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マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン 「ドラゴンランス 魂の戦争」第1部「堕ちた太陽の竜<中>」

 マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマンの「ドラゴンランス 魂の戦争」第1部「堕ちた太陽の竜」中巻です。
 ドラコンランスの新たなシリーズ「魂の戦争」。前作「夏の炎の竜」から38年後を描く今作は、これまで中心人物だったキャラモンの死、そして死んだはずのタッスルホッフの登場、たくさんの新キャラクタの登場と、なかなか物語についていくのが大変です。今のところは、シルヴァノシェイを中心とするシルヴァノシェイでの物語、ミーナを中心とするネラーカ騎士団の物語、タッスルホッフ及びジェラードを中心とするクオリネスティでの物語の3つに大きく分ける事が出来そうです。ミーナはシルヴァネスティを目指すようなので、今後はミーナ及びシルヴァノシェイの物語が合流する可能性が高そうです。また、ローラナ、ゴールドムーン、ダラマールなどの第一世代のキャラクタや、パリン、ギルサス、ウーシャなどの第二世代のキャラクタもまだ生きているようで、今後の登場が期待出来そうです。
 それでは以下、マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン「ドラゴンランス 魂の戦争」第1部「堕ちた太陽の竜<中>」のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 シルヴァノシェイは、キラースのローランと共にシルヴァネスティの首都シルヴァノストを目指していました。ローランの仲間達は、先行して王位継承権者シルヴァノシェイが現れたとの噂を国中に流しています。このためシルヴァノシェイは、旅の途中で人々に注目され、歓迎されます。
 首都シルヴァノストでは、実質的な権利を握っているレイル・コナル将軍が宴を開いていました。シルヴァノストにも既にシルヴァノシェイの噂は伝わっていました。コナル将軍は、魔術師のグローカスとこの噂について話し合います。グローカスは、シルヴァネスティに<シールドの樹>を植える事で、シルヴァネスティを囲むシールドを作り出した魔術師です。グローカスは、コナル将軍の助言者であり、エルフの中でも特に美しく、人々の人気を集める存在です。近年、この世界の魔法の力は弱まり続けており、コナル将軍はシールドが弱まっているのではと懸念しますが、グローカスはそれを否定し、シルヴァノシェイがシールドを突破したのは自分が入れたからだと話します。グローカスは、これまでコナル将軍の甥のキリンを評議長にするよう勧めていましたが、キリンは受け入れませんでした。グローカスは、シルヴァノシェイを評議長にしてコナル将軍が実質的に支配権を持つ事で政情不安も収まると話します。そしてグローカスは、自分をシルヴァノシェイの摂政に推薦するようコナル将軍に求めます。
 サンクションの近郊で待機しているネラーカ騎士団では、ミーナが<唯一神>の力で負傷者を治療し、ミーナの支持者は増加していました。ガルダー及び騎士達は、ミーナがミルズ卿からサンクション包囲戦を引き継ぎ、勝利へ導いて欲しいと考えていましたが、ミーナは、サンクションに関心はなく、より大きな武勲に導かれると話します。その後、<夜卿>タルゴンヌに報告へ向かったミルズ卿の部下ジェレクが戻ってきます。タルゴンヌからの命令書を受け取ったミルズ卿は自害します。ジェレクはミーナにもタルゴンヌからの命令書を渡し、命令書にはミーナによるシルヴァネスティの征服が命じられていました。ミーナは、志願者から精鋭500人を集めてシルヴァネスティ征服の部隊とし、残りをサンクション包囲の部隊とします。またタルゴンヌがサンクション包囲を引き継ぐよう命じていたドガー将軍に対して、シルヴァネスティへ向かうよう命じる偽の命令書を作り、ガルダーに命令書をドガー将軍に届ける事を命じます。
 タッスルホッフ及びジェラードは、クオリネスティの森の近くまでやってきます。しばらく進むと、この地域を支配している大緑竜ベリルが2人の頭上に現れます。ベリルは2人を観察して去って行きます。その後、2人はクオリネスティの国境となっている河に至り、河を渡る橋は暗黒騎士とエルフの警備兵に守られています。<混沌戦争>の後、暗黒騎士はベリルと手を結んでクオリネスティを支配しています。暗黒騎士に変装しているジェラードは、暗黒騎士団の魔法使いから秘宝を盗み出した罪で捕らえられたケンダーを護送していると言って警備兵を騙し、橋を渡る事に成功します。その後、ジェラードはクオリネスティの首都クオリノストの近くまで来て夜営をします。ジェラードが寝たふりをしていると、エルフ及びフードを被った人間が2人を襲います。捕まったジェラードがエルフに殺されそうになり、タッスルホッフはジェラードが暗黒騎士ではなくソラムニア騎士である事を話します。ジェラードの名を聞いた人間は、ジェラードの事を知っており、エルフを止めます。この人間は、ジェラード及びタッスルホッフを連れて行く事をエルフに命じます。
 その頃、クオリネスティの首都クオリノストでは仮面舞踏会が行われていました。仮面舞踏会は、タニス及びローラナの息子であるギルサスが<太陽の評議長>に就任して以降に定着した行事でした。クオリネスティの実権を握っているパルサイノン長官は、仮面舞踏会にギルサスの結婚相手の候補を集めていましたが、身体の弱いギルサスは早々に部屋へ戻ってしまいます。仮面舞踏会には、ネラーカ騎士団のメダン元帥も招待されていました。ネラーカ騎士団がクオリネスティを征服して以降、メダン元帥は厳格な統治を行っていますが、これは大緑竜ベリルからクオリネスティを守るためでもあり、メダン元帥はクオリネスティやエルフ達を好意的にみていました。ローラナがメダン元帥に話し掛け、2人は優雅な会話の中で、互いに牽制し合い、探り合いの駆け引きをします。メダン元帥はエルフの抵抗組織の活動を止めさせるべきと言い、ローラナは自分に関わりのないことだとしらを切ります。その頃、体調が良くないと自室へ戻ったギルサスは、従者のブランチェットに後を任せて、王宮を抜け出します。
 タッスルホッフ及びジェラードは、エルフ達によって洞穴に連れて来られます。エルフ達に命令していた人間は、被っていたフードを外して素顔を見せます。この人間はパリン・マジョーレでした。<混沌戦争>の後、パリンはソレースに<魔法学院>を開きました。しかしこの世界で魔法の力が衰え始め、大緑竜ベリル及びネラーカ騎士団の魔術師達が魔法の力の衰えを<魔法学院>の仕業と考え、<魔法学院>を襲撃してパリンを捕らえて拷問しました。その後にパリンは解放されますが、拷問で指はねじ曲がり、身体はやつれ果てていました。ジェラードは、キャラモンの死を告げると共に、クオリネスティへやってきた経緯を話します。パリンは、洞穴の奥へ進んでローラナの家へと移動し、ジェラードと共に捕らえたケンダーと対面します。パリン及びローラナは、ケンダーが本物のタッスルホッフである事に驚きます。
