永井豪 「ゴッドマジンガー」 第3巻

 永井豪さんの「ゴッドマジンガー」第3巻、最終巻です。
 第2巻の物語は、2万年前のムー王国へタイムスリップした火野ヤマトがムー王国の守護神の石像「ゴッドマジンガー」と一体化して救世主となり、ドラゴニア帝国の守護神である冥府の魔王ハデスを倒しました。またヤマトと共にタイムスリップしたカオルは、原始人に襲われかけたところを黄金の鎧に身を包んだ人物に助けられます。ムー王国とドラゴニア帝国との戦いはまだまだ続いています。
 以下、「ゴッドマジンガー」第3巻の物語です。ネタバレ注意です。

 カオルを助けた黄金の鎧の人物は、ドラゴニア帝国の黄金王ドラドの息子であり、黄金王子エルドと呼ばれる人物でした。黄金王子エルドは、ドラゴニア帝国の五大国の一つである森の国モールを治めています。黄金王子エルドは、助けたカオルを透明な球体に閉じ込めて眺めて楽しんでいます。そこへ魔導士ヨミトが現れて、ドラゴニア軍がムー王国軍に敗れたことを報告します。ヨミトはドラゴニア帝国の魔導士たちの長であり、黄金王ドラドに次ぐ超能力の持ち主です。ムー王国のゴッドマジンガーにハデスを倒されたことを知った黄金王子エルドは、ドラゴニア帝国の主権を父に任せておけないと考えます。黄金王子エルドは、ドラゴニア人の母星であるドラ星から持ってきた秘密兵器を動かして ゴッドマジンガーを倒すことを決意します。
 黄金王子エルドは、我々には時間がなく、父のような黄金のマスクをかぶりたくはないと言っており、黄金王ドラドが被る黄金マスクには何らかの秘密があるようです。またそのためにドラゴニア帝国はムー王国の「秘められし神櫃」というものを手に入れようとしているようです。
 黄金王子エルドは、カオルがムー人ではなく未来人であることに気付いているようですが、単にペットとして連れてきただけでした。カオルが閉じ込められていた球体は生体変革器であり、ドラ星から来た人たちを地球に適合する体に変化させた装置でした。黄金王子エルドは、生体変革器を作動させてカオルの体を猫のような体に変革させ、ペットにすることにします。
 ヤマトと共にバスに乗ってタイムスリップし、何とか生き延びていた4人の生徒たちは、ムー王国軍の兵士になっていました。ドラゴニア帝国との戦争再開が近いことを知った4人は、元の世界に戻るために、タイムスリップしてきた場所へ戻ることを考えます。そして戦場で陣を張っているムー王国軍の元へ、近隣諸国からの援軍が駆けつけてきます。セト国の独眼竜王ナラト、トサワ国のリウ王、及び、アキツ国のミヤツ王が大軍を率いてやって来ます。
 これに対してドラゴニア帝国は、ドラ星の生命科学を利用して今までの恐竜軍団の3倍~5倍の戦力を有する魔竜軍団を作り上げ、ゴッドマジンガーを倒すために出撃しようとします。しかしそれより先に、黄金王子エルドが数台の宇宙戦艦を発進させ、ゴッドマジンガーの元へ向かっていきます。宇宙戦艦からは何体もの機械兵が地上へ向けて放たれ、機械兵はムー王国軍へと向かっていきます。ムー王国軍の兵士達は機械兵に戦いを挑みますが、全く歯が立ちません。
 ヤマトはゴッドマジンガーの元へと向かいますが、それより先にエルドの宇宙戦艦がゴッドマジンガーの石像を攻撃し、ゴッドマジンガーの石像は粉々に破壊されてしまいます。絶望するヤマトですが、次の瞬間にはヤマトの姿は消え去ります。エルドの宇宙戦艦はアイラ・ムーを発見し、アイラを攫おうとしますが、馬に乗ったソニアがアイラを助け、宇宙船から逃げようと駆け出します。
 更にアイラを追おうとしたエルドの頭に、黄金王ドラドからの怒りのテレパシーが響き渡り、エルドは苦しみ悶え、エルドの乗る宇宙戦艦はアイラから離脱していきます。黄金王ドラドは、ドラ星の科学力を使うことで地球が汚染されてドラ星の二の舞になることを避けるため、ドラ星の科学力を使った戦争を行うことを避けていました。黄金王ドラドは、エルドがドラ星の宇宙戦艦や機械兵を持ち出したことに怒っています。
 アイラは、ムー王国軍の兵士達にテレパシーで撤退を命じます。ムー王国軍の兵士達は撤退を開始しますが、ドラゴニア帝国の機械兵達による超科学兵器の攻撃により次々と殺されていきます。また超科学兵器はムー王国の大地を地獄の景色に変えていきます。
 黄金王ドラドのテレパシー攻撃により苦しむ黄金王子エルドは、ヨミトに助けを求めます。ヨミトは、エルドの作戦によりゴッドマジンガーを破壊したことを黄金王ドラドに伝え、汚染を最小限に抑えるため2日でムー王国軍を壊滅させることを約束して黄金王ドラドに許しを請います。黄金王ドラドは「秘められし神櫃」を手に入れることを条件に、エルド及びヨミトに2日の猶予を与えます。
