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林譲治 「ZEONIC FRONT 機動戦士ガンダム0079」 第1巻

 林譲治さんの「ZEONIC FRONT 機動戦士ガンダム0079」は、プレイステーション2用のゲーム「ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079」を小説化した作品です。角川スニーカー文庫から全2巻で発売されており、第1巻は2001年8月に発売されています。ゲームの発売が2001年9月なので、ゲームより先に小説版が発売されているようです。
 林譲治さんは、これ以前にも「機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…」のゲームを小説化した実績があり、私もその実力は確認済みです。またこの「ジオニックフロント」には、私が製作開始したプラモデル「ガンダム6号機」が登場する作品でもあります。もはやこの小説には期待感しかありません。
 なお「ジオニックフロント」についてですが、現在までに発売されている作品はゲームとこの小説との2つのみ。「ガンダム6号機」及び「闇夜のフェンリル隊」等のそこそこ知名度があるキーワードが登場する割には、不遇の扱いを受けている作品です。ゲームが売れなかったのかもしれません。未だに漫画化はされていないので、そのうちに雑誌ガンダムエースで漫画化される可能性はありそうです。
 それでは以下、林譲治さんの「ZEONIC FRONT 機動戦士ガンダム0079」第1巻のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 宇宙世紀0079年2月7日にジオン軍による地球降下作戦が行われ、3月11日には第二次降下作戦が行われようとしています。その前日である3月10日、ジオン軍の1機のHLVが密かに地球へ降下していました。このHLVには、ジオン軍の「闇夜のフェンリル隊」が搭乗しています。闇夜のフェンリル隊は、隊長のゲラート・シュマイザー少佐と、モビルスーツパイロットのル・ローア少尉、ニッキ・ロベルト少尉、シャルロッテ・ヘーブナー少尉及びマット・オースティン軍曹の4人とで構成されています。ゲラート少佐は元パイロットでしたが、今では指揮官を務めています。ニッキ少尉及びシャルロッテ少尉は新米で、今回の作戦が初陣となります。パイロットは4人ですが、ザクは3機しか間に合わず、この作戦ではシャルロッテがオペレータを務める事になっていました。
 同じ頃。地球の北米にある連邦軍の航空基地では、エイガー少尉が六一式戦車の部隊を訓練していました。エイガー少尉は、モビルスーツの開発者及びパイロットでしたが、砲術のスペシャリストでもあり、開戦後はニューギニアの防空基地に配属されていました。ジオン軍は地球にコロニーを落下させる作戦の前にニューギニア防空基地を強襲して壊滅させました。このときにエイガー少尉は、対空火器でジオン軍のザクに対して最後まで抵抗し、仲間達の脱出の時間を稼ぎます。そしてエイガー少尉及びその部下達は、砲台に爆薬を仕掛けて自爆させ、2機の輸送機で基地から脱出しようとします。敵部隊は砲台の爆発に巻き込まれますが、1機の旧ザクは爆発を避け、脱出途中の輸送機の1機を撃ち落とします。エイガー少尉は、もう一方の輸送機に乗っていたため助かります。エイガー少尉は、このときの旧ザクに描かれていた狼のパーソナルマークを今でも覚えていました。輸送機はニューギニアの防空基地へ逃げ込み、エイガー少尉はこの基地の司令官に頼まれて戦車部隊の訓練の教官を期限付きで引き受けていました。
 闇夜のフェンリル隊の任務は、第二次降下作戦に先立って、連邦軍の航空基地を制圧する事でした。難しい任務ではありませんが、ゲラート少佐は以前にモビルスーツパイロットとしてニューギニア防空基地の制圧任務に参加した際に、防空基地の砲台が最後まで抵抗を続けて自軍に大きな損害を与えた記憶がありました。この戦闘の際に受けた傷でゲラート少佐は視力障害が残り、モビルスーツパイロットを退く事になっています。フェンリル隊は3機のザクで連邦軍の航空基地を制圧する事になっています。なお、フェンリル隊が乗るHLVには、フェンリル隊以外にも、制圧後の航空基地の補修等を行う工作隊が乗っており、工作隊は旧ザクを1機保有しています。自機の到着が遅れているシャルロッテはこの旧ザクで出撃する事を主張しますが、工作隊は自衛及び作業用にモビルスーツが必要であり、却下されます。そしてHLVは地球へ降下し、3機のザクが出撃し、フェンリル隊の作戦が開始されます。
 エイガー少尉は、航空基地から離れた場所で訓練を行っていました。訓練中にエイガー少尉は、林の中に旧ザクがいるのを発見します。この旧ザクは、フェンリル隊に同行している工作隊のもので、フェンリル隊の作戦の邪魔にならないように離れた場所で身を隠していました。エイガー少尉は、12台の戦車で旧ザクに対して一斉攻撃を行い、旧ザクを倒す事に成功します。戦車でモビルスーツを倒した事に兵士達は自信を付け、エイガー少尉の株が上がります。しかし基地の司令部から、狼のマークを付けた3機のザクが基地を攻撃していると通信が入ります。エイガー少尉達の戦車部隊は、3機のザクを倒すべく、基地へと引き返します。
 出撃した3機のザクに対して、連邦軍の陸上戦艦ビッグ・トレーが迎え撃ちます。初陣のニッキ少尉は、ザクを跳躍させてビッグ・トレーを飛び越えるという無茶をしますが、ビギナーズラックでビッグ・トレーを撃破します。ビッグ・トレーを撃破された航空基地の司令官は、フェンリル隊に降伏します。こうしてフェンリル隊の作戦を成功します。エイガー少尉達の戦車部隊が航空基地に戻る途中、基地の司令官が降伏していました。戦車部隊の兵士達は降伏をよしとせず、エイガー少尉と共に航空基地を離れます。
 航空基地を制圧した闇夜のフェンリル隊は、鹵獲したホバートラックを移動司令部として使う事にします。今回の作戦の結果を分析したゲラート少佐は、旧ザクを倒した戦車部隊の実力を今後の脅威となり得ると考えます。第二次降下作戦を完了したジオン軍は、連邦軍のキャリフォルニアベースへの侵攻作戦を開始し、フェンリル隊には侵攻作戦の支援が命じられます。フェンリル隊は、連邦軍の通信施設を破壊する事で本隊の支援を行います。シャルロッテのザクの補充は間に合わず、フェンリル隊は前回と同じく3機のザクで出撃します。通信施設の周辺には多くの地雷が設置されており、地雷が設置されていない場所は戦車部隊が待ち構えています。ニッキ少尉は、地雷が設置されていない地点を選んでザクを数回跳躍させ、一気に戦車部隊の背後に回り込み、これを全滅させます。その後、フェンリル隊は通信施設の破壊を完了します。
 キャリフォルニアベースにいたエイガー少尉達は、基地かジオン軍による攻撃を受けている中で、ヨーロッパ方面への移動を命じられます。エイガー少尉はジオン軍と交戦する覚悟でしたが、司令部はキャリフォルニアベースからの撤退を決めたようでした。エイガー少尉達は、潜水艦てキャリフォルニアベースから脱出する事になります。
 闇夜のフェンリル隊に、シャルロッテ少尉用の1機のザクが配備されます。フェンリル隊の前回の任務で通信施設の近くに地下施設への入口が発見され、潜水艦ドッグへと通じている可能性がある事が判明します。フェンリル隊にはこの潜水艦ドッグの占領任務が与えられ、発電所を破壊して潜水艦ドッグを制圧する作戦が決定されます。ル・ローア少尉及びマット軍曹が先行して潜水艦ドッグへ向かい、ニッキ少尉及びシャルロッテ少尉が発電所を破壊する役割分担となります。そして作戦が開始され、ニッキ少尉及びシャルロッテ少尉は発電所の破壊に成功し、ル・ローア少尉及びマット軍曹は潜水艦ドッグで停泊中の潜水艦を発見します。
 この潜水艦には、キャリフォルニアベースからの脱出を命じられたエイガー少尉及びその部下達が乗り込んでいました。ジオン軍のザクが発電所を破壊した事で、潜水艦ドッグと海底との間にあるゲートが開かず、潜水艦は発進出来ずにいました。エイガー少尉は潜水艦の魚雷を改造して威力を下げ、この魚雷でゲートを破壊して潜水艦は間一髪で潜水艦ドッグからの逃走に成功します。その後、エイガー少尉は、潜水艦ドッグを襲ったザクに狼のマークが記されていた事を知ります。
 闇夜のフェンリル隊は、オデッサ地区のマ・クベ大佐からの要請を受けて、アメリカ大陸からアフリカ大陸のゴビ砂漠へ移動する事になります。アメリカ大陸から潜水艦で移動し、アフリカ大陸に到着後は大型トレーラー・サムソンで移動します。フェンリル隊には、新たにパイロットのリィ・スワガー曹長及びザク1機の補充があります。
 フェンリル隊が目的地まであと1日の距離まで来たときに戦況が変わります。目的地だった補給基地が連邦軍の急襲を受けて一部の施設を占領され、フェンリル隊は補給基地の奪還と敵司令部の破壊とを行う事になります。未確認ながら敵はモビルスーツを有しているとの情報もありました。ル・ローア少尉及びマット軍曹が補給基地の奪還、ニッキ少尉、シャルロッテ少尉及びスワガー曹長が敵司令部の破壊を行う事になります。作戦が開始され、ニッキ少尉達は連邦軍の移動司令部及びそれを守っていたガンキャノンの破壊に成功し、補給基地も無事に奪還されます。
 ヨーロッパ方面へ着任したエイガー少尉は、ゴビ砂漠で行われた戦闘の資料を見せられます。エイガー少尉は、移動司令部の機動力とガンキャノンの火力とを全く生かせていない事を指摘します。ヨーロッパ方面の司令官は、モビルスーツ開発に就く予定だったエイガー少尉に戦車部隊の指揮を任せたいと頼みます。エイガー少尉は、移動司令部及びガンキャノンを倒したジオン軍のザクに狼のマークが記されていた事を知り、戦車部隊の指揮を引き受けます。
 補給基地を奪還した後、フェンリル隊は輸送機でマ・クベ大佐の鉱山基地の近くにある仮設基地へ移動します。基地には多くの部隊が集められており、ゲラート少佐は知り合いのタチ中尉に出会います。タチ中尉は、ゲラート少佐の友人でもあるランバ・ラル大尉の部下でした。タチ中尉は、ランバ・ラル大尉が連邦軍の「木馬」との戦いで戦士した事をゲラート少佐に伝えます。そしてマ・クベ大佐からフェンリル隊に与えられた任務は、木馬の探索任務でした。木馬の予想進路は3つあり、フェンリル隊はその1つの探索を任されます。しかし部隊配置には不自然に手薄な部分があり、マ・クベ大佐は木馬を誘導する罠を張っているとゲラート少佐は考えます。ゲラート少佐は、自分達に割り当てられた探索経路と、マ・クベ大佐が木馬を誘導しようとしている経路との交差地点に、フェンリル隊のザクを待機させて待ち伏せします。しばらくすると、フェンリル隊の頭上を木馬が通過していきます。フェンリル隊は木馬への攻撃は行わず、司令部に木馬発見を報告して撤退します。
 エイガー少尉は、オデッサ方面の自走砲大隊の指揮官に任命されます。自走砲が48台、人員が約1000人の大部隊でした。ただし、兵士の1/3は初陣という新米です。エイガー少尉は、これらの戦力でジオン軍のモビルスーツに対抗する策を考えます。
 オデッサでの連邦軍との決戦を前に、闇夜のフェンリル隊にパイロットが2名補充されます。レンチェフ少尉は、腕は立つけれど問題行動の多いバンダイで、愛機のグフと共にフェンリル隊へ配属されます。マニング軍曹は、ゴビ砂漠でフェンリル隊に救出され、本人の希望でフェンリル隊に配属されました。マニング軍曹のモビルスーツは補充されませんでしたが、フェンリル隊の整備班長ミガキはマニング軍曹を救出した際に回収した4機のザクの残骸から1機のザクをリストアしていました。
 フェンリル隊は鉱山基地の左翼で友軍に損害を与えている連邦軍の自走砲部隊を撃破する任務が与えられます。敵部隊は近くの丘の上に観測基地を持ち、この観測結果を用いて正確な遠隔射撃を行っています。ゲラート少佐は、敵中央の丘の北側にある丘を占領して観測所を設け、後方の敵主力への砲撃を行う事を決めます。ル・ローア少尉及びマット軍曹が敵中央への攻撃を行い、ニッキ少尉、シャルロッテ少尉及びスワガー曹長が北の丘を占領し、残りのレンチェフ少尉及びマニング軍曹は臨機応変に支援を行うという配置です。作戦が開始され、ニッキ少尉達のザクが北の丘へ向かいますが、北の丘にはモビルスーツの接近を感知して弾頭を発射する罠が仕掛けられていました。ニッキ少尉の機転で罠を回避し、北の丘の占領が完了します。
 エイガー少尉の部下のサカキ軍曹は、北の丘に設置した罠が予想より早く解除された事を知り、自分に任された2小隊を北の丘へ向かわせようとします。しかしそこに敵のグフが現れ、サカキ軍曹の部隊は壊滅します。破壊された自走砲からサカキ軍曹を含む兵士達が脱出しますが、グフは生身の兵士達をマシンガンで攻撃します。
 北の丘を確保した事でフェンリル隊が優勢となり、自走砲部隊は撤退します。フェンリル隊は追撃しようとしますが、司令部から移動命令が与えられます。移動地点は不自然な場所でしたが、フェンリル隊は命令に従って移動します。後で判明しますが、この不自然な移動命令は、マ・クベ大佐が基地から脱出するためのものてした。
 戦闘には負けたものの、追撃されなかった事で無事に脱出できたエイガー少尉は、サカキ軍曹を含む部下達の死を知り、狼のマークを付けたジオン軍のモビルスーツ部隊との戦いを決意します。

