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永井豪 「幻選短編集 豪画沙」 下巻

 永井豪さんの「幻選短編集 豪画沙」下巻は、上巻と同じ2017年11月に発売されています。
 下巻には、4つの作品が収録されています。正直なところどれも、う~んな作品です。
 それでは以下、永井豪さんの「幻選短編集 豪画沙」下巻に収録された作品のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

<バイオレンスジャック 戦国真人伝>
 暴走族が走る道路を身長3メートル近い大男が横切ります。暴走族がバイクを止めて大男を見ていると地震が起こります。
 小さな村に戦をする侍達がなだれ込んで来ます。村は戦場と化し、村人達は必死で逃げます。幼い姉弟が村から逃げようとしたとき、地震が起こり、目の前の空間が渦巻き、渦の中からバイクの集団が飛び出し、先頭のバイクの一台に弟が跳ねられてしまいます。後続のバイクに乗っていた稲円及び朔夜が救急車を呼ぼうとしますが、携帯電話は通じません。
 走り去った暴走族達は、侍達の戦場にでますが、映画のロケだと思ってそれを眺めます。すると騎馬軍団が暴走族達に向かって来ます。騎馬軍団は暴走族の先頭の2人を斬り殺し、暴走族達はバイクで逃げ、騎馬軍団はそれを追います。仲間が侍に殺されるのを見た稲円及び朔夜も逃げようとしますが、そこへ大男が現れます。暴走族を追ってきた騎馬軍団の前に大男が立ちはだかり、大男の迫力に負けて騎馬軍団は引き返して行きます。
 城へ戻った侍達は、大将である斬牙に、この世の物でない乗り物に載った集団と巨人の事を報告します。斬牙の部下の雷矢は「追跡者」かもしれないと言い、斬牙は追跡者なら破壊しなければならないと決断します。
 侍達がいなくなった村では、殺された村人達の埋葬が行われていました。暴走族達は集まって相談していました。稲円は、タイムスリップで過去に飛ばされたと推測し、帰れる見込みがない以上、この世界で生き残る術を考えなければならないと主張します。そこへ村人達がやってきて、礼を言います。村人達は、侍達と戦う事を決意しており、暴走族達に力を貸して欲しいと頼みます。稲円は、未来の知識と、大男の力とがあれば侍達に勝てると考え、村人達と共に侍達と戦う事を決めます。暴走族の仲間達のほとんどは稲円に賛同しますが、2人だけは侍達の側につく方が有利と考えてバイクで逃げます。
 稲円達は、侍達の死体から奪った剣や鎧で武装します。稲円は、大男にも武器が必要かを尋ねます。大男は、自前の武器として見たこともない巨大なジャックナイフを見せ、この武器のせいでバイオレンスジャックと呼ばれていると話します。稲円達は、村人達と協力して村を柵で囲い、侍達の襲来に備えます。
 その頃、侍達の元へやってきた暴走族の2人は、村人達が反撃の準備をしている事を告げ、仲間に入れて欲しいと頼みます。しかし侍は、2人の首をはねます。
 翌朝、騎馬武者を先頭に侍達が村へ襲いかかって来ます。稲円は柵で囲まれた村に敵を引き付けて戦おうと考えていましたが、バイオレンスジャックは村から出て1人で戦い始めます。バイオレンスジャックは敵を次々と倒し、これを見た暴走族及び村人達も、稲円の制止を無視して、村を飛び出して戦いに加わります。結局、村に残ったのは稲円と朔夜の2人だけでした。しばらくして2人は、バイクに乗って戦場へ様子を見に行きます。戦場は死体の山が築かれ、暴走族も村人達も皆死亡していました。
 稲円及び朔夜は、敵である侍の死体の中に、アンドロイドが混ざっている事に気付きます。稲円は、自分達のタイムスリップの原因が、このアンドロイド達にあると考え、更に先を目指します。そこではまだ、バイオレンスジャックが侍達と戦い続けていました。バイオレンスジャックに勝てないと悟った侍達は城へ逃げ込みます。城は、空へ浮かび上がり、空中に渦を巻き始めます。バイオレンスジャックは、侍達を追って渦へ飛び込みます。稲円は、あの城がタイムマシンなのだと悟り、朔夜と共に渦へ飛び込みます。

