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ガンプラHG 「ガンダム6号機 マドロック」 塗装完成

 プレミアムバンダイ限定のガンプラ、1/144スケールのHG「ガンダム6号機 マドロック」の塗装を行いました。
 設定色を尊重しつつ、自分好みの色合いで塗装して見ました。成形色の青色がやけに暗い色だったので明るめの青色に、成形色の黄色はオレンジ色寄りにしてみました。その他の部分(と言っても、白とグレーくらいですが)は、ほぼ設定色です。ただ、ワンポイントに赤色を入れたくなり、顔の顎先部分を青色から赤色に変更しました。
 また、以前からのエナメル塗料を使わないという目標は今回も適用し、エナメル塗料を用いるスミ入れは行っていません。全てアクリジョンを使用しています(ただし、最後のトップコートは別ですが)。また、以前に「ジェフティ」のプラモデルで挑戦してみたエッジハイライトの塗装も行ってみました。
 それでは以下、完成した「ガンダム6号機 マドロック」の写真です。

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 使用した塗料をまとめます。全てアクリジョンの筆塗りです。

白色部分:
 エアクラフトグレーで凹部(モールド、パネルライン等)を塗装
  →グランプリホワイトで凹部を避けて平面を塗装
   →ホワイトでエッジを塗装

青色部分:
 ネイビーブルーで全体を塗装
  →ブルーで凹部を避けて平面を塗装
   →スカイブルーでエッジを塗装

黄色部分:
 オレンジで全体を塗装
  →オレンジイエローで凹部を避けて平面を塗装
   →イエローでエッジを塗装

関節等の明るいグレー部分:
 ジャーマングレーで凹部を塗装
  →ニュートラルグレーで凹部を避けて平面を塗装
   →エアクラフトグレーでエッジを塗装

バックパック等の暗いグレー部分:
 ジャーマングレーで全体を塗装
  →ニュートラルグレーでエッジを塗装

バーニア等の銀色部分:
 焼き鉄色で全体を塗装
  →シルバーで広い面、エッジを塗装

腰のV字マーク:
 ベースホワイトで全体を塗装
  →イエローで全体を塗装
   →イエロー+ホワイトでエッジを塗装

顎先の赤色部分:
 ベースホワイトで全体を塗装
  →レッドで全体を塗装
   →オレンジでエッジを塗装

目、センサー等:
 シルバーで全体を塗装
  →クリアーグリーンで全体を塗装

 これらの塗装を行った後、デカールを貼り、つや消しの水性トップコートのスプレーをかけて完成です。
 スミ入れに相当する凹部の塗装を先に行って、この部分を避けて全体を塗装するという手順になれて来ました。私の場合、全体を塗装した後にエナメル塗料を使ってスミ入れを行うより、この方が綺麗に塗装できます。エナメル塗料を使わない事で、いやな臭いもなく、リビングモデラーの私にはぴったりです。またエナメル塗料で部品が割れる等の失敗も回避できます。筆塗りでなければ出来ないという欠点はありますが。
 エッジの塗装は、白色部分及び黄色部分についてはなかなかいい出来栄えでしたが、青色部分については少し色の差がありすぎたかなと思いました。ブルーに対してスカイブルーは少し明るすぎかと。ウォーハンマーならこのくらいの色の差があっても普通ですが、ガンプラだと少し極端すぎかもしれません。ガンプラでは、少し明るいくらいの色がよさそうです。でもまあ、悪くはないかなと思っています。安物のスマホのカメラで撮影した画像では、白色部分及び黄色部分のエッジ塗装なんて見分けがつかないですし…。
 全体的な配色としては、私の望む明るいガンダム6号機、敵側ではなく味方側のガンダム6号機のイメージになったかな。素組の悪者ガンダムっぽい配色から少しは離れることができたかな、と自己満足しております。