 以上が、林譲治さんの「ZEONIC FRONT 機動戦士ガンダム0079」第1巻の物語です。
 ジオン軍の第二次降下作戦からオデッサでの戦いまでが描かれました。流石の林譲治さんで、渋い重厚なガンダムの物語が堪能できました。面白かったです。
 面白かったです・・・が、物凄く地味な物語でした。主人公側の戦力が複数のザクなのに対して、敵側の戦力がほぼ戦車。かろうじてガンキャノンが1機登場しましたが、多勢に無勢で瞬殺されていました。連邦軍がモビルスーツを投入する前の物語なので、リアルと言えばリアルなのですが、地味でした。当然、この戦力差だとザク無双なわけで、フェンリル隊が強いのか、連邦軍が弱いのかよく分かりません。この作品はゲームを小説化したものなわけですが、ゲームもザクで戦車を潰すような内容だったのでしょうか。そんなゲーム面白いかな?
 地味でしたが、面白かったのは間違いありません。フェンリル隊がホワイトベースとニアミスしたり、ランバ・ラルや黒い三連星がホワイトベースの部隊に倒されたという情報がさり気なく入ったり、ガンダムファンが喜ぶ要素も程良く配置されていました。ガンダムの歴史からみて、今後は連邦軍のモビルスーツも登場するでしょうし、ラスボスにはガンダム6号機も登場するはずです。2巻の物語に期待が膨らみます。


ガンプラHG 「ガンダム6号機 マドロック」 素組

 プレミアムバンダイ限定のガンプラで1/144スケールのHG「ガンダム6号機 マドロック」です。
 ガンダムは1号機から8号機までの8機存在し、アムロが乗っていたのは2号機という、いかにも後付けの設定でありながら、これが今では公式設定となっています。その6号機が初めてプラモデル化されたのがこの商品です。7号機は既にHGUCシリーズで一般販売されており、なぜ6号機は限定品なのかと文句を言いたいところですが、マイナーな機体だからプラモデル化されただけでもお礼を言うべきなのかもしれません。

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 ガンダム6号機は、プレイステーションのガンダムゲーム「ジオニックフロント」に登場する機体だそうです。このゲームをプレイしていないので詳しいことは分かりませんが、「ジオニックフロント」のタイトルが示しているようにこのゲームはジオン軍視点の内容で、このガンダム6号機はラスボス的な存在のようです。言われてみると少し悪人顔のように見えなくもない。

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 プラモデルは箱の大きさも部品数も、ごくごく一般的なHGと同じくらいで、私にはちょうどいいと感じられるものでした。組み立てもそれほど時間がかかる事もなく、難しい箇所もなく、サクサク進めることができました。このプラモデルでは、「未完成状態」と「完成状態」の2つを選択して組み立てることができます。「未完成状態」って何だ?どう考えても、選択するなら「完成状態」でしょう。
 という事で、「完成状態」を選択して組み立てた素組の写真を。

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 ガンダム6号機かっこいいですね。ただ、アムロの初代ガンダムと同じ年代のものとは思えない…、何故でしょう。デザインは初代ガンダムからそれほど離れている訳ではないのですが、青色&黄色の配色で赤色が存在しないからかな?初代ガンダムと同じ配色にすれば、同系列感が高まりそうですね。←このパターンで塗装するのもありかなと一瞬思いましたが、やはり設定色を尊重しようと思います。
 背中に大きな大砲が2つあるところを見ると、後方支援用のガンダムなのでしょうか。中長距離の砲撃はガンキャノン及びガンタンクに任せて、せっかくの高性能モビルスーツなんだから最前線で戦って欲しいものです。もしかすると、近距離から遠距離まで全範囲を1機のモビルスーツでカバーするというコンセプトなのかもしれません。ゲームのボスキャラとしては、かなり厄介そうです。
 ところで、「マドロック」ってどういう意味なのでしょう?


鈴木央 「七つの大罪」 第25巻

 鈴木央さんの漫画「七つの大罪」第25巻は、2017年3月に発売されています。
 前巻では、リオネス王国に攻め込んだ<十戒>を何とか撃退する事が出来ました。この戦いで<十戒>のグレイロード及びフラウドリンが死亡しています。一度死んだメリオダスは、呪いにより復活しましたが、感情を少し失っています。物語は一段落し、次はキング&ディアンヌへと視点が変わるようです。所で、この2人はリオネス王国の危機に何故駆け付けなかったのでしょう?
 それでは以下、「七つの大罪」第25巻のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 メリオダスが<十戒>に殺された後、キング及びディアンヌは、マトローナの家族と共に妖精王の森へ避難していました。妖精王の森は結界で守られているため魔神達の侵略もなく、平和な状態が保たれています。妖精達は楽しく歌い踊り、キング及びディアンヌも一緒に歌い踊り、そしていつの間にか<十戒>グロキシニアも妖精達に混じって歌い踊っていました。そして気が付くとキング及びディアンヌの姿はなく、妖精達はどうして歌い踊っていたのか思い出せません。ただ妖精達のリーダー格であるゲラードだけは、グロキシニアの声を聞いたように思います。
 キング及びディアンヌは、気が付くと見知らぬ場所におり、目の前には<十戒>グロキシニア及びドロールがいました。キング及びディアンヌは、全力でグロキシニア及びドロールに挑み、呆気なく敗北します。しかしグロキシニア及びドロールは、キング及びディアンヌを殺すことなく、更には傷を治してくれます。グロキシニア及びドロールは、キング及びディアンヌを鍛え直してやると言います。グロキシニア及びドロールは、魔神族ではなく妖精族及び巨人族であり、かつては魔神族と戦っていましたが、戦いの中である選択を迫られ、悩んだ末に選択した結果で現在の状態に至りました。グロキシニア及びドロールは、このときの選択が正しかったか否かを証明して欲しいと言い、そのための試練を与えると言います。この試練は命懸けのものですが、乗り越えれば確実に成長できます。キング及びディアンヌは試練に挑むことを即決します。グロキシニア及びドロールは呪文を唱え、キング及びディアンヌは光に包まれます。
 気が付くと、キングはグロキシニアの姿になり、ディアンヌはドロールの姿になって、見知らぬ場所にいました。2人が戸惑っていると、強力な魔神の気配が近付いて来ます。しかし現れたのはメリオダスでした。メリオダスは、2人をグロキシニア及びドロールと認識しており、キング及びディアンヌの名前に聞き覚えはなさそうな様子です。そこへ、更にもう1人の人物が現れます。それはエリザベスでしたが、背中には白い羽根が生えています。現れたエリザベスは、女神族でした。
 メリオダスは、4人揃ったとして別の場所へ移動を開始します。キング及びディアンヌは、目的地は分かりませんが、とりあえずメリオダスに付いて行きます。キング及びディアンヌは、自分達が三千年前のブリタニアにおり、<十戒>になる前のグロキシニア及びドロールとしてこの世界に存在しているのだと悟ります。しかし、三千年前にエリザベスがいること、エリザベスが女神族である事については理解出来ませんでした。
 メリオダスか向かった先は、魔神族の襲撃を受けている人間の集落でした。そこには、強力且つ大量の魔神族が押し寄せており、キング及びディアンヌはとても相手に出来る敵ではないと怯みます。しかしメリオダスは、戦場へ飛び込み、魔神族を次々と倒して行きます。躊躇する2人の前に、<十戒>の「敬神」カルマディオスが現れます。カルマディオスの攻撃を受けて反撃した2人は、グロキシニア及びドロールの身体を持つ今は、<十戒>と戦う十分な実力がある事に気付きます。
 現実世界では、キング及びディアンヌは眠りに落ちていました。キングのヘルメットに宿るヘルブラムがキングを起こそうとしますが、全く反応がありません。グロキシニアは、ヘルブラムが見えるようで、試練をクリアしない限り2人が目覚める事はないと話します。
 キング及びディアンヌは、メリオダスとの連係攻撃でカルマディオスを倒します。この間にエリザベスは、魔神族達を話し合いで引き返させる事に成功していました。魔神族に襲われていた村の生き残りの人間は、キング、ディアンヌ、メリオダス及びエリザベスの4人を<光の聖痕(スティグマ)>の戦士と呼びます。<光の聖痕>は、女神族を中心とする巨人族及び妖精族の連合のことでした。人間のロウは<光の聖痕>に加えて欲しいと言い、エリザベスは生き残った人間達を<光の聖痕>の拠点へ連れて行きます。拠点は妖精王の森の中にあり、拠点には<四大天使>リュドシエル及びその部下のネロバスタがいます。リュドシエルは、聖戦の集結の時が来たと語り、魔神族を根絶すると宣言します。
 ロウは、メリオダスが魔神族だと気付いていましたが、メリオダスを仲間と認めていました。エリザベスは、魔神族を根絶するというリュドシエルの考えに反対しますが、リュドシエルは相手にしません。ディアンヌは、ドロールとして巨人族の仲間達に稽古をつけていました。キングは、森の奥からリュドシエルと同じ魔力を感じ、これが何なのかを訝しんでいました。キングは、妖精族の仲間に話し掛けられ、それがゲラードである事に驚きます。キングが知るゲラードは暗い女性でしたが、このゲラードは明るい女性でした。更にキングは、ゲラードがグロキシニアの妹だと知り、驚きます。キングは森の奥から感じる魔力が何かをゲラードに尋ね、ゲラードはリュドシエルが魔神族をおびき寄せるためにまいた生き餌だと答えます。それは、捕虜にした魔神族達をリュドシエルの作り出した結界に閉じ込めたものでした。
 そして<十戒>が率いる魔神族の大軍が妖精王の森を目指して進軍してきます。メリオダスは魔神族に話を付けにいくと言い、キング及びディアンヌもメリオダスに同行する事にします。人間のロウは、妖精王の森の守りは人間に任せろとグロキシニア(キング)に言い、キングはロウにバンの姿を重ねます。
 魔神族の軍勢は、メリオダス達が話し合いに行く前に、何故か進軍を停止します。エリザベスが1人で先行して魔神族と話し合いに現れたためでした。しかしエリザベスはリュドシエルが多くの魔神族を捕虜としている事を知りません。<十戒>のデリエリは捕虜の解放を要求し、エリザベスはリュドシエルに掛け合う事を約束します。しかしそこへリュドシエルが現れます。リュドシエルは魔神族の捕虜を巨大な聖櫃に閉じ込めており、妖精王の森からこの聖櫃が浮かび上がって来ます。魔神族が捕虜になっていることはメリオダスも知りませんでした。捕虜となっているのは魔神族の非戦闘員ばかりで、デリエリの姉も含まれています。リュドシエルは、<十戒>の目の前で、捕虜を一瞬で皆殺しにします。怒ったデリエリは、目の前にいたエリザベスを殴り飛ばします。
 そして、この場に<四大天使>のサリエル及びタルミエルの2人が現れ、<十戒>以外の魔神族を消し去ります。リュドシエルは2人にこの場を任せて去ります。<十戒>のモンスピート、デリエリ、ガラン、メラスキュラ及びフラウドリンの5人と、<四大天使>のサリエル及びタルミエルの2人との戦いが始まります。<四大天使>側がやや優勢ですが、<十戒>を倒す程ではありません。拠点に戻っていたリュドシエルは、戦いの様子を見て自分も参戦する必要があると判断し、女神族のネロバスタに門を死守するように命じて去ります。門とは、天界に通じる門であり、これを破壊されると援軍が絶たれて劣勢になる恐れがありました。
 出て行ったと思ったリュドシエルは、ネロバスタの元にすぐに戻って来ます。リュドシエルは、念のために門を開いて援軍を要請するようネロバスタに命じます。しかしこれはゴウセルによる幻でした。ゴウセルの術にはまったネロバスタは、ゴウセルを門まで案内します。またメラスキュラもゴウセルと共に門の前にやってきていました。
 <四大天使>対<十戒>の戦いは、徐々に<十戒>が挽回してきていました。しかしそこへリュドシエルが現れます。戦況が不利になったと悟った<十戒>のモンスピート及びデリエリは、自分の心臓を掴み出して贄として差し出す事で本性を解放し、「インデュラ」へと変化します。

