ドラマ 「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 反撃の狼煙」

 ドラマ「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 反撃の狼煙」は、映画「進撃の巨人」の公開とほぼ同時期である2015年8月に、NTTドコモの動画配信サービス”dTV”で配信されたドラマです。このドラマは、映画「進撃の巨人」を補完するサイドストーリーであり、巨人により壁に穴を開けられてからこの穴を塞ぐ作戦が開始されるまでの兵士達の訓練期間の出来事を描いています。約30分の物語が3つで構成されており、各話で主人公となる人物が異なっています。
 以下、各話のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

<第1話 反撃の幕開け>
 巨人を倒す方法がまだわかっていない頃の物語です。
 統制管理局の予算管理官であるイズル(平岡祐太)の元に、予算を求める巨人研究者達が集まっています。研究者は巨人を倒すいろいろな方法を提案して研究費用を求めますが、そばにいたハンジ(石原さとみ)は、研究者の案の欠点を全て指摘して予算配分を却下していきます。
 ハンジに興味を持ったイズルは、ハンジの後をつけて彼女の隠れ家に入り込みます。ハンジはイズルを隠れ家の更に奥へと案内します。そこには、一体の巨人が生きたまま拘束されていました。ハンジは生きた巨人を観察、実験することで巨人への対抗策を見い出そうとしていました。
 ハンジは、巨人が日光がないと活動が鈍ること、巨人との意思疎通は不可能であること、巨人の弱点がうなじであることを既に発見していました。調査結果を統制管理局に報告しないのは何故かと問うイズルに対し、ハンジはこの事実を統制管理局は既に知っており、近々発表されるだろうと答えます。ハンジが手に入れた巨人は実は2体目で、1体目の巨人は何者かにうなじから首を切断されて殺害されていました。犯人は不明ですが、うなじが巨人の弱点であることを知る者の犯行であることは明らかです。
 ハンジとイズルが話をしていると、壁が巨人により破壊され避難命令が出たと訓練官のユノヒラ教官(神尾佑)が知らせに来ます。ハンジは貴重なサンプルである巨人を連れて行こうとしますが、イズル及びユノヒラがハンジを止めます。しかし巨人が暴れだし、巨人を拘束していた複数のロープの数本が切断されてしまいます。巨人は腕を動かすことができるようになり、ハンジを掴みます。イズルは、切断されたロープを自分の体に結び付け、機械がロープを巻き取る勢いを利用して巨人の背中に飛び乗り、巨人のうなじを剣で攻撃して倒します。その後、壁が破壊されたという情報は誤報だったことが分かります。
 この出来事によりハンジは、巨人のうなじを攻撃するための装置として、立体起動装置を思いつきます。立体起動装置の試作機を完成させたハンジは、統制管理局の役人たちの前でデモを披露しますが、操作に失敗して壁に激突してしまいます。呆れて去っていく役人たちですが、数人はハンジの味方となってくれました。

 映画で大活躍した立体起動装置の誕生秘話といった内容でした。石原さとみさんが演じる変人ハンジを堪能できる短編でした。

<第2話 希望の弓矢>
 狩りをして生活しているサシャ(桜庭ななみ)は、大人の狩人達をも凌ぐ弓矢の名手でした。サシャが狩に出たある日、巨人が外壁に穴を開け、壁の内側に多くの巨人が侵入してきます。サシャは避難する途中で、狩のパートナーだった飼い犬を見失います。
 その後、口減らしのために巨人の討伐隊に入れられたサシャは、立体起動装置の訓練に苦労していました。大食漢のサシャがふと調理班を見ると、見知らぬ人物が混じっていることに気付きます。サシャは、ユノヒラ教官にこのことを進言しますが、新人だろうと相手にされません。その日の夕食は、いつもにも増して量が少ないものでした。原因は、食材の盗難によるもののようです。
 食べ物の恨みを晴らすため、サシャは廃材を使って弓矢を作り、食材の保管場所で張り込みます。すると数名の少年達が食材を盗みにやって来ます。サシャは、弓矢を駆使して盗難を防ぎ、一人の少年を捕獲します。飢えに苦しむ少年達に同乗したサシャは、二度と盗まないことを誓わせ、少年達を見逃し、食材を盗ませます。
 次の日の夕食もやはり食材が盗まれた影響で量はわずかでした。腹をすかせたサシャは少年達を見逃したことを公開しますが、アルミンが食料を分けてくれます。サシャは、アルミンが天使に見えました。

 映画においてサシャだけが弓矢で巨人と戦っていたので何故だろうと少し思いましたが、この物語で謎が解けました。映画では、アルミンと相思相愛な感じだったり、最後まで生き残った数少ない登場人物だったりと、準ヒロインと言ってもいい位置にいたのですが、あまり活躍はしませんでした。もしかしたら、原作では活躍するのかもしれませんね。

<第3話 自由への旅立ち>
 半年の訓練内容を2ヶ月でこなした優秀な新兵としてリル(武田梨奈)は注目されています。リルは格闘能力が優れており、今日も格闘訓練の相手であるフクシ(渡部秀)を完膚なきまでに叩きのめします。またリルは美人で、交際を求める男達が後を絶ちませんが、自分より弱い男は相手にしないと言って挑戦してくる男達を返り討ちにしています。
 しかしリルは、やり過ぎてしまう自分が恐ろしいと感じており、悩みをヒアナ(水崎綾女)に打ち明けます。これを聞いていたフクシは、リルに交際を申し込んで戦いを挑み、殴り倒されながらもリルを抱きしめて「お前を守る」と言い、リルはフクシと結婚することに決めます。
 その後、リルは人が変わったかのようにフクシとラブラブな生活を送ります。フクシは相変わらずリルに勝つことはできず、訓練で殴り倒されては医務室へと運ばれていきます。ある日、ヒアナに男は浮気をするものと聞かされたリルは、医務室へ運ばれたフクシの様子を見に行き、フクシが二人の美人看護師に囲まれて治療されている現場を目撃します。リルは、フクシが浮気したと思い込み、フクシとの結婚の約束を解消し、自分と戦って唇を奪った男と結婚すると皆の前で宣言します。
 これを聞いた大勢の男達は、一斉にリルへと襲い掛かります。リルは、襲ってくる男達を次から次へと殴り倒していきます。リルと男達との戦いはエスカレートし、立体起動装置を駆使した空中戦へと発展します。誤解を解こうとするフクシもまた、立体起動装置でリルを追いかけます。訓練用の実物大の巨人模型の上で戦ったリルと男達とは、もつれ合って巨人模型から落下します。フクシは、間一髪でリルの腕をつかみ、落下を食い止めます。巨人模型の上で二人きりになったリルとフクシはキスをしようとしますが、二人の悪徳訓練教官がそれを阻みます。リル及びフクシと二人の悪徳訓練教官との戦いが開始され、リル及びフクシは力を合わせて悪徳訓練教官を倒します。リル及びフクシは改めて
キスをし、巨人模型の下に集まった兵士達は二人を祝福します。

