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カイ・マイヤー 「七つの封印」 第10巻 「月の妖魔」

 カイ・マイヤーさんの「七つの封印」第10巻「月の妖魔」です。日本では、2004年3月に発売されています。このシリーズのとうとう最終巻です。
 前巻では、死んだといわれていたキラの母親が登場し、しかも母親が外伝の主人公だったデータであることが判明しました。いかにもクライマックスが近付いていることを感じさせる内容でした。
 そしてとうとう最終巻の第10巻です。どんな結末が待っているのでしょうか…。
 それでは以下、カイ・マイヤーさんの「七つの封印」第10巻「月の妖魔」のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 ギーベルシュタインの街は、数メートル先も見えないほどの濃い霧に包まれていました。ギーベルシュタインの北側にある線路の土手に、何か大きなものが姿を現します。
 キラは、市役所の地下書庫にこもって魔女などに関する書物を読み漁っています。キラには、前回の物語で母親と共に異世界へ行った影響で、影がなくなるという現象が起こっていました。ニールスは水ぼうそうにかかって部屋で寝込んでいます。リーザは、恋人のトビーと喧嘩して別れ、自宅でもあるエルカーホーフ・ホテルの玄関先にいました。そこへ、自転車に乗ったクリスがやってきます。クリスは、街中でばらまかれている一枚のビラをリーザに見せます。それには「影絵ショー またとない、すばらしいショーをお見のがしなく!本日、真夜中の月の右側で」と書かれていました。クリスは、謎だらけのこのビラについて調べに行こうとリーザを誘います。
 リーザは、影絵ショーの場所がギーベルシュタインの北側にある草原の何処かではないかと推測します。リーザ及びクリスは自転車に乗ってギーベルシュタインの街の北側へと向かいます。線路の土手にやって来た2人は、廃線になった線路の上に貨車が止まっているのを発見します。2人が貨車に近付いてみると、貨車を引く機関車のようなものはなく、貨車の表面は生き物の皮膚のような手触りです。ただし、2人の腕に七つの封印は浮かび上がってはいません。それ以上は特に情報を得ることは出来ず、2人はギーベルシュタインの街へ戻ります。
 街へ戻った2人は、キラの家でもあるカサンドラおばさんのティーショップのショーウィンドウに貼られたビラを発見します。それには「影絵ショー 時は、本日の真夜中!場所は、きみらがご存じのとおり」と書かれています。カサンドラおばさんは、このビラを誰が貼ったのか知りませんでした。
 2人は、キラがいる市役所の書庫へやってきます。クリスは、書庫を管理するフレック氏に現状を説明し、関係する資料を探すことを頼みます。2人はキラにもこれまでの事を話します。しばらくすると、フレック氏がやってきて、地図を広げます。北の廃線路は、元は森の中にある天文台まで通じていましたが、脱線事故が起こって廃線となったようでした。天文台は古代遺跡の上に建てられ、現在はカールフンケル博士が率いるチームが天文台の職員となっているはずでした。フレック氏の話しを聞いたキラは、影絵ショーを調べる事を決め、早速出発しようとします。しかし沢山の書物を抱えて階段を上ろうとしたキラは、バランスを崩して階段から落ち、足を捻挫して歩けなくなってしまいます。キラは車で迎えにきたカサンドラおばさんに連れられて自宅へ戻ります。リーザ及びクリスは、2人で影絵ショーへ行く事を決めます。
 影絵ショーが行われるであろう街の北へ向かったリーザ及びクリスは、他にも影絵ショーを見に行こうとしている若者達に出会います。若者達は、「影絵ショー 星からのテロ 真夜中の砂利野原にて」と書かれたビラを持っていました。砂利野原に着くと、そこには沢山の観客が集まっています。会場には例の貨車が置かれ、全身真っ黒の9人が会場の要所要所に配置されています。9人の黒い人物達は、観客に黒い風船を配り始め、リーザ及びクリスも黒い風船を1つずつ受け取ります。黒い風船は、空中で微妙に動いているように感じられ、どんなに引いても空中から降りてきません。
 そしてショーが始まり、燕尾服を着た人物、カールフンケル博士が登場します。カールフンケル博士は、観客達に風船を手放すよう言い、風船は観客達の手から離れて空へ上り、ギーベルシュタインの街の方へと流されて行きます。カールフンケル博士は、観客達に列車の中へ入るように言い、最初の観客としてリーザ及びクリスを指名します。
 捻挫したキラは、自室のベッドに寝かされていましたが、リーザ及びクリスの事が心配で眠れずにいました。キラの部屋の天窓で物音がし、キラが見上げると、そこにはヒトデのような生物が張り付いていました。このヒトデ生物は、ギーベルシュタインの街の上空を漂っていた黒い風船が変化したものでした。ヒトデ生物は天窓のガラスを割って部屋内へ侵入し、キラに襲いかかろうとしますが、キラを感知する事が出来ずにいました。ヒトデ生物は、人や物の影を感知しているようで、影を持たなくなったキラを感知出来ないようです。捻挫で歩けないキラは床を這って階下へ向かい、ニールスに電話をかけます。水ぼうそうから回復してきていたニールスはキラの電話を受け、キラはヒトデ生物についてニールスに教えます。電話をしている間に、ニールスの部屋の窓にもヒトデ生物が現れ、電話は切れます。キラは、カサンドラおばさんの部屋へ向かいます。
 キラからの電話を切ったニールスは、影を消すために部屋の灯りを消しますが、部屋の外からの街灯などの光があるため、影を完全に消す事は出来ません。ニールスは部屋の外へ逃げ、ヒトデ生物は窓ガラスを割って部屋に侵入します。ニールスの家はホテルでもあり、センサがニールスを感知して廊下の灯りが一斉に点灯します。これにより出来たニールスの影を感知し、ヒトデ生物はニールスを追ってきます。ニールスは近くの部屋へ逃げ込んでクローゼットの中に隠れますが、廊下からの光がクローゼットの隙間から入ってニールスの影を作っていました。この影を追ってヒトデ生物が部屋の中に入ってきますが、ニールスが廊下からいなくなった事で廊下の灯りがタイマーで消灯されて真っ暗になり、ニールスの影を感知出来なくなったヒトデ生物は去って行きます。