<夢幻戦士>
 祐木の婚約者の夕美子は、原因不明の病で眠り続けていました。祐木は、毎夜に夕美子の病室を訪れて朝まで夕美子と共に過ごしていました。ある夜、夕美子が叫び声をあげ、うたた寝していた祐木は目を覚まします。病室の壁から夕美子が助けを呼ぶ声が聞こえ、壁には蜃気楼のように映像が映ります。そこには、夕美子が怪物に追われて逃げる様子が映っていました。思わず壁を叩いた祐木は、映像の中へ吸い込まれます。祐木は、逞しい戦士となって夕美子の前に現れ、怪物を倒して夕美子を助けます。再会した2人は抱き合います。
 祐木は気が付くと夕美子が眠るベッドに突っ伏していました。祐木は、昨夜の出来事が夕美子の夢の中のものであり、夕美子が夢の中に自分を呼んでくれたのだと考え、夕美子にお礼を言います。

<カイケツ風呂頭巾>
 江戸時代。混浴が当たり前の銭湯で、若い女性は頭巾で顔を隠すのが流行でした。しかし、頭巾をかぶった女性に悪さをする輩は後を絶たず、そんな男共を退治するカイケツ風呂頭巾が現れます。カイケツ風呂頭巾は、裸に頭巾だけをかぶった女性で、正体は誰も知りません。
 男尊女卑の世の中を目指す恐都見廻り組は、カイケツ風呂頭巾を倒すため、頭巾をかぶっている女性を手当たり次第に捕まえて拷問しようとします。しかしカイケツ風呂頭巾は、恐都見廻り組を倒し、女性達は解放されます。

<ワンだ君>
 ある夫婦が飼っている犬のコロは、2本足で立ってあるく事が出来ました。夫婦は、コロを学校に通わせる事にします。ランドセルを担いで梵凡小学校へやってきたコロは、冷奴先生のクラスに紛れ込みます。冷奴先生は、コロを転校生だと思い、色々な質問をします。ワンとしか答えられないコロは、怒って冷奴先生に噛み付きます。冷奴先生は職員室へ逃げ込み、コロはその後を追って職員室にいた先生達に手当たり次第に噛み付きます。冷奴はコロの尻尾に噛み付き、コロは家へ逃げ帰ります。その後、冷奴先生は犬化してしまいます。

 以上が、永井豪さんの「幻選短編集 豪画沙」下巻に収録された4つの作品の内容です。
 バイオレンスジャックの短編は、最初の導入部分だけで放置されるという、永井豪さんによくあるパターンです。2つ目の作品はこれと言った特徴もなく、3つ目及び4つ目の作品はどうしようもないです。
 上下巻の2冊を読みましたが、結局、面白いと思える作品はありませんでした。「幻選」との事ですが、幻のまま封印しておいた方が良かったかも。


永井豪 「幻選短編集 豪画沙」 上巻

 永井豪さんの「幻選短編集 豪画沙」上巻は、2017年11月に発売されています。タイミング的に、映画「マジンガーZ/INFINITY」の公開に合わせ発売されたものと思われます。
 単行本の帯に記載された情報によると、永井豪さんの画業50周年記念出版とのこと。収録作品の全てが初単行本化のものらしいです。やや長目のものから数ページだけのものまで、6作品が収録されています。これまで単行本化されていない作品ばかりだからか、どの作品も正直なところ、う~ん・・・な内容でした。資料的価値はあるかも、という気がしないではないですが。
 それでは以下、永井豪さんの「幻選短編集 豪画沙」上巻に収録された作品のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