 単なるラブコメでした。最終話でこの展開は予想外でした。映画ではほとんど活躍せずに死んでしまう二人を主人公にもってきたことも驚きです。ストーリー自体はどうでもいい内容ですが、後半のアクションシーンは楽しめます。地上での格闘戦も、立体起動装置を駆使した空中戦もたっぷり詰め込まれていました。特にリル役の武田梨奈さんが頑張っていました。調べてみると武田梨奈さんは空手の黒帯二段だそうで、アクションが得意な女優さんのようです。映画でアクションが見られなかったのは残念ですね。今後に注目です。

 以上、ドラマ「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 反撃の狼煙」の各話の物語でした。映画を見た又は見ることを前提として、そこそこ楽しめる作品だったと思います。できればヒアナの物語が欲しかったところです。



 

森博嗣 「クレィドゥ・ザ・スカイ」

 森博嗣さんの「クレィドゥ・ザ・スカイ」は、2007年に発売された作品で、スカイ・クロラシリーズの最後の長編作品です。この後に、スカイ・クロラシリーズの短編集として「スカイ・イクリプス」という作品が2008年に発売されていますが、「クレィドゥ・ザ・スカイ」は長編作品としては最後なので、一応はシリーズの完結編と考えられる作品です。
 これまでと同様に、この物語も「僕」の視点で描かれています。これまで、「スカイ・クロラ」はカンナミ、「ナ・バ・テア」及び「ダウン・ツ・ヘヴン」はクサナギ、「フラッタ・リンツ・ライフ」はクリタが「僕」でした。今回の「クレィドゥ・ザ・スカイ」の「僕」は、・・・これがこの物語の最大の謎です。「僕」が誰なのか、その答えがはっきりと示されることは最後までありません。語り手である「僕」自身も自分が誰なのかわからないという状況です。なかなかに難解な物語です。この叙述トリック的な罠を仕掛けるために、作者はこれまで「僕」を主人公として物語を描いてきたのでしょう。計画的な犯行ですね。
 以下、「クレィドゥ・ザ・スカイ」の物語です。ネタバレ注意です。

<プロローグ>
 僕は、病院を抜け出し、女性に電話をかけます。久しぶりに連絡がきたことを喜ぶ女性は、車で僕を迎えに来ます。

<エピソード1>
 フーコが働く館で目を覚ました僕は、フーコの家に転がり込みます。フーコは、館を出て一人暮らしを始めて3、4ヶ月でした。
 フーコは、仕事を休み、僕を連れて車で旅行に出ることにします。当てもなく車を走らせたフーコと僕は、夜になって見つけたモーテルに泊まります。僕は、フーコからお金を貰い、モーテルの外にある電話ボックスからある女性に電話をかけます。女性は、周囲に気をつけて自分の所へ来るよう僕に言います。僕は、これまで頭がボーッとした状態が続いていましたが、この頃になると頭が大分はっきりしてきました。ボーッとしていたのは、病院で投与されていた何らかの薬が原因のようです。
 2ヶ月くらい前、この女性は病院にいる僕に面会しに来ました。女性は、裁判中であまり自由がきかないことを話し、僕に銃を向けたことを謝罪します。しかし僕は何のことか思い出せません。女性は、こっそりと僕の身分証明書に連絡先を書き、僕に何かの注射を打って帰って行きました。
 モーテルに戻った僕は、明日で別れることになるとフーコに告げ、お礼を言います。

<エピソード2>
 次の日、僕は、フーコと別れてバスに乗り駅へやってきます。駅で電車乗り眠ってしまった僕が目を覚ますと、目の前にフーコが座っています。サガラ・アオイの元へ向かって匿ってもらおうとしている僕は少し戸惑いますが、黙っています。目的の駅に着いた僕は、フーコを待たせて、電話をかけるために電話ボックスへ入ります。僕が電話をかけようとしたとき、誰かが電話ボックスへ入って来ます。それは、クサナギでした。クサナギは、拳銃で僕を撃ちます。
 僕が目を開けると、僕はまだ電車の中でした。フーコはいません。夢だったようです。
 駅に着いた僕は、迎えに来たサガラと合流し、サガラの家へ向かいます。サガラの家は、森を抜けて人里離れた岡の上にあります。そして家には格納庫があり、中には飛行機が止まっていました。家に入って食事をしていると警察が訪ねて来ますが、僕とは関係ないようです。
 昼食の後、僕は一人で周辺を歩きます。しばらくすると一機の戦闘機が飛来し、サガラの家の上で何かの荷物を投下して去って行きます。
 夕食を取っていると、新聞記者のソマナカがサガラを訪ねて来ます。僕は見つからないよう、ロフトに隠れます。ソマナカは、ソマナカにクサナギについての話を聞きに来ました。ソマナカは、この前の大きな戦闘でクサナギが死んだこと、クサナギがクリタを撃ち殺したことを本人から聞いたことなどを話します。

<エピソード3>
 次の日、サガラは知り合いの精神科医ハヤセの病院へ僕を連れて行きます。診察を終えて病院を出ると、サガラの車の周りを男達が見張っています。追っ手を振り切るために僕はサガラと一旦別れ、歩いて病院の敷地から外へと出て行きます。
 しばらく歩くと、クサナギが近づいて来ます。クサナギは僕をカンナミと呼び、銃を持っているなら私を打って逃げろと言います。それで自由になれる、とも。僕が一度目を瞑って開いたときにはクサナギは消えています。クサナギは幻覚だったようです。
 しばらくして、追っ手を巻いたサガラが車で迎えに来ます。サガラは、自動車工場で車を乗り換え、家に戻ります。しかし上空にはヘリが飛んでおり、サガラの家を見張っています。サガラは家に火をつけ、僕とサガラは格納庫の飛行機で脱出し、追ってきたヘリを振り切って、サガラの仲間の隠れ家へ向かいます。
 河原の土手にあるトンネルが隠れ家でした。隠れ家には数人の仲間がいるようです。隠れ家に入った僕は、クサナギが階段に腰掛けてこちらを見ているのに気づきます。しかし僕が一瞬目をそらした後、クサナギは消えていました。