 キラがカサンドラおばさんの部屋へ行くと、ベッドで寝ているカサンドラおばさんの顔にヒトデ生物が張り付いていました。ヒトデ生物からは細い光が立ち上がり、窓の外へと延びています。ヒトデ生物は、カサンドラおばさんの生命エネルギーをどこかへ、恐らくは影絵ショーの会場へと送っているようです。
 リーザ及びクリスは、カールフンケル博士に指名され、黒い人物達によって無理矢理に舞台へ上げられます。カールフンケル博士は、月の支配者が現れて自分の中に入り、自分は月の支配者に生まれ変わったと話します。黒い貨車にはいつの間にか大きな口が開いており、ギーベルシュタインの街から貨車へ光の束が延びていました。カールフンケル博士はリーザ及びクリスを貨車の口へと放り込みます。
 リーザ及びクリスは月の表面に立っていました。近くには火口のようなものがあり、その中へ光の束はのみこまれています。2人は火口の中を覗き込みます。火口の中は、ギーベルシュタインの街の人々の顔で埋め尽くされていました。ヒトデ生物に生命エネルギーを奪われている人々の顔が火口の中に映し出されているようです。そして火口の中から巨大な人型の影が立ち上がります。ギーベルシュタインの人々の生命エネルギーを得て月男が蘇ろうとしているようです。リーザ達の背後では、影絵ショーの他の観客達も月面に送られ、戸惑っていました。月男は、黒い触手をリーザ達の方へと延ばしてきます。リーザは、ギーベルシュタインから月男へ送られているエネルギーを絶てば月男の復活を阻止出来ると考えます。ギーベルシュタインから月男へエネルギーを送っている光の束は、リーザ達の頭上2メートルくらいの場所を通っています。リーザは、クリスに肩車してもらい、自分の体で光の束を絶つ事を提案します。クリスは反対しますが、リーザがクリスを肩車する事は無理でした。リーザ及びクリスは覚悟を決め、キスした後、クリスがリーザを肩車して持ち上げ、リーザは光の束を体で遮ります。
 リーザは気が付くと元の土手に寝ていました。リーザの周りには、クリス、キラ、ニールス及びカサンドラおばさんがいました。黒い貨車、カールフンケル博士及び黒い人物達の姿はなく、黒いコールタールのようなドロドロしたものが残っているだけでした。観客達も無事のようです。月には茨男の模様が戻っていました。クリスは、目を覚ましたリーザにキスをします。

 以上が、カイ・マイヤーさんの「七つの封印」第10巻「月の妖魔」の物語です。
 ・・・。最終巻ではありますが、完結巻ではありませんでした。調べてみましたが、この続きが出た様子も、出る予定も無さそうです。つまりは、打ち切られたという事なのでしょう。日本でどうなのか分かりませんが、本国ドイツで人気が出なかったのかな。いつの日か、この続編が世に出る事を期待します。ただ、この物語をしっかりと完結させようと思うと、どう考えても1、2冊では収まりそうになく、完結は難しそうです。作者の力量を越えた風呂敷を広げ過ぎたように思えます。せっかくの山田章博さんの挿絵がもったいなさすぎですね。まぁ、この挿絵は日本版のみだと思いますが。
 今巻の物語では、一応ですが、キラ、リーザ及びクリスの三角関係には決着がついたようです。最終巻らしい部分はこのくらいでしょうか。その他は何も解決しませんでした。
 最終巻ということは置いておいて、この巻の物語だけを見ると、前巻でキラを活躍させすぎた反動か、今巻はキラの出番がほとんどなく、リーザ及びクリスが主人公の物語になっており、いつもとは違う雰囲気がありました。黒い貨車、黒い風船から生まれたヒトデ生物、カールフンケル博士、月男の復活など、見所も多く、物語単体として面白かったです。ただ、結末があまりにも呆気なさすぎでした。光の束を遮ったくらいで敵が全滅は弱過ぎでは。何故にそんな弱点が丸出しになっているのか・・・。ここへ来るまでの物語が非常に面白かっただけに、残念でした。どうもこの作者は、風呂敷を広げるのは得意ですが、畳む事が出来ない人のようです。


カイ・マイヤー 「七つの封印」 第9巻 「異界への扉」

 カイ・マイヤーさんの「七つの封印」第9巻「異界への扉」です。日本では、2004年3月に発売されています。
 前巻は、キラ達の学校を舞台に、ハロウィンパーティーに現れた怪物と戦う内容でした。このシリーズは全10巻で、残りは今回の第9巻と、最後の第10巻との二冊。残り二冊で悪の魔女組織「アルカーヌム」を倒す事が出来るとは思えず、中途半端に終わりそうな予感がします・・・。ただし第9巻には、かなり強力な助っ人が登場します。この助っ人がいれば、アルカーヌムの壊滅も可能性ありそうです。
 それでは以下、カイ・マイヤーさんの「七つの封印」第9巻「異界への扉」のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 キラは、休暇を過ごすために、イギリスのティンタジェルという村へやってきます。この村は、伝説のアーサー王が生まれた場所とされる観光地でもあります。キラの父であるラーベンソン教授が発掘作業のためにこの村を訪れており、いつものようにキラとその友人のクリス、ニールス及びリーザとがこの村に招待されました。ただし今回は、クリス、ニールス及びリーザの3人の都合がつかず、キラだけ1日早く1人で村にやってきます。
 キラは、村のバス停でバスを降りますが、迎えに来るはずの父の姿はなく、代わりにデリックという若い男が迎えに現れます。デリックは、キラの父に頼まれたと言って、隣村ボスカッスルにある魔女博物館にキラを連れて行きます。魔女博物館は、普通の観光客向けの陳腐なものですが、キラは海岸風景の写真の前で足を止めます。キラが写真をよく見ると、海岸にはアーサー王が倒れており、海から船が徐々に海岸へと近付いて来ます。船には3人の王妃とそれに従う女性達が乗っており、海岸に倒れていたアーサー王を連れて去って行きます。