映画 「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」

 「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」は、2019年6月に公開された日本映画です。ファイナルファンタジーというタイトルが付けられていますが、3D又は2Dのファンタジーアニメ作品、という訳ではありません。ファイナルファンタジーのゲームを通した親子の触れ合いを描いた現代日本を舞台とする実写映画です。
 この作品は、元々はブログ日記として人気が出て2017年に書籍化及びドラマ化され、更に2019年に映画化されたというものです。昔の「電車男」のように、ネット発でマルチメディア展開が行われた作品です。
 この作品の書籍版は未読ですが、ドラマ版は放送当時にリアルタイムで見ていました。主人公の稲葉光生を千葉雄大さんが、そのお父さんである博太郎を大杉漣さんが演じているドラマでした。良いドラマだったと記憶しています。
 そして映画版は、ドラマ版からキャストが一新され、主人公の岩本アキオを坂口健太郎さんが、そのお父さんである暁を吉田鋼太郎さんが演じています。後発ということで、物語に何らかの変化が加えられているのか、それとも単なる焼き直しなのか。このあたりが注目ポイントでしょうか。
 それでは以下、映画「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 岩本アキオ(坂口健太郎)は、マルチプレイのオンラインゲーム「ファイナルファンタジーXIV」に「マイディー」という名前の女の子キャラクタで参加し、オンライン上の友人達と仲良くゲームを楽しんでいます。現実世界で会社員のアキオは、実家で母の由紀子(財前直見)及び妹の美樹(山本舞香)と共に生活しています。父の暁(吉田鋼太郎)は単身赴任で家にはいませんでしたが、専務に昇進することが内定しています。暁は昔から無口な会社人間であり、アキオは子供の頃から父と一緒に遊んだ記憶がなく、父と会話する機会も少なく、父がどんな人間なのかよくわかりませんでした。
 ある日。暁は突然に会社を辞め、家に戻ってきます。暁は会社を辞めた理由を家族に話そうとはしませんでしたが、由紀子は定年が少し早まっただけと気楽に考え、美樹は彼氏とのデートに忙しく気にもしていませんでした。アキオは会社帰りに公園のベンチで考え込んでいる父の姿を見かけ、少し心配になります。会社の先輩である吉井(佐藤隆太)に父の事を相談したアキオは、何か共通の趣味はないのかと吉井に尋ねられます。
 吉井の問いにアキオは、小学生の頃にファミコンのゲームソフト「ファイナルファンタジーIII」を父に買ってもらった事を思い出します。小学生のアキオは、ある晩に父がこっそりと「ファイナルファンタジーIII」で遊んでいるのを目撃し、それから一緒にこのゲームを楽しみました。この出来事は、アキオにとって唯一と言っていい父との楽しい思い出でした。
 その後、アキオは、「ファイナルファンタジーXIV」の世界の仲間にも父の事を相談します。仲間達との会話の中で1人が、ゲームの中では本でを語れるのに現実世界ではなかなか本音を語ることができないと話し、これを聞いたアキオは、父をこのゲームに誘う事を思いつきます。アキオは、自分が「マイディー」であることは隠して父とゲーム内で仲間になり、ラスボスを一緒に倒す冒険を通じて父の本音を聞き出そうと考え、これを「光のお父さん計画」と名付けて仲間達にも協力を頼みます。
 早速、アキオは、退職祝いと称してPS4と「ファイナルファンタジーXIV」のゲームソフトとを父にプレゼントします。しかし父はあまり興味のない様子を見せます。アキオは、小学生の頃に「ファイナルファンタジーIII」のラスボスを一緒に倒そうと父と約束したけれど、父は仕事で忙しく家に帰ってこず、結局1人でラスボスを倒したことを思い出します。思い返してみると、この出来事以来、アキオは父と疎遠になったような気がしました。
 アキオは計画を諦めかけますが、アキオが休みの日に父が突然ゲームをしたいと言い出します。アキオがPS4をテレビに接続し、家族揃ってキャラクタを作成し、「インディ・ジョーンズ」と名付けられたキャラクタで父は「ファイナルファンタジーXIV」のゲームを始めます。アキオも自室でゲームをプレイし、現実世界とゲーム世界との両方で父の様子を見守ります。アキオは、ゲーム内で父のキャラクタと接触するのをしばらくは避けようと考えていました。しかし父のインディは強力な敵に戦いを挑んでピンチに陥り、アキオは自キャラのマイディーでインディを助けてしまいます。アキオは覚悟を決めてインディに話しかけますが、インディからの返事はなく、インディは妙な動きを繰り返しています。その頃、父は会話の方法が分からずに困っていました。アキオは、使っていないキーボードを父に渡します。
 アキオが務める会社の同僚である井出里美(佐久間由衣)は、アキオに対して好意を抱いていました。里美は、アキオに話しかけて仲良くなりたいと考えていましたが、何かを真剣に悩んでいるアキオを見て話しかけるタイミングを掴めずにいました。そのアキオは、ゲーム内で父にフレンド申請を行うタイミングを掴めずに悩んでいました。帰宅したアキオは、ゲーム内で父を待ちますが、インディは現れません。父はゲームを辞めたと言い、アキオが理由を聞くと、ゲーム内で服を着替える方法が分からなかったという答えが返ってきます。雪が積もったステージへ進んだ父は、周りのキャラクタがコートを着ているのに自分のキャラクタが半袖の服を着ているのが恥ずかしかったようです。この出来事からアキオは、父がゲームの超初心者であり、どのようなタイミングでフレンド申請しても怪しまれることはないと思い至ります。アキオのマイディーは、ゲーム内で父のインディに偶然を装って再会して話しかけ、フレンド申請をします。しかし、インディからの反応はありません。アキオが戸惑っていると、父がアキオの部屋にやってきて、フレンド申請されたことを話します。アキオは、承認すればよいと父に教え、これからはその人を友達として頼っていいと話します。その後、アキオのフレンドを加えた4人でパーティミッションに挑み、父は仲間と協力して楽しむことを知ります。
 アキオが会社で「ファイナルファンタジーXIV」の攻略ページを見ていることを知った里美は、自分も「ファイナルファンタジーXIV」を始め、ハマってしまいます。夜遅くまでゲームを楽しんだ里美は、次の日にアキオに話しかけられたときに「ファイナルファンタジーXIV」にハマっているとさり気なく告げます。これを聞いたアキオは喜び、今度「ファイナルファンタジーXIV」について語り合おうと里美を誘います。その直後、アキオが所属するチームに重要なコンペの仕事が任され、アキオは仕事が忙しくなり、しばらくゲームをプレイする時間が取れない日々が続きます。
 しばらくして、久しぶりに「ファイナルファンタジーXIV」をプレイしてみると、アキオは仲間達から父がゲームを楽しんでいる様子を聞かされます。しばらく見ない間に、父はすっかりこの世界に馴染んでいました。アキオのマイディーに久しぶりに再会した父のインディは、イフリート討伐のミッションにチャレンジしようとマイディーを誘います。仕事で疲れているアキオは、勘弁してくれと思いながらも、ミッションに付き合います。しかしイフリート戦ではインディが足を引っ張り、何度チャレンジしてもイフリートを倒すことができず、この日は諦めることになります。