<悪魔騎士 Demon Knight>
 太古の神々が忌まわしき者を封印したと伝えられる伝説の山が崩れ、悪魔の群れが出現します。これを目撃したアモン及びシレーヌは、神の王宮へ向かいます。神皇帝は、騎士アモンに悪魔討伐の軍を率いる事を命じ、シレーヌにはその副官となる事を命じます。またアモンには、神王子ルシファーが協力する事になります。合体能力を持つ悪魔は、次々と人々を取り込んでいました。アモン及びルシファーは、悪魔達との戦いを開始します。
 楽園にも悪魔達が現れ、ここで暮らしていた少女ユリア及び狼人間ウルガも悪魔達との戦いを決意します。ユリア及びウルガは、アモン達の軍と合流し、共闘を約束します。
 そして空から悪魔達の軍団が現れ、アモン達はこれを迎え撃ちます。グリフォンに乗って戦っていたシレーヌは、悪魔に取り込まれてグリフォンと合体します。ルシファー及びユリアは一頭のペガサスに乗って戦っていましたが、悪魔に取り込まれて、ルシファー、ユリア及びペガサスが合体します。悪魔となったシレーヌは、他にも悪魔と合体して戸惑っている人々と合流します。人々は、悪魔と合体しても美しい姿を保っているシレーヌに悪魔達の王になることを望みます。シレーヌはこれを断り、自分より王に相応しい者がいると話します。そこへ、ルシファー及びユリアが合体した存在が現れます。
 悪魔討伐軍は、アモンと、ウルガと、アモンが乗るドラゴンとを残すのみとなっていました。そこへ、ルシファー及びユリアが合体した存在が現れ、アモン及びウルガに、合体は進化する事だと説きます。
 現代。不動明は、騎士アモンとして悪魔達と戦う夢を見た事を飛鳥了に話します。夢の中で、了に似た存在が、悪魔との合体は進化だと説いていました。了は、進化だとしても、好ましい進化とは言えないと考えますが、デビルマンが悪魔との戦いを続けていくためには、悪魔との合体で強くなる必要が生じるかもしれないとも考えます。了は、明には話しませんでしたが、明と全く同じ夢を見ており、夢には続きがあることを知っていました。ルシファー及びユリアが合体した存在は、アモン、ウルガ及びドラゴンを合体させて、強力な戦士を生み出していました。了は、悪魔との合体に失敗した自分が明と同じ夢を何故見たのかわかりませんでした。

<娘中天>
 三十男の山村は、女性に振られて落ち込んで街を歩いていると、中国服を着た街娼に出会います。山村が中国娘に一万円を支払うと、山村は中国娘の子宮に吸い込まれて行きます。
 気が付くと山村は、学生時代の故郷にタイムスリップしていました。山村の自宅から学生時代の山村が出てきて近くの神社へ歩いて行きます。神社には岩井、根本及び奈良の3人が待ち構えており、喧嘩になりそうな状況でしたが、中川幸子が助けてくれました。そして当時は気付きませんでしたが、中川が自分の事を好きだった事を知ります。この頃に戻ってやり直したいと願った山村は、気付くと学生時代の姿になっていました。山村は、中川に告白します。
 バーで眠っていた山村は、目を覚まし、いつこの店に入ったのか覚えていませんでしたが、中川と結婚した夢を見た事を思い出します。
 このバーにいた老師は、中国娘を天娘と呼び、壺中の天の術は、人々に桃源郷を見せる術なのに、あんなものでよいのかと尋ねます。天娘は、現代人が求めるのは愛のある桃源郷で、あれでいいと言います。

<シレーヌちゃん>
 アキラのクラスに転校してきたシレーヌちゃんが、お色気でアキラを振り回すコメディです。

<霊界ドアー>
 事故で母と兄弟とを亡くした恵美は、事故のショックから立ち直るようにと父が購入した別荘へ行く事になります。別荘へ向かう途中で、恵美及び父は白髪で白い和服姿の女性と出会い、女性はドアを開けてはいけないと恵美に忠告します。恵美は何の事か分かりません。
 別荘には、塩田というお手伝いさんが1人いるだけでした。別荘の二階の寝室には開かないドアがありました。ドアの向こうは庭で何もなく、ドアはただの飾りのようでした。
 その夜、寝室で寝ていた恵美は、ドアから光が漏れていたような気がしました。翌朝、恵美は塩田さんにこの土地に詳しい老人を紹介してもらい、この老人に別荘の事を尋ねます。老人は、この別荘は松黒男爵の別荘だったが、火事で半分が焼け落ち、焼け残った半分を改修して今の別荘となった事を教えてくれます。松黒男爵は格上の貴族の女性と結婚しましたが、夫婦仲が悪く、夫婦喧嘩が原因で火事が行ったのではないかとも噂されていました。
 父は東京へ戻り、恵美は友人のマキを別荘に呼びます。その夜、恵美及びマキが寝室で寝ていると、やはりドアから光が漏れています。マキがドアを開けると、焼け落ちたはずの別荘のもう半分に通じていました。ドアをくぐった恵美及びマキは、人の声がする方向へ行ってみます。その声は松黒男爵が夫人の浮気を問い詰めるものでした。喧嘩はエスカレートし、松黒男爵は日本刀を抜いて召使いを斬り殺し、夫人を斬り殺します。そして松黒男爵は、隠れていた恵美及びマキを見つけ、刀を振りかざして追って来ます。恵美及びマキは屋敷内を逃げますが松黒男爵に追い詰められます。そこへ、白髪で白い和服姿の女性が助けに現れます。女性は、冷気を放出し、自分を呼んだのは松黒男爵の冷たい心だと言います。恵美及びマキはドアを通って元の世界へ戻り、松黒男爵は冷気を振り払おうと屋敷に火を放ちます。白い女性は、ドアを閉じ、ドアを壊して壁土を盛って塞ぐよう恵美に忠告します。女性は、守護天使の雪鬼姫と名乗り、人は雪女と呼ぶと言い、姿を消します。翌朝、マキは昨夜の出来事を覚えていませんでした。その後、ドアは塞がれ、別荘に異変が起こる事はありませんでした。