 突然、キラの背後から女性が話し掛け、海岸風景は何の変哲もない絵になっていました。女性は、赤い髪の20代半ばくらいで、キラに似ています。女性は、キラの事も、キラが七つの封印を持つ事も知っていました。女性は、キラが先程見た場面でアーサー王を連れて行った王妃の1人であるモルガーナが、アーサー王を陥れた邪悪な存在であり、キラを狙っていると警告します。女性は、近いうちにキラの力を借りる事になると言い、去って行きます。
 魔女博物館を出たキラは、デリックに父の発掘現場へ連れて行ってもらいます。しかし父は発掘作業で手が放せず、キラは父と十分な話しをする事ができないまま、宿泊先のコテージへやってきます。キラは、1人でコテージで父の帰りを待ちますが、夜10時を過ぎても父は帰ってきません。キラは、もう一度発掘現場へ行ってみることにし、コテージを出ます。コテージから発掘現場への途中にある共同墓地で、キラは真っ白な服を着た6人の女性達に囲まれます。キラの腕には七つの封印が浮かび上がります。6人の女性達は、モルガーナの侍女達である水の妖精ニンフでした。キラは逃げますが、ニンフ達に捕まってしまいます。
 一方、クリス、ニールス及びリーザの3人は、キラより1日遅れで列車に乗り、ドイツからイギリスを目指していました。しかし、3人が乗る列車は、線路上に現れた犬のために停車します。3人の腕には七つの封印が浮かび上がっていました。犬を追いやろうとした運転手は犬に噛まれて負傷し、更に濃い霧が周囲を覆い、多くの犬が現れて列車を囲みます。
 キラを捕らえたニンフ達は、空を飛んで小さな湖へやってきます。湖に渦巻が発生し、その中央に大きな縦穴が現れます。キラは、この縦穴が異界へと通じる扉だと感じます。キラは異界へ連れて行かれる事を覚悟しますが、キラ達の上に長い棒に座った女性が現れてキラを救出します。女性は、魔女博物館で出会った女性であり、何かの粉を撒いてニンフ達を倒します。女性は、自分の名前は明かしませんが、色々な事をキラに話します。この湖はドズマリー・プールという名前であり、アーサー王を異界へと連れて行った3人の王妃のうちの1人であるニムエがこの湖の姫で、ニムエはモルガーナのような悪人ではないようです。3人の王妃が異界へ行ったときに影だけがこの世界に残り、3人の影がアルカーヌムの3人の母となりました。女性とモルガーナは長い間戦っており、キラの存在が危険でありと判断したモルガーナがキラの命を狙っていました。2人が話していると、女性はモルガーナがやってくる気配を感じ、急いでキラを安全な場所へ避難させます。キラは、気が付くと宿泊先のコテージにいました。女性が魔法でキラを瞬間移動させたようです。キラは、その後に女性とモルガーナとがどうなったのか気になりますが、確かめる術はありません。コテージには父が戻ってきており、着替えもせずにベッドで眠っていました。キラは不審に思いますが、頭の中に女性の声が響き、その声は父は魔法で眠らせたと告げます。キラは、父が所有する書物にモルガーナの事が記載されている部分を発見し、読みふけります。
 キラが書物を読み終えると、コテージの中で物音がします。玄関の鏡に亀裂が入っており、鏡にはドズマリー・プールと魔女博物館との2つの景色が映っています。キラは、この映像があの女性からのメッセージだと考え、タクシーを呼んで魔女博物館へ向かいます。魔女博物館には、予想通り女性が待っていました。魔女博物館には本物の魔女の品物も展示されており、モルガーナの手下達は中に入る事が出来ないため安全でした。女性は、自分の名前がデーアであり、千年以上生きてアルカーヌムと戦っていると話します。そして女性は、自分がキラの母親だと話します。デーアはキラを産んだ後、モルガーナを追って異界へ行き、こちらの世界では死んだ事になりました。デーアはこちらの世界には戻って来れないと思っていましたが、奇跡的な幸運に恵まれてこちらの世界へ戻ってくることが出来ました。デーアは自分1人の力ではモルガーナを倒す事ができないけれど、キラと2人でなら倒す事が出来ると言います。キラは、母と共に異界へ行ってモルガーナを倒す事を決意します。
 クリス、ニールス及びリーザは、停車した列車に閉じこめられた状態が続いていました。3人が窓の外を観察していると、巨大な竜のような魔物が現れます。魔物は、列車を押し倒します。
 デーアは魔女博物館の展示物から本物の魔法の品物を選んで集めます。その中には空飛ぶ絨毯があり、キラがこれを使う事になります。デーアは集めた品物を燃やして魔法をかけ、博物館の周りに集まっていたニンフ達の注意を逸らします。デーアは木の棒に乗り、キラは魔法の絨毯に乗って、魔女博物館から脱出し、空を飛んでドズマリー・プールを目指します。2人はドズマリー・プールに到着し、湖に渦巻きが生じて異界への扉が開きます。2人はこの扉を通って異界へ出ます。
 異界では、湖の中央にある島に建てられた砦があり、湖はモルガーナの軍勢が囲んでいました。砦は湖の姫ニムエのものであり、ニムエの軍勢とモルガーナの軍勢との戦争の真っ只中に2人は出ました。ニムエの軍勢はデーア及びキラに味方してくれます。そしてニムエも2人に魔法で力を貸してくれるようです。デーアはモルガーナに対して決戦を要求し、モルガーナが2人の前に姿を出します。モルガーナは、湖の水を使って大量のニンフを作り出そうとします。しかしデーア及びキラは湖に飛び込み、キラの魔力とニムエの協力とにより、デーアがニンフ達の制御を奪う事に成功します。湖の水から生み出された大量のニンフは全てモルガーナの敵となり、モルガーナに襲いかかります。大量のニンフに囲まれたモルガーナは、流石になす術なく力尽きます。モルガーナを倒したニンフ達は湖の水に戻ります。デーア及びキラは、再び湖の扉を通って元の世界へと戻ります。
 同じ頃。クリス、ニールス及びリーザが乗っていた列車の周囲にいた怪物達は姿を消していました。モルガーナが死んだ事で怪物達は消え去ったようです。クリス達は、キラが敵を倒したのだと理解します。
 元の世界に戻ったデーア及びキラですが、デーアはまだ異界は自分の力を必要としていると言い、異界へ再び向かう決意のようです。デーアは、キラとの再会を約束して、異界へと旅立ちます。

 以上が、カイ・マイヤーさんの「七つの封印」第9巻「異界への扉」の物語です。最終巻の1つ前と言うことで、一気に物語が進展しました。