 アキオのチームのコンペは上手くいかず、このままでは他社に仕事を取られるピンチに陥ります。アキオのチームは遅くまで残業して対策を練りますが、他社は大手であり、アキオは諦める気持ちになってきます。遅くに帰宅したアキオは、父が「ファイナルファンタジーXIV」の攻略本に付箋を貼るほど読み込み、イフリート対策をしていることを知ります。その夜、アキオは数日振りにゲームをプレイし、父のインディを含む仲間達と共にイフリートを倒します。その後、アキオはゲーム内で仕事の悩み、コンペに負けそうな状況であることをインディに話し、それでもインディが諦めずに敵と戦う姿を見て自分も諦めずにコンペを頑張る気になったと話します。インディは、過去に自分がコンペを受ける側だったことを話し、熱意を見せれば必ず相手に伝わるとアドバイスします。
 アキオは、あきらめムードが漂っていた仲間達を励まし、コンペを成功に導きます。その日、里美は会社帰りのアキオに声をかけ、コンペの成功をお祝いしようと、アキオに行きたいところを尋ねます。その結果、里美とアキオとは、「ファイナルファンタジーXIV」の世界で会うことになります。ゲーム内での里美のキャラクタは、「ビッグ・ゴリオ」という名のゴツイ男のキャラクタでした。里美がこれは究極のデートだと喜んでいると、偶然に通りかかったインディが割り込んできます。アキオは、里美との会話でマイディーの正体が父にバレるのではないかと冷や冷やします。その後、ビッグ・ゴリオはマイディー及びインディの仲間達にも紹介されます。仲間達と会話する中で、インディは自分の実年齢が60歳であり、息子と娘がいると打ち明け、娘が今度連れてくると言っていると怒りをにじませます。
 次の休日。美樹が恋人の工藤賢介(前原滉)を家に連れてきます。工藤は芸歴10年の売れない芸人でした。工藤は美樹との結婚も考えていると言いますが、父はバイト生活の工藤に本当に将来を考えているとは思えないと否定し、出て行くよう言います。怒った美樹は工藤と共に家を出て行きます。怒った母は、美樹が帰ってくるまで、ゲームを1日1時間に制限します。その後、ゲーム内にやって来た父のインディは、タイタンを倒しに行こうと誘います。タイタンが工藤に似ているという理由でした。インディは、現実世界での怒りをぶつけるように、タイタンに対して怒涛の攻撃を繰り出しますが、1時間の制限時間が過ぎてコントローラを取り上げられてしまい、ゲームは中断します。夜12時を過ぎて日付が変わった頃にインディは再びゲーム内に現れますが、マイディー以外の仲間は既にログアウトした後でした。マイディーは、タイタンも初見で倒すことは難しいことを例に挙げて、もう少し相手の事を知ってみてはどうかとインディにアドバイスします。
 父は、工藤の漫才コンビが出演するお笑いライブに足を運びます。美樹は父がライブを見に来たことを知って喜びます。工藤の漫才を見た父は、思わず笑います。ライブ終了後、美樹に感想を聞かれた父は、面白かったと答えます。父が工藤の事を認めたことで、父と美樹とは仲直りすることができます。
 インディからアドバイスをもらって上手くいった事についてお礼を言われ、マイディーとフレンドになれて良かったと言われたアキオは、ラスボスのツインタニアを倒してマイディーの正体を明かす計画を実行することを決意します。
 しかしツインタニアを倒すことは容易ではありません。ツインタニアを倒す仲間となった里美に対してアキオはキャラクタ強化のためにゲーム内のアイテム(指環)をあげると会社内で話します。この会話の一部を聞いた同僚女性達は、アキオ及び里美が結婚すると勘違いしてしまいます。
 ツインタニアとの戦いでは1人のミスが即敗北へ繋がる可能性があります。父は、攻略法を研究すると共に、アキオに教えを請いに来ます。アキオは、ゲーム内ではなく現実世界で、父のゲームの練習に付き合います。父は、本番の戦いの際に、隣でサポートして欲しいとアキオに頼みます。しかしアキオは自分のキャラクタで戦いに参加しなければならず、父の頼みを受けることはできません。アキオは、仕事が忙しいから無理だと父の頼みを断ります。
 マイディーの仲間達もそれぞれツインタニアとの決戦に対して十分な準備を行い、とうとう決戦の日が次の金曜日の9:30分と決まります。そして金曜日、父は朝から落ち着かない様子ですが、気合は入っています。しかし母が買い物から自宅へ戻ってくると、父が腹部を押えて倒れていました。決戦に遅れないよう仕事を捌いていたアキオに、父が病院へ運ばれたと電話が入ります。アキオは病院へ駆けつけ、母及び美樹と共に、前の会社の定期検診で父の病気が発見されていた事を聞かされ、父が突然に会社を辞めた理由が病気だったことを悟ります。父の病気を知ったアキオは、ゲームなんかしている場合ではなかったと後悔します。医師の話を聞いたアキオ達は父の病室へ向かいますが、そこに父の姿はありませんでした。アキオ達は父を探しますが、父は自宅へも戻っておらず、行方が全く分かりません。
 そこへ里美からアキオへ電話がかかってきます。約束の時間が近付いても全く現れないマイディーを心配しての電話でした。里美は、インディが既にやってきて気合満々であることをアキオに話します。父は、「ファイナルファンタジーXIV」をプレイ可能なネットカフェを探し出し、そこからゲームにログインしていました。アキオは、急いで家に戻り、ゲームにログインします。マイディー及びインディを含む仲間達はツインタニアとの決戦に挑み、協力し合ってツインタニアを攻撃し、最終的にはインディの必殺技でツインタニアのトドメを刺して倒すことに成功します。決戦終了後、インディは仲間達にお礼を言うと共に、自分が病気であり、しばらくゲームをすることができなくなることを報告します。インディは、仲間達に自分の想いを語り始めます。
 これまで仕事人間だった父は、病気が発見されて会社を辞める事になり、仕事をしていない自分の存在意義を見出せずにいました。医者には手術を勧められていましたが、手術を受ける勇気を持てずにいました。しかし父は、仕事以外にも楽しいことや、自分の居場所があることに気付き、病気と闘う勇気を持つことができました。父の想いを知ったアキオはインディを父さんと呼び、父はマイディーの正体がアキオであることに気付き、今度は一緒に倒せたなと答えます。父も「ファイナルファンタジーIII」のボスを一緒に倒すという約束を果たせなかったことを覚えていました。
 父は手術を受けることになります。手術の当日、家族に見守られて父は堂々と手術室へ向かって歩いていきます。アキオには、父が光の戦士のように感じられました。
 一年後。アキオは海外赴任してシンガポールにいました。里美は、アキオと付き合ってもいなかったことを同僚達に話し、アキオに会えなくて寂しいねと同情する同僚達に対し、今でも会っていると微笑みます。海外でもアキオは「ファイナルファンタジーXIV」をプレイしていました。アキオのマイディーが父のインディとの思い出の地を巡っていると、インディが現れます。インディは一緒に遊ぼうとマイディーを誘い、2人は冒険の旅に出発します。