<ヴァンパイアコップ>
 2009年。東京湾を埋め立てて作られた新しい都市、TOKYOフロンティアは人口の90%が外国人移民で占められていました。刑事の万寺牙太は、真夜中に署長に呼び出されます。署長は、「ドラキュラ」と呼ばれる新種ドラッグが出回っており、中毒者は凶暴になって無差別殺人を始める事を万寺に説明し、このドラッグのルートを追うよう命じます。署長は、万寺に相棒として新任刑事のリンレイ・カームを付けます。リンレイは、外国人女性でした。
 万寺及びリンレイが街へ出ると、刀を振り回して暴れるドラキュラ中毒者に遭遇します。リンレイは、容赦なく中毒者を射殺します。中毒者の持ち物の中に「ナイト・オブ・キングダム」のマッチを発見した2人は、早速この店に行ってみます。この店は、ストリップの店でした。
 多くの客がいる店内で、客がチップと引き換えに踊り子から何かを受け取るのを見た2人は、踊り子志望とそのマネージャーの振りをして店の裏側へ潜入します。2人は踊り子の楽屋でドラッグを見つけますが潜入がバレ、用心棒の男達と大量のドラキュラ中毒者達に追われます。2人は物置に逃げ込みますが、それ以上の逃げ場はありません。ヴァンパイアの巣窟に入り込んでしまったと嘆く万寺に、リンレイはヴァンパイアとドラキュラは違うと怒ります。リンレイは、自分がヴァンパイアだと言って、万寺に噛み付いて血を吸います。リンレイは、ヴァンパイアの姿に変身し、物置を出ると敵を全て倒します。

<ハレンチママさん>
 日常生活でついついエロを発揮してしまうハレンチママさんのコメディです。

 以上が、永井豪さんの「幻選短編集 豪画沙」上巻に収録された各短編作品の内容です。未単行本化の短編を集めただけあって、どれもイマイチでした。デビルマンの前日譚である「悪魔騎士」は、読んでおいて損はないでしょうが、後付けの思い付きで永井豪さんが適当に描いたような内容で、デビルマン本編と辻褄が合ってないように思えました。もし、デビルマンサーガの前日譚として作られたなら、納得できたかもしれません。
 上巻なので、もちろん下巻があります。下巻は、次回に。