 破壊されたゴッドマジンガーの石像は、欠片が徐々に集まって元の姿に戻り、動き出します。ゴッドマジンガーは、ムー王国軍を襲っていた機械兵達を次々と破壊していきます。宇宙戦艦がゴッドマジンガーを攻撃しますが、ゴッドマジンガーは宇宙戦艦をも全て破壊します。宇宙戦艦に乗っていた黄金王子エルドは、ヨミトのバリヤーに助けられ、エルド及びヨミトはゴッドマジンガーから逃げ出します。
 その頃、黄金王ドラドは乱心し、剣を振り回して部下を切り殺していきます。ドラドがかぶる黄金の仮面が外れ落ち、その下からは人間とは思えない崩れた顔が現れます。ドラゴニアの肉体改造には限界があり、地球上では時間と共に肉体が崩壊していくようです。この肉体崩壊を避けるため、ドラゴニアはムー王国の肉体改造技術「秘められし神櫃」を手に入れようとしていました。しかし間に合わず、黄金王ドラドは肉体が崩れ去って死亡します。
 自国へと逃げ帰った黄金王子エルドは、ドラの兵器を全て出撃させてゴッドマジンガーを倒す決意をします。
 一方、戦場で機械兵と戦っていたゴッドマジンガーが突然光り輝き、その光が広がると共に大地が崩れ始めます。大地の崩れは、機械兵と共に味方の兵士達をも飲み込んでいきます。ゴッドマジンガーの強大な力は、ドラゴニア帝国もムー帝国も関係なく、ムー大陸を沈めようとしています。ゴッドマジンガーと一体化しているヤマトは、ゴッドマジンガーの行為を止めようとし、ゴッドマジンガーと分離しようとします。
 そしてヤマトが気付くと、いずこかわからない空間に立っていました。戸惑うヤマトに対して、何者かが話しかけてきます。この人物は、この空間が高次元空間であり、ゴッドマジンガーはただの石像であり、自分がエネルギーを送り込むことでムー人の末裔であるヤマトの意志に従ってゴッドマジンガーが動くことを語ります。ヤマトはムー大陸を沈めようという意思はないと反発すると、この人物は、ムー大陸を沈めようとしているのは自分の意志であり、ムー大陸だけではなく宇宙全てを破壊しようとしていると語ります。そしてヤマトの前に姿を見せた人物は、ゴッドマジンガーによく似た姿をしていました。
 ムー大陸の崩壊は続いており、大地震及び火山の噴火等により、ムー大陸の街は次々と破壊されていきます。ヤマトと共に未来からやって来た生き残りのクラスメートたちも、自身による地割れにのみ込まれて死亡してしまいます。逃げ出したムー王国の兵士達もまた、次々と地割れにのみ込まれていきます。ムー大陸には海の水が侵入し、大洪水となります。黄金王子エルドの国でも自身により城が崩れ、エルド、ヨミト及びカオルもまた崩れた城の下敷きとなります。
 ヤマトの前に姿を現した人物は、自分は宇宙の創造者であると語り、この宇宙を「無」に返さなければならないと語ります。宇宙の創造者は、この世界に「魔」が生じてしまい、「魔」が生じた世界では人々が争いを繰り返すことになると言います。創造者が以前に創造した「エデン」という星でも同様のことが起こり、創造者はこの星を「無」に返しました。そしてエデンの一部の人々にもう一度チャンスを与え、それが現在のムー王国となりました。創造者は「魔」の発生を監視する役目をアイラ・ムーに与え、ヤマトには地球の「魔」を測るバロメータの役目を与えていました。ゴッドマジンガーの力を与えられた人間がこれをどのように扱うのか、「魔」を克服する力があるのかを創造者は見てい ました。しかしゴッドマジンガーは敵の破壊を繰り返すばかりであり、これが「魔」に取り付かれた人間の姿であると判断しました。ヤマトは、自分が愛するアイラを守りたかっただけで、破壊の意志はなかったと語り、この世界を「無」に返すのを辞めることを創造者に頼みます。
 その頃、アイラは崩壊するムー大陸を馬に乗って逃げていました。しかし足元で地割れが起こり、アイラは地割れにのみ込まれていきます。しかしその途中で、アイラの姿は消え去ります。そしてアイラは、ヤマト及び創造者が対話する高次元に現れます。ヤマトとアイラはしっかりと抱き合います。
 愛し合う二人の姿を見た創造者は、人間にもう一度チャンスを与えることにします。創造者は、ムー大陸を完全には沈めずに一部の人々を助けます。ヤマトとアイラには生まれ変わり続けて地球人を監視し、「魔」が生じた場合にはゴッドマジンガーの力で地球を「無」に返す役目が与えられます。
 現代。超古代研究科の火野からムー王国の歴史を聞かされた貴社の如月さつきと早見青児は、帰路に就きます。青児はムー王国の歴史を聞いているうちに、自分が火野ヤマトの生まれ変わりだと気づきます。如月さつきもまた、自分がアイラ・ムーの生まれ変わりだと気づきます。そして二人は仲よく腕を組み、山を下りていきます。