 以上が、鈴木央さんの「七つの大罪」第25巻の物語です。
 キング及びディアンヌの試練という名目で、物語が三千年前の過去に飛びました。これは終盤に向けて一気に謎が解けそうな予感です。
 まず、エリザベスに関して。三千年前の世界には女神族のエリザベスが存在し、メリオダスの恋人のようです。現代のエリザベスは、この女神族のエリザベスの生まれ変わりという所なのでしょう。
 女神族に関して。これまては女神族という名称は登場していたものの、よく分からない存在でした。三千年前の世界には女神族が存在しています。人間の味方ではあるようですが、必ずしも善というわけでは無さそうです。<四大天使>のリュドシエル、サリエル及びタルミエルが登場していますが、<四大天使>ですからもう1人いるはずで、出し惜しみしている所から考えて、この残りの1人は重要人物になりそうな予感。
 ゴウセルに関して。三千年前の世界にゴウセルが登場し、どうやら魔神族側についている様子。ゴウセルが<十戒>の1人という噂の真相がそろそろ判明しそうです。三千年前のゴウセルは、鎧姿ではなく、いつもの姿でした。この漫画の初めの方でゴウセルが登場した際に、メリオダスも鎧姿のゴウセルの中身を知らなかったような気がするのですが、この辺りの辻褄は合っているのでしょうか。
 メリオダスに関して。三千年前の世界では既にメリオダスが魔神族ではなく人間側に付いています。このため、メリオダスが魔神族を裏切って人間側に味方するようになった理由などについては、もう少し後で明かされる事になりそうです。
 今巻の最後では、モンスピート及びデリエリが「インデュラ」に変化しました。当初は激強かった<十戒>も今ではより強い奴らが登場して見劣りするようになってきていました。少年漫画のお約束には<十戒>も勝てません。これまた少年漫画のお約束である敵ボスが変身して強くなる、を<十戒>も使ってきました。戦闘能力のインフレは止まりません。
 この三千年前の物語ですが、次の巻で終わる気がしません。何巻くらい続くのか?

 

映画 「TOKYO TRIBE」

 映画「TOKYO TRIBE」は、2014年8月に公開された日本の映画です。
 この映画は、井上三太さんの漫画「TOKYO TRIBE」を実写化した作品だそうです。残念ながらこんな漫画が存在するとは全く知らず、漫画作品を実写化した映画だとは思いもせずに、この映画を見てみました。
 またこの映画は、かの有名な映画監督、園子温さんの作品です。かの有名なと言いつつ、園子温さんの作品を見るのは初めてな気がします。有名監督の作品とか、賞を取った作品とかは、たいてい面白くない事が多い…。この映画「TOKYO TRIBE」もやはり…面白くないです。
 この映画「TOKYO TRIBE」は、ものすごく斬新な映画でした。強いてジャンル分けするとすれば、ラップ・ミュージカルと言ったところでしょうか。全体の半分以上のセリフがラップで行われます。これ以上ないくらい斬新なのですが、斬新だからと言って面白いという訳ではなく、斬新過ぎてついていけません。恐らく、この映画を見た8割以上の人が同じ感想を抱くのではないかと推測します。DVDで見ているのなら、早送りするか、途中で見るのを止めてしまっても不思議ではない。私も、我慢して最後まで見ましたが、こんなに見るのが苦痛な映画は記憶にありません。もしかしたら、コアなラップ好きであれば、楽しめる映画なのかもしれませんが…。
 この映画には、かなり多くの人達が登場し、ラップを披露しています。これは本職のラッパーさん達が大量に採用されているようです。流石に本職のラッパーさん達のラップは、素人の私が聴いても上手い事が分かります。ただし映画作品なので、当然にラッパーではない本職が俳優の人達も登場します。この本職俳優さん達のラップは、素人の私が聴いても下手な事が分かります。聞いていて痛々しいくらいです。
 ただしただし、ラップ・ミュージカルと言っても映画ですので、当然にラップではなく普通にセリフを発するシーンもあります。このときに本職俳優さんの演技は流石にうまいです。これに対して本職ラッパーさん達の演技が酷すぎる…。セリフ棒読みで学芸会レベルです。見ていて痛々しいくらいです。
 そして、物語の内容もかなりチープでした。物語の舞台となる「TOKYO」の風景なども、いかにも作るものっぽくてチープでした。もはや褒めるところが思いつかない映画でした。
 以下、映画「TOKYO TRIBE」の物語のあらすじを一応、簡単に、記載します。ネタバレ注意です。

 荒廃した都市「TOKYO」は複数の地区に分割され、各地区はそれぞれ「トライブ」と呼ばれる集団により統治されています。渋谷はシヴヤSARU、新宿はシンヂュクHANDS、歌舞伎町はGIRA GIRA GIRLS、練馬は練マザファッカー、池袋はブクロWU-RONSがそれぞれ支配しています。しかし武蔵野には、友情や平和を求める人々が集まっています。
 池袋に黒ワゴン車が現れ、男達が女達をナンパして黒ワゴン車を乗せ、何処かへ向かいます。池袋の路上で眠っていた少女スンミ(清野菜名)も男達に車へ連れ込まれ、近くにいた少年ヨン(坂口茉琴)は車に潜り込みます。車に載せられた女達は、トライブとは別にTOKYOで大きな権利を持つヤクザのような人物ブッバ(竹内力)の城に連れて来られ、働かされる事になります。スンミはブッバに反抗してブッバの息子ンコイ(窪塚洋介)に気に入られ、ヨンは何とか逃げ出します。
 ブッバの城には、ンコイを含むファミリーの他に、池袋のトライブのリーダーであるメラ(鈴木亮平)がいました。メラは、ブッバの部下として信頼を得ています。メラは、武蔵野の海(YOUNG DAIS)を何故か目の敵にしています。
 スンミは、娼婦として働かせるために、ンコイの部下達が別の場所へ連れて行きます。スンミは格闘能力が高く、ンコイの部下達を殴り倒します。そこへンコイ及びメラが現れ、スンミはンコイを殴り倒しますが、メラには敵わず、捕まってしまいます。
 その頃、メラの部下の1人は、武蔵野の海の仲間達が集まるレストランに潜り込んでいました。メラの部下は、海の仲間のキム(石田卓也)を、いい風俗があると騙して池袋へ連れ出します。この事を知った武蔵野のリーダー的存在のテラ(佐藤隆太)は池袋へ向かい、海及びハシーム(石井勇気)も同行します。池袋にやって来たキムは、スンミが捕まっている部屋に案内され、そこにいたメラ、ンコイ及びその部下達に囲まれ、捕まります。
 その後、キムを追って海達もこの部屋へやってきます。メラは海に恨みを持っているようですが、海は以前に一度だけサウナでメラに会った事があるだけで、恨まれる覚えは全くありません。海達とメラ達との乱闘が始まり、キムは手榴弾で殺されます。メラは日本刀で海を刺し殺そうとしますが、テラが海を庇って刺されて倒れます。このどさくさに紛れて、ヨンがスンミを助けに現れ、2人は逃げます。海はメラと闘い続け、ハシームは刺されたメラを連れて逃げます。
 ブッバの元に大司祭(でんでん)から娘が居なくなったと連絡があります。ブッバは、大司祭の娘を探し出すことを約束します。大司祭は、配下として使うようにと、自身の部下2名をブッバの元へ送ります。
 海は、スンミ及びヨンと合流し、更にテラを抱えたハシームとも合流して、武蔵野へ戻ります。ブッバは、トライブ全てを破壊しTOKYOを手中に収め、大司祭の娘を探し出す事を決め、メラに実行を命じます。メラ及びブッバ配下の軍団WARUが各トライブに対して一斉に攻撃を開始します。各トライブはWARUに押されて武蔵野へと集まって来ます。武蔵野のテラは各トライブのリーダー達も認める人物でしたが、メラに刺された事で死亡してしまいました。テラの死を知った各トライブは、一致団結してブッバと戦う事を決意します。
 そして、全トライブと、メラ及びブッバ軍団との最終決戦が始まります。海、スンミ及びヨン達は、ブッバの城内へ攻め込み、ブッバファミリーとの直接対決に挑みます。ンコイは、城内に設置された巨大扇風機のような殺戮マシーンを起動し、逃走します。殺戮マシーンは周囲の人々を誰彼構わずに吸い込んで肉片に変えて行きます。ブッバもまた殺戮マシーンにより死亡します。戦いは城外へ移り、スンミ及びヨンは協力してンコイを倒します。最後は、海及びメラの一騎打ちとなり、人々が見守る中で闘いが繰り広げられ、海が勝利します。
 闘いに敗れたメラは、過去の出来事を思い浮かべます。メラが銭湯で風呂につかっていると、海が入って来ます。メラは、自分より大きい海のチ×ポを見て、海を倒す事を決意しました。