小沢高広(うめ) 「小説 マジンガーZ/INFINITY」

 小沢高広(うめ)さんの「小説マジンガーZ/INFINITY」は、映画「マジンガーZ/INFINITY」を小説化した作品です。映画の公開とほぼ同じ時期、2018年1月に発売されています。
 作者の「小沢高広(うめ)」さんですが、括弧の中の「うめ」って何だろう…と思って調べてみました。「うめ」は2人組の漫画家のペンネームで、「うめ」の1人が「小沢高広」さんという事でした。ちなみに、「うめ」のもう1人は「妹尾朝子」さんという方で、2人は夫婦だそうです。「うめ」さんとしては「東京トイボックス」という漫画が代表作のようですが…すいません、知りません。
 「小説マジンガーZ/INFINITY」の内容は、映画の内容とほぼ同じでした。小説では、映画の内容に少し追加されている部分もありましたが、この追加部分は漫画「マジンガーZ インターバルピース」で描かれていた内容と重複していたため、あまり目新しい要素はありませんでした。このため、映画を見て漫画「インターバルピース」を読んでいれば、あえてこの小説を読む必要はなさそうです。
 ただし、この小説作品を読む価値がないかというと、そんなことはないと思います。映画を見て漫画「インターバルピース」を読んだ直後にこの小説を読みましたが、そこそこ楽しめました。映画が少し見ていて分かり難い印象がありましたが、この小説はとても分かり易いです。映画に対して情報が追加されているわけではありませんが、小説として文字で読むと隣接次元とかが何となく理解できた気になります。映画は迫力のある戦闘シーンを楽しむためのもの、小説は物語を楽しむためのもの、という役割分担で成立していると思います。
 もう少し、小説ならではの追加要素が欲しかったところです。ドクター・ヘルや機械獣軍団がどうして復活したのか、この点に言及されていればよかったのですが。
 「マジンガーZ/INFINITY」は、まず映画を見るべきでしょう。その後で、漫画「インターバルピース」は是非とも読んで欲しい、必読の作品かと思います。小説については、必読とまでは言いませんが、余裕があれば読んで損はないと思います。

 

衣谷遊 「マジンガーZ アルターイグニッション」

 衣谷遊さんの漫画「マジンガーZ アルターイグニッション」は、 2017年12月に発売されています。この漫画も、映画「マジンガーZ/INFINITY」の公開に合わせて発売された作品です。
 ただしこの作品の内容は、映画とはあまり関係ありません。兜甲児がマジンガーZに初めて乗り込む場面と、兜十蔵及びドクター・ヘルの因縁とを描いています。マジンガーZの第1話を新解釈でリメイクした作品という事のようです。
 それでは以下、衣谷遊さんの「マジンガーZ アルターイグニッション」のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 十数年前、ドクター・ヘルという天才科学者がいましたが、「オカルト学者」のレッテルを貼られていました。兜十蔵博士は、ギリシャの田舎にある展示館に展示されていた「ミケーネの巨人の腕」を見に行き、ドクター・ヘルと出会います。ドクター・ヘルはこの巨人の腕が本物だと言い、十蔵博士も同じように感じていました。ドクター・ヘルは、近いうちに証拠を見せようと言い残して去っていきます。
 数日後、十蔵博士はドクター・ヘルからバードス島の発掘隊への参加を要請する手紙を受け取ります。十蔵博士は発掘隊に参加します。発掘隊には、多くの隊員の他に、ドクター・ヘルが連れてきた巨躯の助手が2人いました。発掘隊は地下への入口を発見し、広大な地下空間に築かれた神殿と、多くの巨人の亡骸とを発見します。ドクター・ヘルは、これら全ては自分のものだと宣言し、2人の巨躯の助手に発掘隊員の殺害を命じます。2人の助手は、ドクター・ヘルが作り上げた強化人間でした。ドクター・ヘルは、これらがあれば神になれると言い、十蔵博士に手を組もうと持ち掛けます。十蔵博士は、誘いを断り、強化人間の攻撃をかいくぐって、バードス島を1人脱出します。十蔵博士は、ドクター・ヘルに対抗する研究を始めます。
 時は過ぎ、ドクター・ヘルは世界の侵略を開始します。ドクター・ヘルは、あしゅら男爵に機械獣を操れるバードスの杖を授け、兜十蔵博士が発明した超合金Z及び光子力エネルギーを奪う事を命じます。あしゅら男爵は、鉄仮面軍団と、機械獣ガラダK7及びダブラスM2とを引き連れて、海底要塞サルードで日本へ向かいます。
 あしゅら男爵は、鉄仮面軍団と共に兜十蔵博士の屋敷に現れ、超合金Z及び光子力エネルギーを渡すよう迫ります。十蔵博士は、これを拒否し、屋敷を爆破します。あしゅら男爵は、光子力研究所へ向かいます。
 兜甲児及びシローが爆破された十蔵博士の屋敷にやってきます。2人は崩れ落ちた屋敷で地下への入口を発見し、地下室で怪我をしている十蔵博士を発見します。十蔵博士は、自分はもう助からないと言い、甲児に恐ろしい遺産を託さなければならないと話します。地下室には、巨大ロボット・マジンガーZがありました。十蔵博士は、マジンガーZを手にするという事は、神にも悪魔にもなれるという事だと言い、息を引き取ります。甲児は、マジンガーZの足元にあったホバー・パイルダーに乗り込み、ホバー・パイルダーはマジンガーZと合体します。すると地下室の床が上昇し、マジンガーZは地上に現れます。しかし、甲児はマジンガーZの操縦方法が全くわからず、マジンガーZは直立状態のままでした。
 そこへ、光子力研究所の巨大ロボット・アフロダイAが現れます。アフロダイAのパイロットである弓さやかは、光子力研究所の弓博士の指示で目の前の巨大ロボットのパイロットに通信で話し掛け、この巨大ロボット・マジンガーZが兜十蔵博士によるものであり、マジンガーZのパイロットが孫の甲児であることを知ります。さやかは、甲児にマジンガーZの操縦方法を教えます。
 その頃、F市に2体の機械獣が現れ、街を破壊しながら、光子力研究所を目指していました。マジンガーZの操縦方法を覚えた甲児は、光子力研究所へ急行し、機械獣と対峙します。機械獣の攻撃は、マジンガーZに全く効きませんが、操縦している甲児にはダメージを与え、甲児は気を失いかけます。さやかのアフロダイAが助けに入りますが、アフロダイAでは機械獣に太刀打ちできません。アフロダイAがピンチに陥ったとき、甲児が復活し、マジンガーZのロケットパンチがガラダK7を貫きます。更にマジンガーZは、光子力ビーム及びブレストファイヤーでダブラスM2を倒します。
 戦いの様子を見ていたドクター・ヘルは、私とともに神となれ、と甲児を誘いますが、甲児は拒否します。甲児の怒りでマジンガーZは暴走しかけますが、甲児は正気に戻って暴走は収まります。ドクター・ヘルは、マジンガーZを手に入れて神になると決めます。甲児は、マジンガーZを神にも悪魔にもさせない、マジンガーZは正しい事に使うと決意します。