 以上が、映画「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」の物語です。
 ほぼドラマ版の内容と同じで、先の展開がある程度読めてしまいましたが、それでも面白かったです。見る前から泣いてしまうだろうと思っていましたが、やっぱり泣いてしまいました。最近、涙腺がゆるゆるです。特に親子ものに弱いです。親子ものの映画だと、親側の視点で見てしまいますね。こないだも映画「ポケットモンスター ココ」を子供と一緒に見に行って号泣でした。話しが逸れてしまいますが、このポケモン映画は付き添いの親を泣かすためだけに作られた映画のように思えて仕方ありません。
 映画版とドラマ版との相違点は、主人公に妹がいる事くらいでしょうか。ドラマ版は一人っ子でした。妹を追加したことで、父と息子の物語に対して、父と娘の物語も挿入することができるという利点があったのでしょうが、2時間という映画の限られた時間ではやや中途半端な印象で、蛇足だったかなと思いました。だって、父と娘が喧嘩して仲直りするまで一瞬なんですもの。ドラマ版を覚えていないだけかもしれませんが、その他には特に大きな違いはないように思えました。どちらが優れているという事もないと思うので、出演している俳優さんなどの好みに応じていずれか一方を見れば十分な気もします。
 この物語は、「ファイナルファンタジーXIV」のゲーム内のシーンがたびたび登場するのですが、ドラマ版のマイディー及びインディのキャラクタと、映画版のマイディー及びインディのキャラクタとが全く同じでした。微妙に衣装や武器などの違いはあるのかもしれませんが、誤差範囲でしょう。全く別のキャラクタになるのだろうと思って見始めたので、同じキャラクタが登場したときには少し安心感がありました。
 この物語は実話を基に作られているため、この父子は実際に存在する人で、息子がこの物語の原作者であるマイディーさん。ドラマ版と映画版とでキャラクタが同じだったのは、実際にマイディーさんとお父さんが使っていたキャラクタと同じものだからなのでしょうね。マイディーさんのお父さんは今でも存命の方だそうです。しかしながら、息子のマイディーさんは2020年12月6日に癌でお亡くなりになったそうです。詳細は公開されていませんがマイディーさんは恐らく私と同じくらいか少し年下くらいの方だと思われ、若いのに残念でなりません。そして息子さんを亡くされたお父さんの気持ちを想像すると、もはや言葉では言い表せない…、また泣いてしまいそうです。
 マイディーさん、素晴らしい物語をありがとうございました。ご冥福をお祈り申し上げます。