 以上が「ゴッドマジンガー」第3巻の物語であり、これで「ゴッドマジンガー」の物語は終わります。
 読み終えての感想ですが、かなり強引に物語を終わらせている印象が強いです。登場人物を全て殺してしまう、皆殺しエンドでした。生き残りのクラスメートたちや、小動物に姿を変えられたカオルや、エルド及びヨミトによる父王に対する陰謀、ムー王国及びドラゴニア帝国の戦争など、全ての伏線を神様の意志一つで「無」に返されてしまいました。
 この内容の物語を3冊で終わらせるのは無理だろうと予想していましたし、恐らくは打ち切り的な結末を迎えると予想して第3巻は読み始めました。ゴッドマジンガーの戦いはまだまだ続く…完、というエンドを予想していたので、この皆殺しエンドは驚きでした。ただしこの驚きが、喜ぶべきものであるかどうかは、かなり微妙ではありますが…。でもまあ、皆殺しエンドとはいえ、物語が一応は完結していることですし、尻切れトンボなエンドよりは良かったと思うことにします。
 「ゴッドマジンガー」は、アニメ化もされているようですが、アニメ版も同じ結末なのでしょうか?さすがにアニメを見ようとまでは思えませんが、少し気になってしまいます。


永井豪 「ゴッドマジンガー」 第2巻

 永井豪さんの「ゴッドマジンガー」第2巻です。
 第1巻の物語は、2万年前のムー王国へタイムスリップした火野ヤマトが、ムー王国の守護神の石像「ゴッドマジンガー」と一体化し、動き出したゴッドマジンガーがムー王国へ攻め込んできたドラゴニア軍の第一陣を全滅させ、ドラゴニア軍の黄金王ドラドが引力遮断の超能力で反撃を開始したところまででした。
 以下、「ゴッドマジンガー」第2巻の物語です。ネタバレ注意です。