 以上が、映画「TOKYO TRIBE」の物語です。
 内容の薄い物語でした。対立していた複数のトライブが一致団結してブッバを倒しました、ただそれだけでした。結局、対立している集団が団結するためには、より巨大な敵が必要ということですね。
 この映画の主人公はどうやら海だったようなのですが、海の存在感が無さ過ぎて映画の半分を過ぎるまで海が主人公とは気付きませんでした。てっきり、スンミが主人公だと思いました。海を演じていたのは、本職ラッパーの方のようで、台詞も少な目。海の外観も、どこから見ても、その他大勢の1人にしか見えません。格闘能力も無さそうで、メラにどうして勝てたのか疑問です。
 全く良いところのない映画の中で、スンミだけは頑張っていました。アクションシーンが多く、台詞も多目です。スンミが主人公の普通のアクション映画にした方が良かったのでは、と思えるくらいです。またスンミの衣装は超短いスカートで、スンミはパンツ丸出しでアクションしており、更にはスンミは上半身裸の姿まで披露しており、サービス満点です。ただこのサービスシーンは、物語においてどうしても必要とは思えず、単なる監督の趣味のように思えます。スンミを演じていた清野菜名さんは、今でこそ名前を知られていますが、この作品の公開当時は無名の新人女優さんだったようで、有名監督のセクハラ演出に反抗出来るだけの発言力がなかったのでしょうね・・・。
 この映画のスンミの活躍シーンを抜き出して5分程度に圧縮してミュージックビデオにすれば、そこそこいいものが出来上がりそうに思えます。そのくらいが限度では。久し振りに映画の2時間が苦痛な作品を見てしまいました。

 

カイ・マイヤー 「七つの封印」 第9巻 「異界への扉」

 カイ・マイヤーさんの「七つの封印」第9巻「異界への扉」です。日本では、2004年3月に発売されています。
 前巻は、キラ達の学校を舞台に、ハロウィンパーティーに現れた怪物と戦う内容でした。このシリーズは全10巻で、残りは今回の第9巻と、最後の第10巻との二冊。残り二冊で悪の魔女組織「アルカーヌム」を倒す事が出来るとは思えず、中途半端に終わりそうな予感がします・・・。ただし第9巻には、かなり強力な助っ人が登場します。この助っ人がいれば、アルカーヌムの壊滅も可能性ありそうです。
 それでは以下、カイ・マイヤーさんの「七つの封印」第9巻「異界への扉」のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 キラは、休暇を過ごすために、イギリスのティンタジェルという村へやってきます。この村は、伝説のアーサー王が生まれた場所とされる観光地でもあります。キラの父であるラーベンソン教授が発掘作業のためにこの村を訪れており、いつものようにキラとその友人のクリス、ニールス及びリーザとがこの村に招待されました。ただし今回は、クリス、ニールス及びリーザの3人の都合がつかず、キラだけ1日早く1人で村にやってきます。
 キラは、村のバス停でバスを降りますが、迎えに来るはずの父の姿はなく、代わりにデリックという若い男が迎えに現れます。デリックは、キラの父に頼まれたと言って、隣村ボスカッスルにある魔女博物館にキラを連れて行きます。魔女博物館は、普通の観光客向けの陳腐なものですが、キラは海岸風景の写真の前で足を止めます。キラが写真をよく見ると、海岸にはアーサー王が倒れており、海から船が徐々に海岸へと近付いて来ます。船には3人の王妃とそれに従う女性達が乗っており、海岸に倒れていたアーサー王を連れて去って行きます。
 突然、キラの背後から女性が話し掛け、海岸風景は何の変哲もない絵になっていました。女性は、赤い髪の20代半ばくらいで、キラに似ています。女性は、キラの事も、キラが七つの封印を持つ事も知っていました。女性は、キラが先程見た場面でアーサー王を連れて行った王妃の1人であるモルガーナが、アーサー王を陥れた邪悪な存在であり、キラを狙っていると警告します。女性は、近いうちにキラの力を借りる事になると言い、去って行きます。
 魔女博物館を出たキラは、デリックに父の発掘現場へ連れて行ってもらいます。しかし父は発掘作業で手が放せず、キラは父と十分な話しをする事ができないまま、宿泊先のコテージへやってきます。キラは、1人でコテージで父の帰りを待ちますが、夜10時を過ぎても父は帰ってきません。キラは、もう一度発掘現場へ行ってみることにし、コテージを出ます。コテージから発掘現場への途中にある共同墓地で、キラは真っ白な服を着た6人の女性達に囲まれます。キラの腕には七つの封印が浮かび上がります。6人の女性達は、モルガーナの侍女達である水の妖精ニンフでした。キラは逃げますが、ニンフ達に捕まってしまいます。
 一方、クリス、ニールス及びリーザの3人は、キラより1日遅れで列車に乗り、ドイツからイギリスを目指していました。しかし、3人が乗る列車は、線路上に現れた犬のために停車します。3人の腕には七つの封印が浮かび上がっていました。犬を追いやろうとした運転手は犬に噛まれて負傷し、更に濃い霧が周囲を覆い、多くの犬が現れて列車を囲みます。
 キラを捕らえたニンフ達は、空を飛んで小さな湖へやってきます。湖に渦巻が発生し、その中央に大きな縦穴が現れます。キラは、この縦穴が異界へと通じる扉だと感じます。キラは異界へ連れて行かれる事を覚悟しますが、キラ達の上に長い棒に座った女性が現れてキラを救出します。女性は、魔女博物館で出会った女性であり、何かの粉を撒いてニンフ達を倒します。女性は、自分の名前は明かしませんが、色々な事をキラに話します。この湖はドズマリー・プールという名前であり、アーサー王を異界へと連れて行った3人の王妃のうちの1人であるニムエがこの湖の姫で、ニムエはモルガーナのような悪人ではないようです。3人の王妃が異界へ行ったときに影だけがこの世界に残り、3人の影がアルカーヌムの3人の母となりました。女性とモルガーナは長い間戦っており、キラの存在が危険でありと判断したモルガーナがキラの命を狙っていました。2人が話していると、女性はモルガーナがやってくる気配を感じ、急いでキラを安全な場所へ避難させます。キラは、気が付くと宿泊先のコテージにいました。女性が魔法でキラを瞬間移動させたようです。キラは、その後に女性とモルガーナとがどうなったのか気になりますが、確かめる術はありません。コテージには父が戻ってきており、着替えもせずにベッドで眠っていました。キラは不審に思いますが、頭の中に女性の声が響き、その声は父は魔法で眠らせたと告げます。キラは、父が所有する書物にモルガーナの事が記載されている部分を発見し、読みふけります。
 キラが書物を読み終えると、コテージの中で物音がします。玄関の鏡に亀裂が入っており、鏡にはドズマリー・プールと魔女博物館との2つの景色が映っています。キラは、この映像があの女性からのメッセージだと考え、タクシーを呼んで魔女博物館へ向かいます。魔女博物館には、予想通り女性が待っていました。魔女博物館には本物の魔女の品物も展示されており、モルガーナの手下達は中に入る事が出来ないため安全でした。女性は、自分の名前がデーアであり、千年以上生きてアルカーヌムと戦っていると話します。そして女性は、自分がキラの母親だと話します。デーアはキラを産んだ後、モルガーナを追って異界へ行き、こちらの世界では死んだ事になりました。デーアはこちらの世界には戻って来れないと思っていましたが、奇跡的な幸運に恵まれてこちらの世界へ戻ってくることが出来ました。デーアは自分1人の力ではモルガーナを倒す事ができないけれど、キラと2人でなら倒す事が出来ると言います。キラは、母と共に異界へ行ってモルガーナを倒す事を決意します。
 クリス、ニールス及びリーザは、停車した列車に閉じこめられた状態が続いていました。3人が窓の外を観察していると、巨大な竜のような魔物が現れます。魔物は、列車を押し倒します。
 デーアは魔女博物館の展示物から本物の魔法の品物を選んで集めます。その中には空飛ぶ絨毯があり、キラがこれを使う事になります。デーアは集めた品物を燃やして魔法をかけ、博物館の周りに集まっていたニンフ達の注意を逸らします。デーアは木の棒に乗り、キラは魔法の絨毯に乗って、魔女博物館から脱出し、空を飛んでドズマリー・プールを目指します。2人はドズマリー・プールに到着し、湖に渦巻きが生じて異界への扉が開きます。2人はこの扉を通って異界へ出ます。
 異界では、湖の中央にある島に建てられた砦があり、湖はモルガーナの軍勢が囲んでいました。砦は湖の姫ニムエのものであり、ニムエの軍勢とモルガーナの軍勢との戦争の真っ只中に2人は出ました。ニムエの軍勢はデーア及びキラに味方してくれます。そしてニムエも2人に魔法で力を貸してくれるようです。デーアはモルガーナに対して決戦を要求し、モルガーナが2人の前に姿を出します。モルガーナは、湖の水を使って大量のニンフを作り出そうとします。しかしデーア及びキラは湖に飛び込み、キラの魔力とニムエの協力とにより、デーアがニンフ達の制御を奪う事に成功します。湖の水から生み出された大量のニンフは全てモルガーナの敵となり、モルガーナに襲いかかります。大量のニンフに囲まれたモルガーナは、流石になす術なく力尽きます。モルガーナを倒したニンフ達は湖の水に戻ります。デーア及びキラは、再び湖の扉を通って元の世界へと戻ります。
 同じ頃。クリス、ニールス及びリーザが乗っていた列車の周囲にいた怪物達は姿を消していました。モルガーナが死んだ事で怪物達は消え去ったようです。クリス達は、キラが敵を倒したのだと理解します。
 元の世界に戻ったデーア及びキラですが、デーアはまだ異界は自分の力を必要としていると言い、異界へ再び向かう決意のようです。デーアは、キラとの再会を約束して、異界へと旅立ちます。