 パリンは、タッスルホッフが持つ魔道具が本物の時間航行装置である事を確認し、タッスルホッフに事情を聴きます。その昔にタッスルホッフは、キャラモンの葬式で演説するためにフィズバンから時間航行装置を借りて未来のキャラモンの葬式に参加しました。その時にタッスルホッフは葬式が終わった後に到着したため、演説ができませんでした。このときの葬式には、パリンや多くの仲間達が葬式に参加していました。このときのパリンは、白ローブの魔術師の長になっていました。葬式が終わってタッスルホッフは元の時代へ戻ります。その後に<混沌戦争>が起こり、巨人がタッスルホッフを踏み潰そうとしたとき、タッスルホッフは時間航行装置をもう一度使ってキャラモンの葬式が行われる未来へ飛びました。タッスルホッフが参加した二度目の葬式は一度目のものとは全く異なっていました。パリンは、タッスルホッフが一度目に訪れた平和な未来が、「そうなったかもしれない」未来の1つであり、どこかで未来が変わってしまったのだと考えます。パリンは、時間航行装置の事をもっとよく知るために、ダラマールに会う必要があると考えます。ダラマールは行方不明で生死不明でしたが、恋人だったイエンナなら何かを知っているのではとパリンは考えます。パリンは、生きている魔道具を使ってイエンナに連絡をとり、ソレースで落ち合う約束をします。ローラナはグリフォンに乗ってソレースまで行く事を提案し、パリン、タッスルホッフ及びジェラードの3人がソレースへ向かう事になります。
 大緑竜ベリルの元にエルフの密偵から情報が入ります。ローラナの家に隠れているパリンが魔法の秘宝を手に入れ、これを調べるためにグリフォンでソレースへ向かうという情報でした。ベリルは、メダン元帥にパリンを捕らえる命令を出すと共に、自らも何か手はずを整えます。
 クオリネスティから抜け出したギルサスは、パックス・タルカス砦に近いどぶドワーフが経営する<がぶがぶげっぷ>亭の地下室にいました。ここは、メダン元帥も手を焼いているエルフの抵抗組織カンサーリ団の隠れ家でした。抵抗組織のリーダーは雌獅子(ライオネス)と呼ばれる女戦士ケリアンで、ケリアンはギルサスの秘密の妻でもありました。ケリアンは、<野生エルフ>カゴネスティのエルフであり、クオリネスティのラシャス元老員議員の家の奴隷でした。ギルサスがラシャス元老員議員の家に幽閉されていたときに2人は知り合い、後に結婚しました。ただし、結婚を知っているのはローラナ及びブランチェットの2人だけです。隠れ家へやってきたギルサスに、ケリアンは、シルヴァネスティの近くでアルハナ軍とオーガー軍との戦闘があり、<スティール軍団>の救援で何とかアルハナは生き残りましたが、シルヴァノシェイが行方不明となっており、既に死亡しているとみなされているという情報を伝えます。ギルサスは、この隠れ家でトラヴァルディンのドワーフの王であるターン・ベロウグラナイトと面会します。ギルサスは、クオリネスティの人々をクオリネスティから脱出するためのトンネル作りをターン王に依頼しており、ターン王は既にクオリネスティの近くまで地下トンネルを掘り進めていました。ドワーフ達は、ウルカンと呼ばれる巨大なミミズのような生物を使ってトンネルを掘っており、あと二週間程度でトンネルは完成する予定でした。ターン王との会見が終わり、ギルサスは急いでクオリネスティへ戻り、朝にパルサイノン長官が訪れるギリギリのタイミングで自室のベッドに潜り込みます。
 シルヴァネスティでは、シルヴァノシェイの帰還は歓迎され、シルヴァノシェイが<星の評議長>に即位する事が決まっていました。そしてグローカスが摂政になることも決まっていました。シルヴァノシェイは、王の地位に酔いしれると共に、グローカスに心酔していました。即位式が行われる日の朝、コナル将軍の甥であり、シルヴァノシェイのいとこにあたるキリンがシルヴァノシェイを訪ねてきます。キリンはグローカスの事を警告しますが、シルヴァノシェイは聞き入れませんでした。コナル将軍及びグローカスは、シルヴァノシェイが扱い易い若者である事に安心していました。コナル将軍はシルヴァノシェイがシールドを突破した事を危惧していましたが、グローカスは王が必要という自分の無意識の願いにシールドが反応したのだと説明し、これ以後はシールドを突破する者はいないと保証します。
 サンクションを出てシルヴァネスティへ向かうミーナの軍勢の前に、1人の盲目の乞食が現れます。ミーナは軍勢を止めて、乞食と2人で話しをします。乞食はミーナの古い知り合いでした。ミーナはゴールドムーンに引き取られたみなしごでしたが、三年前にゴールドムーンの元を去りました。ミーナはその理由をゴールドムーンが自分の問いに答えてくれなかったからだと乞食に話します。乞食は、ミーナが深い闇を歩んでいると言います。ミーナは、<唯一神>の声を聞いたのだろうと乞食に問いますが、乞食は答えずに去って行きます。この乞食の正体は、ソロミラニウスという名前の<光の砦>を守護する銀竜でした。
 パリン、タッスルホッフ及びジェラードの3人は、ローラナの家を出ます。3人は、ローラナの配下の1人のエルフの案内で、ソレースへと運んでくれるグリフォンが待つ森へ向かいます。森に着くと案内役のエルフは、グリフォンの餌を探しに一行を離れ、3人は案内役が戻るのを待ちます。その頃、3人の近くには、メダン元帥が2人の配下を伴って待ち伏せしていました。エルフの案内役は、メダン元帥が送り込んだスパイでした。しばらくすると、パリン達から少し離れた場所にグリフォンがやってきます。しかし同時にパリン達はメダン元帥達の奇襲を受けます。ジェラードは、1人でその場に留まって暗黒騎士達と闘い、パリン及びタッスルホッフはその隙にグリフォンの元へ走ります。パリン及びタッスルホッフはグリフォンに乗り、飛び立ちます。ジェラードを助ける余裕はなく、一頭のドラゴンがグリフォンへ向かって来ます。グリフォンは巨大な雷雲に突入してドラゴンの追跡を何とか逃れます。ジェラードは、メダン元帥の配下2人を倒し、メダン元帥に迫りますが出血が多く、意識を失って倒れます。メダン元帥は、ジェラードの戦いぶりに感心し、傷の応急手当てをして馬に乗せ、連れて帰ります。
 ドラゴンの追撃を逃れたグリフォンは、ソレースへ到着します。パリン及びタッスルホッフは、ソレースの<魔法学院>跡で待っていたイエンナに再会します。パリン達は、ソレースにあるパリンの家へ向かいます。パリンの家には、旅から戻ったウーシャがいました。ウーシャは、パリンの妹とヘイヴンへ旅しており、苦労して戻ってきたところでした。久し振りの夫婦の再会でしたが、パリン及びウーシャは喧嘩し、ウーシャは家を出て<憩いの我が家>亭へ行ってしまいます。パリンは、イエンナにタッスルホッフ及び時間航行装置の事を話します。イエンナは、ダラマールが何かを探し求めており、その何かを見つけ出して姿を消したと考えていました。世間では、ダラマールはパランサスの<上位魔法の塔>を破壊して自殺したと噂されていましたが、イエンナはダラマールが生きていると考えていました。パリン及びイエンナは、タッスルホッフが持つ時間航行装置をダラマールに届けるのではなく、自分達で使用する事を決めます。
 パリンは、タッスルホッフに装置の使い方を教わり、時間航行装置を使って過去へ向かいます。パリンは<混沌戦争>まで遡り、更に昔へ遡ろうとしますが、<混沌戦争>より前の世界は無でした。元の時代へ戻ったパリンは、<混沌戦争>でカオスが倒される時点より過去が存在しなかった事をイエンナに話します。パリンは、この世界はカオスに踏みつぶされて死ぬはずのタッスルホッフが死ななかった事で生じた未来だと考えます。タッスルホッフが一回目に参加したキャラモンの葬式はタッスルホッフが死んだ未来であり、二回目に参加した葬式はタッスルホッフが死ななかった事で生じた未来だとパリンは考えます。タッスルホッフが死ななかった事でカオスは倒されず、カオスが神々を追放した結果が今の世界だとパリンは考えます。パリンの話から、このままではカオスに踏みつぶされる過去に連れ戻されると考えたタッスルホッフは、時間航行装置をこっそりと操作して、パリン及びイエンナの前から姿を消します。タッスルホッフに逃げられたパリンは、タッスルホッフがゴールドムーンに会いたがっていた事から、ゴールドムーンのいる<光の砦>へ逃げたと推測します。パリンは、タッスルホッフを追って<光の砦>へ向かう事を決意します。