 現代。記者の如月さつきと早見青児は、郷土館で超古代研究家として紹介された火野という家を訪ねます。火野家では、一人の少女とその祖父が二人を出迎えます。火野家では、代々伝わる古代の歴史を子孫に伝えることを使命としています。祖父は、日本人が宇宙人の子孫であり、日本列島がムー大陸の一部だったという歴史を語り始めます。
 超古代。ドラゴニア軍の黄金王ドラド及び飛龍軍団によるゴッドマジンガー及びムー王国軍への攻撃が始まります。空を飛ぶドラゴニア軍に対してムー王国軍はなす術もありません。ゴッドマジンガーは自ら回転して竜巻を起こし、竜巻に乗って空へ飛び上がり、黄金王ドラドが乗る飛龍を攻撃します。これにより黄金王ドラド及び飛龍軍団は撤退していきます。敵がいなくなるとゴッドマジンガーの動きが止まり、火野ヤマトはゴッドマジンガーと分離して倒れます。ムー王国の王城から駆け付けた女王アイラ・ムーは、石像に戻ったゴッドマジンガーを中心にして陣を張るよう命令します。アイラは、倒れたヤマトをテントへ運ぶようソニヤに命じます。
 現代。さつき及び青児は、火野家に伝わる古代の歴史を聞いています。人類誕生前の原始の地球に巨大な宇宙船が飛来します。この宇宙船には、背に大きな翼を持つ宇宙人たちが乗っていました。宇宙人たちは、何世代にもわたって、地球の環境を自分達の居住に適した環境へと変えていきました。地球の環境は徐々に変化していきましたが、宇宙人たちに適した環境に変化するにはまだ時間が必要でした。しかし宇宙船での生活に限界が来ていた宇宙人たちは、自分達の体を地球に適合するよう改造し、地球に降りる決心をします。こうして改造された宇宙人がムー大陸の人々であり、日本人の祖先であるとのことです。
 ムー大陸に移り住んだムー人達は、平和な国家を築き上げましたが、文明は衰えていきました。そして数万年の後、科学はわずかにムー人の神話に残るのみとなりました。その頃、ムー人とは別の宇宙人であるドラゴニア人が地球に現れます。ドラゴニア人も体を改造して地球に適合させ、ムー大陸の南に住む地球の野蛮人を支配してドラゴニア帝国を作ります。ドラゴニア人は自分達の科学力で地球の恐竜を甦らせて恐竜軍団を作り、ムー王国へ攻め込みます。
 超古代。ドラゴニア軍の陣営では、黄金王ドラドが呪巫女の不死女(フシメ)を呼び出し、ゴッドマジンガーとは何なのかを尋ねます。不死女は、ゴッドマジンガーがムーの失われた文明が生み出したものであるが、自分達の星のロボットとは異なるものであると話します。不死女は、ゴッドマジンガーが魂を持つものであり、自分のテレパシー能力を使っても正体を探ることはできず、ロボットを超えたロボットであると語ります。不死女は、ドラゴニアの超生物兵器である冥府の魔王ハデスをゴッドマジンガーにぶつけることを提案します。
 ムー王国の陣に設営されたテントの中で気絶していたヤマトが目を覚まします。自らが怪物になったと語るヤマトに対して、アイラ・ムーはゴッドマジンガーは怪物ではなく神の戦士であると話します。ヤマトは、ムー王国軍の巨大なテントの中の一部屋を割り当てられ、世話係として少年マーモが付けられ、ゴッドマジンガーの剣と同じ材料で作られた剣を与えられます。
 そしてヤマトは、線状にカオルを置き去りにしていたことを思い出し、カオルを探すためにムー王国の陣から戦場へ戻ろうとします。しかしムー王国の兵士達は、明日の戦いを控えたヤマトが戦場へ戻るのを阻止しようとします。兵士達を倒してでも戦場へ戻ろうとするヤマトの前にアイラが現れ、ヤマトと共にタイムスリップした人のうち何人かは生き残っていることをテレパシー能力で確認し、既に捜索隊を派遣したことをヤマトに告げます。
 その頃、戦場を逃げ出してジャングルへ迷い込んだカオルは、焚火の明かりを見つけ、焚火を囲んでいた人々に話しかけようとします。しかしこの人々は食人種の原始人であり、カオルを殺そうと追いかけてきます。カオルが原始人たちに捕まって悲鳴を上げたとき、恐竜に乗り黄金の鎧を着た若者が近くを通りかかって悲鳴を聞きつけます。この若者は原始人達を殺してカオルを助け、気絶していたカオルを連れていずこかへ去っていきます。
 そして夜が明け、ドラゴニア軍の侵攻が再開されます。ムー王国のムラジの軍もこれを迎え撃ち、戦闘が開始されます。ゴッドマジンガーに呼ばれたヤマトは、ゴッドマジンガーと一体化します。ゴッドマジンガーはテレポートして最前線へと現れ、ドラゴニア軍の恐竜軍団を蹴散らします。するとドラゴニア陣営から球体に包まれた3人の老人が浮かび上がり、ゴッドマジンガーに対して超能力による攻撃を行います。ゴッドマジンガーの足元が突然真っ二つに割れ、ゴッドマジンガーは割れ目から地中深くへと落下し、その後に割れ目は閉じてしまいます。
 地底の巨大空間へと落下したゴッドマジンガーは、巨大な宇宙船の残骸を発見します。そして宇宙船の残骸から、複数の触手と複数の頭部を持つ巨大な怪物が現れて、ゴッドマジンガーに襲い掛かってきます。この怪物は、ドラゴニアの守護神である冥府の魔王ハデスでした。地底でのゴッドマジンガーとハデスとの戦いが始まります。
 一方、地上では、ゴッドマジンガーがいなくなったムー王国のムラジの軍が、ドラゴニア軍の攻撃を受けて劣勢に立たされていました。先陣であるムラジの軍を助けに向かうムー王国軍の本体では、アイラがムラジの軍の危機を察知します。全速力で助けに向かおうとするアイラ達の前に、3人の巨人が現れて行く手を阻みます。混乱するムー王国軍の中でアイラは巨人の正体を見破り、虚児へ向けて一人で馬を走らせます。アイラが近付くと巨人は消え去り、この巨人の幻覚を造り出していた3人の老人が姿を現します。3人の老人は、超能力で空中を浮遊していましたが、アイラが近付いていくと超能力が消えて落下し、落下の衝撃で死亡します。
 ハデスの触手に絡め取られたゴッドマジンガーは、ハデスの精神攻撃にさらされます。ヤマトは、気付くと荒野に一人で立っています。荒野をさまよったヤマトは、破壊されたゴッドマジンガーを発見します。その傍にはヤマト達が乗ってきたバスがあり、バスの中からヤマトを呼ぶ声が聞えてきます。ヤマトがバスの中に入ると、傷ついて血まみれになったクラスメートたちがヤマトに対して恨みを言います。そして気が付くとヤマトは草原に立っており、近くにカオルを見つけます。ヤマトはカオルの元へ駆け寄りますが、カオルはヤマトの首を絞めます。カオルに首を絞められた状態のヤマトに対して、ゴッドマジンガーからのテレパシーが届きます。ゴッドマジンガーは、敵の攻撃でヤマトが悪夢 を見させられていることを告げ、目覚めよと命じます。ヤマトが悪夢から目を覚ますと、ハデスの触手に捕獲された状態だったゴッドマジンガーがまばゆく光り輝きます。
 ドラゴニア軍との戦いを継続していた前線のムラジ将軍に対してアイラからのテレパシーが届きます。アイラは、その場所で恐ろしいことが起ころうとしていると告げ、ムラジに対して軍を撤退させることを命じます。ムラジは軍を撤退させ、ドラゴニア軍は逃げ出したムー王国軍を追撃しようとします。その時、ドラゴニア軍がいる地面の下から巨大な爆発が起こり、ドラゴニア軍は爆発に巻き込まれて壊滅します。爆発の中から、ハデスを倒したゴッドマジンガーが姿を現します。