 以上が、カイ・マイヤーさんの「七つの封印」第9巻「異界への扉」の物語です。最終巻の1つ前と言うことで、一気に物語が進展しました。
 デーアがキラの母親だったという秘密が明かされる、なかなか驚きの物語でした。・・・そうでもないかな?薄々、そんな展開もあるかなとは思わなくもなかったですが。でも、生きてデーアが再登場するとは思っていませんでした。だって、この展開は外伝を読んでいないと意味不明ではないかと思うのです。外伝は読まないか、正伝を読んでから外伝を読むという読者も結構いるはずで、この展開にするなら、あの外伝は正伝として発表するべきだと思います。
 今回の物語は、キラ以外の3人、クリス、ニールス及びリーザはほとんど登場しませんでした。前々から思っていましたが、7つの封印を4人が持つのではなく、キラ1人が持ち、3人はあくまで協力者とする方が良かったのではと。4人セットでなければいけないという制限は、物語の広がりや奥行きを狭くしているように思われます。今回の物語ではキラ1人に焦点を絞った事で、いつものような逃げ回る物語ではなく、敵と対等に戦う物語にする事ができました。
 デーアがラーベンソン教授のどこに惹かれて結婚したのか・・・。オカルトトークで仲良くなったのでしょうね。キラの面倒を見ているカサンドラおばさんは、キラの母親の妹だったような・・・。このあたりの人間関係はどのように設定されているのでしょう。あまり記憶が確かではないので、もしかしたらカサンドラおばさんはラーベンソン教授の妹だったかもしれませんが。
 さぁ、次の巻でいよいよこのシリーズは完結です。キラの隠された能力が目覚めて、魔女組織アルカーヌムを全滅させる、そんな結末だといいですね。


ウォーハンマー・アンダーワールド 「アンガラッド・ブライトシールド」 塗装完成

 ウォーハンマー・アンダーワールド:シェイドスパイアのセットに含まれているウォーバンド「スティールハートの勇士たち」の中の1人、「アンガラッド・ブライトシールド」のミニチュアを塗装しました。このミニチュアは、金色の仮面というか兜をかぶったストームキャスト陣営のキャラクタです。これまでに制作した「リベレイター」及び「ナイト・インキャンター」と同じ陣営なので、塗料も塗装パターンもほぼ同じです。「アンガラッド・ブライトシールド」というのは恐らく個人名で、役割としては「リベレイター」に分類されるのではないかと思います。
 それでは以下に、「アンガラッド・ブライトシールド」の塗装に使用した塗料をまとめます。「ナイト・インキャンター」とほぼ同じですが、少しずつ塗料を買い足しているので、色数が少し増えているはず。下地の黒色はスプレー、それ以外は筆塗りです。ほぼ、塗装した順番で塗料名を記載します。

(1)下地塗装
全体:Chaos Black(スプレー)

(2)ベース塗装
金色部分:Retributor Armour(ベース)
青色部分:Kantor Blue(ベース)
黒色部分:Abaddon Black(ベース)
銀色部分:Leadbelcher(ベース)
ひらひら:Rakarth Flesh(ベース)
武器持ち手:Screamer Pink(ベース)
白色部分:Celestra Gray(ベース)

(3)シェイド塗装
金色部分:Reikland Fleshshade(シェイド)
ひらひら:Agrax Earthshade(シェイド)
その他:Nuln Oil(シェイド)

(4)レイヤーor再ベース塗装
金色部分:Auric Armour Gold(レイヤー)
青色部分:Alaitoc Blue(レイヤー)
銀色部分:Leadbelcher(ベース)
ひらひら:Pallid Wych Flesh(レイヤー)
武器持ち手:Pink Horror(レイヤー)
白色部分:Ulthuan Grey(レイヤー)

(5)エッジハイライト塗装
金色部分:Liberator Gold(レイヤー)
青色部分:Hoeth Blue(レイヤー)
銀色部分:Stormhost Silver(レイヤー)
ひらひら、白色部分:White Scar(レイヤー)
黒色部分:Eshin Glay(レイヤー)
武器持ち手:Emperor's Children(レイヤー)

(6)台座
岩等:Mechanicus Standard Grey(ベース)
岩その2:Rakarth Flesh(ベース)
土等:Rhinox Hide(ベース)
葉っぱ等:Loren Forest(レイヤー)
 ↓
全体:Agrax Earthshade(シェイド)&Athonin Camoshade(シェイド)をまだらに
 ↓
全体:Screaming Skull(レイヤー)でドライブラシ

 それでは以下に完成写真を掲載します。

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 さすがにストームキャスト陣営は3体目なので、塗装手順も迷う事なく、サクサクと塗装を進める事が出来ました。ミニチュア塗装の経験値も少し貯まってきたかな。この調子で「スティールハートの勇士たち」の残り2体も塗装を進めようと思います。が、次はガンプラに寄り道しようかと考え中。