<エピソード4>
 隠れ家は、昔の防空壕で、下水道に通じているようでした。隠れ家には格納庫があり、そこには一機の散香が格納されていました。
 翌日、合流する予定だった医師ハヤセから連絡がありません。ハヤセは捕まったと判断し、隠れ家を引き払うことになります。散香のパイロットは既に死亡していたため、僕が散香を別の隠れ家まで運ぶ役を買って出ます。
 しかし、僕達が隠れ家を出る前に、二機の戦闘機が上空に現れて爆撃を開始します。僕は、散香で飛び立ち、二機の戦闘機を撃墜し、更にやって来た二機の戦闘機も撃墜します。
 僕が散香を地上へ降ろすと、隠れ家は既に制圧されていました。散香から降りた僕は兵士達に囲まれます。その後、止まっていた車から降りて僕の元へ近づいてくる女性は甲斐でした。甲斐は、僕がパイロットに戻れることを約束します。
 一人の兵士が、隠れ家に残って抵抗しているのはサガラ一人だけと甲斐に報告します。僕は、サガラを説得するため、一人で隠れ家に入って行きます。隠れ家の奥で僕はサガラを見つけ、説得しますが、サガラはここで死ぬことを選びます。サガラは、僕の病院を訪れた際にした注射によって、僕がキルドレに戻ったことを確認したと話します。サガラは僕に銃を渡して自分を撃つことを頼み、僕は引き金を引きます。
 隠れ家から外へ出た僕は、甲斐と共に車へ乗り込み、出発します。僕の頭の中にかかったモヤは晴れ、クリアになっていました。

<エピローグ>
 半年後、僕はパイロットとして復帰していました。ある日、僕が基地の外をランニングしていると、新聞記者のソマナカが話しかけてきます。ソマナカは、僕がクサナギに似ていると言います。ソマナカは、死んだと言われていたクサナギが半年前に復帰したこと、半年前に非武装地帯で戦闘機が四機撃墜された事件で、戦闘機を撃墜したのがクサナギであること、ソマナカはこのときの写真を撮ったが全て押収されてしまったことを話します。ソマナカは、僕のことを「カンナミ」と呼び、ブーメランのキーホルダーを僕にプレゼントします。ソマナカは、「僕はあなたの・・・」と言いかけてやめ、去って行きます。ソマナカと別れた僕は、キーホルダーを川に投げ捨てます。

 以上が「クレィドゥ・ザ・スカイ」の物語です。
 難解な物語でした。
 この「クレィドゥ・ザ・スカイ」の主人公である「僕」は、クサナギであり、且つ、カンナミである、という結論のようです。そしてこのシリーズにおいてクサナギとカンナミとは同一人物であり、「スカイ・クロラ」に登場したクサナギは会社が用意した偽物と言うことになりそうです。「クレィドゥ・ザ・スカイ」の中で科学者のサガラが、次に会うときには姿形が変わってしまっているかもしれないと話すシーンがあったので、人間の外観(性別も?)を変えることができる技術はこの物語の世界に存在していると考えていいと思います。
 シリーズを時系列でクサナギについて振り返ってみると、以下のような感じでしょうか。
 「ナ・バ・テア」:クサナギが出産してキルドレではなくなる。
   ↓
 「ダウン・ツ・ヘヴン」:クサナギが会社のエースパイロットとして手放せない存在となる。
   ↓
 「フラッタ・リンツ・ライフ」:クサナギは基地の司令官となっている。
   ↓
 (*)大きな空戦でクサナギは死亡したとされるが、病院に収容されていた。
   ↓
 「クレィドゥ・ザ・スカイ」:サガラの注射でクサナギがキルドレに戻る。
   ↓
 「スカイ・クロラ」:クサナギはカンナミとなり、偽クサナギが司令官を務める基地へ配属される。カンナミ(クサナギ)が偽クサナギを銃で撃つ。

 シリーズの最終エピソードとされる「スカイ・クロラ」では、本物のクサナギ(カンナミ)と偽物のクサナギとが出会ってしまったことで最後に悲劇が起きたということなのでしょう。
 だいたい、このような解釈で間違ってはいないように思います。
 しかし、何かこう釈然としないというか、よくわからない点や辻褄が合わないように思われる点もあります。
 (1)クリタはどうなった?:「フラッタ・リンツ・ライフ」の最後でクリタは大怪我を負ったようでした。「クレィドゥ・ザ・スカイ」の中盤でソマナカは、クリタがクサナギに殺されたという事実を語っていました。ということは、「フラッタ・リンツ・ライフ」から「クレィドゥ・ザ・スカイ」までの間、正確にはクサナギが病院に収容されるまでの間に、クサナギがクリタを殺す事件が発生しているということになります。この事件が本当に発生したのか、何故クサナギがクリタを殺す必要があったのかなど、謎は明かされないままです。
 (2)なぜクサナギ&フーコで逃避行?:「クレィドゥ・ザ・スカイ」の前半では僕とフーコの逃避行が描かれていました。このときの「僕」がクサナギであるとすると、クサナギとフーコが二人で逃避行していたということになります。これまでの物語でクサナギは何度かフーコに会って話をしています。しかし、ほとんど昔の記憶を失っているクサナギがフーコに連絡して助けてもらったり、連絡をもらったフーコがクサナギを助けるというような親密な間柄ではなかったはずです。フーコと共に娼館へ一旦逃げ込んだクサナギが、娼館から出る際に普通に会計の話をしているのも不自然な気がします。女性が娼館へ行くことがないとは言えませんが、これまでのクサナギが行っていたとは思えません 。
 「クレィドゥ・ザ・スカイ」の段階で既にクサナギは外観(及び性別)がカンナミに変わっていたのでしょうか。だとしても、カンナミがフーコと出会うのは「スカイ・クロラ」が初めてだったように思います。
 であるとすれば、「クレィドゥ・ザ・スカイ」は「スカイ・クロラ」より時系列的に後の物語であると考えればどうでしょう?「スカイ・クロラ」の最後でカンナミが病院らしき場所へ収容されていたので、「クレィドゥ・ザ・スカイ」の最初に無理なく繋がるように思うのですが。ただし「クレィドゥ・ザ・スカイ」のエピローグでソマナカがカンナミを新人パイロットと言っている点で矛盾は生じるのですが…。
 (3)クサナギの子供はどうなった?:クサナギの子供がミズキであろうということになっていますが、これはトキノが語った噂話であり、真偽は不明です。トキノの噂話以外では、ミズキはクサナギの妹と言うことになっています。「ナ・バ・テア」か「ダウン・ツ・ヘヴン」で僕(クサナギ)は母親以外に家族はいないというようなことを語っていたように思いますが、「スカイ・クロラ」で僕(カンナミ)は妹が死んだということを語っていたように思います。
 もしミズキがクサナギの子供であるなら、ティーチャが引き取ったはずの子供がどのような経緯でクサナギの妹として育てられているのかは気になるところです。そう言えば、ティーチャはその後どうなったのでしょうか。黒猫マーキングの飛行機は敵として何度も登場していますが、ティーチャ自身は「ダウン・ツ・ヘヴン」以降の登場がありません。黒猫マーキングの飛行機は必ずしもティーチャが乗っているとは限りませんからね。
 ミズキがクサナギの子供ではないのであれば、子供のその後が気になります。一時はカンナミがクサナギの子ともではないかという疑いも持っていました。
 (4)「クレィドゥ・ザ・スカイ」のエピローグでソマナカは何と言おうとした?:カンナミに対してソマナカは、「僕はあなたの…」と言いかけてやめています。ソマナカはクサナギの何だったのか?あなたのことが好きでした、程度のことかもしれませんが。まさか、ソマナカがクサナギの子供だったということは年齢的に見てもあり得なさそうです。もしかしたら、ソマナカはクサナギの父親だったということはあるかもしれないと疑っています。
 以上、スカイ・クロラシリーズの疑問点などを並べてみました。このシリーズには、もう一冊「スカイ・イクリプス」という短編集があります。もしかしたら、この短編集に上記の謎を解く手がかりがあるかもしれません。