 



 

鈴木央 「七つの大罪」 第27巻

 鈴木央さんの漫画「七つの大罪」第27巻は、2017年7月に発売されています。
 前巻では、ゴウセルを作った本物のゴウセルが<十戒>の1人として登場し、でも敵ではなさそうな雰囲気で、聖戦を終わらせると言っていました。また<七つの大罪>の一員となる人形のゴウセルの秘密も明かされました。そして物語は、グロキシニアの姿をしたキングに戻り、ゲラードを傷付けた人間のロウに対してグロキシニアが怒りの槍を放った場面で終わっています。
 今巻はこの続きで、グロキシニア姿のキングの物語から始まります。
 それでは以下、「七つの大罪」第27巻のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 グロキシニア(中身はキング)はロウを目掛けて槍を放ち、ロウは抱えていたゲラードを放して槍を受ける覚悟をします。ロウの表情を見たキングは、槍をロウの目の前で停止させ、君を殺さないと告げます。しかし、次の瞬間に槍はロウを貫いており、キングの背後にはグロキシニアが槍を放った姿勢で怒りの涙を流していました。
 気が付くと、キングは三千年後の元の世界へ戻っていました。グロキシニアは、三千年前のあの時に自分はロウを殺し、気が付けば<十戒>の仲間になっていたとキングに話します。キングは、本当の悪なんてそう在るものじゃない、とグロキシニアに言い、もしかしたらロウはゲラードにとってかけがえのない存在だったかもしれないと考えて殺せなかったと話します。グロキシニアは、試練は合格だとキングに告げます。キングが体験した三千年前の世界は本物であり、向こうの世界で死ねば本当に死んでしまい、歴史を大きく変えるような行動を取ると元の世界に戻されてしまう仕組みでした。キングは、グロキシニアとは異なる選択をした事で、元の世界へ戻ってくる事ができました。もしキングがグロキシニアと同じ選択をしていれば、キングは元の世界へ戻って来れなかった可能性がありました。キングは、一安心しますが、身体に異変が起こります。
 一方、三千年前の世界のドロール(中身はディアンヌ)は、ゴウセルと話し終えて、キングの元へ向かおうとしていました。しかし、魔界の門を通ってやってきた処刑人ゼルドリスが、ゴウセル及びディアンヌの前に現れます。ゼルドリスは、脱獄した本物のゴウセルを連れ戻しに来たようです。ディアンヌは、ゴウセルを庇い、聖戦を終わらせるため2人のゴウセルに逃げるよう言います。2人のゴウセルは逃げ、ディアンヌはゼルドリスに挑みます。しかし、ドロールの身体を持つディアンヌよりもゼルドリスは圧倒的に強く、ディアンヌはゼルドリスの蹴り一撃で倒れます。更にゼルドリスは、ドロールの魔力を封印してしまいます。ゼルドリスは、自分が魔神王の代理だと話し、ここで死ぬか、<十戒>の仲間となるかを選べと言います。
 三千年後の元の世界では、ドロールが、死ぬか仲間になるかをゼルドリスに迫られ、仲間になる事を選んだ事をキングに話していました。ドロールは、<十戒>として生きるのと、巨人族として死ぬのとでどちらが正しかったのかを知りたかったと話します。ディアンヌは、死ぬ事を選べば三千年前の世界でゼルドリスに殺され、ドロールと同じく仲間になる事を選べば元の世界に戻る事は出来ません。どちらを選んでもディアンヌは戻ってくることが出来ない事を知ってキングは焦りますが、次の瞬間にあっさりとディアンヌは戻ってきます。驚くドロールに対してディアンヌは、どちらも選択せずに逃げ出したと話します。キングも元の世界に戻れた事を知ったディアンヌはキングにキスし、キングは気絶します。目を覚ましたキングにディアンヌは、二百年前の約束を守ってくれたお礼と言います。二百年前の約束とは、子供の頃のディアンヌに対して必ず戻ってくると言ったキングのセリフの事です。ディアンヌは、ゴウセルが別れ際にお詫びとプレゼントとしてかけた術により、忘れていた記憶を完全に取り戻していました。ディアンヌはキングが好きだと言い、キングもディアンヌが好きだと言ってディアンヌにキスをします。そしてキングがふと自分の背中を見ると、小さな羽根が生えていました。
 妖精王の森へやって来ていたグロキシニアは、妹のゲラードと再会し、過去の事を謝ります。妖犬オスローは、グロキシニアに対して敵意を見せます。オスローは、グロキシニアが妖精王の森から去った後、ゲラードを守り続けてきました。グロキシニアは、オスローがロウの生まれ変わった姿だと気付きます。グロキシニアは妖精の森をキングの代理で守ると約束し、キング及びディアンヌは<七つの大罪>の元へ帰る事を決めます。
 その頃、リオネス王城では、<七つの大罪>のメリオダス、バン、ゴウセル、マーリン及びエスカノールの5人が集まっていました。マーリンは、この場所で<七つの大罪>が再集結する予兆を国王が見たと話します。マーリンが話しをしていると、空にオスローが作り出した転移空間が現れ、これを通ってキング及びディアンヌが降ってきます。キング及びディアンヌは、メリオダスが生きている事に驚きます。ディアンヌは、自分の記憶が戻った事を話し、消えた記憶が戻るはずがないというゴウセルに対して、大切な記憶は絶対に消えないと言います。ディアンヌは、三千年前の世界でゴウセルの生みの親と約束したと言い、ゴウセルになくした心を取り戻そうと言います。そこへ、リオネス国王が現れ、昔にゴウセルが持っていた作り物の心臓、心の魔法が込められたとされる心臓を見せます。これを見たゴウセルはその場から逃げ出します。この心臓の由来をリオネス国王から聞いた<七つの大罪>の6人は、手分けしてゴウセルを探します。ゴウセルは、リオネス国王が持っていた作り物の心臓を見て自分がなぜ逃げ出したのか理解できていませんでした。ゴウセルは、自分に残る僅かな記憶の断片をノイズと判断し、自分の技で自分の記憶を消そうとします。しかし間一髪でディアンヌがこれを阻止します。ゴウセルは邪魔をするディアンヌを攻撃しますが、ディアンヌは攻撃を踊りながら全て避けます。