江戸川乱歩 「大暗室」

 創元推理文庫の江戸川乱歩シリーズの第13巻「大暗室」です。雑誌「キング」に、1936年から1938年までの二年間に渡って連載された作品だそうです。
 久しぶりに江戸川乱歩さんの作品を読みました。創元推理文庫の江戸川乱歩シリーズは全部で20巻まであり、終わりに少しずつ近付いています。このシリーズの作品順は、特に決まりはないようなのですが、作品の発表された年代順にある程度揃えてあるようです。今回の「大暗室」は、明智小五郎が登場しない長編作品です。 
 それでは以下、江戸川乱歩さんの「大暗室」のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 客船宮古丸が沈没し、何とか脱出した一隻のボートに3人の男性が乗っています。男爵の有明友定、その友人の大曾根五郎、男性の召使いの久留須左門の3人です。ボートには水も食料もなく、3人は死を待つばかりの状態でした。有明男爵は、妻の京子に宛てた遺言状を大曾根に託します。遺言状には、自分が死んだら大曾根と結婚して幸せに暮らすようにと記されていました。大曾根は有明男爵の遺言を承知しますが、大曾根も生き残れる可能性は限りなく低い状況でした。
 有明男爵は大曾根を大親友だと思っていましたが、大曾根は男爵の金目当てに近付いてきた悪人でした。その後、ボートは陸に近付いていることが分かり、3人は安堵します。しかし大曾根は、持っていた拳銃で久留須を撃ち、久留須はボートから落ちて海へ沈みます。更に大曾根は有明男爵を撃ち殺します。
 5年後。大曾根は有明男爵の妻だった京子と結婚し、有明男爵の財産を引き継いでいました。京子には、有明男爵との間に産まれた子供である友之助と、大曾根との間に産まれた子供である竜次とがいました。ある日、竜次が子犬の目をえぐって血だらけになるという事件が起こります。京子は、子犬の手当てと竜次に付いた血を洗い流すため、友之助をハンモックに残して席を外します。このときに偶然外から帰ってきた大曾根は、ハンモックに1人きりの友之助を抱え、庭の池に放り込んで放置します。その後、何食わぬ顔で大曾根は家に戻り、家では友之助の行方が分からず大騒ぎになっていました。大曾根は、庭の池に落ちたのではと言って使用人達に池の水を抜いて調べさせます。しかし、友之助は発見されませんでした。戸惑う大曾根の前に1人の男が現れます。男は死んだはずの久留須でした。久留須は、海に落ちた後、海賊の船に救われ、その後は海賊に奴隷のように使われていましたが、何とか逃げ出す事に成功し、有明の家に戻って来ました。久留須は、大曾根が友之助を池に投げ込んだのを目撃し、友之助を助け出したと言います。屋敷内の部屋に場所を移し、久留須、京子及び大曾根の3人は話し合いをします。久留須は大曾根が有明男爵を殺したことを京子に話し、これを聞いた京子は竜次を連れて出て行くよう大曾根に要求します。大曾根は、素直に出て行くフリをして久留須及び京子を部屋に閉じ込め、屋敷に火を放って竜次と共に去って行きます。屋敷は火事で燃え落ち、京子は死亡し、久留須は大火傷を負いますが何とか助かります。久留須は、知人に預けていた友之助を迎えに行き、友之助に両親の仇を討てと言います。
 20年後。東京湾で飛行機の競技会が開催され、有村清及び大野木隆一という2人の青年が同時飛行を行う事になります。お互いに知らない事でしたが、有村清の正体は有明友之助であり、大野木隆一の正体は大曾根竜次でした。飛行機の操縦の腕前は僅かに有村が勝っており、大野木の飛行機が有村の飛行機に接触して2機は墜落します。2人はパラシュートで脱出して海に降り、岸まで泳ぎます。岸に上がった2人は、救助隊の到着までの間に語り合います。大野木は悪事の限りを尽くして地上の栄華を極める事を目標にしていると話し、有村はこの世の悪魔を倒す事を目標にしていると話します。正反対の2人は握手をして別れます。
 半月後、浅草の公園を歩いていた老人に1人の男が話し掛けます。老人は百万長者の辻堂作右衛門で、男は殺人を請け負う殺人事務所の事を辻堂老人に話します。殺したい人間がいる辻堂老人は男の話しに興味を持ち、男は辻堂老人を殺人事務所へ連れて行きます。途中、辻堂老人は別の男が運転する車に乗せられ、目隠しをされた状態で殺人事務所まで連れてこられます。
 辻堂老人が通された部屋には、全身を西洋甲冑で覆った所長が待ち構えていました。辻堂老人は、同居している星野清五郎という男に命を狙われており、この男を殺して欲しいと依頼します。しかし殺人事務所の所長は、辻堂老人が嘘を付いていることを指摘します。所長は辻堂老人の本当の目的を語ります。星野は江戸時代の商人が隠した金銀財宝の在処を示す暗号文書を所有しており、辻堂と2人で暗号解読を試みていましたが、やっと暗号を解くことができそうな状況でした。辻堂老人は財宝を一人占めするために、星野を殺したいと考えていました。辻堂老人は所長の指摘を認めます。辻堂老人が認めた事で、所長は甲冑を脱いで正体を明かします。現れたのは若い男、大野木隆一でした。大野木は、辻堂老人に変装して星野を殺害すると言い、目の前で辻堂老人に変装して見せます。大野木の変装は完璧でした。そして大野木は、辻堂老人を捕らえ、財宝を全て自分の物にすると宣言します。
 辻堂老人の家には、星野及びその娘の真弓が同居していました。その日の遅くに辻堂老人が帰宅し、真弓が出迎えます。このとき、庭に不審な人影を見た真弓はとっさに辻堂老人に抱きつきますが、真弓は辻堂老人が老人とは思えないしっかりとした体格である事に気付きます。その夜、書斎を覗いた真弓は、辻堂老人が書斎を荒らしているのを目撃します。翌日、真弓は恋心を抱いている青年、有村に昨夜の出来事を相談します。有村は、辻堂老人は誰かが変装した偽者に違いないと推理し、このような悪事を働く人間に心当たりがあると話し、真弓の父と相談する事を申し出ます。
 翌日、辻堂老人と星野は2人で登山に出掛けます。断崖の上で一休みしたとき、辻堂老人は自分が偽者だと話して正体を現します。大野木は、辻堂老人に星野を殺す事を依頼されたけれど、星野を殺して財宝と真弓とを自分の物にしようと思っていると話します。これを聞いた星野は、何故か笑い出します。星野は、有村が変装した偽者でした。断崖の上で有村と大野木との格闘戦が始まり、有村に投げ飛ばされた大野木は断崖から落ちてしまいます。しかし大野木はかろうじて木に掴まって落下を免れ、有村は大野木を助け上げます。助けられた大野木は、辻堂老人及び星野親子から手を引く事を約束します。有村は大野木を連れて下山し、東京へ戻るために汽車に乗り込みます。汽車がトンネルに入って車内が暗闇に包まれた時、大野木は姿を消し、メッセージが残されていました。それには、本物の星野と真弓とは部下に誘拐させた事や、財宝の在処を示す暗号文書は自分が保持しており、財宝は一人占めする事が記されていました。
 誘拐された真弓は、どこか洞窟のような場所「大暗室」に連れて来られます。そこには辻堂老人及び父親の星野も捕らわれていました。真弓の前に現れた男、大野木は、有村は死んだと真弓に嘘を話します。大野木は自分の花嫁になることを真弓に求めますが、真弓は拒否します。大野木は、大暗室に作られた縦穴の底に真弓を身動き出来ないよう縛り付けて放置します。穴にはネズミがウジャウジャおり、穴の上からは振り子のように揺れながら巨大な刃物が少しずつ降りてきます。巨大な刃物に切り裂かれる寸前に、真弓は、ネズミに縄をかじらせて何とか脱出します。しかし次は、穴の壁が少しずつ迫ってきます。徐々に穴の中央に追い詰められた真弓は、底に井戸のような穴が更にある事に気付きます。その穴はたくさんのネズミ達が出入りしている穴でしたが、真弓はその穴へ飛び込みます。
 有村の元に大野木からの手紙が届きます。手紙には、真弓達を自分の隠れ家である大暗室に監禁していることや、財宝を掘り当てた事などが記され、これを軍資金として東京を悪魔の色に塗り潰すと予告していました。有村を味方する黒衣に覆面の老人、久留須は、この手紙の主が大曾根の息子に違いないと考え、若い頃の大曾根五郎の写真を有村に見せます。若い頃の大曾根は大野木とソックリで、大野木の正体は大曾根の息子の竜次で間違いなさそうです。2人は、大曾根竜次の打倒を決意します。
 東京で財宝の盗難事件、女性の誘拐事件、殺人事件が多発し、現場には必ず渦巻模様が残されていました。そして、歌劇女優の花菱ラン子が舞台上でいつの間にか背中に渦巻模様が描かれるという事件が発生し、次の誘拐のターゲットがラン子であると目されます。ラン子のファンクラブの女性幹部達は、ラン子を守るための計画を練ります。女性幹部の1人が連れてきた美青年を女装させてラン子の影武者を勤めさせる事が決まります。ラン子の劇場への行き帰りを影武者が行い、ラン子は男装して別経路で劇場に向かいます。無事に劇場へ着いたラン子は公演を行い、第一幕を終えますが、幕間に場内アナウンスで不気味な声が流れます。ラン子と同じ舞台に上がる女優の水上鮎子は、舞台裏で仮面に黒ずくめの男に、今夜が危ないから注意するようにとの忠告を受けます。そして第二幕が始まってしばらくすると、場内の電灯が消えて真っ暗闇になり、再び電灯が灯ると、舞台ウエストではラン子が棒立ちになって口から血を流します。そしてまたしても電灯が消え、再び電灯が灯った時には舞台上でラン子は倒れていました。3人の男達が急いで舞台に上がり、ラン子を楽屋へと運びます。劇場を張り込んでいた刑事達も急いで楽屋へ向かいます。刑事達がラン子の楽屋へ入ると、そこには影武者の青年がおり、ラン子を運び込んだ男達は出て行った後でした。刑事達がラン子を調べると、それはラン子にソックリの蝋人形でした。これを楽屋に運び込んだ男達の行方も分かりません。関係者達が楽屋に集まって話し合っていると、仮面に黒ずくめの男が現れます。男は久留須と名乗り、ラン子誘拐の真相を伝えます。ラン子は1回目に電灯が消えたときに舞台の下に連れ去られ、ラン子に化けた偽者と入れ替わり、2回目に電灯が消えたときに蝋人形と入れ替わったとの事です。そして久留須は、この犯行を行った悪人達の首領が楽屋に潜んでいると言い、首領はラン子の影武者を務めた青年、その正体は大曾根竜次であると指摘します。竜次は刑事達に取り押さえられ、連行されて行きます。そのとき、またしても電灯が消え、竜次は逃走します。刑事達が追跡しますが、竜次は劇場の屋根の上へ登り、屋根づたい逃げ去ってしまいます。
 少し前、舞台の下へ拉致されたラン子は、気を失って、竜次の部下の3人の男達によって地下道に用意された木箱の中に詰め込まれます。男達は、木箱を運び出そうとしますが、地下道に警官がやってきます。男達は木箱を置いて身を隠します。警官達はしばらく地下道を歩き回って去って行きます。男達は木箱の元へ戻り、木箱を地上へと運び出します。男達が地上へ出ると、トラックの運転を担当する北村という男が待っていました。男達は木箱をトラックに積み、トラックに乗り込みます。しかし北村は突然に腹痛を訴え、木箱を運んだ男の1人が運転を代わります。
 トラックは川に面した倉庫に到着し、男達は木箱を倉庫へ運び込みます。男達は北村が用意したウイスキーを飲んで一休みします。しばらくすると、大曾根竜次が倉庫へやってきます。しかし北村以外の男達は酒を飲んで眠り込んでいました。竜次は北村と共に木箱の蓋を開けて中を確認します。ラン子がいるはずの木箱の中には、北村が気を失って倒れていました。竜次と共に木箱の蓋を開けた北村は、有村の変装でした。そしてこの倉庫は既に、有村の通報を受けた警官隊が囲んでいました。倉庫内で有村と竜次との格闘戦が始まり、竜次の死に物狂いの一撃を受けて有村は一瞬気を失います。この隙に竜次は、倉庫内の火薬に火を付けて姿を消します。倉庫を調べた有村は床下から川へと抜ける隠し通路を発見します。竜次は川を泳いで逃げ、有村はそれを追います。有村は竜次に追い付きますが、竜次の部下が快速艇で現れ、竜次を乗せて逃げ去ります。
 6つの新聞社に、明智小五郎から渦巻きの賊に関する情報を提供するとの連絡があり、各社の合計6人の記者が指定された西洋館に集まります。しかし、6人の記者の前に現れたのは明智ではなく、渦巻きの賊、即ち大曾根竜次でした。竜次は自分のアジトである「大暗室」に記者達を招待すると言います。記者達に出された紅茶には睡眠薬が入っており、記者達は眠り込んでしまいます。記者達が目を覚ますと、そこは洞窟の中のような暗い場所でした。天使の姿をした女性が現れて、無言で記者達を案内します。大暗室に作られた池には人形がおり、空には天使が飛び、下半身が羊の妖女が歩き、女体の蛇がとぐろを巻くなど、様々な生き物がいました。そして女体で作られた寝台の上に竜次がおり、竜次は誘拐した女性達でこの世界を作り上げたと話します。また竜次は、金の力で雇った多くの者達が働いていると言います。次に竜次は記者達を地獄の門へ連れて行きます。地獄の門の先には様々な拷問器具が用意されており、従わない人間を拷問していました。そこには牢獄もあり、牢獄には辻堂老人及び星野も入れられています。次に竜次は大量の火薬が置かれている場所へ記者達を案内します。そこには「××百貨店」と記載されており、竜次はここがその百貨店の下だと言います。このような場所が他にも八ヶ所あり、スイッチ1つで全ての火薬を爆発させて東京に大きな被害を与える事が出来ると話します。ここが東京の地下だと言うことを信じない記者達に対して、竜次は潜望鏡で地上の様子を覗かせます。記者達は、場所を特定する事は出来ませんが、確かに多くの人々や車が行き交う景色を潜望鏡を通して見る事ができ、作り物や映像ではなく本物の景色だと確信できるものでした。その後、竜次はラン子を10日以内に誘拐してみせると宣言し、記者達を眠らせて地上へ返します。記者達は大暗室の様子を記事にして次の日の新聞に載せます。
 警視庁に仮面に黒ずくめの男、久留須がやってきます。久留須は刑事部長の大矢に仮面を取って素顔を見せ、火事ど焼けただれて髑髏のような素顔を隠すために仮面をかぶっていると説明します。久留須は、大暗室を訪れた記者達に話を聞き、潜望鏡が設置されている場所を突き止めたと話します。潜望鏡は東京のとある屋敷に設置されており、大暗室へ通じる出入り口もこの屋敷にあると考えられました。久留須は屋敷の近くに上げたアドバルーンから屋敷を監視する事を計画しており、警察に協力を要請します。大矢は久留須に協力を約束します。
 アドバルーンでの監視が交代で行われ、久留須及び中村警部が監視を行っていたとき、屋敷の前に大きな木箱を積んだ車が止まり、2人の男が木箱を屋敷の庭にある池のそばに置いて去って行きます。しばらくすると、池が波打ち始め、池の中から大きな鉄の筒がせり上がってきます。そして鉄の筒の蓋が開き、中から現れた男達は木箱を運び込みます。しばらくして鉄の筒は池の中へ沈み、池は元通りに戻ります。「大暗室」の出入口の秘密を知った久留須及び中村警部は、全部で5ヶ所あるはずの出入口の全てを発見すべく、警官隊を総動員して東京の似たような場所を探します。
 大曾根竜次は、予告通りにラン子の誘拐を成功させ、大暗室へ戻ってきます。竜次は、ラン子に人魚の衣装を着せ、人魚達に仲間入りさせるべく池へと連れてきます。池へやってきた竜次は、人魚達の中に見慣れない顔を発見します。それは、いつの間にか人魚達に混じっていた有村でした。有村は、既に人魚達を味方に付けていました。真弓も人魚にされており、有村は真弓との再会を果たしていました。竜次は部下の男達を呼びますが、現れたのは部下達に化けた警官隊でした。大暗室の全ての出入口を発見した有村達は、ラン子誘拐のために竜次が留守にしている間に大暗室を占領し、大暗室の中にいる竜次の部下達と入れ替わっていました。また有村達は、各所に用意された爆薬も水浸しにしていました。敗北を悟った竜次は大暗室の中にある崖を登り、竜次を盲信する6人の女性達が後を追って崖を登ります。崖の上に登った竜次は、短剣を持ち出して6人の女性達を殺し、短剣で自分自身を切り裂いて自殺します。

 以上が、江戸川乱歩さんの「大暗室」の物語です。
 これまでの乱歩作品の総集編のような物語でした。大暗室がパノラマ島と化したときにはウンザリでした。江戸川乱歩作品の人物達はどうしてこんな物を作りたがるのか・・・。乱歩さん自身がパノラマ島を作ってみたかったのでしょうか。美女をはべらせたいのなら、東京の地下に大暗室を作った資金で、悪事など働かなくとも、いくらでも可能なのでは?こんな物を生涯の目標とする悪人の気持ちがサッパリでした。
 一応、主人公は有村だったのでしょうが、骸骨男の久留須の方が目立ってました。有村も久留須に操られていただけで、実は久留須の復讐物語だったのかもしれません。
 明智小五郎が登場しない物語だからかもしれませんが、「大暗室」が映画やドラマになった気配はありません。まぁ、仕方ないですね。

 