エミリー・ロッダ 「スター・オブ・デルトラ」第1巻 <影の大王>が待つ海へ

 「スター・オブ・デルトラ」は、エミリー・ロッダさんの最新シリーズです。2016年11月に第1巻が発売されたばかりてます。全部で四冊になる予定だそうです。
 タイトルからも分かるように、デルトラクエストに連なる物語です。ただし、デルトラクエストのリーフ、ジャスミン及びバルダ達は全く登場しません。デルトラクエストの続編と言うよりは、世界を共有した新たな物語という感じです。
 物語の舞台は、リーフ達がデルトラ王国から影の大王を追い出してから、数年~十数年後といった時代設定のデルの街です。主人公は、デルの街に住む女の子、ブリッタです。「スター・オブ・デルトラ」というのは、物語に登場する船の名前です。海洋冒険物語になるのでしょうか?
 以下、「スター・オブ・デルトラ」第1巻の物語です。ネタバレ注意です。

 デルトラ王国から遠く離れた「銀の海」に「ティアー島」という島があり、魔杖の持ち主であるラーセットがティアー王として影達を治めています。
 過去。デルトラ王国に影の大王が攻め込んでくることを察知した「ロザリン船団」のマブ団長は、デルからの脱出を決意します。少年だったラーセットは、ロザリン船団の船に密航しますが、船員のミカーに見つかり、マブ団長及びグリップ船長に突き出されます。マブ団長は、ラーセットを船員として雇ってくれます。その後、デルトラ王国から影の大王が去り、ロザリン船団はデルトラへ戻って復興の力となりました。
 過去を思い出して不安を抱いたティアー王は、不安の原因が自分の娘ブリッタであると考え、影達にデルトラに住むブリッタという少女を調べよと命じます。

 ブリッタは、母マーリー及び姉マーガレットと共に、デルの街で食料品店を営んでいます。デルの街ではラーセットは裏切り者として有名であり、ブリッタ達はラーセットの家族であることを秘密にして、隠れるように生活しています。
 ある日、店番をしていたブリッタに、グリップ船長からすぐに来てほしいとの手紙が来ます。店番を終えたブリッタは、グリップ船長の元へ向かい、途中で幼なじみのパン屋の少年ジャンツィに会います。ジャンツィは、ブリッタ家族の秘密を知る数少ない友達です。二人はグリップ船長の家の前までやってきて、ジャンツィとここで別れたブリッタは、グリップ船長の家に入ります。
 グリップ船長は、ロザリン船団のマブ団長が、新しい見習い船員を募集しており、明日にその選考試験が行われる予定であることを教えてくれます。選考試験で選ばれた三人の候補者は、ロザリン船団の船「スター・オブ・デルトラ号」に乗って最終選考のための航海に出ることになります。スター・オブ・デルトラ号は、昔はブリッタの父親であるラーセットの持ち物でしたが、航海に出てラーセットは帰って来ず、今ではロザリン船団の船となっています。最終選考で見習い船員に選ばれた者は、マブ団長の次の団長となることが約束されています。グリップ船長は、自分が推薦人となってブリッタの試験参加を申し込んだと話します。貿易商になることを夢見ていたブリッタは、喜びます。
 次の日、家族に見つからないようブリッタは朝早くに家を出ます。試験会場である商工会館に早く着きすぎたブリッタは、雨が降っていたため、近くのあずまやで雨宿りをします。ここでブリッタは、同じく試験を受けるために、ブルーム村からやってきた大柄な女性ジュエルと知り合います。
 あずまやで休んでいる間に眠ってしまったブリッタを、ジュエルが起こしてくれます。ブリッタは、急いで試験会場へ向かいますが、入口で試験監督のズーラーに時間切れと言われます。何とかズーラーを言いくるめてブリッタは、試験会場に入ることができますが、ズーラーの恨みを買ってしまいます。
 試験は、今日の筆記試験と面接で候補者が三人に絞り込まれます。その後に候補者三人は、スター・オブ・デルトラ号に乗り込み、与えられた資金で三つの寄港地で取り引きを行います。この取り引きの結果で見習い船員が決定されます。試験会場には多くの女性が集まっており、奇妙な服装をしたリスメアのスカイ、デルの大商人の娘バシュティなどがいます。
 まず筆記試験が行われ、次に面接が行われます。面接官は、船団長マブ、銀髪の紳士ソレル、そしてズーラーの三人でした。全員の面接が終わり、候補者が発表されます。合格者は、ブリッタ、ジュエル、スカイ及びバシュティの四人でした。四人は試験の結果が同点だったため、候補者三人に絞り込むための追加試験が行われることになります。追加試験は、各人に金額が一枚ずつ与えられ、二時間以内に買い物をして、価値のある物を買ってきた上位三人を最終候補者にするという内容です。
 価値ある物を求めて港町へ出たブリッタは、何軒かの店を回り、銀貨二枚で芸術品と言えそうなランタンを購入します。しかし店を出たブリッタは、何者かに殴られて気絶します。
 目を覚ましたブリッタは、暗い地下室に閉じ込められていました。どこからともなく、「出口はあるぞ。見つけるのだ。」という声が聞こえてきます。ブリッタは、抜け道を発見し、抜け道を進んで行くと別の部屋に出ます。部屋には老人が一人おり、ブリッタが買ったランタンと似たランタンがたくさん飾られていました。老人はシュバースという名前で、昔に自分が作り、影の大王によるデルトラ征服の際に失われた61個のランタンを集めていました。シュバースは、ブリッタが購入したランタンと交換で、素晴らしい燭台をブリッタに渡します。そしてブリッタは、この老人が父ラーセットの友人であったことを知ります。
 老人の隠れ家を出たブリッタは、スター・オブ・デルトラ号のハラ船長と出会い、ハラ船長に連れられて試験会場の商工会館へ戻ります。商工会館にはすでにライバル達は戻っており、バシュティが一位、ジュエル及びスカイが同点の二位の成績です。ブリッタは、老人と交換で得た燭台を提出します。この燭台は、有名なシーバースが作った燭台で、ライバルの三人が持ち帰った物より遥かに価値があるものでした。こうしてブリッタは、試験で一位となります。ジュエル及びスカイが同点で三位となりますが、候補者は4人でもよいことがわかり、4人がスター・オブ・デルトラ号に乗れることになります。
 ブリッタは、航海の準備のために、一旦、家に戻ります。母親は反対しますが、ブリッタは母親の反対を振り切って家を出ます。追いかけてきた姉マーガレスは、誕生プレゼントの刺繍入り財布をブリッタに渡し、ブリッタを送り出してくれます。ブリッタは、ジャンツィの家に手紙を残し、港へ向かいます。
 港へ向かう途中、占い師のアリスがブリッタを呼び止め、ブリッタには背後霊が付いているけれど、今は姿が見えないと言います。アリスは、ブリッタに危険が近づいており、背後霊に命令できるなら、すぐに呼び寄せろとアドバイスします。アリスが言う背後霊は、ティアー島の王が送り込んだ影達のことのようです。
 そのとき、ブリッタの前にズーラーが現れます。ブリッタは、素性を隠して孤児として試験を受けていました。 ブリッタに恨みを持つ ズーラーは、ブリッタの後をコッソリと付け歩き、ブリッタの家を突き止め、孤児ではないことを知りました。ズーラーは、ブリッタが嘘つきで、シーバースの燭台も盗んだものに違いないと決め付けます。ブリッタを失格にするため、ズーラーはブリッタを連れてマブ団長の家を訪れますが、主治医のケイ医師に就寝中だからと追い返されます。
 近くのあずまにやってきたズーラー及びブリッタの元に、アリスがブリッタの無実を証明するためシーバースを連れてきます。しかしシーバースは、ブリッタがラーセットの娘であると気付き、ズーラーの前でその事を話してしまいます。ズーラーはブリッタの素性をばらして街から家族共々追い出すと言います。
 騒ぎを聞きつけて人々が集まってきます。ズーラーは、ブリッタの素性を人々にバラそうとします。そのとき、海の向こうから黒い影の集団がものすごいスピードで近づいてきます。その影達と共に巨大な波が押し寄せ、人々の頭上に降り注ぎます。
 波に飲まれたズーラーは、死亡します。集まった人々の中にいたケイ医師は、ズーラーが元々心臓を患っており、波に飲まれたショックで死亡したと言い、誰のせいでもないとブリッタを慰めます。
 そして、四人の候補者を乗せたスター・オブ・デルトラ号は出航します。ジャンツィ、グリップ船長がブリッタを見送ってくれます。