 以上が「ゴッドマジンガー」第2巻の物語です。
 ジャングルでカオルを助けた男の正体は明かされていませんが、恐らくドラゴニアの王子あたりではないかと思われ、今後の活躍が期待されます。そのうちにヤマトの敵として現れるか、逆に味方となってくれるのか。カオルも敵になって再登場ということも考えられます。
 カオル以外に生き残っているはずのヤマトのクラスメートたちはどうなったのか?もはや忘れ去られていそうな雰囲気です。
 第2巻は現代の物語は少なく、ほとんどが超古代の戦乱の様子を描いたものでした。ムー人やドラゴニア人の素性が明かされたものの、ほとんど物語が進展していないような気がします。残り1冊で終わりなのですが…。


永井豪 「ゴッドマジンガー」 第1巻

 永井豪さんの「ゴッドマジンガー」は、1984年4月から放送されたテレビアニメ「ゴッドマジンガー」と並行して、1984年からてんとう虫コミックスの描き下ろし作品として全4巻で発売された作品です。漫画の「ゴッドマジンガー」もこれまでに何度か再版されているようですが、今回は講談社KCDX版の「ゴッドマジンガー」全3巻を手に入れました。第1巻は2013年6月に発売されており、おそらくこれが最新の版だと思われます。
 「ゴッドマジンガー」というタイトルから、マジンガーシリーズ又はそれに近いロボット漫画を想像していたのですが、全然別物でした。神の石像が動き出すという、大魔神っぽい内容でした。
 以下、「ゴッドマジンガー」第1巻の物語です。ネタバレ注意です。

 二万年前の超古代。ムー大陸では黄金王ドラドが戦乱を起こそうとしていました。
 現代。高校生の火野ヤマトは、自分の姿をした石像に目覚めよと呼びかけられる夢を見ます。ヤマトは、実の父と、父の再婚相手で血のつながりのない母との3人で暮らしていますが、父とは不仲です。ヤマトはテレキネシスの超能力を使うことができ、学校ではテレキネシスを悪用していたずらをしています。
 ヤマトの幼馴染の朝日カオルは、ヤマトがテレキネシスを使えることを知っており、授業をさぼって体育館でくつろいでいたヤマトを見つけ、テレキネシスを悪用していることを注意します。また、カオルにはテレパシーの能力があるようです。反抗的なヤマトは、口うるさいカオルの服を脱がせようとテレキネシスを使います。するとヤマトの目の前の空間に巨大な石像の顔が現れ、石像の口から出た白い煙が女性の姿となります。この女性は自らをアイラ・ムーと名乗り、ヤマトに来て欲しいと告げ、姿を消します。
 超古代。平和で美しいムー王国のソートの街に、ドラゴニア軍が攻め込んできます。恐竜を操るドラゴニア軍は、ムー王国の人々を次々と殺害していきます。その中で一人の女性:ソニヤが馬で逃走することができます。
 現代。剣道部に所属するヤマトは、剣道部の上級生たちと争いになり、親友の水島と2人で上級生全員を打倒します。
 超古代。ソートの街から逃げ出したソニヤは、ムー王国の首都ヒラニピアへ向かい、ソートの街が攻め滅ぼされたことを城に伝えます。ムー王国の王女アイラ・ムーは、大将軍ムラジにドラゴニア軍を迎え撃つため出陣を命じます。またソニヤは戦士となってムラジの軍に加わることを願い、アイラはこれを認めます。しかしアイラは、予言によりムー王国がドラゴニア軍に勝てないことを悟っています。アイラは、岩山に彫られた巨大なムーの守り神「ゴッドマジンガー」が動くという予言の奇跡が起こることを願っています。
 現代。ヤマト及びカオル達のクラスは遠足で魔神山へ登山に行くことになります。魔神山へ向かうバスが山の中腹へと差し掛かったとき、突然に道路の先に巨大な石像の顔が現れてバスを飲み込んでしまいます。バスは、2万年前のムー王国へとタイムスリップします。
 超古代。ドラゴニア軍とムー王国のムラジの軍との戦いが行われています。その真っ只中に、ヤマト達を乗せたバスが出現します。ドラゴニア軍の兵士及び恐竜は、バスに乗る人々に襲い掛かります。バスに乗るクラスメート達が次々と殺されていく中、ヤマトはカオルを連れてバスを脱出し、テレキネシスを利用して兵士達と戦いながら逃げます。
 逃げる途中、ヤマトはアイラ・ムーからのテレパシーを受信します。このテレパシーに応えたヤマトは、カオルを残して一人でムー王国の王城へテレポートします。テレポートした先には、ゴッドマジンガーの石像がそびえ立ち、アイラ・ムーがヤマトを待っていました。アイラは、ここがムー王国であること、ムーの祖先は遠いところから宇宙船に乗って地球へやって来たこと、祖先が残した予言の書には2万年後の世界からやって来た火野ヤマトがゴッドマジンガーを動かしてドラゴニア軍と戦うことが書かれていること等をヤマトに話します。すると突然、ゴッドマジンガーの石像が光り、ヤマトは石像に吸い込まれていきます。石像に吸い込まれたヤマトは、ゴッドマジンガーと一体化します。ヤ マトと一体化したゴッドマジンガーの石像は岩山から離れて動き出し、ドラゴニア軍とムー王国軍とが闘う戦場へテレポートします。戦場へ現れたゴッドマジンガーは、ドラゴニア軍を蹴散らします。
 両軍がいなくなった戦場には、ヤマト達が乗っていたバスが残されています。バスの中には3人の男子生徒と1人の女子生徒とが生き残っていました。生き残りにはヤマトの親友の水島も含まれています。4人はこの世界で生きていく決心をします。また戦場に置き去りにされたカオルも何とか生き残っていました。
 ゴッドマジンガーは、逃げるドラゴニア軍を追い、ドラゴニア軍の兵士及び恐竜達を次々と殺していきます。ゴッドマジンガーと一体化したヤマトは、この残虐な行為は自分が行っていることなのか、ゴッドマジンガーが行っていることなのかわからず、戸惑います。ヤマトは、人を殺したくないと叫びます。
 現代。ヤマト達が乗っていたバスが消失した事件は新聞の一面で報じられていました。女性週刊誌の記者である如月さつきは、バスが消失したとされる魔神山へ取材にやってきます。しかしさつきは、現場で特に手掛りを発見することはできません。さつきは、同じく事件を調べに来たフリーライターの早見青児と知り合い、二人で山のふもとの火野大和町にある郷土館へ調査に向かいます。郷土館でも特に手掛りは見つかりませんが、この街には超古代研究家を名乗る一家がいることを聞きます。
 超古代。ゴッドマジンガーの戦いぶりを見たムー王国軍の兵士達は、ムー王国の守護神がよみがえったことを知って喜びます。ゴッドマジンガーは、ドラゴニア軍の第一陣を全滅させます。ドラゴニア軍の恐竜隊長ブラーは、全軍でゴッドマジンガーに突撃しようとしますが、黄金王ドラドの命令で本陣まで全軍を引く命令を発します。逃げ出したドラゴニア軍をムー王国軍が追撃しようとしたとき、黄金王ドラドの飛龍軍団が空から現れます。黄金王ドラドは、引力を遮断するという超能力を使って、ゴッドマジンガー及びムー王国軍に襲い掛かります。