映画 「鋼の錬金術師」

 映画「鋼の錬金術師」は、2017年12月に公開された日本映画であり、荒川弘さんの漫画「鋼の錬金術師」を実写化した映画です。
 最近よくある漫画を原作とする実写映画です。この手の映画を見るときは、原作の漫画を読んでいない物を選択するようにしているのですが、この「鋼の錬金術師」は原作の漫画を読んだことがあります。漫画は全27巻で、恐らく20巻くらいまで読んだと思います。最後までは読んでいないので、結末は知りません。読んだのはかなり昔なので、内容はうろ覚えです。
 この手の映画は原作を読んでから見ると不満しか残らないのが常ですが、やはりこの映画「鋼の錬金術師」も同じ結果でした。あまり漫画の内容を覚えていないから大丈夫かなと思ったのですが…、ダメでした。
 それでは以下、映画「鋼の錬金術師」のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 幼い2人の兄弟、エドワード(通称エド)及びアルフォンス(通称アル)は、錬金術で作り出した人形を母に見せ、母は2人を褒めます。ぞの直後、母は倒れて帰らぬ人となります。母の葬儀の後、エド及びアルは錬金術で母を生き返らせようと考えます。材料を集めた2人は錬金術を始めますが、床に描いた魔法陣から竜巻が発生し、アルはいずこかへと飛ばされてしまいます。
 何年か後。鋼の錬金術師と呼ばれるようになったエド(山田涼介)は、街で悪事を働いていた教主(石丸謙二郎)を追っていました。教主は「賢者の石」を使って魔物を召喚してエドを攻撃しつつ、何とか逃げ切ろうとします。そこへ全身鎧姿の大男がエドの助けに現れます。ただし、鎧の中身は空っぽです。魔物がエドの右腕及び左脚に噛みつきますが、それは鋼鉄製の義手義足でエドにダメージを与える事はできません。不利を悟った教主は街の女性を人質に取ります。エドは錬金術で巨大な石像を出現させ、驚いた教主の隙を付いて女性を救出します。エドと救出との殴り合いになり、賢者の石を持つ教主の拳とエドの義手とがぶつかり合い、その衝撃で2人は吹き飛ばされます。教主の手から賢者の石が落ち、教主がそれを拾おうとしたとき、突然に炎が発生して教主を妨害します。この炎を発生させたのは、軍の大佐を務める炎の錬金術師ロイ・マスタング(ディーン・フジオカ)でした。マスタング大佐は、軍の視察で偶然にこの街を訪れていました。マスタング大佐の部下の兵士達が大勢現れて、教主及びエドを拘束します。またマスタング大佐は、賢者の石を拾い上げるとこれを燃やしてしまいます。本物の賢者の石は決して壊れない完全な物質と言われており、こんなに簡単に燃え尽きるはずはなく、教主が持っていた賢者の石は偽物でした。賢者の石を探し求めているエドは落胆します。鎧の大男がエドを兄さんと呼んで慰め、エドは大男をアルと呼びます。エドは兵士達に連行され、教主は隙を見て逃げ出し、兵士達は教主を追って行きます。近くの建物では、怪しげな雰囲気の3人がこの様子を眺めていました。
 エド及び教主が一暴れした街、リオールに汽車が到着し、1人の女性が汽車から降り立ちます。エドがマスタング大佐達に連行されて行った後、アルはエドが荒らした街を錬金術で修復し、街の人々の質問に答えて錬金術には等価交換の原則があるため何でも自由に作り出す事が出来る訳ではないと話していました。汽車から降りた女性は、街でアルを発見して駆け寄って来ます。この女性、ウィンリィ(本田翼)はエド及びアルの幼なじみでした。
 エドは、イーストシティの軍本部へと連行されます。エドは、アルの身体を取り戻すためには賢者の石が必要で、これを手に入れるために国家錬金術師になって軍の犬として働いているとマスタング大佐に話します。マスタング大佐は、軍は賢者の石の存在を認めていないと言います。2人が言い争っていると、ヒューズ中佐(佐藤隆太)がやってきます。ヒューズ中佐は、マスタング大佐と同期の軍人で、エドとも親しい間柄でした。またヒューズ中佐と共にハクロ将軍(小日向文世)も現れ、ハクロ将軍はエドを激励してくれます。ヒューズ中佐は、普段は中央で働いていますが、業務監査のためにここ東地区へやってきたとエドに話します。
 釈放されたエドがヒューズ中佐と歩いていると、ウィンリィが駆け寄って来ます。ウィンリィは、エドの義手義足の制作者でもあり、先の闘いで壊れた義手を見て怒ります。ヒューズ中佐は、喧嘩する2人を微笑ましく眺めていました。
 エド及びヒューズ中佐が去った後、ハクロ将軍及びマスタング大佐は、ヒューズ中佐が中央から派遣されてきた理由について話していました。2人は、業務監査とは名目で、何か別の目的があると推測します。またハクロ将軍は、ショウ・タッカー(大泉洋)という錬金術師をエド達に紹介してやって欲しいとマスタング大佐に言います。
 軍から逃げ延びた教主は、怪しげな雰囲気の3人に対して、賢者の石が偽物だった事に文句を言っていました。3人の中のエンヴィー(本郷奏多)は他人に化ける能力を持ち、ラスト(松雪泰子)は指を針のように伸ばして攻撃する能力を持ち、グラトニー(内山信二)は何でも食べてしまう能力を持っています。ラストは教主を殺し、グラトニーは教主の死体を丸ごと食べてしまいます。
 エド、アル及びウィンリィは、ヒューズ中佐の住まいに招待されていました。中央からやってきたヒューズ中佐及びその妻のグレイシア(原田夏希)にあてがわれた1ヶ月間の仮住まいは広く、エド達が宿泊する部屋も十分にありました。グレイシアの手料理を振る舞われたエド達は、和気あいあいと楽しい時間を過ごします。グレイシアのお腹には赤ちゃんがいました。
 その夜、エドは夢を見ます。エドは、真っ白な空間にいます。背後には巨大な黒い扉があり、エドの前には煙のように輪郭がぼやけた人物が座っています。この人物は、人間が世界、宇宙又は神等と呼ぶ存在であるとエドに語ります。この人物は、エドが求める真理を見せてやろうと言います。すると背後の扉が開いてエドは吸い込まれ、エドは真理の一部を見ます。気が付くとエドは元の場所にいました。真理の一部を見たエドは、自分の人体錬成の理論が正しい事を悟り、もう少し先に人体錬成の真理がある事を悟ります。エドはその先を見たいと懇願しますが、煙のような人物は通行料が足りないと言って断ります。この人物は、真理の一部を見せた事に対する等価交換の代償として、エドの左脚を奪います。気が付くとエドは現実世界に戻っており、左脚は失われていました。そこには、エドが母を蘇らせようと試みた錬金術の魔法陣が描かれ、その中央には化け物のようなものが蠢いていました。エドは、失ったアルを取り返そうと、もう一度錬金術を試み、再び真っ白な空間を訪れて、煙のような人物に対面します。この人物はまた来たのかと呆れ、今度はエドの右腕を奪います。
 ここでエドは目を覚まします。夢はエドが右腕及び左脚を失った際の出来事であり、エドはこの夢をこれまでに何度も見ていました。
 マスタング大佐及びヒューズ中佐は、エド、アル及びウィンリィを、ショウ・タッカーの元へ連れて行きます。タッカーは人の言葉を話す合成獣を研究しており、ハクロ将軍はエド及びアルが身体を取り戻す手掛かりが得られればと紹介したものでした。タッカーは2年前に一度だけ人の言葉を話す合成獣の生成に成功しており、この時に合成獣は一言「死にたい」と話したということでした。タッカーは妻に逃げられて、娘のニーナ(横山芽生)と犬のアレキサンダーと広大な屋敷に住んでいました。タッカーは、国家錬金術師に課せられた1年に1回の査定が近付いており、ここで成果を見せなければ国家錬金術師の資格を剥奪される可能性があり、焦っていました。このためタッカーはニーナに構う余裕がなく、アル及びウィンリィがニーナの遊び相手をしてくれた事に感謝します。エドは、真理の扉で経験した事をタッカーに話します。
 マスタング大佐は、ヒューズ中佐に東部へやってきた理由を尋ねます。ヒューズ中佐は、東部にはきな臭い噂が多く、自分も含めて他人を信用してはいけないとマスタング大佐に忠告します。
 エドは、二度目に真理の扉を訪れた際に、右腕と引き換えにアルの魂を取り戻し、鎧に定着させる事に成功しました。これが、現在の全身鎧姿のアルが誕生した秘密でした。エドは、アルの身体を取り戻す事を目的としており、それは可能かとタッカーに尋ねます。タッカーは、答えられませんが、試してみたい事があるとエドに言います。
 エド及びウィンリィは、タッカーから賢者の石の研究をしていたドクター・マルコー(國村隼)という人物の事を教えられ、この人物を見た人がいるという街へ向かいます。この街へ向かう汽車に2人が乗り込もうとしたとき、ヒューズ中佐が見送りにやってきます。ヒューズ中佐は、グレイシアが作ったアップルパイを2人に渡します。汽車での道中、エドはアルと別行動を取るのが初めてだと話します。
 その頃、タッカーは、アルの身体を調べていました。タッカーは、魂を鎧に定着させるのではなく、人工的に作り出した記憶を定着させる事例ならいくつか存在するとアルに話します。自分が人工的に作られた記憶なのかと不安を感じるアルに、タッカーは普通はそう考えるのが妥当だが、アルは特別な事例かもしれないと話します。
 エド及びウィンリィが乗る汽車が途中の駅で停車したとき、外を眺めていたウィンリィは突然に汽車を降りろと言い出します。急いで汽車を降りたエドにウィンリィは、ドクター・マルコーを見たと言い、それを追いかけます。ウィンリィが街の人にドクター・マルコーの写真を見せると、マウロ先生だと言って医院の場所を教えてくれます。エド及びウィンリィは、教えられた医院を訪れますが、ドクター・マルコーは2人に銃を向けます。ドクター・マルコーが銃を撃つ直前にエドは錬金術で銃身を曲げて暴発させ、暴発の勢いでドクター・マルコーは壁に叩きつけられて気を失います。
 気を取り戻したドクター・マルコーは、追っ手と間違えたとエド及びウィンリィに謝罪します。エドは、追っ手ではないと説明し、賢者の石が本当に存在するのかを尋ねます。ドクター・マルコーは、これ以上関わらない方がいいと、エドに帰るよう勧めます。エドは食い下がりますが、そこへラストが現れます。ドクター・マルコーは、拳銃でラストを撃ちますが、ラストの傷は直ぐに治癒していきます。ラストは、指を針状に伸ばしてドクター・マルコーの肩を貫き、更にエド及びウィンリィを壁に貼り付けて動きを封じます。ラストは、エドは人柱候補だからまだ生かしておくと言い、ドクター・マルコーの心臓を貫いた後、一瞬にして姿を消します。ドクター・マルコーは、賢者の石の錬成陣を記したメモ書きと、第5研究所という言葉とを残して死亡します。エドは、後の処理をウィンリィに任せ、急いでアルの元へ戻ります。
 アルのいるタッカーの屋敷へ戻ってきたエドは、完成した人語を話す合成獣をタッカーに見せられます。合成獣は確かに人語をはなしますが、それは娘のニーナと犬のアレキサンダーとを合成したものでした。エドは、2年前にタッカーが作ったとされる合成獣はタッカーの妻を素材に使ったのだと悟ります。怒ったエドはタッカーを殴り続け、アルに止められます。その後、タッカーはマスタング大佐達に逮捕されて中央へ送られ、国家錬金術師の資格を剥奪され、軍事裁判にかけられる事になります。
 エドは、1人閉じこもって、ドクター・マルコーから得た情報について調べ始めます。心配したヒューズ中佐がエドの様子を見に訪れ、部下のロス少尉(夏菜)を手助けに付けます。ヒューズ中佐は、ウィンリィから賢者の石の錬成陣や第5研究所の事を聞き出していました。エドは、この件が軍部の闇に繋がるもので、命の危険があると忠告しますが、ヒューズ中佐は友達だの一言で片付けます。ヒューズ中佐及びロス少尉が協力して調査しますが、ドクター・マルコーに関する資料は意図的に消されているようでした。軍の内部に犯人がいることは間違いありません。研究所も第1から第4までしか存在していませんでした。3人が話し合っていると、ハクロ将軍がやってきて、現在は使われていない缶詰工場が通称として第5研究所と呼ばれていた事があると教えてくれます。エドは急いでこの缶詰工場へ向かいます。エドと入れ違いで伝令がやってきて、リオールの街で暴動が発生したと報告します。ハクロ将軍及びロス少尉は軍の持ち場へ戻ります。
 エドは、アル及びウィンリィと共に、缶詰工場へやってきます。しかし缶詰工場は廃棄された建物が残されているのみで、何の手掛かりも残されてはいませんでした。エドは悔しがりますが、直ぐに持ち直して、アルに大丈夫だと言います。しかしアルは、ドクター・マルコーの事についてエドが話してくれないこと気にしており、自分が作られた記憶なのではないかとの疑問をエドにぶつけます。これを聞いたエドは、義手ではない左手でアルを殴り続けます。ウィンリィは、巨大なスパナでアルを殴り、エドがどれほどアルを思っているかを語ります。エドとアルは、仲直りします。
 1人で調査を続いていたヒューズ中佐は、この国の地図と錬成陣とを見比べて、第5研究所の場所に思い至ります。そこへラストが現れてヒューズ中佐を殺そうとします。ヒューズ中佐はラストの攻撃をかわして逃げ、公衆電話からマスタング大佐に電話をかけます。その途中、ヒューズ中佐の背後に銃を持つマスタング大佐が現れ、振り返ったヒューズ中佐を銃で撃ちます。
 エド達が缶詰工場を出ると、そこには兵士達が待ち構えており、エドを東方司令部まで連行していきます。残されたアル及びウィンリィを、誰かが見張っていました。連行されたエドは、手枷をはめられて司令部の一室に閉じ込められます。そこにはマスタング大佐の副官であるリザ中尉(蓮佛美沙子)が既に閉じ込められていました。リザ中尉は、ヒューズ中佐が殺され、その犯人としてマスタング大佐が追われており、マスタング大佐に近しい自分やエドが軍の監視下に置かれる事になったと説明します。またリザ中尉は、タッカーが逃走した事もエドに教えます。エド及びリザ中尉は協力して閉じ込められた部屋から脱出します。リザ中尉は、マスタング大佐がヒューズ中佐の電話を受けた後に、第5研究所と呼ばれている旧捕虜収容所へ向かうと言った事をエドに話します。エドは、第5研究所が旧缶詰工場ではなかった事を知って驚きます。
 マスタング大佐は、1人で旧捕虜収容所にやってきます。そこは多くの兵士達に守られていました。マスタング大佐は、地下通路からの侵入を試みますが、そこにはロス少尉が多くの兵士達を引き連れて待ち伏せしていました。マスタング大佐とロス少尉とがにらみ合い、兵士達はマスタング大佐に銃を向けます。そこへエド及びリザ中尉が現れ、兵士達の注意が逸れ、マスタング大佐は炎の錬金術でロス少尉を火だるまにします。ロス少尉は黒こげの焼死体となりますが、次の瞬間には元の姿に戻ります。ロス少尉は何故分かったのかと問い、マスタング大佐はホクロの位置が違うと答えます。このロス少尉はエンヴィーが化けた偽者でした。エンヴィーは元の姿に戻り、更にラスト及びグラトニーが現れます。マスタング大佐は、この3人の身体に刻まれたウロボロスの刺青を見て、この3人がホムンクルスであると見抜きます。そして、ヒューズ中佐を殺したのは、マスタング大佐に化けたエンヴィーでした。リザ中尉はタッカーを逃がした目的を問いますが、3人はタッカーが逃げた事を知らないようでした。タッカーが逃げた事を知ったラストは、エンヴィーを捜索に向かわせ、グラトニーには兵士達の相手をさせて、自分はマスタング大佐、エド及びリザ中尉に対します。ラストはリザ中尉を狙って攻撃を繰り出し、マスタング大佐はリザ中尉を庇ってラストの攻撃を受け、腹部を刺されて負傷します。マスタング大佐に大きなダメージを与えたラストは満足して去って行きます。マスタング大佐は倒れ、エドにラストを追うよう命じます。
 エドは、1人でラストを追い、床に巨大な錬成陣が描かれた巨大な部屋にやってきます。天井には沢山の何かが蠢いています。部屋の片隅には実験台が設けられ、台の上にはアルが寝かされています。実験台の脇にはタッカーが銃を構えており、近くのソファーには気を失っているウィンリィがいました。タッカーはウィンリィを人質にして、エドに右腕の義手を外す事を要求します。エドは要求に応じて義手を引きちぎって外します。安心したタッカーは、アルに真理の扉を覗いてもらい、魂を定着させる方法を知ることが出来たとエドに話します。タッカーは、ポケットから賢者の石を取り出してエドに見せ、この部屋の床に描かれた錬成陣が賢者の石を生成するためのものであり、賢者の石の材料は捕虜収容所の生きた人間だった事を話します。タッカーの背後にある巨大なガラス容器には、大量の賢者の石か収められていました。話し終えたタッカーは銃をエドに向けますが、銃を撃つ前に背後に現れたラストの指に貫かれて死亡します。少し遅れて、マスタング大佐がリザ中尉に支えられながら、この部屋に到着します。
 ラストは、エド達とは全く別の方向へ、こんな事を指示した覚えはないと言います。ラストが話しかけた方向にはハクロ将軍がいました。ラストは、賢者の石の作り方は教えたが、使い方を教える気はないと言います。ハクロ将軍は、タッカーが賢者の石の使い方を発見したと言い返します。ハクロ将軍は、錬金術で人体を錬成する事が禁じられているのは、人道的なものではなく、個人が兵士を作り出して強力な軍隊を持つ可能性があるからだとエドに話し、この部屋の天井の明かりをつけます。天井には、錬金術で作られた無数の人体が吊り下げられていました。ハクロ将軍は、大量の賢者の石を使い、この人体に魂を吹き込んで兵士にする事が出来ると言い、装置を起動します。賢者の石は吊り下げられた人体に送り込まれ、賢者の石を吸収した人体は動き出します。天井から続々と落下した大量の人造人間達は、ハクロ将軍の元へと集まって行きます。しかし人造人間はハクロ将軍に次々と噛み付き、ハクロ将軍は死亡します。
 ラストはハクロ将軍の死を呆れて見た後、グラトニーに全部食べてしまうよう命令します。大量の人造人間達は、この部屋を出て研究所の外を目指して歩きだします。マスタング大佐は、炎で人造人間達を燃やし、人造人間の弱点は頭だと見抜きます。マスタング大佐はリザ中尉に外の兵士達と人造人間の侵攻を食い止めるよう命じ、リザ中尉は負傷しているマスタング大佐を心配しながらも命令に従って外へ向かいます。
 エドは、やっと動けるようになったアルと合流します。アルは鎧の身体の中にウィンリィをかくまっていました。エドはウィンリィに義手の修理を頼み、アルは人造人間達を食い止めに行きます。
 ラスト及びエンヴィーが研究所を去ろうとしたとき、エンヴィーは背後から火炎の攻撃を受けて燃え上がります。マスタング大佐が、自分の傷口を焼いて止血し、2人を追って来ていました。建物の中ではアルが人造人間の流出を食い止め、グラトニーが人造人間を食べて数を減らしています。研究所の出口付近には、リザ中尉が率いる兵士達が銃を持って人造人間を待ち構え、出て来た人造人間達を1人残らず破壊すべく、銃撃を開始します。
 マスタング大佐は、ラストから受けた傷により、立っているのもやっとの状態でした。ラストは、マスタング大佐にトドメをさそうと攻撃を繰り出します。しかしそこへエドが現れて攻撃を防ぎ、マスタング大佐を助けます。エドの攻撃を受けても倒れないラストは、自分の体内にある賢者の石を見せ、自分達は賢者の石を用いて生み出されたホムンクルスであり、死んでもすぐに蘇ると話します。そしてマスタング大佐の火炎攻撃を受けて倒れていたエンヴィーも復活します。しかしエドは、エンヴィーの回復が前より時間がかかっていること、ラストの語った内容、そしてラストが時間稼ぎをしようとしていることから、ホムンクルスの命にも限りがあり、無限に復活できる訳ではないと指摘します。この指摘は正しかったようで、エンヴィーは背中を見せて逃走します。マスタング大佐は更なる火炎攻撃を放ってエンヴィーを燃やし、エンヴィーは今度こそ動かなくなります。ラストはエドを攻撃しますが、アル及びウィンリィが現れ、アルの錬金術でエドを守ります。マスタング大佐は、火炎攻撃てラストを燃やし、ラストの命が尽きるまで繰り返し繰り返し燃やし続け、最後に燃えるラストの体内から賢者の石を奪い取ってラストを倒します。マスタング大佐は、ラストから奪った賢者の石をエドに渡します。ラストの死を知ったグラトニーは、こっそりと逃げます。人造人間達はリザ中尉達の活躍でたおされます。任務を終えたリザ中尉は、マスタング大佐の元へと急ぎます。
 とうとう賢者の石を手に入れたエドですが、これが人間の命を材料として作られたものである事を知ってしまったため、自分の目的のために使っていいものか戸惑います。アルはエドを止めようとしますが、エドは賢者の石を持って真理の扉へと向かいます。
 真理の扉の前に現れたエドは、煙のような人物に再会します。そしてエドは、成長したアルの身体を発見します。煙のような人物は、アルの身体と賢者の石との等価交換を要求しますが、エドは賢者の石を渡さず、アルの身体に必ず迎えにくると言って元の世界へ戻ります。
 戻ったエドはアルに謝り、アルは他人を犠牲にするくらいならこの姿のままでいいと話します。エドはマスタング大佐に偉くなって真相を解明してくれと頼み、マスタング大佐はもちろんだと答えます。エドは、アルの身体を取り戻す別の方法を探し出すことを決心します。