 以上が、「スター・オブ・デルトラ」第1巻の<影の大王>が待つ海へ、の物語です。
 まあ、面白かったです。子供向けの読み物として、分かりやすく、うまいなーと思いました。ハリー・ポッターと較べてみて、こちらの方が読み聞かせて子供の食いつきがよく、物語の構成が上手いと感じました。
 ただし、物語としてはかなり地味でした。ファンタジー要素がほとんどなく、ブリッタが見習い船員になるための試験が続き、候補者に選ばれてスター・オブ・デルトラ号が出航するところで終わってしまいました。試験はさっさと終わらせて、海での冒険を描いて欲しかった気がします。
 主人公のブリッタも、何だかオドオドした性格で、あまり明るい性格ではなく、物語全体を暗い印象にしています。
 ラスボスもただのオバチャンのズーラーで、ブリッタが何もすることなく、影達の連れてきた波で死んでしまいました。ズーラーは嫌な奴でしたが、何も殺さなくても・・と思ったのは私だけでしょうか。
 何とか出航は出来たので、次回は冒険物語になると信じます。ただし、現在は第2巻がまだ出ておらず、しばらく待ち状態になりそうです。

 この本のあとがきに、「リンの谷のローワン」及び「勇者ライと3つの扉」というエミリー・ロッダさんのシリーズが、デルトラシリーズと同じ世界での物語であると紹介されていました。「スター・オブ・デルトラ」の続きが出るまで、これらの作品を読んでみようかと思っています。




映画 「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド・オブ・ザ・ワールド」

 映画「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド・オブ・ザ・ワールド」は、2015年9月に公開された日本の映画であり、2015年8月に公開された映画「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」の続編にあたる作品です。前編は1ヶ月で上映終了したのか、前編と後編が並行して上映されていた期間があるのかよくわかりませんが、前編と後編が1ヶ月間隔で公開されるというのは、あまり聞いたことがなく、特異な例ではないでしょうか。
 前編が多少期待外れな感があり、後編を見たいという意欲はそれほどなかったのですが、レンタル店でセットで借りてきてしまったので、前編から1日おいて続編を見ました。
 以下、映画「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド・オブ・ザ・ワールド」の物語です。ネタバレ注意です。