踊るディアンヌの闘級は上昇を続け、15100に達します。勝ち目がないと判断したゴウセルは逃げようとしますが、キングがこれを阻止します。キングの闘級は41600でした。ゴウセルは、近くにいた人を逃走の人質にしようとしますが、この人は王女ベロニカでした。ベロニカは、リオネス国王の娘であり、国王の姉ナージャの面影がありました。ベロニカを見てナージャの事を思い出しかけたゴウセルは、混乱に拍車がかかり、再び記憶を消そうとしますが、ディアンヌに押さえ込まれます。マーリンは、これまでゴウセルの精神が不安定だったのは、記憶を思い出しかける度に拒絶反応を起こしていたためだと推測します。ゴウセルは、ナージャの死にショックを受けて自らの記憶を消してしまいました。ディアンヌは、辛い記憶の中にも大切な思い出は必ずあるはずだとゴウセルに言います。心の魔法が込められた心臓は、単なるハート型の作り物で、心の魔法などはそもそも存在せず、ゴウセルの心はゴウセル自身の中にあるとマーリンは話します。ディアンヌ及びマーリンの話しを聞き、ゴウセルは過去を思い出します。これによりゴウセルは、本来の力を取り戻し、魔力が急激に上昇します。
 これまでの戦いで壊れた<豚の帽子>亭が再建されます。夜には宴会の予定です。エリザベス及びディアンヌは、エレインの見舞いに行きます。エレインは、メラスキュラの術で一時的に蘇った状態で、本調子ではありません。ディアンヌは、三千年前の世界を訪れた経験を2人に話し、そこにメリオダスと、エリザベスと瓜二つの女神族のエリザベスがいた事を話します。キング、ゴウセル及びエスカノールの3人は、夜の宴会を待たずに昼から飲んでいました。キングはゴウセルに色々と言いたい事があったようですが、すぐに酔いつぶれてしまいます。しかしゴウセルには、キングの気持ちが伝わっていました。
 その頃、マーリンは、使い魔のオルロンディを使って、魔神族に占拠されたキャメロット王国でアーサー王を遠隔で探していました。しかしオルロンディは、<十戒>ゼルドリスに見つかってしまいます。ゼルドリスはオルロンディを消し去ろうと攻撃しますが、マーリンがオルロンディを守ります。オルロンディは無事にゼルドリスから逃げ延びますが、マーリンはオルロンディに対するゼルドリスの攻撃を引き受けて負傷します。
 夜になり、<豚の帽子>亭での宴会が始まります。遅れてやってきたマーリンで<七つの大罪>が全員揃い、乾杯が行われます。宴会の中の会話でディアンヌは、ゴウセルに三千年前の聖戦をどのように終わらせたのかを尋ねます。ゴウセルは、今はまだ話せないと答えます。一般的には女神族が自らを犠牲にして魔神族を封印して聖戦が終わったとされており、ゴウセルが聖戦を終わらせたという話は、マーリンでも初耳でした。エリザベスは、三千年前にいたという同名の女神族や、以前のメリオダスの恋人リズの本名がエリザベスである事が気になっていました。マーリンは<十戒>のゼルドリスには迂闊に手出ししない方がいいと言い、ディアンヌも三千年前の世界でゼルドリスが魔神王の代理と名乗っていた事を話します。メリオダスは、ゼルドリスの戒禁に捕らわれた人々の救出と、キャメロット王国の解放とを当面の目標とする事を決めます。その後、マーリンは先に切り上げて自室へ戻り、部屋に入った瞬間に倒れこみますが、メリオダスがマーリンを支えてベッドまで運びます。マーリンはゼルドリスの攻撃を受けたダメージを悟られないようにしていましたが、メリオダスはこれを見抜いていました。メリオダスはマーリンの目的がアーサーを護ることだと指摘し、マーリンはアーサーが自分の希望そのものだと話します。マーリンの不調を見抜いたのはメリオダスの他にもう1人、エレインでした。エレインはエスカノールにマーリンの様子を見に行くよう言い、エスカノールはマーリンの部屋の前でメリオダス及びマーリンの話を聞いてしまいます。
 リオネス王国の第1王女マーガレットは、魔女ビビアンに連れ去られた聖騎士ギルサンダーを探す旅に出ます。
 マーガレットが旅立つ様子をメリオダス及びエリザベスは丘の上から見守っていました。その後、エリザベスは、リズの本名がエリザベスである事、ディアンヌが三千年前の世界で出会った女神族のエリザベスの事、<十戒>のデリエリがエリザベスを見て驚いた事などについて、メリオダスに問います。しかしメリオダスははぐらかして答えませんでした。
 <豚の帽子>亭では、昨夜に倒れたマーリンが寝込んでおり、聖騎士ヘンドリクセンは呪いによるものだと判断します。ヘンドリクセンは、自分の力ではこの呪いを解くことはできないと判断し、エリザベスを連れてきます。エリザベスは、マーリンにかけられた呪いを解こうと自分の力を集中します。気が付くとエリザベスは真っ暗な空間におり、目の前にはゼルドリスが立っていました。ゼルドリスは、呪われし女神エリザベスと呼び、未だに兄を傷付けているのかと非難します。何のことか分からないエリザベスに対して、ゼルドリスは、エリザベスが死んでは記憶を失って転生し、兄との出合いを繰り返していると話します。記憶を思い出したいというエリザベスに対して、ゼルドリスは全て思い出して己の罪深さを思い知れとエリザベスを突き放します。エリザベスの魔力はマーリンにかけられたゼルドリスの呪いを打ち破り、マーリンは目を覚まします。エリザベスは、記憶を取り戻してはいませんでしたが、これまでに何度もメリオダスと巡り会っていたという事実を嬉しく思います。
 現在、キャメロット王国は直径100マイルの次元の歪みに囲まれており、外部からの侵入を拒んでいました。王国から南東へ250マイルの地点、城塞都市コランドが次元の歪みの発生地点とマーリンは特定していました。<七つの大罪>にエリザベス、エレイン及びホークを加えたメンバーは、<豚の帽子>亭ことホークママに乗って、城塞都市コランドを目指します。エレイン及びキングの兜に宿るヘイブラムは、城塞都市コランドにいる敵が<十戒>メラスキュラである事を感じていました。