 デーアがキラの母親だったという秘密が明かされる、なかなか驚きの物語でした。・・・そうでもないかな?薄々、そんな展開もあるかなとは思わなくもなかったですが。でも、生きてデーアが再登場するとは思っていませんでした。だって、この展開は外伝を読んでいないと意味不明ではないかと思うのです。外伝は読まないか、正伝を読んでから外伝を読むという読者も結構いるはずで、この展開にするなら、あの外伝は正伝として発表するべきだと思います。
 今回の物語は、キラ以外の3人、クリス、ニールス及びリーザはほとんど登場しませんでした。前々から思っていましたが、7つの封印を4人が持つのではなく、キラ1人が持ち、3人はあくまで協力者とする方が良かったのではと。4人セットでなければいけないという制限は、物語の広がりや奥行きを狭くしているように思われます。今回の物語ではキラ1人に焦点を絞った事で、いつものような逃げ回る物語ではなく、敵と対等に戦う物語にする事ができました。
 デーアがラーベンソン教授のどこに惹かれて結婚したのか・・・。オカルトトークで仲良くなったのでしょうね。キラの面倒を見ているカサンドラおばさんは、キラの母親の妹だったような・・・。このあたりの人間関係はどのように設定されているのでしょう。あまり記憶が確かではないので、もしかしたらカサンドラおばさんはラーベンソン教授の妹だったかもしれませんが。
 さぁ、次の巻でいよいよこのシリーズは完結です。キラの隠された能力が目覚めて、魔女組織アルカーヌムを全滅させる、そんな結末だといいですね。


カイ・マイヤー 「七つの封印」 第8巻 「マンドラゴラの恐怖」

 カイ・マイヤーさんの「七つの封印」第8巻「マンドラゴラの恐怖」です。日本では、2004年2月に発売されています。
 前巻は、深海での冒険を通じて、魔女達の活動を妨害する事に成功しました。ただし、魔女達のボスである三人の母のうちの1人が登場しましたが、キラ達との直接対決はありませんでした。まぁ、直接対決で勝てる相手とは思えませんが。
 全10巻のこのシリーズも終盤です、そろそろ大きな動きがあっても良さそうですが・・・。
 それでは以下、カイ・マイヤーさんの「七つの封印」第8巻「マンドラゴラの恐怖」のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 キラ達の学校でハロウィンパーティーが開催されました。キラの学校には、新校舎と今では使われていない旧校舎とが存在し、旧校舎は生徒達の手でお化け屋敷に改造されました。お化け屋敷は大成功に終わり、夜になって生徒の1人が旧校舎の戸締まりをしていました。この生徒は、トビーという男の子で、リーザのクラスメートでした。トビーは、リーザの事が好きで、リーザにカッコイいい所を見せようと、旧校舎の戸締まりの役に名乗りを上げました。トビーが旧校舎の各部屋を回っていると、ミイラの様な顔の男に出くわします。男はこの学校の校長だと言い、手にした鞭でトビーを叩きます。するとトビーは、いつの間にか端が見えないほど大きな教室にいました。校長は、トビーに「僕は悪い子です」と黒板に書き続けるよう命じ、休むとトビーを鞭で叩きました。
 キラ、ニールス及びリーザの3人は、校舎の外に作られた舞台で行われているショーを見ていました。舞台ではクリスのマジックショーも行われ、大成功でした。クリスのマジックショーの次には、6人の女子生徒による魔女のダンスショーが行われます。キラの隣にはマーラという女子生徒がおり、魔女の仮装で踊る女子生徒達を見たマーラは、魔女はあんな不格好な姿をしていないと呟き、どこかへ去って行きます。マーラは、ハロウィンパーティーで旧校舎をお化け屋敷にする事を提案し、それを実行した中心人物でした。
 ショーを終えて戻ってきたクリスを加えて4人になったキラ達は、お化け屋敷に使われたニールスのモンスターのマスクを回収するため、旧校舎へ向かいます。旧校舎へ入った後、ニールスは旧校舎にまつわる呪いの話しをします。百年ほど前に初代校長が生徒の1人をたたき殺したというもので、キラも聞いたことがありました。キラ達はニールスのマスクを回収しますが、キラはムチを振り下ろすような音を聞きます。キラ達の腕には、七つの封印が現れます。そして廊下の先に黒い人影が現れます。
 キラ達は旧校舎の三階におり、非常階段から下へ逃げようとしますが、非常階段の下から火が上がってきます。キラ達は旧校舎の二階へと逃げ込み、食堂に入ります。食堂は、迷路のように改造されており、お化け屋敷の仕掛けとして作られた落とし穴にリーザが落ちてしまいます。落とし穴の底には、ミイラの様な顔の校長が待ち構えており、ムチでリーザを叩きます。するとリーザは、落とし穴の底から別の場所へと移動します。そこは、とてつもなく広い教室で、トビーが黒板に「僕は悪い子です」と書き続けていました。
 キラ、クリス及びニールスの3人は、リーザが落ちた穴の底に急いで駆け付けますが、リーザの姿はありません。周辺を探していた3人は、マーラに出会います。マーラは、リーザを見ていないようですが、何かを隠しているようです。クリスは、マーラが背後に隠している物を見つけます。それは、植物が植えられた植木鉢でした。マーラは、この植物が「マンドラゴラ」という魔女の植物であり、旧校舎の地下一階から三階までの各階に合計4つ置いた事を白状します。マーラは、旧校舎で見つけた学校の年代記で、過去の事件の真相を知りました。子供を殴り殺した校長は、怒った親達に殺され、この事実は闇に葬り去られました。しかし年代記の著者は校長の妹で、恐らくは魔女でした。年代記の最後には、封筒が貼り付けられており、中には4つの種と、この種をどのように使えばよいかが記された紙切れが入っていました。その紙切れには、種を植えて育てれば、この学校に関係する事は全てうまくいくと書かれており、マーラはそれを信じて種を植えました。キラは、これが兄である校長を蘇らせるための魔女の策略だとマーラに説明します。しかし、魔女に憧れるマーラは、マンドラゴラを渡そうとはしません。キラは、問答無用でマンドラゴラを鉢から引っこ抜きます。マンドラゴラの根は人の形をしており、その顔はキラの顔でした。