 以上が、衣谷遊さんの「マジンガーZ アルターイグニッション」の物語です。
 確かに、通常のマジンガーZの第1話とは少し異なる内容なのですが、・・・どこかで見たような内容です。よくよく考えてみると、桜多吾作版のマジンガーZで描かれている内容とほぼ同じでは。桜多吾作さんのマジンガーZを参考にしたのか、偶然の一致なのかはわかりませんが。まぁ、マジンガーZを今風にアレンジすると、誰が作ってもこんな感じになるのかもしれません。それだけ、桜多吾作さんのマジンガーZが一歩も二歩も先を歩いていたという事なのでしょう。
 映画「マジンガーZ/INFINITY」とタイアップした作品のはずなのに、映画とは全く関係ない内容だったので、逆に驚きました。どうせなら、兜十蔵博士とドクター・ヘルが、バードス島の地下でマジンガー・インフィニティを発見し、これを参考に十蔵博士がマジンガーZを作った、くらいの思い切った内容ても良かったのではないかと。マジンガーZにもゴラーゴンの機能が隠されているとか。・・・少し無理がありますかね・・・。


長田馨 「マジンガーZ インターバルピース」

 長田馨さんの「マジンガーZ インターバルピース」は、2017年12月に発売されたマジンガーZの漫画作品です。映画「マジンガーZ/INFINITY」の公開に合わせて発売された外伝漫画作品です。
 映画の前日譚に相当する物語であり、ミケーネ帝国との戦いの決着がついてから数年後、「INFINITY」から1年くらい前という時代設定だと思います。タイトルの「インターバルピース」とは戦いと戦いとの間(インターバル)にある平和(ピース)な時代の物語という意味のようで、この漫画の中では派手な戦闘シーンはほとんどありません。その分、登場人物にスポットを当てた物語になっています。
 全6話、最後の2話は前後編なので、実際には5つの短編が収録された一冊です。各話で完結した物語ですが、複数の物語は緩く繋がっており、時系列で物語は並んでいます。
 それでは以下、長田馨さんの「マジンガーZ インターバルピース」の各話のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