(エンドロール後)
 黒こげになったエンヴィーの身体から、トカゲのような生き物が這い出てきて、姿を消します。

 以上が、映画「鋼の錬金術師」の物語です。
 映画の物語はそこそこ原作の漫画の物語に近いものでした。恐らく、全27巻の原作マンガの1/3~1/2程度を消化しているように思えます。この量の原作の物語を2時間に凝縮してあるため、映画はやや駆け足というか、ダイジェスト感がありました。もし続編が作られたら、2作目で完結しそうな勢いでした。エンドロール後のシーンからすると、続編を作る予定があったのかもしれませんが、今のところ続編が作られる気配はありません…。
 原作を先に読んでいると、どうしても実写版が劣って見えてしまいます。出演者達をなるべく原作のイメージに近付けようと頑張っているのは分かるのですが、エドの不自然な金髪姿が違和感ありありでした。日本人にあの金髪はどうしてもコントっぽくなってしまいます。他の人はみんな黒髪だっただけに、エドの金髪が浮き過ぎていました。せめて茶髪くらいにしといた方が良かったのでは。まぁ、その他の人達はそこそこイメージに合っていたかも。マスタング大佐が少し堅物過ぎるように思えましたが。アルの鎧姿は、着ぐるみなのか、CGなのか、両方なのかわかりませんが、よく出来ていました。
 やはり漫画の実写化は難しいという事が良く分かる作品でした。