 広大な教室に連れて来られたリーザは、校長に机の落書きを消す作業を命じられます。その後、校長は姿を消しました。校長が姿を消してもトビーは黒板に文字を書き続けていました。トビーは、もしここから元の世界に帰れたら、一緒にアイスを食べに行くとか映画を見に行くとかできるかリーザに尋ねます。リーザが承知すると、トビーは文字を書くのを止め、逃げ出すよう頑張る決意をします。リーザ及びトビーは、校長が姿を消した場所へ向かいます。
 キラの顔をしたマンドラゴラを、キラ及びマーラが引っ張り合い、マンドラゴラの根は真っ二つに割れてしまいます。すると、どこからか校長の叫び声が聞こえました。どうやらマンドラゴラは校長の弱点のようです。キラ達は、残りの3つのマンドラゴラを破壊する事を決意します。マーラも校長の叫び声を聞いてキラ達に協力する事を決めます。マーラは、残りのマンドラゴラが旧校舎の三階、一階及び地下書庫にあることを話します。キラ達が相談していると校長が現れ、キラ達は逃走します。キラ達は二手に分かれる事にし、クリス及びニールスが三階へ、キラ及びマーラが一階へ向かいます。校長は、キラ達を追います。
 一階へ下りてマンドラゴラがある部屋へ入ったキラ及びマーラは、マーラが持っていた鍵でこの部屋の扉に鍵をかけます。校長は鍵を開ける事はできないようです。この部屋には無数のカボチャ頭が飾られており、マンドラゴラの鉢はこの中の1つのカボチャの中に隠したとマーラは言いますが、マーラにもどのカボチャだったか分かりませんでした。キラは棒を持ってカボチャ頭を手当たり次第に破壊し、マーラもそれに加わります。2人は次々とカボチャ頭を破壊さていきますが、突然に校長の魔力でカボチャ頭が動き出し、2人に襲いかかります。
 三階へやってきたクリス及びニールスは、マーラがいないためマンドラゴラの詳しい隠し場所が分からず、探し回ります。お化け屋敷用に作られたハロウィンの怪物達が動き出し、2人に襲いかかります。怪物から逃げながら2人はマンドラゴラを発見し、破壊します。すると怪物達は動きを止めます。
 キラ及びマーラは、襲い来るカボチャ頭と戦っていました。しかし、カボチャ頭は急に動きを止め、床に落下して潰れます。唯一残ったカボチャ頭に隠されたマンドラゴラを発見し、キラはマンドラゴラを破壊します。扉の向こうにいた校長は、叫び声を上げ、去って行きます。
 リーザ及びトビーは、校長が消えた場所の床がガラスのように輝いているのを発見し、のぞき込むと校長の姿が見えました。校長はキラ及びマーラを追い詰めていましたが、校長の思い通りに事は進んでいないようで、校長は苦痛と怒りを顔に浮かべ、リーザ及びマーラがいる教室に戻ってこようとします。しかし校長は教室へ戻る魔力を失っており、2人は安心します。キラ達の助けを待つリーザ及びトビーの仲はいつの間にか接近していました。
 キラ及びマーラと、クリス及びニールスとは合流し、最後のマンドラゴラがある地下へやってきます。マーラは、地下書庫の奥にある小部屋にマンドラゴラを隠したと話します。その部屋は、その昔に、校長の妹が住んでいた部屋でした。
 キラ達が地下書庫へ入ると、奥の部屋への扉の前に、校長が待ち構えていました。校長はキラを指差し、魔女の娘だと指摘します。校長は、キラの秘めた力は自分の力でもあると話します。キラは、自分の中にある魔力を使って、校長が蘇ったのたと悟ります。キラ達は何とか奥の部屋へ入ろうとしますが、校長の攻撃は素早く、その隙を与えてくれません。キラ達が手をこまねいていると、校長の頭上の空間からリーザ及びトビーが落ちて来ます。2人は校長を押しつぶし、校長は武器のムチを落とします。リーザ及びトビーは急いで校長から離れ、起き上がってきた校長を飛び越えてキラが奥の扉に体当たりします。扉は壊れてキラはそのまま奥の部屋へ入り、マンドラゴラを手にします。キラはマンドラゴラを鉢から引き抜き、根を真っ二つに割ります。すると校長の身体は破裂して粉々になります。
 キラ達は、リーザとの再会を喜び合います。

 以上が、カイ・マイヤーさんの「七つの封印」第8巻「マンドラゴラの恐怖」の物語です。
 今回の敵の校長先生、弱かったですね。マンドラゴラが弱点である事がアッサリとキラ達にバレてしまい、あとは弱点を破壊される一方でした。何故、弱点をほったらかしにしとくのか・・・。校長先生が頭悪過ぎ。
 何やらキラには秘められた大きな力があるようです。残り二冊で、覚醒するのかもしれません。残り二冊で、魔女達を倒せる気がしないのですが・・・。


カイ・マイヤー 「七つの封印」 第7巻 「深海の魔物たち」

 カイ・マイヤーさんの「七つの封印」第7巻「深海の魔物たち」です。日本では、2003年12月に発売されています。腕に「七つの封印」を持つ4人の少年少女達が活躍する子供向けのファンタジー作品の第7弾です。
 前巻は、故郷ギーベルシュタインを不気味なカカシの大群が襲うという内容でした。このシリーズは、故郷ギーベルシュタインを舞台にした物語と、それ以外の場所を舞台にした物語とが交互に描かれています。前回はギーベルシュタインだったので、今回はそれ以外の場所、水深5000メートルの深海が舞台となります。全10巻のシリーズなので、そろそろ物語も終盤に突入するはずです。
 それでは以下、カイ・マイヤーさんの「七つの封印」第7巻「深海の魔物たち」のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 七つの封印を腕に持つキラ、クリス、ニールス及びリーザの4人は、キラの父親のラーベンソン教授の調査に同行して、小型の潜水カプセルに乗っていました。カプセルは6人乗りで、キラ達4人及びラーベンソン教授の他に、ビショフ博士が乗り込んでいます。場所は、東太平洋の深海。目的は、海底に沈むバイキングの船の調査です。海上の基地「SIM-1」から出発したカプセルは、まず水深5000メートルにある深海ステーション「カルタゴ」を目指していました。その途中、カプセルは、全長18メートルの巨大サメに遭遇します。ビショフ博士はSIM-1と無線で連絡を取ろうとしますが、応答はありません。カプセルは、何とか巨大サメの攻撃をかわしてカルタゴに到着します。