 以上が、「ドラゴンランス 魂の戦争」第1部「堕ちた太陽の竜<中>」の物語です。
 上巻には登場しなかった懐かしのキャラクタ達が続々と登場しました。パリン、ウーシャ、ローラナ、ギルサス、イエンナなどなど。そしてこのシリーズから参戦の新キャラクタ達も続々と登場しています。シルヴァネスティにシールドを張った魔術師グローカス、ギルサスの秘密の妻ケリアン、クォリネスティを占領するネラーカ騎士団のメダン元帥などなど。この辺は後々まで物語に絡んできそうな重要人物になりそうです。
 上巻では重点的に描かれていたシルヴァノシェイ、ミーナは、中巻にはあまり登場せず、物語の進展は少なめでした。シルヴァノシェイはシルヴァネスティの評議長になり、既に魔術師グローカスの傀儡になりかけています。気になっていたアルハナ軍対オーガー軍の戦いの結果がサラッと記載されており、アルハナが生き残ったことが分かってホッとしました。ミーナが率いる軍勢はシルヴァネスティを目指して進軍中です。ミーナ軍対シルヴァネスティの戦いが早く始まるのを期待しているのですが、もう少し引っ張りそうな予感がします。
 タッスルホッフの方も無事にクォリネスティ入りしてパリンやローラナと再会できました。タッスルホッフが見た1回目のお葬式と2回目のお葬式との差が生じた原因も少しずつ明らかになってきています。タッスルホッフがカオスに踏みつぶされる直前に未来へ逃げたことで歴史が変わってしまったようです。この先の物語で、過去を変えて平和な未来を得るという展開はやめて欲しいと思っているのですが…。
 次の下巻で第1部は終了です。第2部、第3部と続くのですが。下巻では、ゴールドムーンの登場が期待できそうです。あとは、ミーナ軍がどこまでたどり着くか、ギルサスによる脱出計画は実行されるのか、当たりが注目点でしょうか。