 以上が永井豪さん漫画「ゴッドマジンガー」の第1巻の物語です。
 「ゴッドマジンガーは、マジンガーシリーズとは全く別物でした。想像していたロボット物ですらありませんでした。読んだ印象としては、永井豪さんの「魔王ダンテ」に近い雰囲気でした。ゴッドマジンガーと一体化したヤマトが、ドラゴニア軍の兵士達を虐殺するゴッドマジンガーに戸惑うあたりが、魔王と一体化したダンテの戸惑う姿に似ています。
 想像していた内容とは全く異なってはいましたが、なかなか面白い物語でした。期待して続きを読みたいと思います。ただし、この内容が全3巻で描き切れるのか?という不安は感じています。何となく、物語が中途半端に終わってしまいそうな予感が…。


宇宙戦艦ヤマト2199 メカコレクションNo.17 「ガルント」 素組

 宇宙戦艦ヤマトのメカコレNo.17の「ガルント」です。

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 七色星団の戦いでヤマトにドリルミサイルを撃ち込む活躍を見せた「ガルント」です。物語の上で重要なメカではあるのですが、人気あるのかどうかやや疑問を感じます。どのような判断で「ガルント」をメカコレ化することが決まったのか分かりませんが、もっと他にメカコレ化すべきものがあるように思うのですが…。近所の家電量販店のプラモデルコーナーでは、思いっきり売れ残ってたたき売りされていました。
 それでも、全制覇には避けて通れないです。部品の構成を見ていきましょう。

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 赤と言うかオレンジというか微妙な色合いの部品と、黄色い部品との2色構成です。ガミラス側は1色オンリーであることが多かったので、少々意外です。なぜかバンダイさんは「ガルント」に力を入れているようです。
 サクッと組み立ててみると…、

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 独特の形状で、これまでのメカコレとは違った組立を楽しむことができます。また、台座がこれまでのメカコレと少し違い、「ガルント」本体とドリルミサイルとを別々に飾ることも可能です。

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 この点でもバンダイさんの頑張りを感じます。ただ、ドリルミサイルを外してしまうと「ガルント」がかなり貧相に見えてしまいます。やっぱりミサイル付きで飾る方がいいような気がします。そうすると、台座の中央にある突起が邪魔に思えてしまいますが…。
 なんだかあまり魅力を感じない「ガルント」です。サクッと終わらせて次へ進みたいところです。