<第1話>
 ミケーネ帝国との戦いから数年後、人類は復興への道を歩んでいました。兜甲児は、ドクター・ヘル及びミケーネ帝国の残存設備の発見及び破壊を行うミケーネ調査団の一員として働いています。光子力研究所が有するマジンガーシリーズに関する技術が、新国連統合軍に提供される事が決まり、兜甲児及び剣鉄也は統合軍に入る事を求められていました。鉄也は統合軍に入る事を決めていましたが、甲児は悩んでいました。
 横須賀機械獣保管庫に保管されていた機械獣が動き出し、甲児のマジンガーZ及び鉄也のグレートマジンガーが出撃します。機械獣は、マジンガーや軍に対して戦う素振りを見せず、ただ直進していくのみです。これを見た甲児のマジンガーZは、1人で何処かへと飛び去ります。
 この機械獣は、テロリスト達が自作のプログラムで起動させたもので、直進することしかできず、戦闘などの複雑な動きを行う事は出来ませんでした。テロリスト達が潜んでいたビルの横に、マジンガーZが降り立ちます。マジンガーZを見て怯えるテロリスト達を目にした甲児は、戦う相手が居なくなった事に虚しさを感じていました。
 その後、甲児は統合軍に入る事を断り、研究者として生きる事を決めます。

<第2話>
 光子力研究所の所長である弓弦之助教授は、光子力の平和利用を訴え、光子力研究所が保有する特許を平和利用に限って無償提供する事を発表します。
 ある日。高級レストランを貸し切って、光子力研究所所所長の弓弦之助教授と、その娘の主席研究員の弓さやかとが会食をしていました。弦之助は、与党から将来の首相就任を視野に入れて参院選の出馬要請を受け、出馬するつもりである事をさやかに話します。そして弦之助は、光子力研究所の所長をさやかに任せると話します。さやかはこの話しを断ります。
 その直後、大規模な停電が発生します。この街は、光子力をインフラとして利用する実証実験区域でした。光子力研究所からさやかに連絡が入り、さやかはレストランから遠隔で復旧作業の指揮を取ります。弦之助には官房副長官から連絡が入り、30分での復旧を求められます。弦之助は、30分で復旧できれば、さやかが所長に就任する件をあきらめると言い、さやかはこれに乗ります。
 そして30分が経過しますが、復旧にはまだまだ時間がかかりそうです。さやかは、奥の手の管理システムの予備機の起動を研究所に指示します。しかし起動にはさやかの管理者権限が必要で、レストランから一般回線を使っての起動はセキュリティ的な問題があります。さやかは、官房副長官に電話して、さやかが弦之助の出馬を後押しする事と引き換えに、政府の専用回線を利用する許可を貰います。さやかが専用回線を利用して管理システムの予備機を起動し、停電から復帰できたのは、1時間以上が経過した後でした。
 さやかは、光子力研究所の所長を父から継ぐ事を決意します。

<第3話>
 炎ジュンは、恋人の剣鉄也と共に、恋人岬の観光フェリーに乗っていました。周囲のカップルがいい雰囲気になる中、鉄也は何かを言いかけて、話しをそらします。待ちきれなくなったジュンは、籍を入れるよと宣言し、2人は結婚する事が決まります。
 数日後、鉄也と共に新居探しをしていたジュンは、籍を入れたいと思っていたのは自分だけだったのではと不安になります。街では新型光子力炉の建設反対のデモが行われていました。鉄也は、横須賀で機械獣を暴走させたテロリスト達が、何かを企んでいるのを発見します。テロリスト達は、ガスをまいて混乱を起こそとしていました。鉄也及びジュンは、テロリスト達を簡単に倒して警察に突き出します。
 散々に最新の住居を見て回った後、鉄也は下町のボロアパートを新居に決めます。鉄也は、昔ながらの商店街があって、近くに顔なじみがたくさんいるような街で、子供を作って家族で暮らしたいとジュンに話します。