 キラ達がカルタゴに着いた後も、巨大サメはカルタゴの周囲を泳いでいます。ビショフ博士は、巨大サメの位置を把握するため、発信器を射出して巨大サメに付けます。この作戦は成功し、巨大サメの所在をカルタゴのモニタで確認する事ができるようになります。一安心したキラ達は、腕に七つの封印が浮かび上がっていることに気付きます。出現のタイミングから、七つの封印は巨大サメに反応したのではなく、何か別の脅威が迫っているようでした。
 カルタゴから沈没船までは、エイのような形のシャトルボートで移動する必要がありました。シャトルボートは3人乗りで、ラーベンソン教授及びキラが乗る事になります。巨大サメの姿が消えた後、シャトルボートは出航します。シャトルボートは更に深い場所へ降下していき、火山の噴火口のようなものがリング状に並んだ場所、ブラックスモーカーにやってきます。噴火口からは硫黄分を含んだ黒い熱湯が吹き上がっており、沈没船はこのリングの内側にありました。リングの外側には深海生物が生息していますが、何故かリングの内側には全く生き物がいません。沈没船は石化しており、船底に大きな穴が開いていました。キラは、バイキング達は何かを捨てる為にこの遠方まで船でやってきて嵐で船が沈没し、その積んでいた何かが船底を破って脱出したのではないかと推測します。そして船の中には、小さな生物が潜んでいました。この生物はキラに見覚えのある生物、魔女達が使役していた空飛ぶ魚でした。シャトルボートは大急ぎで沈没船から離れ、空飛ぶ魚が追ってきますが、ブラックスモーカーのリングの外側までは追ってきませんでした。
 その頃、カルタゴでは、全く連絡が取れないSIM-1の様子を探るため、ビショフ博士がカルタゴからSIM-1の監視カメラにアクセスします。SIM-1内部では、職員達がそこら中に倒れて眠っていました。SIM-1には大きな黒い船が接岸し、船から魔女達が続々とSIM-1に上陸していました。ビショフ博士は、周辺の船舶や航空機へ向けてSOS信号を発します。しばらくすると、SIM-1から通信が入ります。SIM-1の料理長のエリックからの通信でした。エリックは、ビショフ博士達がカルタゴへ向かった直後に黒い船が現れ、船から降りてきた女達の催眠術で皆が眠らされ、自分1人だけ何とか脱出したと話します。またエリックは、黒い船から歌のようなものが聞こえてくると話し、マイクを船の方へ向けます。船から流れてくる歌は、「マーター・サスピリオルム」と繰り返していました。クリス達は、これが魔女達の3人の母の1人、嘆きの母の事を歌っていると気付きます。エリックは、深海カプセルでSIM-1を脱出してカルタゴへ向かうと言い、通信を切ります。SIM-1を占拠した女達の事をクリス達が知っている口振りに、ビショフ博士はクリス達を問い詰めます。クリス達は、魔女達の事をビショフ博士に話します。
 シャトルボートがカルタゴに戻ってきます。キラは、クリス達からSIM-1が魔女達に占拠された事を聞かされます。キラ達は、沈没船から何か邪悪なものが逃げ出したけれど、沈没船には邪悪なオーラのようなものが残っており、それがブラックスモーカー内の生物を邪悪な空飛ぶ魚に変化させており、魔女達は定期的にブラックスモーカーを訪れて空飛ぶ魚を補充していると予想します。深海から海上へ空飛ぶ魚を引き上げるために、嘆きの母が強力な魔法を使っていると考えられます。
 海上のSIM-1から深海カプセルがカルタゴに向かって移動を開始します。エリックが魔女達から逃走したものと思われます。しかし同時に、姿を消していた巨大サメが戻ってきます。このまま行くと、カプセルと巨大サメとが鉢合わせする可能性がありました。ビショフ博士は、カプセルを迎え入れるために、未使用のドックを開放する作業にかかり、クリス及びニールスがそれを手伝います。キラ及びリーザは、エリックが負傷した場合に備えて、医薬品等をかき集めます。ラーベンソン教授は、カプセル及び巨大サメの位置を把握するため、司令室に残ります。
 海上ては、SIM-1を占拠した魔女達が黒い船に戻り、黒い船は別の場所、ちょうどブラックスモーカーの真上に移動します。すると、ブラックスモーカーから海上へ向けて、光の柱が立ち上がります。深海から空飛ぶ魚を海上へ引き上げる魔法が開始されたようです。
 エリックの受け入れ準備が終わり、クリス及びニールスは司令室へ戻り、代わりにラーベンソン教授がビショフ博士と共にドックで待ち受けます。キラ及びリーザは、シャトルボートが停泊しているドックの近くにある医務室で医薬品を集めています。そしてカプセル及び巨大サメがカルタゴの近くに到着します。巨大サメはカプセルを攻撃しようとしますが、司令室にいるクリスがサーチライトを操作して巨大サメを照らし、巨大サメがひるんだ隙にカプセルはカルタゴに到着します。ビショフ博士が気圧調整室での気圧調整を行った後、気圧調整室の扉を開けます。すると扉からは、エリックではなく、20匹以上の空飛ぶ魚がカルタゴ内へと入ってきます。ビショフ博士及びラーベンソン教授は、近くの部屋に入って扉を閉じ、館内放送で空飛ぶ魚の侵入を知らせます。これを聞いたクリス及びニールスは司令室の扉を閉め、キラ及びリーザはシャトルボート内へ逃げ込みます。カルタゴ内を飛び回った空飛ぶ魚達は、キラ及びリーザが避難したシャトルボートが停泊しているドックに集まってきます。キラは司令室にいるクリスにドックの扉を閉じさせて空飛ぶ魚を閉じ込め、更に注水して海への扉を開かせます。海に出た空飛ぶ魚達は、魔女達の元へと帰って行きます。
 キラは、ブラックスモーカーに入った魚が魔物化され、魔女達が魔法で魔物化された魚達を海上へ引き上げているという推測から、巨大サメをブラックスモーカーに入れれば、強力な魔物となって魔女達の元に現れると考えます。キラは、シャトルボートで巨大サメをブラックスモーカーにおびき寄せる作戦を提案します。クリス、ニールス及びラーベンソン教授は反対しますが、ビショフ博士は賛成してキラに協力します。キラ及びリーザはシャトルボートでカルタゴを出ると、巨大サメに追われながらブラックスモーカーまで逃げ、ブラックスモーカーの直前で方向転換します。巨大サメはそのままブラックスモーカーへ突入します。巨大サメは魔物化して更に大きくなり、嘆きの母の魔力で上へと昇って行きます。