森博嗣 「ナ・バ・テア」

 森博嗣さんの「ナ・バ・テア」は、スカイ・クロラシリーズの第2作に相当し、2004年に単行本が発売されています。第1作の「スカイ・クロラ」が2001年に発売されているので、3年の期間をおいて、満を持しての登場だったのではないかと思います。これ以降は、1年に1冊のペースで続編が発売されていくことになります。
 第2作の「ナ・バ・テア」は、スカイ・クロラの物語の時系列では、最も昔の物語に相当します。物語は「僕」の視点で描かれますが、「ナ・バ・テア」の「僕」は、「スカイ・クロラ」の僕=カンナミではなく、草薙水素(クサナギ・スイト)です。「ナ・バ・テア」は、クサナギの過去が明かされる物語です。
 この物語を読むことで、謎だらけだった「スカイ・クロラ」の物語を理解することができるでしょうか?
 以下、「ナ・バ・テア」の物語です。ネタバレ注意です。

<プロローグ>
 整備士の笹倉と共に新しい基地へ移動してきた「僕」は、有名パイロットの「ティーチャ」と偵察任務で出撃し、途中で出会った敵の三機を撃墜して帰還します。上司の合田に報告を行っているとき、僕は自分の機体が被弾していたことをティーチャに教えられます。僕は被弾していたことに気付いていませんでした。

<エピソード1>
 帰還した僕は、クスリダ及びツジマを含む10人の仲間のパイロット達に求められて、戦闘の様子を話します。仲間達は、僕が「翠芽」に乗ったのが初めてだった事を知って驚きます。ティーチャは、戦闘で僕が使った捨て身の作戦は、最後まで取っておけとアドバイスします。
 次の日、僕はティーチャ及びクスリダと共に護衛任務で出撃します。敵機が現れてこれを撃墜し、3人は無事に帰還します。ティーチャは、僕の実力を認めているようでした。
 合田は、この基地に女性パイロットが来るのは初めてであることを話します。また合田は、新しい散香を一機入れるので、僕に回してもよいと提案します。
 ティーチャは、自分にも散香を回す提案があったが断ったこと、このため合田が僕に話を持って行ったことを話し、僕が既にこの基地のナンバー2の実力があると認められていると話します。僕は、何故ティーチャは散香に乗る事を断ったのか疑問に思います。ティーチャは、襲う方は軽量である必要はなく、機敏さは逃げるものが欲しがる機能だと話します。

<エピソード2>
 散香が基地へやってくるのはそれから約1ヶ月後でした。その前日、僕は笹倉と共に、笹倉のバイクに乗って街へ行きます。街で食事をしているとき、笹倉は前にこの店でティーチャに会ったこと、ティーチャが若い女性を連れていたことを話します。基地へ戻る帰り道、僕は笹倉に代わってバイクを運転します。しばらく走ると道の真ん中で女性が寝ており、避けようとしたバイクは転倒してしまいます。幸いにも僕及び笹倉に怪我はなく、女性を連れて基地まで戻ります。女性は単に酔いつぶれていただけのようで、僕がシャワーを浴びている間に帰って行きます。
 次の日、基地に散香がやってきます。散香は、僕の知り合いのアカザというパイロットが運んできます。僕は、笹倉たちが散香の整備をしている間に食堂へ行きます。僕は、食堂で会ったクスリダから、昨日の女性がフーコという名前であることを知ります?僕は新しい散香のコクピットで眠ります。
 翌々日、大掛かりな戦闘が行われることになります。基地の13人のパイロットが全て出撃し、他の基地からも多くの戦闘機が集合するようです。僕は、ティーチャ、クスリダ及びツジマと同じチームになります。僕は新しい散香で出撃し、5機を撃墜します。

<エピソード3>
 戦闘では、ツジマを含む5機が撃墜されました。一週間後、クリタという男のパイロットと、ヒガサワという女のパイロットが新しく基地へやってきます。ヒガサワはティーチャに興味があるようです。
 翌週、僕は新人二人と偵察任務に出ます。ティーチャは何かの任務で基地を離れているようです。任務から戻って合田への報告を終えた僕は、食堂でティーチャとヒガサワが話しているのを見かけ、複雑な気持ちを抱きます。
 会社の本部から人事関係の仕事をしている甲斐という女性が僕に会いに来ます。甲斐は、女性のキルドレを指導的なポストに起用する動きがあることを伝え、僕に考えて欲しいと言います。
 翌日、僕はティーチャ、ヒガサワ及びクリタと共に出撃し、6機の敵と遭遇します。戦闘が始まり、僕達は6機を撃墜します。ヒガサワが被弾しましたが、自力で飛行できそうでした。僕達は帰路に就きますが、途中でヒガサワとの通信が途絶え、ヒガサワの機体は墜落してしまいます。
 近くの飛行場へ着陸した僕は、車で墜落現場へ戻ります。現場では救助活動が行われていますが、ヒガサワは助かりません。救助活動をしていたホンダという男は、ヒガサワは落ちて死んだのではなく、飛んでいるうちに死んだと教えてくれます。集まってきた野次馬の一人が「可哀想」と言うのを聞いた僕は、「可哀想じゃない!」と叫びます。
 基地へ戻った僕は、合田への報告の後、ティーチャに呼ばれてティーチャの部屋へ行きます。ティーチャは、僕にとって消極的な発言をし、俺はお前が考えているような男ではない、と言います。そしてティーチャは、今から街へ出て女を抱くつもりだと言います。ティーチャの部屋を出た僕は、気持ちの整理がつかずに建物の外で佇みます。しばらくするとティーチャが出てきて自分の車に乗り込みます。僕は、無言で助手席に乗り込みます。ティーチャは車をスタートさせます。
 ティーチャの車は山の中の屋敷に着きます。僕がティーチャに着いて屋敷へ入ると、フーコが出迎えます。部屋まで付いて来た僕にティーチャは、フーコが来たら出て行って欲しいと言いますが、僕は出て行きたくないと答えます。部屋を出た僕は、部屋の前にいたフーコにこの部屋へ入らないでと頼み、自分が部屋へ戻ります。部屋に入った僕は、服を脱ぎます。