 過去。エレンの父親(草なぎ剛)は、ソウダ(ピエール瀧)と共に何らかの研究をしており、エレンに何らかの注射を打ちます。これを見た母親(緒川たまき)の非難に対し、父親は上の子で実験済みだから大丈夫と言います。その時、家の扉を激しい叩く音がし、父親はとっさにソウダとエレンを隠します。家に入って来た政府の役人達は、特定知識保護法違反としてエレンの両親を連れて行き、家に火をつけます。このときに火をつけた人物は、クバル(國村隼)でした。
 気を失っていたエレン(三浦春馬)が目を覚ますと、エレンは鎖で縛り上げられ、銃を持つ兵士達に囲まれていました。クバルはエレンを処刑しようとしますが、アルミン(本郷奏多)及びハンジ(石原さとみ)がエレンを擁護します。更にエレンを擁護するためソウダが巨人に関する秘密を話し始めたとき、クバルはソウダを撃ちます。ソウダはエレンに、お前の兄さん・・・、と言い残して死亡します。そしてクバルがエレンを撃つ命令を発したとき、一体の巨人が現れます。クバルは巨人が破壊した建物の残骸の下敷きとなります。巨人は、周りの兵士達を蹴散らして、エレンを連れて去って行きます。
 生き残ったアルミン、ミカサ(水原希子)、サシャ(桜庭みなみ)、ジャン(三浦貴大)及びサンナギ(松尾諭)は、ハンジをリーダーとして、作戦の続行を決意します。エレン及びアルミンの故郷近くの丘にある不発弾を爆薬として利用し、壁の穴を塞ぐことを考え、不発弾を目指して車を出発させます。
 エレンは、白い光で照らされた明るい部屋で目を覚まします。部屋にはシキシマ隊長(長谷川博己)がおり、巨人からエレンを救い出したと言います。シキシマ隊長は、エレンにこの世界の真実を語ります。
 巨人の正体は人間で、巨人は人間が作りだしたものでした。政府の一部の人間は、事実を隠し、前世紀の技術に囲まれた裕福な暮らしをしています。そして、人々が巨人に対する恐怖を忘れ始めて壁の外への調査が検討されたとき、巨人が再び現れて壁を破壊しました。人々の政府に対する不満は、巨人への憎しみに変わりました。政府は、巨人への恐怖を植え付けるため、政府に反抗できる人間を減らすために、勝ち目のない巨人との戦いを繰り返しています。シキシマ隊長は、こんな世界を終わらせようとエレンに言います。シキシマ隊長には、政府へ反抗する仲間達がいました。シキシマ隊長達は、政府が隠していた武器弾薬を手に入れています。
 ミカサ及びアルミン達は、不発弾の丘に到着します。そして不発弾を車に積み、壁の穴を目指して出発します。その途中、ミカサ及びアルミン達が乗る車は、エレン及びシキシマ隊長達が乗る車に出くわします。エレンは、ミカサ及びアルミン達との再会を喜びます。
 しかし、シキシマ隊長は、不発弾を徴用すると宣言します。シキシマ隊長は、爆薬及び不発弾を使って内側の2つの壁を破壊し、現政府を崩壊させる計画を実行しようとしていました。この計画では、壁が破壊されることで巨人達が更に内地へ侵入し、多くの人々が犠牲になります。この計画を知ったエレンは、シキシマ隊長に従うのをやめます。エレンは、シキシマ隊長に殴りかかりますが、簡単にあしらわれてしまいます。
 アルミンは、不発弾を爆発させると脅してエレンを助けます。シキシマ隊長は、アルミンのハッタリと見抜き、部下達にアルミンを撃つよう命じます。サンナギは、シキシマ隊長達とアルミンとの間に立ちふさがり、銃で撃たれながらも、立体起動装置を利用して近くの建物を崩壊させます。建物の下敷きとなったシキシマ隊長達の車に搭載されていた爆薬が爆発し、爆発に巻き込まれてシキシマ隊長の部下達は全滅します。エレン達は、不発弾を積んだ車で爆発から逃げ出すことに成功します。
 しかし、エレン達の車には、いつの間にかシキシマ隊長も車に乗り込んでいました。一人だけのシキシマ隊長に勝ち目はないように思われましたが、シキシマ隊長は剣で自らの心臓を貫くと、巨人化します。現れた巨人は、エレンを連れ去った巨人でした。
 エレン達の車は、外壁の穴の近くまでやってきて来ますが、外壁の外からは数体の巨人達が集まって来ます。しかし巨人化したシキシマ隊長は、集まってきた巨人達を一撃で倒してしまい、エレン達の方へ向かって来ます。エレンは、自分も心臓を貫いて巨人化しようとしますが、巨人化できる保証はないとジャンが思い止まらせます。エレン達は、力を合わせて巨人化したシキシマ隊長と戦う決意をします。
 エレン達は、立体起動装置や弓矢などで波状攻撃を仕掛け、シキシマ隊長にダメージを与えます。ジャンが留めをさそうとしますが、この攻撃は読まれており、ジャン目掛けて巨人の拳が飛んで来ます。エレンは、とっさにジャンを助けますが、自分が巨人の拳で廃墟の壁に叩き付けられます。シキシマ隊長は、不発弾を奪おうと車に近づいてきますが、その背後ではエレンが巨人化していました。巨人化したエレンとシキシマ隊長との一騎打ちが始まり、長い戦いの末、エレンは得意の膝蹴りで相手の頭部を粉砕して勝利します。
 エレンは、不発弾を持って壁を登ります。しかし途中でエレンの意識が薄れてきます。ミカサは、巨人のうなじに剣を差してエレンの目を覚まさせます。エレンは、不発弾を穴の上部に置いた後、人間に戻ります。アルミンは、不発弾に時限起爆装置を取り付け、五分後に爆発するようにセットします。
 皆が待避しようとしたとき、壁の上に死んだはずのクバルが現れ、エレンを渡せば他の者には内地で貴族並みの待遇を保証すると言います。皆はこれを拒否します。クバルは銃を乱射し、アルミンは脚を負傷します。怒ったサシャは弓矢でクバルを射抜きます。壁から落下していくクバルは、巨人化していきます。現れた巨人は、壁に穴を開けた超巨大な巨人でした。
 エレン、ミカサ及びジャンが立体起動装置で巨人化したクバルに戦いを挑みます。しかしジャンは、巨人の拳が当たって吹っ飛び、死亡します。サシャは、負傷したアルミンを抱えて壁を降ります。地上ては、シキシマ隊長の部隊が持っていたロケットランチャーを奪っていたハンジが巨人を攻撃します。
 そして五分が経過しますが、不発弾は爆発しません。起爆装置の不具合のようです。ミカサが不発弾を調べに行くと、シキシマ隊長が近付いてきます。
 エレンは、立体起動装置を使って何とか巨人の背中に取り付き、背中をよじ登ってうなじにたどり着き、剣でとどめを差そうとします。しかし巨人はエレンを掴み、背中から引き離します。
 巨人化したシキシマ隊長が不発弾を片手に持って壁を駆け上ってきます。シキシマ隊長は、不発弾を巨人化したクバルの口の中に押し込んで爆発させます。この爆発で巨人化したクバル及びシキシマ隊長は吹き飛び、更に壁が破壊されて壁の下部に開いていた穴が塞がります。放り出されたエレンは地面へ向けて落下していきますが、間一髪でミカサがエレンの腕をつかみます。壁の頂上に降り立ったエレン及びミカサは、壁の向こうに広がる海を見ます。
 同じ頃、何処かで誰かがエレン達の戦いを監視しています。誰かは「実験区から2個体が脱出したようだ」、「予想通りにいかないから面白いんだよ」と会話しています。