 

マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン 「ドラゴンランス 魂の戦争」第1部「堕ちた太陽の竜<上>」

 マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマンの「ドラゴンランス 魂の戦争」は、ドラゴンランスシリーズの最も後の時代を描いた作品で、第1部~第3部の三部作で構成されています。ただし、第1部だけ上中下の三冊に分けられ、第2部及び第3部は一冊ずつという、やや偏った構成です。第1部の三冊は、後に一冊にまとめられたものが発売されていますが、近所の図書館にはなかったので、三分冊の上巻を借りました。
 「魂の戦争」は、「夏の炎の竜」で描かれた戦い(今作でこの戦いは<混沌戦争>と呼ばれています)から38年後の物語です。クリンから神々が去った後がどのような世界なのか。強大な敵を倒した後は平和な世界が訪れているのか。
 前作で主要な人物達が大勢死亡しており、更には38年も経過しているため、今作は登場人物がほぼ一新されています。ただし、エルフにはこの程度の年月はあまり関係なさそうですが。主に前作の子孫達が活躍するのだと思われます。
 それでは以下、マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン「ドラゴンランス 魂の戦争」第1部「堕ちた太陽の竜<上>」のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 かつてはネラーカの都があった<死の谷>と呼ばれる場所を暗黒騎士の一部隊が進んでいます。分隊長のエルンスト・マギット、副隊長のミノタウロスのガルダー、及びその部下達の部隊です。暗黒騎士達は、かつてのタキシス騎士団、神々が去った後はネラーカ騎士団と称する騎士団のものでした。ガルダーは、かつては有能な戦士でしたが、戦いで右腕を失い、今では斥候に甘んじています。無能なマギット分隊長は、皆の反対を無視してこの場所での夜営を命じます。夜営の準備を始めたとき、見たこともないほどの巨大な嵐がやってきます。マギット分隊長は雷に打たれて死亡し、嵐は強まるばかりです。この嵐の中を、1人の人物が悠然とガルダー達の方へ歩いてきます。この人物は、丸坊主の若者で、よく見ると少女でした。少女はミーナと名乗り、騎士になるのが自分の使命だと話します。そしてミーナは、ガルダーの失われた右腕を元に戻す奇跡を行い、自分が<唯一神>に仕える者だと話します。ただしミーナは、<唯一神>の名前を口にする事はできません。ガルダー達はミーナ及び<唯一神>に忠誠を誓います。ミーナは、自分の愛馬フォックスファイアに乗り、ガルダー達へサンクションへ向かう事を命じます。現在のサンクションはソラムニア騎士団のもので、ネラーカ騎士団が町を抱囲している状態でした。
 大嵐は、<死の谷>だけでなく、アンサロン大陸全土に被害をもたらしました。シャルシー島にあるゴールドムーンの<光の砦>、エルフ達の住むクオリネスティ、赤竜マリストリクスのねぐら<マリスの峰>、緑竜ベリリンスラノクスのねぐら、青竜ケレンドロスのねぐら、エルフ達の住むシルヴァネスティ、等々。
 シルヴァネスティの近くにある古墳には、元シルヴァネスティ王女のアルハナ・スターブリーズが率いる軍が駐屯していました。シルヴァネスティは魔法のシールドを張って外部からの侵入を拒絶しており、アルハナの軍によるシールドを突破する試みは何度も失敗していました。アルハナの夫であるポルシオスは別行動を取っていましたが、連絡が途絶えて生死不明でした。アルハナ及びポルシオスの1人息子シルヴァノシェイは、アルハナと行動を共にしています。<混沌戦争>の直後に産まれたシルヴァノシェイは、30歳を超えていますが、エルフ社会ではまだまだ子供扱いされ、その事に不満を抱いています。大嵐に乗じて、アルハナ達が避難している古墳にオーガーの軍勢が近付いていました。これを察知したアルハナの副官サマールは、近く砦にいる<スティール軍団>に援軍を要請すること、及びその使者をシルヴァノシェイに任せることを決めます。これはシルヴァノシェイを安全な場所へ遠ざける目的もありました。アルハナ軍が劣勢の中、シルヴァノシェイは<スティール軍団>の砦を目指して出発します。しかし街道は大嵐で倒れた樹木で塞がれており、シルヴァノシェイは迂回を余儀なくされます。迂回したシルヴァノシェイが崖縁を通ったとき、近くの木に落雷し、その衝撃でシルヴァノシェイは崖から落ち、意識を失います。
 大嵐が過ぎ去り、ソレースの町では復旧作業が始まります。80歳を超えたキャラモンは町の大長老的な存在として人々の信頼を得ています。<憩いの我が家>亭は、キャラモンの娘のローラが切り盛りしています。もう1人の娘デズラは、冒険好きで各地を回り、珍しい酒を買い付けて来ることもありました。ティカは数ヶ月前に亡くなっており、それ以後のキャラモンはティカの後を追う日を待ち望んでいるようでした。<混沌戦争>の後、ソレースには<最後の英雄たちの墓>と呼ばれる建物が建てられました。この建物の警護は、ソレースに駐留するソラムニア騎士団の騎士達が行っています。その騎士の1人、ジェラード・ウス=モンダールは、若いけれど醜い顔の男で、家が金持ちで父親が大金を払って安全なソレースに息子を配属させた事もあり、他の騎士達から軽蔑されています。ジェラードは、<憩いの我が家>亭の常連でキャラモンと顔馴染みでした。ジェラードが墓の警護任務に就いていたとき、墓の中から人の声が聞こえてきます。施錠されているはずの建物の中から出てきたのは1人のケンダーで、タッスルホッフ・バーフットと名乗ります。タッスルホッフは英雄の1人として有名で、ジェラードはケンダーの悪戯だと思います。タッスルホッフは、キャラモンのお葬式で追悼演説するためにやってきたと話します。キャラモンは生きており、それを聞いたタッスルホッフは、またしくじったと嘆きますが、今日が葬式の前日だと知って、キャラモンの元へ急ぎます。不法侵入したケンダーに逃げられたジェラードは、その後を追います。タッスルホッフは、<憩いの我が家>亭でキャラモンに再会し、追悼演説を聞かせます。追悼演説によれば、タッスルホッフは時間を遡る装置でここへ来たようですが、タッスルホッフが語る内容はこの世界の歴史と合わない部分が含まれています。タッスルホッフとの再会を喜んだキャラモンは、散歩へ行くと言って<憩いの我が家>亭を出た所で心臓を押さえて倒れ、階段から落下します。急いでキャラモンの元へ駆け付けたジェラードに、キャラモンはタッスルホッフをダラマールのところへ連れて行く事を頼み、ジェラードはこれを引き受けます。そしてキャラモンは、息を引き取ります。
 シルヴァノシェイは、崖下で意識を取り戻しますが、左腕を骨折していました。谷は木々が枯れて灰色の塵が積もる不毛の地でした。応急処置をしたシルヴァノシェイは、何とか崖を登って元の街道へ戻ろうとしますが、どうしても戻る事が出来ません。シルヴァノシェイは、自分がシルヴァネスティを囲むシールドの内側に入り込み、外に出れなくなっているのだと気付きます。絶望したシルヴァノシェイが母アルハナの名前を呟いたとき、近くに隠れていた3人のエルフが姿を見せます。エルフ達はシルヴァネスティのキラースという組織の者で、隊長ローランはシールドを抜けて外へ出る方法はないと話します。ローランは、シールドの内側では多くの者が衰弱の病で死んでいるけれど、<氏族長会議>はシールドを解こうとせず、人々も外界の脅威を恐れてシールドの存在を受け入れています。ポルシオス及びアルハナに会った事があるローランは、父母の面影のあるシルヴァノシェイが王子である事を信じ、シルヴァネスティを救うためにシルヴァノシェイが遣わされたのだたと考えます。ローランは、シルヴァネスティの首都シルヴァノストへ向かい王位継承権を主張するようシルヴァノシェイに提案します。シルヴァノシェイは、もう母はこの世にいないだろうと考え、母がシルヴァノシェイがシルヴァネスティの王座について過去の過ちを正すことを望んでいた事を思い出し、ローラン達と共にシルヴァノストへ向かう決心をします。
 ミーナを先頭に暗黒騎士達はサンクションへ向かっていました。途中で休息を取ったとき、ミーナはガルダーに武器の使い方を教えて欲しいと頼みます。ガルダーは、戦った事がないという事実に驚きながらも、モーニングスターと呼ばれる戦槌の使い方をミーナに教えます。ミーナは、すぐにガルダーと渡り合えるほどに上達します。戦闘訓練を終えたミーナは、再び暗黒騎士達を率いて出発します。
 キャラモンの葬儀が行われ、タッスルホッフは追悼演説を行います。タッスルホッフは、以前に追悼演説をし損ねたキャラモンの葬儀と、今回の葬儀とで様子が異なる事を不思議に思います。タッスルホッフが時間航行装置を使ってキャラモンの葬式に参加するのは二度目であり、一度目は遅刻して追悼演説ができませんでした。一度目の葬式では、世界は平和で、パリンや、ダラマールや、ゴールドムーン等々の昔の仲間達が大勢参加していましたが、二度目の葬式には誰も参加していませんでした。
 葬儀の後、ジェラードはタッスルホッフを連れて騎士団の駐屯地を訪れ、<盾騎士団長>のウォーレン卿に面会を求めます。ジェラードは、タッスルホッフをダラマールの元へ連れて行く事をキャラモンに頼まれたとウォーレン卿に相談します。騎士団の<典範>によれば、末期の願いは叶えるべしとあり、ウォーレン卿はジェラードがキャラモンの願いを叶える事に賛成します。しかしダラマールは行方不明でした。協議の結果、クォリネスティにいる魔法使いパリン・マジョーレに相談する事になります。しかしクォリネスティはネラーカ騎士団の支配下にあり、大部隊での移動は難しいため、ジェラード及びタッスルホッフの2人だけでクォリネスティへ向かう事になります。
 サンクションは、過去にタキシス騎士団が占有していましたが、<混沌戦争>後は有毒な噴煙で人が住めない場所となりました。ホーガン・バイトという謎の魔術師が大気を清めて人が住める場所に戻し、サンクションを立派な都市に成長させました。現在は、サンクションを狙うネラーカ騎士団が街を包囲し、ソラムニア騎士団が街の防衛に当たっています。ネラーカ騎士団は、サンクションの東にあるザカール谷に兵を集結させており、一大決戦が行われようとしています。ミーナが率いる騎士団は、決戦前にザカール谷に到着します。サンクションからは船でソラムニア騎士団が撤退していっており、ネラーカ騎士団は戦う前から勝利を確信しています。ミーナは、ネラーカ騎士団が雇った傭兵隊のサミュヴァル隊長を説得して傭兵隊を仲間に付けます。そしてネラーカ騎士団によるサンクションへの進軍が開始されますが、ミーナは配下達に待機を命じます。ネラーカ騎士団がサンクションへ近付くと、撤退したはずのソラムニア騎士団がサンクションから出撃してきます。これはソラムニア騎士団の罠で、撤退したように見せかけて攻撃のチャンスを待っていました。ネラーカ騎士団は混乱して敗走し、ソラムニア騎士団がそれを追い立ててネラーカ騎士団の騎士達を次々と倒していきます。後方で仲間達を待機させていたミーナは、サミュヴァルの傭兵隊に敗走する味方へ矢を放たせて敗走を止め、兵をまとめて反撃に転じます。ミーナを筆頭にネラーカ騎士団はソラムニア騎士団を押し返し、ソラムニア騎士団はサンクションへ撤退します。ネラーカ騎士団の騎士達はミーナの名を呼び、ミーナを支持します。サンクション攻略の指揮官であるミルズ卿及びその配下の騎士達は、その様子に怒りの視線を向けていました。
 シルヴァネスティは、コナル将軍が実権を握って軍政を敷いていました。魔法のシールドで覆われたシルヴァネスティでは、住民の半数近くが衰弱病で死亡していましたが、シールドを維持する方針でした。コナル将軍に逆らうものは、姿を消すのみでした。シルヴァノシェイが出会った3人のエルフのうち、ローランはシルヴァノシェイがアルハナの子供だと信じていましたが、残る2人は信用しておらず、<真視>の魔法で真偽を確かめる事を要求します。シルヴァノシェイはこの要求を受け、自分が本物である事を証明します。こうして残る2人もシルヴァノシェイに忠誠を誓います。シルヴァノシェイは、王位継承者として堂々とシルヴァノストへ入り、王位を得る事を計画します。シルヴァノストは、自分の計画が大丈夫だと信じて疑いませんでした。
 朝早くに起こされたタッスルホッフは、ジェラードにより手枷をはめられて、連れ出されます。ジェラードは、囚人の護送という名目でソレースを出ます。馬でソレースを離れてしばらくして、ジェラードが羽織っていたマントを脱ぐと、ジェラードは暗黒騎士の鎧を着ていました。ネラーカ騎士団が占領しているクォリネスティに入るための変装でした。初めは冒険をワクワクしていたタッスルホッフですが、ジェラードはタッスルホッフの話しを無視し続け、退屈し始めていました。
 <混沌戦争>の後にタキシス騎士団は<髑髏騎士>ミリエル・アブリーナが仕切っていましたが、<夜卿>モーラム・タルゴンヌがアブリーナを暗殺して実権を握りました。タルゴンヌは、騎士団をネラーカ騎士団へと改名し、ネラーカの北にあるジェレクに騎士団本部を置きました。タルゴンヌは、戦いには全く向かない人物でしたが、財力と心理操作力に優れた人物でした。サンクション攻略の司令官ミルズ卿の副官ロデリックがジェレクを訪れて、戦況をタルゴンヌに報告します。ロデリックは、ソラムニア騎士団の策略を破ってネラーカ騎士団が勝利し、ある下士官の反逆がなければサンクションを奪回できたと言い、その下士官ミーナが騎士達の人気を集めていると報告します。タルゴンヌは、この報告が嘘である事を見抜いており、ミーナをどのように扱うかを思案します。タルゴンヌは、巨竜マリストリクスから要請されていたシルヴァネスティ攻撃の任務をミーナ及び彼女を支持する騎士達に与える事を決めます。またタルゴンヌは、別の指揮官にサンクション攻略の指揮を引き継がせ、ミルズ卿は巨竜マリストリクスにサンクション攻略戦の報告をしに行くよう命じます。