<エピソード4>
 その後、僕は、ティーチャと共に飛ぶ機会はなくなり、主にクリタ及びクスリダとチームを組んで飛ぶ機会が増えます。ある時、僕は、海上訓練プログラムに参加するため、出張で基地を二週間離れます。出張先の空母に本部の情報部の人間が現れて、僕にティーチャのことを質問して去って行きます。
 基地へ戻ってしばらくすると、僕は、ティーチャと二人で出張で遠くの基地へ行きます。染赤という新型飛行機を試乗するという任務でした。僕は染赤に乗り、泉流という飛行機に乗ったティーチャと共に、空を飛び回ります。任務終了後、僕はティーチャと食事をしながら、久しぶりに会話をします。
 基地へ戻ってその後は、同じ様な日常の繰り返しでした。その間に、戦闘機を全面的にプッシャタイプへ移行させるという会社の方針が発表されたり、基地に新たな3人のパイロットがやって来たり、僕が基地での撃墜数でトップになったり、クスリダ戦死するというようなことがありました。
 僕は、二週間の休暇を取り、故郷の知り合いの医者である相良に体を見てもらい、妊娠していることを知ります。僕は、父親であるティーチャに電話をし、堕胎の保証人のサインする旨の連絡を病院にして欲しいと頼みます。ティーチャは、病院の連絡先を僕に聞き、電話を切ります。
 翌朝、僕が泊まるホテルに相良がやってきて、僕を大きな病院へ連れて行きます。手術のために麻酔を打たれた僕に対して相良は、ティーチャが子供を生かすことを望んでおり、僕の体から取り出した子供を人工的に生かすことになったと告げます。僕は戸惑いますが、麻酔か効いてきて眠りに落ちます。
 手術を終えた僕の病室にティーチャがやってきます。ティーチャは、会社を辞めて来たことを僕に告げ、去って行きます。
 そして僕は、基地へ戻ります。

<エピローグ>
 あるとき、出撃した僕は、機体に猫の顔のマーキングが描かれた強敵に遭遇します。この敵は、翼を左右に振って去って行きます。僕は、その敵がティーチャであると確信します。

 以上が、「ナ・バ・テア」の物語です。
 前作の「スカイ・クロラ」と較べると、特に謎となる要素はなく、分かり易い物語でした。クサナギ・スイトの過去が描かれ、「スカイ・クロラ」で噂として語られていたクサナギが子供を産んだという話の真相が明かされました。この子供が、「スカイ・クロラ」で登場したクサナギ・ミズキということなのでしょう。
 謎の敵だった黒猫マーキングの飛行機の正体も分かりました。クサナギとティーチャの関係も分かりました。ただ、「スカイ・クロラ」に至るまではまだまだ不明な点も多く、これから徐々に謎が明かされていくことを期待します。特に、今回はほぼ名前だけの登場だったクリタが今後の物語でどのように絡んでくるのか、楽しみです。
 なお、この物語には叙述トリック的な仕掛けが施されています。物語は全て「僕」の一人称で描かれていますが、「僕」が誰なのかがなかな明かされません。「スカイ・クロラ」を先に読んでいると、恐らく「僕」はカンナミだと思って読み進めていくと思います。
 しかし、エピソード1の終わりくらいで、「僕」が女であることがわかります。ここまで「僕」がカンナミだと思っていた読者は、え?っと驚くでしょう。
 エピソード3の初め、新たに登場したヒガサワが「僕」のことを「クサナギ」と呼び、ここまできてやっと「僕」がクサナギであることがわかります。ここまできてやっと、この「ナ・バ・テア」がクサナギの若い頃の物語であり、「スカイ・クロラ」より昔の物語であることに気付くことになります。
 「スカイ・クロラ」を読まずに「ナ・バ・テア」から読み始めた読者には分からない仕掛けです。そういう意味では、スカイ・クロラシリーズを刊行順に読む方が「ナ・バ・テア」を楽しめると思います。