 以上が、鈴木央さんの「七つの大罪」第27巻の物語です。
 まだまだ続くのかと思われた三千年前の聖戦の物語が、あっさりと終わってしまいました。キング及びディアンヌの試練が終わってしまったので、仕方ないのかもしれませんが、何だか尻切れトンボな終わり方でした。結局、三千年前の聖戦がどのようにして終わったのか、ゴウセルが聖戦を終わらせたのか、詳しいことは分からずじまいでした。元の世界でもゴウセルが聖戦の真実について今は語るべきではないなどと言い出す始末です。大切な情報は仲間の間で共有しておかないと面倒なことになるという事をこれまでの経験で全く学んでいないですね。まぁ、作者が情報を出し惜しみしているとしか思えません。
 今巻は、1つの物語が終わって次の物語が始まるまでの繋ぎの物語でした。<七つの大罪>が勢揃いしてキャメロット王国の奪還作戦を開始するところで終わりました。新章突入といったところでしょうか。ただ、次の敵がメラスキュラと言うのが、今さら感がありますが…。今後の物語で敵対しそうな<十戒>は、ゼルドリス、エスタロッサ、メラスキュラくらいしか残っていない。ガラン、グレイロード及びフラウドリンは既に死亡し、グロキシニア及びドロールはもう味方と考えてよいでしょう。デリエリ及びモンスピートは生き残っていますが、やや忘れ去られた感があり、今さら登場しても…、まぁインデュラ化という奥の手は残っていますが。
 エリザベスが、三千年前の聖戦に登場した女神族の生まれ変わりであることが確定しました。誰もが既にそうだと思っていた既成事実ではありますが。ただし、エリザベスの記憶は戻っておらず、記憶が戻ることで物語が急展開する可能性を秘めていそうでした。どんな秘密が隠されているのでしょう、メリオダスは知っていて隠しているようですが。