 以上が、「ドラゴンランス 魂の戦争」第1部「堕ちた太陽の竜<上>」の物語です。
 前作から38年が経過している事もあり、これまでのキャラクタは死んでいるか、会話の中に名前が登場するくらいでした。その分、新たなキャラクタが沢山登場し、新時代の幕開けを印象づけています。特に、ミーナが目立っていました。彼女が何者なのか、彼女が信仰する<唯一神>とは何なのか、とても気になる謎です。今後はシルヴァネスティへ向かいそうで、シルヴァノシェイとの絡みに期待できそうです。
 旧キャラクタの中で、タッスルホッフだけは今作でも活躍しそうな気配を見せています。これは予想外でした。嬉しいような、嬉しくないような、微妙な気分です。おそらくは、作者のお気に入りキャラクタなのでしょうね。でも、時間を飛び越えて登場しており、歴史が異なる並行世界からやってきている節もあり、何だか少しややこしい存在になりそう。ファンタジーに時間移動とか並行世界とか入れると収集つかなくなりそうで、あまりこの設定は好きではありません。
 初期のキャラクタの中で今後登場しそうなのは誰でしょう?エルフのローラナはピンピンしているでしょうから登場してもおかしくはないですね。タッスルホッフ及びジェラードがクォリネスティへ向かっていることから、早目に登場するかもしれません。ゴールドムーンは人間なのでかなり年老いているはずですが、まだ生きているようです。リヴァーウインドは死んでいるようですが。レイストリンは、生きているのか死んでいるのかよく分かりませんが、登場してもおかしくはない、いえ登場して欲しいですね。
 今巻は、新しい登場人物の紹介と現在の世界状況の説明という感じで、まだまだ物語の発端です。今後、どのような事件が起こって、どのように完結するのか全く予想がつきません。ネラーカ騎士団を倒すのか、ドラゴンを倒すのか、それともラスボス的な存在が今後の物語で登場するのか。<唯一神>とやらがラスボスになる可能性も?
 早速、続きを読もうと思っています。




