの町でライ及びソニアは、ダークを知る少女ファエナと知り合います。ファエナは、ダークと恋人同士だったようです。しかしオルタンの「贈り物隊」が現れ、逃げた二人の生贄の代わりとしてソニア及びファエナを連れ去ります。
 オルタンの町では、七年に一度、七人の生贄が殺され、これによって魔術師であるオルトの寿命が七年延びます。ドーン島の周りにはオルトが築いた「魔法の環」があり、外敵からドーン島を守っていると言われています。ライは、ソニア及びファエナを助けるため、オルタンの町へ向かいます。
 オルタンの町は、海辺にありました。オルタンの町に入ったライは、儀式が行われる場所を見に行きます。そこは、大海蛇が餌を食べに集まってくる場所でした。ライを見た一人の女性ネルは、近くの建物指して、危険だから隠れているよう言います。
 ネルに言われた建物は、酒場「トビウオ停」でした。ライは、トビウオ停に潜り込み、店の中のピアノの後に隠れます。ライは、もう一度、袋の中の品物を確認します。すると、品物の一つ、小さな茶色の木の実が割れ、中から頭巾が現れ、ライは頭巾をかぶります。またライは、光の水晶には壁を通して向こう側を透かし見る魔力があることを知ります、
 ライは、隠れているピアノを通して、酒場の客の噂話を聞きます。噂話は、西にいる「影の帝王」の正体がオルトの弟のヴァレーンであること、二人にはフェルの民の血が半分流れていること、ドーン島を追放されたヴァレーンはドーン島を征服しようと狙っていること、ヴァレーンはドラゴンの国を追放されて行方知れずであること、更にオルトには一番下の弟がいること、オルタンから追放された弟は何かを企んでいる可能性があることなどです。
 ライはピアノの後で音を立ててしまい客に見つかりそうになります。しかし頭巾には透明化の魔力があり、客に見つからずに済みます。
 ライは、透明化頭巾の魔力を利用して敵のとりでに潜入し、オルトの部屋を発見します。ライは、光の水晶の透視の魔力で部屋の中を探ります。部屋の中には、大海蛇の骨で作られた玉座に座るオルトと、贈り物隊の隊長バーンがおり、生贄にされる8人が捕らえられていました。オルトは、とりでの地下牢に生贄の偽物を配置し、生贄を救出しにきた反乱分子を捕らえる罠を仕掛けていました。ライは、急いで地下牢へ向かいますが、一足遅く、反乱分子達は捕らえられてしまいます。捕らえられた反乱分子には、兄のダークも含まれていました。ダークが捕らえられた事にショックを受けたライは、とりでから逃げ出し、気を失って倒れます。
 ライは、トビウオ停にいたハスという男と、その妻のネルに助けられます。ライが目を覚ましたときには夏至の前夜になっていました。ライは、鉄を切る道具と、大海蛇よけの油薬とをハスから借り受けます。ライは、借りた道具を持って、透明化の頭巾をかぶり、魔法の品物が入った袋から取り出したきらめくうろこを握り締めて海へ向かいます。海に入るときらめくうろこは手と一体化し、ライは海を自由自在に泳げるようになります。
 生贄の岩には7人の生贄が鎖で繋がれています。その中にはソニア、ファエナ及びダークが含まれています。生贄の儀式が始まり、バーンが演説している隙に、ライは生贄に大海蛇よけの油薬を塗るよう伝え、生贄を繋ぐ鎖を切り始めます。しかし7人分の鎖を切るのは容易ではありません。数人の鎖を切ったとき、大海蛇が近づいてきた事に恐怖した一人の生贄が逃げ出してしまいます。これでオルト及びバーン達に生贄が逃げようとしていることを悟られてしまいますが、生贄の儀式を見守る観衆の中で暴動が起こります。暴動は、ハスが注意となって起こしたもののようです。混乱する中、ライは鎖を切り続け、6人目の鎖を切ります。最後の一人、ダークの鎖を切ろうとしたとき、大波がライを襲い、ライ
は鎖を切るための道具を海に落としてしまいます。ダークの鎖を切ることができなくなったライは、他の生贄達を逃がした後、襲ってきた大海蛇を睨みつけます。大海蛇は動きを止め、ライと大海蛇が睨み合った状態で時間だけが過ぎていきます。
 膠着状態にしびれを切らしたオルトが生贄の岩へ走りよって来て、大海蛇に生贄を食べろと命令します。しかし大海蛇は、オルトに襲いかかり、オルトは大海蛇に食べられて死亡します。その後、大海蛇は去って行きます。
 オルトが死亡したため、バーンは自分が新しい首長だと宣言して、大海蛇の骨で作られた玉座に座ります。しかし玉座はオルトの魔力で作られたため、オルトが死亡したことにより崩れて来ます。バーンは、崩れてきた大海蛇の骨の牙に刺されて死亡します。
 こうしてオルタンの町は平和を取り戻しました。ライ、ソニア及びダークは、ショルトを探し出し、スキマーをウェルドへ差し向けている敵を倒す事を決意します。

 以上が「勇者ライと3つの扉」第1巻「金の扉」の物語です。面白かったです。ハリー・ポッターの数倍は面白かったです。
 やはり気になるのは、「影の帝王」と「影の大王」とが同一人物なのかということ。同一人物であるとすれば、「影の大王」はドーン島出身で、ドーン島から追放されてデルトラ王国にたどり着いたと言うことになります。しかも、「影の大王」には、兄と弟がおり、兄のオルトはライ達の活躍で倒されました。兄を倒せるなら、「影の大王」も倒せるのではないかと期待を持たせてくれます。今後の物語で「影の帝王」が登場する事はあるのでしょうか。期待して待つことにします。
 いや、待てないので、続けて第2巻に突入しようと思います。