 以上が、映画「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド・オブ・ザ・ワールド」の物語です。
 結局、黒幕は政府というありがちな内容でした。エンドロール後の何者かのセリフも、ありがちな内容です。
 エレン及びシキシマ隊長が巨人化できる理由もあやふやなままです。恐らくは、エレン及びシキシマ隊長は兄弟で、父親が投与した薬が巨人化に関係あると思われますが、明確な答えは得られませんでした。
 瓦礫の下敷きになったクバルがどうして生きていたのか、瓦礫の下敷きになった時にクバルが巨人化しなかったのは何故か、瓦礫の下敷きになってからエレン達が不発弾を壁に設置するまでクバルはどこで何をしていたのか、謎だらけというよりは、クバルに関しては納得いかないことだらけです。なぜクバルは巨人化できるのか、なぜクバルが巨人化するとあんなに大きいのか、これらのことは政府が隠し持つ技術ということなのでしょうが、政府の人間がみんな巨人化できるとすれば、シキシマ隊長が反乱を起こしていたとしてもすぐに鎮圧されていたでしょうね…。
 また後編である今作では、最後のクバルとの戦いを除いて、巨人対人間の戦闘シーンがほとんどなく、アクションシーン不足に感じられました。どうせ映画内で解決できない政府の陰謀とかを描くのはやめて、純粋に巨人と戦う人間達という物語にしてアクションシーンをこれでもかというくらい盛り込んだ方が面白い映画になったのではないかと思います。
 前後編を見終えた感想は…、イマイチでした。まだ前編の方がマシという感じでしょうか。原作の漫画はかなりの人気のようですから、このイマイチ感は映画独自のものと思いたいですね。原作の漫画は読みたいと思っていたのですが、この映画を見て原作の読みたい度が少し下がってしまいました。

 

映画 「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」

 映画「進撃の巨人」は、2015年8月に公開された日本の映画であり、諫山創さんの漫画「進撃の巨人」を実写化した作品です。前後編の二部作で製作され、後編にあたる「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド・オブ・ザ・ワールド」は2015年9月に公開されています。
 公開当時にネットで酷評されていたような記憶がありますが、人気漫画の実写化には付きものですから、あまり気にせずに見ることにします。原作の漫画は読んだことないので。
 漫画の「進撃の巨人」は、私の中で近々読もうと思っている漫画作品ベスト10に入っている作品でした。実写映画は漫画を読んだ後の方がいいか、とも思いましたが、漫画を読んでしまうと確実に実写映画を酷評することになりそうなので、先に映画を見る方がいいかなと思いました。
 以下、映画「進撃の巨人」の物語です。ネタバレ注意です。

 百年前、突如として現れた巨人から身を守るため、人々は街を囲む三重の壁を作り上げました。その後、街は巨人に襲われることなく、今日に至っています。
 仕事が長続きしない青年エレン(三浦春馬)は、今日も仕事をさぼって不発弾が突き刺さった丘の上にいます。エレンの幼馴染の ミカサ(水原希子)及び アルミン(本郷奏多)は、エレンを探して丘までやってきます。エレン達は、最外の壁と二番目の壁との間の地域で生活しています。エレンは、ミカサのことが好きなようです。
 壁の外を夢見るエレンは、ミカサ及びアルミンを連れて、外壁のすぐ近くの立ち入り禁止区域へやってきます。エレン達は警備の兵士達に見つかってしまいますが、隊長のソウダ(ピエール瀧)に見逃してもらえます。ソウダは、エレンの両親の知り合いでした。
 しばらくエレン達がソウダと話していると、ものすごい地響きがします。エレン達が壁を見上げると、壁よりも大きな巨人が壁の内側を覗いていました。この巨人は、これまでに現れたとされる巨人と比べて、数倍の大きさです。巨人は、壁の下部を蹴りつけて穴を空けます。この穴から、通常サイズの巨人達が侵入してきます。エレン達は逃げ、ソウダを含む兵士達は巨人への攻撃を開始します。しかし、人間の攻撃は全く巨人には効きません。
 アルミンとはぐれて二人で逃げるエレン及びミカサは、逃げようとする街の住人達の波に飲み込まれ、分断されてしまいます。エレンは、人波に押されて避難所である教会の中に至ります。しかし赤ん坊を助けようとしたミカサは教会の中に入ることができず、満員となった教会は扉が閉じられてしまいます。エレンは、ミカサを助けに行こうとしますが、助かりたい一心の住人達に阻止されて扉を開けることができません。多くの住人が教会の外に取り残される中、一体の巨人が近づいて来ます。そして巨人が通り過ぎた後には瓦礫の山だけが残っていました。
 二年後。最外の壁から二番目の壁までの農業地域を失った人々は、二番目の壁の中で食料難に苦しんでいます。政府は、最外の壁の穴を塞ぎ、農業地域内の巨人を倒して農業地域を取り戻す作戦を実行することを決めます。穴の開いた壁の上部を火薬で爆破し、破壊された壁の残骸で穴を塞ぐという作戦内容です。クバル(國村隼)及び科学者のハンジ(石原さとみ)達を司令部として多くの人々が集められ、その中にはエレン及びアルミンの姿もありました。
 戦闘経験のない寄せ集めの人々の中で、エレン及びアルミンは、ソウダと再会します。またエレン及びアルミンは、弓矢を得意とする大食いの女性サシャ(桜庭ななみ)、生まれたばかりの赤ん坊を残して参加した女性ヒアナ(水崎綾女)、口が悪く周りと衝突ばかりしている男性ジャン( 三浦貴大)、たくさんの兄弟を残して参加した男性サンナギ(松尾諭)、恋人同士で参加したフクシ(渡部秀)及びリル(武田梨奈)などと知り合います。
 巨人が活動しない夜間を狙って、大勢の兵士で構成された部隊が複数の車両に分乗し、壁の門をくぐって外へ出ます。最外の壁を目指して進む部隊は、途中で何かの気配を察知して止まります。車両から降りた兵士達が辺りを捜索すると、近くには牛の群れがいただけでした。
 このとき、周辺を探索していたヒアナは、子供の泣き声を耳にします。ヒアナは子供を探しに行き、エレンはヒアナの後を追います。泣き声を追って廃墟と化した建物に入ったエレン及びヒアナは、巨人の赤ん坊に遭遇します。巨人の赤ん坊は2人に襲いかかり、ヒアナは悲鳴を上げます。すると、悲鳴を聞きつけて巨人達が集まって来ます。
 巨人達の接近に気づいた司令部は、捜索に出ていた兵士達を置いて、車両を発進させます。残された兵士達は、走って逃げますが、巨人達に囲まれてしまい、絶対絶命となります。
 その時、どこからか2人の兵士が現れ、「立体機動装置」を駆使して巨人達を次々と倒していきます。巨人は、首の後側の部分、即ちうなじを損傷すると死亡するという弱点があります。「立体機動装置」は、ワイヤーを打ち出して壁面などに固定し、ワイヤーを高速に巻き取ることで装着者を空中へ持ち上げる装置であり、これを駆使する事で巨人の高さまで飛び上がり、首の後側を剣で攻撃することが可能となります。
 巨人達を倒した兵士の1人は、先行していた部隊のシキシマ隊長(長谷川博己)でした。もう一人の兵士は、ミカサでした。エレンは、死んだはずのミカサが生きており、尚且つ、巨人を倒す力を身につけていることに驚きます。
 シキシマ隊長の先行部隊は、壁を爆破するための火薬を守っていました。エレン達の部隊は、火薬を車両に積み込みます。
 その後の休息時間、エレンはジャンと喧嘩になり、跳び蹴りでジャンをノックアウトします。この様子を見ていたシキシマ隊長は、エレンに興味を持ち、エレンを連れ出します。シキシマ隊長は、巨人と戦う方法をミカサに教えたのは自分だと言い、エレンにも飛んでみろと言います。
 エレンは、ミカサに会いに行きます。ミカサは、あの時に助けようとした赤ん坊は巨人に食べられ、自分も食べられるところだったことを話し、脇腹に残る巨人の歯型をエレンに見せます。エレンとミカサが話している途中、シキシマ隊長が話に割り込んで来ます。現在ではミカサは、シキシマ隊長の女になっているようです。
 ミカサ及びシキシマ隊長の元から逃げ出したエレンを、ヒアナが迎えます。ヒアナは、廃墟の建物の一つにエレンを連れ込み、子供の父親になってと言ってエレンを押し倒そうとします。しかしこの時、部隊が隠れている廃墟は大勢の巨人達に囲まれており、エレン及びヒアナは一体の巨人に襲われ、ヒアナは巨人に捕まって丸呑みにされてしまいます。
 部隊は混乱しつつも、巨人への反撃を開始します。シキシマ隊長及びミカサは、巨人を次々と倒していきます。しかし巨人の数は多く犠牲者は増えて行き、フクシも死亡します。
 部隊は爆薬を巨人から守ろうとします。しかし覆面をした何者かが爆薬を積んだ車両を盗んで逃走します。死亡したフクシの恋人のリルは、逃走する車両を奪い返し、フクシの敵を討つため、爆薬に火をつけて車両ごと巨人へ特攻します。これにより数体の巨人を倒すことができますが、爆薬は使い果たしてしまいます。爆薬を盗もうとした覆面の正体も不明です。
 エレンは、巨人を恐れて隠れているジャンを見つけます。ジャンは巨人に勝てる筈がないと逃げ出そうとします。エレンは、巨人と戦う決心をし、立体機動装置で空中へ飛び出します。エレンはなかなか巨人を倒すことができませんが、シキシマ隊長のアドレスを得て一体の巨人を倒すことに成功します。しかし油断したエレンは、片足を別の巨人に食いちぎられて、建物の屋上に墜落します。
 その頃、一人取り残されたジャンは、数体の巨人に囲まれていました。これを見たアルミン達は、巨人を引き付けてジャンを逃がします。しかし今度は、アルミンが巨人に捕まってしまいます。皆が巨人を攻撃しますが、巨人はアルミンを離しません。巨人はアルミンを口の中へ放り込みます。アルミンが巨人に飲み込まれようとしたとき、立体機動装置で巨人の口に飛び込んだエレンがアルミンの腕を掴み、アルミンを巨人の口の外へ投げ飛ばします。その直後、巨人は口を閉じ、エレンは片腕を食いちぎられて巨人の胃の中へと落ちて行きます。この巨人は、ヒアナを飲み込んだ巨人で、胃の中には胃液で溶け始めたヒアナの死体がありました。
 アルミンを含む生き残りの兵士達の元に、巨人と戦っていたミカサが戻って来ます。アルミンはエレンが巨人に食べられて死亡した事をミカサに伝えます。ミカサは、一瞬の動揺を見せた後、巨人と戦うために飛び去って行きます。しかしミカサの立体機動装置の動力源である圧縮空気が尽き、戦いの途中で地面に落下してしまいます。
 地面に落ちたミカサの前に、エレンを飲み込んだ巨人が現れます。しかし巨人は、様子がおかしく、苦しんでいます。そしてこの巨人の体を突き破って、内側から別の巨人が現れます。この新たな巨人は、他の巨人達に襲いかかり、次々と巨人を倒していきます。行き残りの巨人達は逃げて行きます。
 新たな巨人は、ミカサ及びアルミンを含む生き残りの兵士達にも攻撃する素振りを見せます。ミカサが巨人の前に立ちふさがり、エレンの名を呼ぶと、巨人はミカサを掴んで見つめます。しばらくすると巨人は倒れ、体が崩壊していきます。これを見たソウダは、巨人のうなじを切開しろと言い、ミカサがうなじを切開すると中からエレンが現れます。エレンは、巨人に食いちぎられた手足も元通りに復元していました。