ケヴィン・スタイン 「ドラゴンランス序曲 レイストリンと兄」

 「ドラゴンランス序曲」シリーズの第3弾、「レイストリンと兄」です。これまでは上下巻と二冊構成でしたが、今作は一冊です。ただ、少し分厚い一冊です。
 タイトルから明らかですが、レイストリンとキャラモンを主役とした物語です。時系列的には、レイストリンの大審問が終わった後の冒険です。レイストリン及びキャラモンの他に、タッスルホッフの従兄イアーウィグが仲間になり、3人パーティーの構成となっています。どうしてこのシリーズは、ケンダーとかノームとかを仲間に入れたがるのでしょう。彼らなしでのシリアスな物語を読みたいものです。
 この本は、発行部数が少なかったのか、現在では五千円前後の高値取引されているレア本です。当然、購入は諦めました。ただ、私の住む市の図書館にこの本が所蔵されており、借りて読むことができました。ラッキーです。このシリーズの他の本は所蔵されていないのに、何故にこの本だけが所蔵されているのか不思議です。
 それでは以下、「ドラゴンランス序曲 ケンダー郷の秘宝」上巻のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 大審問を終えたレイストリン及びキャラモンは、ケンダーのイアーウィグを加えた3人で旅をしていました。その道中、メレクラールという街で人員募集しているという貼り紙を発見し、3人はメレクラールへ向かう事にします。その夜、3人が夜営していると、5人組の男達に襲われます。キャラモンの反撃でリーダー格の1人は逃げ、1人は捕らわれ、残りは倒されます。盗賊にしては不自然で、レイストリン達の命を狙っていたように思えます。捕らえた1人の男は、リーダー格の男に近くの<黒猫>亭という宿屋で雇われたと話します。イアーウィグは、リーダー格が落としていった猫のされこうべの形をした銀の護符を見つけ、これに鎖をつけて首に下げる事にします。レイストリン達は、メレクラールへ行く前に、<黒猫>亭に寄る事にします。
 <黒猫>亭は、普通の宿屋でしたが、客達は一様に暗い顔をしていました。メレクラール及びその周辺では、猫が守神として大切にされていますが、最近になって猫が姿を消し始め、その数が激減している事に人々は不安を感じていました。イアーウィグが宿屋の外へ散歩に出ると、3人の男達に囲まれます。男達はイアーウィグがしている猫の首飾りをどこで手に入れたかを問い、イアーウィグが思い出せないと答え、男達は姿を消します。
 メレクラールは、3つの巨大な壁に囲まれた三角形の街で、神々により作られ、<大変動>の後に人々が移り住んだとされています。メレクラールは、10の名家で構成された議会により運営されています。メレクラールでは、<眼祭り>が近付いていましたが、猫の失踪事件が暗い影を落としていました。ある夜、農政大臣のアルフレッド・ブランズウィック卿は、地中の秘密の通路を通ってある場所を目指していました。資産大臣のアルヴィン卿も、秘密の通路を通って同じ場所を目指していました。その他の7人の大臣も同様に、秘密の通路を通って同じ場所を目指していました。
 夜になり、<黒猫>亭からコッソリと1人の男が抜け出し、馬でメレクラールへ向かっていました。メレクラールに到着した男は、街の中心にある館を訪れ、館の女主人に会います。男は、<黒猫>亭にやってきた3人がメレクラールを目指しており、明日には到着する事を報告します。報告を聞いた女主人は、館の地下通路を通って洞窟内の広間へやってきます。そこには、アルヴィン卿を含む9人の大臣達が女主人シェイヴァスを待っていました。シェイヴァスは、消えた猫の謎を解くために3人の者がメレクラールにやってくることを告げ、この者達を雇う事が決まります。
 翌朝、レイストリン達は<黒猫>亭を出てメレクラールへ向かい、夜にはメレクラールに到着します。レイストリン達は、メレクラールの門を守る兵士達に街へ入ることを止められますが、1人の男が現れて兵士達に口添えし、街へ入ることを許されます。この男は、<黒猫>亭から馬でメレクラールへ向かった男でした。レイストリン達は巻物の筒を貰い、この巻物を所持しているとこの街で優遇されます。レイストリン達は、兵士達に紹介されたバーンストーク館という宿に入ります。
 イアーウィグは、メレクラールの街を探索し、酒場て揉め事が起こっているのを見かけます。揉め事を起こした男が酔っ払って店から出てきてイアーウィグの猫の首飾りに気付き、首飾りを奪おうと襲いかかってきます。イアーウィグは男を殴り倒し、酒場の店員のキャサリンに感謝され、気分良く宿に戻ってきます。
 次の日、レイストリン達は街を探索していると、この街の長であるシェイヴァス顧問官に出会い、夕食に招待されます。シェイヴァス顧問官の館は、三角形のメレクラールの街の中心にあり、レイストリン達はこの館を訪れます。シェイヴァス顧問官は、絶世の美女でした。シェイヴァス顧問官はレイストリン達に猫失踪の謎を解明する仕事を依頼し、レイストリンは回答を保留します。イアーウィグは、館を歩き回り、シェイヴァス顧問官の部屋で指輪を発見し、指にはめます。
 シェイヴァス顧問官が用意した馬車で宿に戻ったレイストリン達は、部屋で待ち構えていた刺客に襲われます。刺客の放った吹き矢はキャラモンを狙っていたようでしたがレイストリンがこれを防ぎ、刺客は逃げて行きます。イアーウィグは、刺客が残していった吹き矢を自分の小袋に収めます。吹き矢には猛毒が塗られていました。
 次の日、レイストリン達はもう一度シェイヴァス顧問官の館を訪ね、仕事を引き受ける事を告げます。その夜、レイストリン達はブランズウィック卿の館で開かれる大臣達の会合に参加する事になります。大臣達が続々と集まってくる中、時間になってもマニオン卿が現れません。マニオン卿を待つ間に、レイストリンはイアーウィグの指にある指輪に気付きます。指輪は魔法のもので、イアーウィグの指から外れませんでした。マニオン卿抜きで会合は始まり、カル卿がマニオン卿を探しに行きます。
 その頃、マニオン卿は会合の場所へ向かっていましたが、黒衣の男の襲撃を受け、殺されていました。
 会合では、レイストリン達を雇う事に決まります。1人で戻ってきたカル卿は、レイストリン達を会合から追い出して、大臣達で内密の話し合いをします。部屋の外から話しを聞いたレイストリンは、マニオン卿が殺された事を知ります。レイストリン達はマニオン卿の殺害現場へ向かいます。殺害現場で死亡したマニオン卿を見たイアーウィグは、以前に酒場で騒ぎを起こした後にイアーウィグから猫の首飾りを奪おうとした男だとレイストリンに話します。
 レイストリン達は宿に戻ります。レイストリンは、薬の小袋を殺害現場に落としてきたと言い、小袋を探しにイアーウィグを向かわせます。イアーウィグがいなくなった後、レイストリンは、イアーウィグ及び魔法の指輪を疑っていることをキャラモンに話します。またレイストリンは、シェイヴァス顧問官の館にある魔法の書を調べるため、シェイヴァス顧問官を誘い出すようキャラモンに頼みます。その後、戻ってきたイアーウィグは、シェイヴァス顧問官からキャラモンへ宛てた手紙を預かっていました。手紙はキャラモンを明日の夕食に誘う内容であり、レイストリン達はシェイヴァス顧問官が自分達の心を読んでいるかのように感じられました。
 次の日。レイストリン及びキャラモンは、イアーウィグと別行動を取り、一匹の黒猫に導かれて下水道へ入ります。下水道の先には、精神を失ったたくさんの猫達の身体が横たわっている部屋がありました。強力な力を持つ魔術師がこの事件の背後にいるようです。
 イアーウィグは、以前の酒場を訪れ、キャサリンと再開します。キャサリンは、マニオン卿が以前は普通の人だったけれど、猫の首飾りをつけた頃から人が変わってしまったと話します。イアーウィグは、キャサリンに出された酒を飲み、気を失います。
 その夜、キャラモンはシェイヴァス顧問官の誘いに乗って出掛け、翌朝まで帰ってきません。レイストリンは、シェイヴァス顧問官の館へ入り、書斎の書物を調べます。しかし、一冊の書物には魔法の罠が仕掛けられており、レイストリンは何とか罠を破る事ができます。翌朝、シェイヴァス顧問官が館に戻ったときには、レイストリンの姿はありませんでした。
 その頃、ブランズウィック卿は、巨大な猫に襲われて殺されていました。ブランズウィック卿も猫の首飾りをしていました。
 イアーウィグは気が付くと、どこかの地下室で鎖に繋がれていました。イアーウィグは、以前に拾っていた吹き矢を使って錠前を外し、部屋を抜け出します。
 レイストリンは、キャサリンと共に街を歩き、黒衣の男に出会います。男はバストと名乗り、去って行きます。その後、キャサリンという女性に出会います。キャサリンは、バストに命じられてイアーウィグを捕らえる協力をしたことを話します。バストがイアーウィグを連れて行った場所は、大昔にメレクラールで死んだ魔術師が使っていた岩屋だと思われます。キャサリンは、メレクラールの外にある岩屋の場所を教え、イアーウィグにごめんなさいと伝えるようレイストリンに頼みます。
 イアーウィグは、地下道をさまよい歩いていました。しばらくすると、魔法の指輪がイアーウィグに話し掛けてきます。
 レイストリン及びキャラモンは、教えられた岩屋へ向かいます。途中、バストが現れてレイストリン達に同行します。岩屋では魔術師の幽霊が現れ、レイストリンに助言を与えます。レイストリン及びキャラモンはしばらく気を失い、気付くとバストの姿はありません。レイストリン及びキャラモンは、急いでメレクラールの街へ戻ります。街は異様な雰囲気に包まれており、人々は殺気立って大臣達及びレイストリン達を探し回っています。レイストリンはシェイヴァス顧問官の館へ向かい、キャラモンはイアーウィグを探しに宿へ戻ります。レイストリンは、イアーウィグの指輪に気をつけるようにとキャラモンに注意します。
 その頃、大臣の1人であるレディ・マサクは、自分の館で何者かに殺されていました。
 レイストリンはシェイヴァス顧問官の館に到着し、シェイヴァス顧問官はレイストリンが来るのを待っていました。シェイヴァス顧問官は、<猫の王>が自分を含む10人の大臣を殺そうとしていると話し、<猫の王>を殺すようレイストリンに頼みます。
 キャラモンは宿でイアーウィグと再会しますが、いつもとは様子が違っています。イアーウィグは、キャラモンを連れてマニオン卿の館へやってきます。イアーウィグは、マニオン卿の館の庭にある隠し扉を発見し、隠し通路へと入ります。キャラモンがイアーウィグの後を追うと、イアーウィグはキャラモンに吹き矢を刺します。この吹き矢は、以前にキャラモンを殺そうとした刺客が放ったもので、猛毒が塗られています。イアーウィグは、魔法の指輪に操られていました。キャラモンは毒の影響で倒れますが、死には至りませんでした。イアーウィグは、監禁された時に吹き矢を鍵開けに使っており、このときに毒が吹き矢から落ちてしまったようです。キャラモンは反撃してイアーウィグの指輪を抜き取り、イアーウィグは正気に戻ります。
 シェイヴァス顧問官の館を出たレイストリンは、<猫の王>バストと大臣達とが戦っている場所へやってきます。レイストリンは、<猫の王>に味方し、大臣達を倒します。<猫の王>は、9人の大臣達の正体はデーモンであり、本物の大臣達を殺して入れ替わってたと話します。そしてシェイヴァス顧問官は、暗黒の女王タキシスの復活を目指しており、9人のデーモンを従えていました。
 レイストリン及びバストは、キャラモン及びイアーウィグと合流します。バスト、キャラモン及びイアーウィグは、タキシス復活の門が開くのを阻止するため、<奈落>にあるもう一つのメレクラールの街へ行き、<暗黒の女王>の神殿を破壊しに向かいます。レイストリンは、シェイヴァスとの決着を付けに行きます。
 レイストリンは、戦いの前に宿に戻り、薬の調合を行います。レイストリンがシェイヴァスの館にやって来ると扉は独りでに開き、レイストリンは館の中へ入ります。レイストリンは、食器棚でブランデーの瓶を取り、調合した薬を入れます。シェイヴァスが現れ、自分がメレクラールの初代顧問官であり、最後の顧問官だと話します。レイストリンは、ブランデーを杯についで乾杯し、2人はブランデーを飲みます。シェイヴァスは、レイストリンに<暗黒の女王>との同盟を叶えると提案します。
 デーモン達が闊歩する<奈落>のメレクラールで、キャラモン及びイアーウィグは神殿に何とかたどり着きます。バストは、神殿の手前で去って行きます。バストは、猫の軍勢を率いて魔物との戦いに挑みます。神殿に入ったキャラモン及びイアーウィグは、祭壇を見つけ出し、祭壇の中にあった黒い筒を破壊します。中には金の指輪が入っており、イアーウィグに「お望みは?」と話し掛けてきます。イアーウィグが指輪をはめると、キャラモン及びイアーウィグは元の世界に戻ってきます。
 レイストリンは、<暗黒の女王>と手を結ぶ気はないと、シェイヴァスの提案を断ります。シェイヴァスはレイストリンを殺そうと黒い稲妻を召喚しますが、制御する事が出来ず、自滅します。レイストリンがブランデーに入れた毒の効果でした。
 今回の事件は、メレクラールを守る猫を排除して<暗黒の女王>をこの世界に復活させる扉を開こうとするシェイヴァスの陰謀でした。シェイヴァスの正体はリッチ(死王)でした。
 事件が解決し、イアーウィグはキャサリンと2人で旅に出ます。レイストリン及びキャラモンは、元の2人旅に戻りました。