 キラ及びリーザは、無事にカルタゴへ帰還します。その後、キラ達6人は、深海カプセルでSIM-1へ戻ります。SIM-1の人々は眠っているだけで、死んでいる人はいません。SIM-1から少し離れた海上には、魔女達の黒い船が沈みかけていました。キラ達が黒い船を見守っていると、船の側壁を破って巨大サメの魔物が現れます。巨大サメの魔物は、甲板上の魔女達に攻撃を仕掛けます。そのとき、船首に1人の魔女が現れて巨大サメの魔物に稲妻を放ちます。巨大サメの魔物は大爆発します。その後、黒い船から1羽のワシと沢山のカモメとが飛び立ち、東の空へ飛んでいきます。魔女達の黒い船は、海の中へと沈んでいきます。

 以上が、カイ・マイヤーさんの「七つの封印」第7巻「深海の魔物たち」の物語です。
 シリーズも終盤となり、魔女達のボスである三人の母のうちの1人、嘆きの母が登場しました。嘆きの母は、巨大サメの魔物を稲妻であっさり倒しており、強力な魔力を持っていそうにも思えますが、巨大サメの魔物を制御する事は出来ずに船を沈められているので、あまり強くもないようにも思えます。いずれにせよ、キラ達が直接対決して勝てる見込みはなさそうですが。三人の母にはそれぞれ何か弱点があって、キラ達がそこを突いて倒すという展開が妥当な所でしょう。
 今回は深海での冒険でしたが、大人目線で読んでいるとやはり舞台設定に無理があるように思えました。水深5000メートルの深海の調査に子供を連れて行くなんてそもそも有り得ないですし、深海の基地にキラ達6人しかいないのも不自然です。これまでいなかった巨大サメがどこから何故現れたのかも分からないまま、沈没船に積まれていた存在が何だったのかも分からないままです。子供向け小説ですから、深い事は気にしないのが正解なのでしょうけど。
 もし、嘆きの母の魔力が巨大サメを支配下に置く程に強力だったら、キラ達の作戦では魔女達に強力な味方をプレゼントしてしまう事になったのでは。結果オーライではありますが、誰もこの点を指摘しないのは浅はかな考えですね。
 まぁ、結果オーライで魔女達が空飛ぶ魚を補充する事を阻止でき、敵の戦力を削る事が出来たので、意義有る戦いだったということにしておきましょう。


カイ・マイヤー 「七つの封印」 第6巻 「黒死病の悪霊」

 カイ・マイヤーさんの「七つの封印」第6巻「黒死病の悪霊」です。日本では、2003年10月に発売されています。腕に「七つの封印」を持つ4人の少年少女達が活躍する子供向けのファンタジー作品の第6弾です。
 前巻は、故郷キーベルシュタインを離れた孤島で天使達の戦いに巻き込まれたキラ達の物語で、天使の1人とお友達になる事ができました。七つの封印は一度も現れずで、シリーズとして本筋なのか、番外編的な巻だったのかよく分からない内容でした。
 今巻は、ギーベルシュタインに舞台を戻し、不気味なカカシとキラ達とが戦う物語です。カカシ・・・強いのか弱いのか、怖いのか怖くないのか、やや微妙な敵です。
 それでは以下、カイ・マイヤーさんの「七つの封印」第6巻「黒死病の悪霊」のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 キラ、クリス、ニールス及びリーザの4人は、ギーベルシュタインの街の外にある「騎士の墓」と呼ばれる遺跡で遊び、街へ戻る途中で、羊飼いのクロップじいさんを見かけます。何かを恐れるように街へと急ぐクロップじいさんにキラ達が話を聞くと、クロップじいさんが可愛がっていた羊のヘンリエッタが殺され、殺したのは「カカシ」だと言います。羊のお腹にカカシが刺さっていたとのこと。クロップじいさんと別れたキラ達は、羊の殺害現場である砂利野原と呼ばれる場所へやってきます。そこには一頭の羊が死んでいましたが、カカシは見当たりませんでした。しかし4人の腕には「七つの封印」が浮かび上がります。近くの丘の上にはカカシがキラ達を見下ろすように立っていました。
 その夜、キラ達は自宅を抜け出して集合し、再び砂利野原を調べに行きます。羊の死骸は既に片付けられており、丘の上にカカシは見当たりません。周辺を探索したキラ達は、今では使われていない廃線路が敷かれている土手にカカシが立っているのを発見します。キラ達は、カカシに近付いてみますが、動く気配はありません。キラ達は、カカシには触れないように、拾った棒でカカシの頭部を覆っている布を剥がしてみます。布の下からは人間の頭蓋骨が現れ、頭蓋骨は額の部分に釘が打ち込まれていました。キラは、釘の頭の模様を粘土に写し取って持ち帰ります。キラ達は、近くの丘をクロップじいさんが歩いているのを見かけます。4人がクロップじいさんに気を取られてカカシから目を離し、また振り向いてカカシを見ると、カカシはいつの間にか移動してキラ達に近付いているように思えました。キラ達は、誰もカカシが動いたところを見ておらず、半信半疑で家に帰ります。
 その夜、キラは夢を見ます。夢には大きな鏡が現れ、鏡はキラの前で粉々に砕け散ります。
 次の日、キラ及びクリスは、ギーベルシュタインの市役所の地下にある保管庫を訪れます。ここで公文書保管係として働いているフレックという老人は、ギーベルシュタインの歴史を全て知っていると噂されている人物でした。キラが釘の模様を見せると、フレック氏は黒死病の印だと教えてくれます。保管庫には同じ釘が保管されており、14世紀にギーベルシュタインで黒死病が流行したときに作られたものでした。フレック氏は、この釘に関する事を調べておくから、夕方にもう一度くるようキラ達に言います。
 キラ及びクリスが市役所から出ると、ニールス及びリーザが自転車でやってきます。ニールス及びリーザは、街を囲む壁の外にカカシが出現したことを話します。4人は、街の壁にある塔に登って壁の外を見回すと、ギーベルシュタインの街は大量のカカシに包囲されようとしていました。ニールス及びリーザは、ギーベルシュタインの壁の外にあるホテルが自宅であり、ホテルの庭にも一体のカカシがいた事を話します。キラ達4人は、カカシを調べるためにホテルへ行きますが、カカシは姿を消していました。カカシは別の場所へ移動していました。キラ達がカカシを前にして相談していると、いつの間にか別の2体のカカシがキラ達の背後にいました。4人はカカシから逃げて街へ戻ります。