 以上が映画「進撃の巨人」の物語です。
 驚いたのは、物語の最後にエレンが巨人化したことです。この展開は予想していませんでした。
 ただ、驚きはしましたが、個人的には望んでいた物語とは違う方向への展開だったので、少しガッカリしたというのが本心です。私としては、強大な力を持つ巨人と、弱小な人間とが戦い、人間が技術や知恵を駆使して巨人を倒すという物語を期待していました。ですので、エレンが立体起動装置を使って空中へと飛び出し、初めて巨人を倒したときにはかなりワクワクしたものです。エレンが片足を喰いちぎられ、アルミンを助けようとして片手を喰いちぎられたときには、続編でエレンは義手義足になるのかなと思ったものでした。義手義足に武器を仕込んで戦ったりしてくれたら嬉しかったのですが。
 まさかここでエレンが巨人化するとは。巨人に対して巨人化して戦うんじゃ、ウルトラマンと同じじゃないか、と思ってしまいます。昔のプレイステーションのゲーム「ワンダと巨像」みたいな物語が見たかったのですが。
 エレンが巨人化するというのは、映画だけではなく、恐らく原作からなのでしょう。何となく、原作の読みたい度が下がってしまいました。
 人間が巨人化するということは、襲ってきている巨人たちも元々は人間だったということなのでしょうか?ただの酔っ払いオジサンに見えたソウダが何かを知っているようではありましたが…。巨人化できるのはエレンだけなのか、誰でも巨人化する可能性があるのか。これらの謎は続編で明かされる…ことを期待します。
 話しは変わりますが、この映画で気になった登場人物はヒアナでした。子持ちで主人公のエレンを誘惑してしまうなかなかいい根性の女性で、魅力的でした。今回で死んでしまったようなので続編には登場しなさそうなのが残念です。
 このヒアナを演じていた女優さん、水崎綾女さんと言う方らしいのですが、どこかで見たことがあるような…。気になったのでネットで調べてみたら、「特命戦隊ゴーバスターズ」という戦隊シリーズに敵の女幹部役で出演していた方でした。「特命戦隊ゴーバスターズ」は、我が子が初めて見た戦隊シリーズで、一緒に戦隊ライブショーか何かを見に行ったこともある思い入れのある戦隊です。ライブショーでは本物の水崎綾女さんも見ているはず…ですが、よくは覚えていません。今年公開の河瀬直美監督の映画「光」では水崎綾女さんがヒロインを演じると のこと。ぼちぼち売れてきた感がありますね。今後に注目したいと思います。