 以上が、「ドラゴンランス序曲 レイストリンと兄」の物語です。
 最初の1/3くらいまでは面白かったのですが、それ以降はイマイチでした。物語がほぼメレクラールという1つの街の中に限定されており、ミステリーっぽい味付けがなされた物語で、アイデアは良かったのですが、作者の力量がアイデアに追い付いていませんでした。事件の真相を秘密にしようとし過ぎて、読んでいて意味不明な展開ばかりが続きます。後半はかなり眠気を誘う内容でした。プレミア価格で購入する価値はないです。
 「ドラゴンランス序曲」シリーズは、全部で6作品と予告されていましたが、この3作目で終わってしまったようです。日本で翻訳されなかっただけなのか、海外でも出版されなかったのかは不明ですが、これまでの3作品の内容から考えて、シリーズ打ち切りとなっても仕方ないかなと思ってしまいます。やはり、短編ならまだしも、長編作品を本編とは別の作者が書くというのは難しいのでしょう。
 これで「ドラゴンランス序曲」シリーズは終わりです。次は、「ドラゴンランス 魂の戦争」シリーズを読もうと思っています。時系列的に、最も後の物語のようです。作者は本家の「マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン」なので、期待大です。


メアリー・カーカフ 「ドラゴンランス序曲 ケンダー郷の秘宝」 下巻

 「ドラゴンランス序曲」シリーズの第2弾、「ケンダー郷の秘宝」の続きです。
 上巻は、タッスルホッフがドワーフのギゼラ及び人間のウッドロウと共にケンダー郷へ向かう旅の途中で、ドワーフの村の祭に参加し、ノームが作った回転木馬の木彫りドラゴンにタッスルホッフが乗ると、木彫りドラゴンが動き出した、という所で終わりました。
 また、ケンダー郷では、タッスルホッフの叔父トラップスプリンガー及び人間のフィニアスが、タッスルホッフの婚約者ダマリスを探して<廃墟>にやってきました。
 下巻はこの続きからです。
 それでは以下、「ドラゴンランス序曲 ケンダー郷の秘宝」下巻のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 <廃墟>で一夜を明かしたトラップスプリンガー及びフィニアスは、家出したダマリスを探して<廃墟>を探索します。この<廃墟>は、<大変動>の前には<上位魔法の塔>があった都市でした。<上位魔法の塔>は今では使われていませんが、周囲には森が張り巡らされ、塔を守っています。トラップスプリンガー及びフィニアスは、この森で探していたダマリスに出会いますが、この塔を住処にしているオーガーのヴィンシントに捕まってしまいます。ヴィンシントは、トラップスプリンガー達に危害を加えるつもりはありませんが、話し相手としてトラップスプリンガー達を塔から出そうとはしません。トラップスプリンガー達は、塔の外の物音を調べにヴィンシントが出て行った隙に、塔の上の階へ逃げます。トラップスプリンガー達は塔の最上階の部屋に入り、部屋の中で発見したレバーをダマリスが操作すると、部屋の中に靄が発生します。トラップスプリンガー及びダマリスが靄に飛び込み、フィニアスもそれに続きます。
 回転木馬の木彫りドラゴンが動き出し、タッスルホッフを乗せたまま飛び上がります。ウッドロウはとっさにドラゴンの尻尾にしがみつきます。ドラゴンは、ドワーフの村から飛び出し、山奥の断崖の中腹に建てられた城塞までタッスルホッフ及びウッドロウを連れて来た後、木彫りドラゴンに戻ります。城塞では1人のノーム、リッグが2人を出迎えます。しばらくすると、ドワーフの村で回転木馬を操作していたノーム、ボズディルが現れます。この2人のノームは兄弟であり、色々な標本を集める事を生涯の課題としていました。2人は、ケンダーの標本を作るためにタッスルホッフをここへ連れてきました。タッスルホッフ及びウッドロウは逃げ出し、城塞の中で閉じ込められている毛長マンモスに出会います。毛長マンモスは人間の言葉を話す事ができ、ウィニーと名乗ります。ウィニーは、子供の頃にリッグ及びボズディルに捕まり、大きくなったら標本にするためにここで育てられていました。タッスルホッフは、ウィニーを連れてここから脱出する方法を考えます。
 一方、ドワーフの村では、ドラゴンと共にタッスルホッフ及びウッドロウが飛んで行ってしまうのを目撃したギゼラが途方に暮れていました。1人の男がギゼラに話し掛けてきます。男はデンジルと名乗り、ドラゴンと共に飛んで行った2人の追跡に協力するとギゼラに言います。ギゼラは、デンジルと共に、2人が飛んで行った山を目指して出発します。
 タッスルホッフ及びウッドロウはウィニーに乗り、ウィニーは城塞を破壊しながら外へ脱出します。ウィニーはそのまま山を下ります。ちょうどその頃、山のふもとにはギゼラ及びデンジルがたどり着いていました。デンジルは、タッスルホッフ達が山を下りてくるのを見ると、石弓を構えてタッスルホッフ達に狙いを定めます。ギゼラはデンジルの行為を阻止しようとして、石弓で撃たれます。タッスルホッフ達もギゼラ達に気付き、ギゼラが撃たれた事を知ります。タッスルホッフ及びウィニーがデンジルと戦い、ウッドロウがギゼラの元へ向かいます。しかしギゼラは死亡していました。ウッドロウはギゼラの短剣を手に戦いに加わり、デンジルを短剣で刺し倒します。タッスルホッフ達は、ギゼラの遺体を回収して、その場を去ります。タッスルホッフ達はデンジルが死んだと思いましたが、デンジルは死んではいませんでした。
 靄を抜けたトラップスプリンガー、フィニアス及びダマリスは、家や木々なと全てがお菓子で出来た世界に出ます。ここには丸々と太ったケンダー達が住んでおり、この世界を作ったハークル・ゲルフィグというケンダーの名前から、この世界はゲルフィグバーグと呼ばれています。この世界では、時間に歪みが生じているようで、様々な時代からやってきたケンダー達が住み着いていました。ゲルフィグが最初にこの世界に来たとき、世界には何もありませんでした。この世界でゲルフィグは、見えない箱を発見し、箱の中から首飾りを手に入れました。首飾りはゲルフィグが望むものをこの世界に出現させる力がありました。ゲルフィグは、この首飾りを使って、お菓子の世界を作り上げました。フィニアスはこの首飾りがケンダー郷の宝だと考え、ゲルフィグに首飾りを見せてもらいますが、首飾りの魔力は使い果たされていました。ゲルフィグは、外のせかからゲルフィグバーグに入る事は出来るが、ゲルフィグバーグから外へ出る方法がない事を話します。
 ギゼラを埋葬した後、タッスルホッフ達は港町クリ・カーンにやってきます。ウィニーはマンモスの仲間達が住む南方へ向かう事を決め、タッスルホッフ及びウッドロウと別れます。タッスルホッフ及びウッドロウは、ケンダー郷を目指す事を決め、ケンダー郷の近くのバリフォール港まで船に乗って行く事にします。タッスルホッフ達はバリフォール港行きの船に乗り込みますが、この船に死んだと思っていたデンジルが乗り込んできます。タッスルホッフ及びウッドロウは、デンジルに気付かれる前に船から飛び降り、この船に繋がれていたゴミ運搬用のはしけに身を隠します。船は出港し、はしけも船に引かれて海を進みます。しかし、はしけは海の真ん中で切り離され、タッスルホッフ達は海の真ん中で取り残されてしまいます。その後、2人はミノタウロスの船に救出され、バリフォール港の近くまで運ばれます。ミノタウロスの船はバリフォール港へは行かず、2人は樽を与えられて、港近くの海に放り出されます。しばらくして、2人は近くを通った船に救出されますが、この船は最初に2人が飛び降りた船でした。デンジルは、救出される2人をしっかりと目撃していました。
 船はバリフォール港に到着し、デンジルは姿を消します。タッスルホッフ及びウッドロウが油断して港街を歩いていると、デンジルに襲われます。デンジルは、ウッドロウを殴り倒し、タッスルホッフを捕まえて馬に乗せ、去って行きます。デンジルは、タッスルホッフの持ち物を調べますが、欲しているケンダー郷の半分の地図は見当たりません。タッスルホッフは、この地図を誰かにあげてしまっていましたが、地図には塔が描かれていた事を覚えていました。デンジルは、タッスルホッフを馬に縛り付け、塔があるケンダー郷の東の<廃墟>へ向かいます。<廃墟>へ到着し、デンジルは、タッスルホッフを連れて塔の周りの森に入ります。ここでデンジルは、タッスルホッフを殺そうとしますが、オーガーのヴィンシントに阻止され、タッスルホッフ及びデンジルはヴィンシントに捕まります。ヴィンシントはタッスルホッフ及びデンジルを塔に閉じ込めます。タッスルホッフは、ヴィンシントが食べ物を探しに塔を出た隙に、塔の上部を調べに行きます。タッスルホッフは、塔の最上階の部屋に入り、レバーを発見します。タッスルホッフがレバーを操作すると、部屋の中に靄が発生します。そのとき、タッスルホッフの後を付けてきたデンジルが現れます。タッスルホッフは、デンジルから逃げようと、靄に飛び込みます。
 <奈落>にいる<暗黒の女王>は、クリンにある<上位魔法の塔>の1つで魔法の門が開こうとしているのを感じます。<暗黒の女王>は、この門を通って物質界へ行く事を考えます。
 靄に飛び込んだタッスルホッフをデンジルは捕まえます。タッスルホッフは、上半身が靄の中に、下半身が塔の部屋にあります。タッスルホッフの上半身はゲルフィグバーグに現れ、トラップスプリンガーと再会します。ゲルフィグバーグにいるトラップスプリンガー及びケンダー達はタッスルホッフの上半身を引っ張り、デンジルはタッスルホッフの下半身を引っ張ります。引っ張り合いは均衡を保ちますが、ヴィンシントが現れてデンジルを引っ張った事で、タッスルホッフは塔の部屋に戻ってきます。更にタッスルホッフを引っ張っていたトラップスプリンガー、フィニアス、ダマリス及びケンダー達も塔の部屋に戻る事ができます。デンジルは、宝を求めて靄の中に飛び込みます。その後、<暗黒の女王>がこの靄を通してクリンへの侵入を試みますが、ダマリスが塔の部屋のレバーを破壊したため靄は消失し、<暗黒の女王>の侵入は阻止されます。<暗黒の女王>は、ケンダーへの報復のため、クリンの天候を操作します。
 タッスルホッフ達は、オーガーのヴィンシントも誘って、ケンダー郷へ戻る事にします。しかし、タッスルホッフ達が塔を出てみると、外は暴風雨と雷で荒れた天候になっていました。タッスルホッフ達が何とかケンダー郷に帰ってくると、ケンダー郷は大火事に包まれていました。タッスルホッフ達は、大火事を消す方法を考えます。その中で、タッスルホッフは、彼を追ってケンダー郷にやってきたウッドロウと再会します。タッスルホッフは、ケンダー郷のケンダー達と協力し、使われていない吸水塔の水を利用して大火事を食い止める事に成功します。
 その後、共に冒険したことで意気投合したトラップスプリンガー及びダマリスが結婚します。これにより、タッスルホッフは結婚の義務から免れました。

 以上が、「ドラゴンランス序曲 ケンダー郷の秘宝」下巻の物語です。
 上巻は地に足の着いた冒険が描かれていましたが、下巻はおとぎ話的というか、やや強引な展開でした。個人的には上巻の雰囲気が好きですが、それだけでは地味になってしまうでしょうから、この下巻くらいのあんばいがちょうどいいのかもしれません。いずれせよ、上下巻共に楽しめました。
 物語としては、まさか<暗黒の女王>様が登場するとは思わなかったので、びっくりでした。この<上位魔法の塔>のレバーを修理すれば、<暗黒の女王>をクリンに呼ぶ事ができるかも。レイストリンに教えてあげたいですね。
 ギゼラの死がかなり唐突でした。物語の展開として邪魔になったのでしょうか・・・。殺すには惜しいキャラクタだと思うのですが。女性のドワーフってあまり登場しませんからね。
 「ドラゴンランス序曲」シリーズの次回作は、レイストリン&キャラモンの物語です。これが今では五千円前後で取引されるレア本なんですよね・・・。