<第4話>
 元ボスボロットの副操縦士だったムチャ及びヌケの2人は、建設現場で働いていましたが、失敗ばかりでした。ボスは、ラーメン屋「ぼすらーめん」を開いていました。仕事終わりにぼすらーめんにやってきたムチャ及びヌケは、仕事は順調とボスに話しますが、ボスは昼間に失敗して起こられている2人の様子を工事現場で見かけていました。
 甲児は、新しく建てられるミケーネ平和記念館の館長をさやかに押し付けられます。光子力研究所では、博物館に展示するためボスボロットの搬出作業が行われていました。
 甲児は、ぼすらーめんを食べに行く途中、工事現場でムチャ及びヌケがこき使われている姿を目撃します。ぼすらーめんにやってきた甲児は、この事をボスに話します。ボスは、ムチャ及びヌケが勤めている会社がブラック企業であることを既に感づいていましたが、2人がボスに心配かけないよう振る舞っているため、ボスも知らないフリをしていました。
 甲児がぼすらーめんを出ようとしたとき、大きな揺れが発生します。ムチャ及びヌケが働いている工事現場で落盤が発生していました。ムチャ及びヌケは、今にも崩れ落ちそうな橋脚の根元に取り残されています。消防の梯子車も届かない位置でした。甲児は2人を助けるためにマジンガーZの出撃を要請しますが、マジンガーZは封印されて動かす事は出来ません。とうとう橋脚が崩れ落ち始めたとき、ボスボロットが現れてムチャ及びヌケを救出します。
 その後、ムチャ及びヌケはブラック企業を辞め、ぼすらーめんで働き始めます。甲児は、インタビューを受けてさり気なくぼすらーめんを宣伝し、ぼすらーめんは繁盛します。

<第5話>
 ミケーネ平和記念館が完成し、開館のセレモニーが行われます。セレモニーには、館長である甲児はもちろん、鉄也も参加していました。しかし、異なる道を選んだ甲児及び鉄也の間には、微妙な空気が漂っています。
 記念館にはマジンガーZが展示されていました。このマジンガーZの胸の放熱板の温度が何故か上昇し始め、このままではブレストファイヤーの暴発が起こる事が判明します。もしブレストファイヤーが放たれた場合、周囲に甚大な被害が及びます。マジンガーZは、光子力が抜き取られた状態であり、原因は不明です。国際条約でマジンガーZに光子力を注入して動かす事は禁じられており、放熱板を取り外す時間もありません。兜十蔵博士が作り上げたマジンガーZには、まだブラックボックスな部分が残されています。
 鉄也は、マジンガーZのブレストファイヤーの射線上にグレートマジンガーを配置し、グレートマジンガーのブレストバーンでブレストファイヤーを対消滅させる事を提案します。タイミングがズレれば命の保証はない危険な策です。しかし、甲児及び鉄也は、この案を実行する事を決めます。マジンガーZには甲児が乗り込み、マジンガーZの正面に鉄也が乗るグレートマジンガーがやってきます。

<第6話>
 甲児はマジンガーZのブレストファイヤーを、鉄也はグレートマジンガーのブレストバーンを同時に発射します。
 2機のマジンガーを見守るさやかは、甲児が初めて鉄也を呼び捨てにした時の事を思い出していました。
 対消滅は成功し、マジンガーZの放熱板に蓄積された光子力は徐々に減少していきます。さやかは、統合軍がこの危険な作戦にグレートマジンガーの出撃を許可した事を疑問に思います。統合軍は、量産型マジンガーを開発するため、マジンガーの耐久力に関するデータを採取する事を目的に許可を出したようでした。
 順調に進んでいた対消滅ですが、マジンガーZの放熱板に左右バランスの偏りが生じます。甲児はマジンガーZのオートバランスをオフにしてマニュアル操作で補正する事を提案しますが、さやかは脱出を命じます。甲児及び鉄也は通信を切り、マニュアル操作で対消滅をやり遂げます。
 その後、さやかは、マジンガーZの放熱板を解析し、メモリ内にある消去不可能な謎のファイル群に目を付けます。ファイル群を検索していたさやかは、その中で「バードスの杖」という文字列を発見します。バードスの杖は、ドクター・ヘルが持っていた杖の名前でした。

 以上が、長田馨さんの「マジンガーZ インターバルピース」の物語です。
 戦闘シーンがほとんどない、珍しいパターンのマジンガーZでした。でも、面白かったです。個人的には、映画「マジンガーZ/INFINITY」よりも、この漫画の方が面白かったと思えます。特に、第2話、第3話が好きですね。
 マジンガーZには未知の部分が残っている。「バードスの杖」と何らかの関係がありそう。という、謎を残して物語は終わってしまいました。この謎は、特に映画で解明される訳でもなく、投げっぱなしで終わっているのが少し残念です。
 マジンガーZに謎の部分が残っているにもかかわらず、マジンガーZを超えるグレートマジンガーを作り上げた甲児の父、兜剣造博士は天才ですね。