 4人はキラの家にやってきます。キラの叔母であるカサンドラおばさんは、キラ達にクロップじいさんが行方不明となり、捜索隊が出ている事を話します。キラ達は、カカシの事を正直にカサンドラおばさんに話します。その後、キラ達4人は、クロップじいさんを探しに街の外へ出ます。キラ達が墓地付近を歩いていると、向かいの丘にクロップじいさんの服を着たカカシが立っているのに気付きます。キラ達は急いでこのカカシの元へ向かいます。カカシの顔は真新しい髑髏で、キラ達はクロップじいさんがカカシにされたものだと悟ります。
 キラ達4人は、市役所地下の保管庫へフレック氏を訪ねて行きます。フレック氏は、黒死病に関する資料を集めていました。西暦1430年頃にギーベルシュタインで黒死病が流行し、黒死病で死んだ患者には釘を打って埋葬しており、埋葬した場所が記された地図をフレック氏は見つけていました。この時に病人の治療をしていた医師の名前はボラルスといいました。ボラルスは、ギーベルシュタインで黒死病が流行したのと同じ頃に街に現れました。ボラルスは、鍛冶屋に釘を作らせて、死者に釘を打ち込んで森の墓に埋め、墓がいっぱいになった頃に黒死病は街から消えていました。この話を聞いたキラ達は、ボラルスが黒死病を持ち込んだのではないかと推測します。フレック氏は、ボラルスが住んでいた森の中の家はまだ残っており、今はザムエル・ヴォルフという男が1人で住んでいると教えてくれます。
 キラ達4人は、地図に記された森の墓場へ向かいます。墓場は深く掘り返されており、溝が迷路を構成していました。溝に降り立った4人は、古い骨があちらこちらに露出しているのを見かけますが、頭部の骨だけ見当たりません。釘が額に打ち込まれた頭蓋骨は、カカシの頭として利用されたようです。そして墓場に複数のカカシが現れ、キラ達に少しずつ近寄ってきます。
 その頃、更に資料を調査していたフレック氏は、キラ達の役に立ちそうな情報を見つけ出します。それは、カカシを撃退する方法でした。フレック氏は、キラ達にこの情報を伝えに行こうとしますが、地下保管庫に3体の幽霊が現れ、フレック氏に迫ります。
 カカシは誰かが見ている所では動かず、誰も見ていないと動く、という性質がありました。キラ達は、カカシのこの性質を利用し、手分けしてカカシをにらみつけ動きを封じ、その隙に墓場を脱出します。キラ達は、ボラルスが住んでいた森の中の家へ向かいます。
 森の家に到着したキラ達が中を覗くと、納屋にヴォルフがいました。ヴォルフは、ロウソクに囲まれて、身動き1つせずに座り込んでいました。ヴォルフの前には鏡の破片が置いてあります。キラ達は納屋に入ってヴォルフに近付きますが、ヴォルフは全く反応しません。キラが鏡の破片を取り上げると、ヴォルフは叫び声を上げて暴れ出し、納屋から外へ出て行きます。ヴォルフは鏡を通してボラルスに支配されており、キラが鏡を取り上げた事で支配関係が切れたようです。キラ達がヴォルフの後を追おうと外を見ると、納屋は大量のカカシに囲まれていました。ヴォルフが一体のカカシに触れると、ヴォルフの身体は変化してカカシの姿となります。
 フレック氏は、幽霊に追い詰められていましたが、幽霊は唐突に消え去ります。これは、キラが鏡の破片を取り上げた事によるものでした。フレック氏は、一冊の本と、釘が収められた箱とを持って市役所を飛び出し、キラの家にやってきます。フレック氏は、カサンドラおばさんに車を出させると、急いでキラ達の元へ向かいます。
 納屋に閉じ込められたキラ達は、納屋に停められていたコンバインを動かします。キラ達はコンバインに乗って納屋から飛び出し、カカシの群れに突っ込みます。コンバインはカカシを巻き込んで破壊しながら前進しますが、カカシの包囲網を突破する前に、カカシの残骸を詰まらせて動きを止めます。キラ達がコンバインを降りて納屋へ逃げ帰ろうとしたとき、フレック氏及びカサンドラおばさんが乗る車が現れます。フレック氏は、カカシの群れを飛び越えるように釘の入った箱を投げ渡し、カカシに2本目の釘を打てば倒すことができると教えます。納屋へ戻ったキラ達は、納屋にあった電動釘打ち機に釘を装填し、カカシに向けて釘を発射します。2本目の釘が刺さったカカシは、砂煙を巻き上げながら崩れ去ります。しかしカカシの数は多く、全てのカカシに釘を打ち込む事は不可能です。
 キラ達は、カカシに追われ、納屋の2階へ逃げ込みます。2階には割れた鏡が落ちていました。この鏡の向こうにボラルスが潜んでいるようです。キラ達は、鏡を踏みつけて粉々に破壊します。これでボラルスの影響はなくなりましたが、カカシがいなくなった訳ではありません。カカシ達は、納屋に入り込み、キラ達を追って階段を上がって来ていました。
 フレック氏の呼びかけに応じて窓から外を見ると、カカシの姿はありません。カカシは全て納屋の中に入っていました。窓の横にはハシゴがあり、キラ達はハシゴを伝って下へ降り、納屋の外へ脱出します。カサンドラおばさんは車で納屋の周りを走り、同乗しているフレック氏はガソリンを撒きます。1周して戻ったカサンドラおばさんは、ライターでガソリンに火をつけ、納屋を燃やします。カカシ達は納屋と共に燃え尽きます。
 その後、フレック氏は保管庫から持ってきた本をキラ達に見せます。本には今回と同様の事件が17世紀に起きていた事が記されていました。この時にボラルスの企みをデーアという名の女性が阻止し、魔法でボラルスを鏡の中に閉じ込めたという事でした。キラは、デーアという女性に興味を持ちました。

 以上が、カイ・マイヤーさんの「七つの封印」第6巻「黒死病の悪霊」の物語です。
 始めはカカシ?と侮って読んでいましたが、大量のカカシに囲まれた事を想像すると、少し怖いかも。しゃべらない、動かないはずのカカシが、視線を外すといつの間にか近付いてくるという・・・。実写映画化しても面白いかもしれません。
 外伝の主人公デーアの名前がとうとう本編に登場しました。全10巻の本編も半分以上を消化し、いよいよラストへ向けて盛り上がって行きそうです。