メアリー・カーカフ 「ドラゴンランス序曲 ケンダー郷の秘宝」 上巻

 「ドラゴンランス序曲」シリーズの第2弾、「ケンダー郷の秘宝」です。第1第「闇と光」と同じく、第2弾「ケンダー郷の秘宝」は上下巻の2冊で構成されています。今回はその上巻です。
 「ドラゴンランス序曲」は、「ドラゴンランス」第1巻より前の5年間を物語の舞台とし、主要メンバーが「ドラゴンランス」第1巻で合流する前の冒険を描いています。第1弾「闇と光」はスターム及びキティアラの冒険でした。第2弾「ケンダー郷の秘宝」は、タイトルから明らかですが、タッスルホッフの冒険が描かれます。
 第1弾「闇と光」は、スターム及びキティアラが主人公という事で、期待して読んだのですが、残念ながら期待外れでした。これは恐らくは作者の技量の問題だったのではないかと思っています。第2弾「ケンダー郷の秘宝」の作者は、メアリー・カーカフさんで、第1弾とは別の作者です。ただし、「ドラゴンランス」シリーズの作者 マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマンとも別の作者なので、安心していいものかはわかりませんが。
 それでは以下、「ドラゴンランス序曲 ケンダー郷の秘宝」上巻のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 スターム及びキティアラと、キャラモン及びレイストリンとが旅立った後、ソレースにはタニス、フリント及びタッスルホッフが残っていました。3人が<憩いの我が家>亭で酒を飲んでいると、派手な服装のドワーフの女性、ギゼラ・ホーンスレイガーが店に入ってきます。ギゼラは、タッスルホッフを探してソレースにやってきました。ケンダーの社会では、生まれすぐに結婚相手が決められ、35歳になったら結婚しなければならないという法律がありました。タッスルホッフは、ケンダー達が住む「ケンダー郷」を出て以降、戻っておらず、この法律を破っていました。ギゼラは、商売でケンダー郷へ行く目的があり、ついでにタッスルホッフに掛けられた賞金を手に入れようと考えていました。ギゼラは、ケンダー郷の議会がタッスルホッフの叔父のトラップスプリンガーを身代わりに囚人として捕らえていると話します。タッスルホッフは、トラップスプリンガー叔父さんを救うため、ギゼラと共にケンダー郷へ戻る事を決めます。
 ギゼラは、商売品を詰め込んだ立派な馬車を持ち、人間の青年ウッドロウを従者として雇っています。ギゼラは、ケンダー郷で売るためのメロンを馬車に積んでおり、メロンが熟しきる前にケンダー郷に着きたいと考えていました。タッスルホッフは、自分が持っていた地図を取り出し、ソレースからケンダー郷への最短ルートを提案します。ギゼラは、このルートでケンダー郷を目指す事にします。しかし、タッスルホッフが持っていた地図は、<大変動>以前のものでした。タッスルホッフ達が進んでいた道は途中で途切れ、<大変動>後にできた海に出てしまいます。
 フィニアス・キューリックは、ケンダー郷で医院を開いている人間の男性ですが、本当は医療の知識を全く持たないやぶ医者でした。フィニアスの医院に、トラップスプリンガー・ファーフットというケンダーの男性がやってきます。トラップスプリンガーは、骨を集めており、ケンダーの議会にミノタウロスの指の骨を取り上げられたとフィニアスに相談します。フィニアスは、ネズミの骨をミノタウロスの骨と偽ってトラップスプリンガーに渡し、お礼に古い羊皮紙を貰います。トラップスプリンガーは、議会によって刑務所に入れられていること、甥が長官の娘と結婚することなどを話し、去って行きます。フィニアスは、トラップスプリンガーから貰った羊皮紙を銀行券だと思っていましたが、確認してみるとケンダー郷の地図でした。地図には「宝」の文字が記されていましたが、この地図は半分に千切られており、宝の在処はもう一方の半分に記されているようです。フィニアスは、地図のもう半分を手に入れるため、トラップスプリンガーの行方を探そうとします。フィニアスは、ケンダー郷の長官がトラップスプリンガーの行方を知っていると考え、ケンダー郷の市庁舎を訪れます。マールドン・メットウィンガー長官は、トラップスプリンガーの甥と自分の娘ダマリスとが許婚で、甥が結婚を遅らせているから賞金稼ぎを差し向けて、トラップスプリンガーを刑務所に閉じ込めたと話します。フィニアスは、刑務所が宮殿にあると長官から聞き出し、宮殿へ向かいます。
 海に面した崖の上でタッスルホッフ達が途方に暮れていると、どぶドワーフの一団が現れます。どぶドワーフのフォンデュは、ノームが作った崖を降りるための滑車装置と、海を渡るための船がある事を話します。タッスルホッフ達は、どぶドワーフ達の協力を得て、滑車装置を使って馬車を崖から降ろします。しかし、途中でバランスを崩し、馬車の積み荷は海にバラまかれて売り物にならなくなってしまいます。崖を降りたタッスルホッフ達及びどぶドワーフ達は、船に乗り込み、ケンダー郷を目指して出航します。しかし、途中で嵐に合い、船は転覆します。海に投げ出されたタッスルホッフ達は、かろうじて浮いている馬車にしがみつき、前方に見える陸地を目指して泳ぎます。
 フィニアスは、ケンダー郷を迷い歩き、何とか宮殿にたどり着きます。宮殿は豪華な建物で、トラップスプリンガーはここで悠々と暮らしていました。フィニアスは残り半分の地図について尋ねますが、トラップスプリンガーはこれを持っていませんでした。トラップスプリンガーは、何年か前に地図を甥のタッスルホッフにあげたと言います。タッスルホッフはしばらくすればケンダー郷に帰ってくるはずでしたが、そこへタッスルホッフの婚約者であるダマリスが家出したと連絡が入ります。これでタッスルホッフは結婚の義務がなくなり、ケンダー郷に戻る必要はなくなりました。それを知ったフィニアスは、ダマリスを連れ戻そうと決意し、トラップスプリンガーと共にダマリスが向かった<廃墟>へ行くことになります。フィニアスは、旅の準備のために自宅へ戻ります。
 フィニアスが自宅の医院に戻ると、1人の怪我をした人間の男性、デンジルが医院にやってきます。デンジルは、たちの悪い人相の男で、腹部に刀傷があり、ひどい出血でした。外科の知識は皆無のフィニアスは、何とか傷の手当てをします。フィニアスがデンジルの手当てをして休ませた後、トラップスプリンガーが医院にやってきます。フィニアス及びトラップスプリンガーが話している間、デンジルはフィニアスの荷物にあった半分の地図を盗み見し、2人の会話から地図のもう半分は、ソレースからケンダー郷へ帰ってくるタッスルホッフというという名のケンダーが持っている事を知ります。デンジルは、コッソリと医院を抜け出し、タッスルホッフという名前のケンダーを探す旅に出ます。
 フィニアス及びトラップスプリンガーは、ダマリスが家出したという<廃墟>にやってきます。そこは、フィニアスが想像していたものより、かなり広大な廃墟でした。2人は夜営して明日からの冒険に備えます。
 何とか海を泳いで陸地にたどり着いたタッスルホッフ達は、ドワーフの集団に出会います。タッスルホッフがフリントの友人である事を知ったドワーフのクラコルド男爵は、タッスルホッフ達を自分達の村ロスロヴィッゲンに招待します。村ではちょうど<十月祭>が行われており、男爵邸に泊めてもらったタッスルホッフ達は、祭に繰り出します。ギゼラが商品になりそうなものの仕入れを行っている間、タッスルホッフ及びウッドロウは、ノームが作った回転木馬に乗る事にします。タッスルホッフは木彫りのドラゴンに跨がり、ウッドロウは木彫りのケンタウロスに跨がり、回転木馬は回転し始めます。すると、木彫りのはずのドラゴンが本物のドラゴンに変わり、動き始めます。

 以上が、「ドラゴンランス序曲 ケンダー郷の秘宝」上巻の物語です。
 ケンダーの物語なので、シリアスな展開は望めません。ケンダー達に翻弄される人間のフィニアス、タッスルホッフに翻弄されるギゼラ及びウッドロウという、まぁ予想通りの物語でした。ただし、面白くない、という訳ではなく、結構楽しめています。
 内容には大差ないと思える「闇と光」は、読んでいて眠たくなる、読破するのに苦労する作品でした。「ケンダー郷の秘宝」は、楽しく読めて、あっと言う間に上巻を読み終えました。恐らくは、作者の力量の差ではないかと思います。
 物語はまだまだこれからです。タッスルホッフはケンダー郷に着いてもいません。下巻の物語が楽しみです。