 

たいち庸 「機動戦士ガンダム外伝 ザ・ブルー・ディスティニー」 第9巻

 たいち庸さんの漫画「機動戦士ガンダム外伝 ザ・ブルー・ディスティニー」第9巻は、2021年1月に発売されています。
 前巻の発売が2020年2月なので、約1年ぶりです。宇宙へ出て最後の戦いを目前に、遅々として物語が進行しません。物語の内容が引き延ばしであることに加えて、そもそも雑誌ガンダムエースにおける漫画の連載自体が休みがち。作者であるたいち庸さんの体調不良かなにかが原因なのでしょうか?それとも連載を終わらせたくない何か大人の事情があるのでしょうか?間違いないのは、既に読者は見放しているであろうということ。あと1冊あれば完結できる程度まで物語は進んでいるのだから、さっさと完結させて次の作品に移る方が作者にとっても良さ気な気がするのですが。
 前巻では、モルモット隊とスレイヴ・レイス隊との戦闘が平和に終わり、モルモット隊はニムバス達を追って宇宙へ上がり、ガンダム4号機及び5号機を有するサラブレッド隊との模擬戦闘が始まりました。今巻はこの模擬戦闘の続きからです。
 それでは以下、たいち庸さんの漫画「機動戦士ガンダム外伝 ザ・ブルー・ディスティニー」第9巻のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 モルモット隊とサラブレッド隊との模擬戦闘は続いています。ビーム兵器を封じられたモルモット隊は、サラブレッド隊のフォルド中尉が乗るガンダム5号機のガトリングガンの攻撃に苦戦します。ユウはガンダムブルーディスティニー3号機でガンダム5号機を引き付け、フィリップのジム・ドミナンス及びサマナのジム・キャノンを先に行かせます。ユウはガンダム5号機を引き付けつつ敵旗艦サラブレッドへ向かい、援護に来たルース中尉のガンダム4号機をも相手にします。この隙にフィリップ及びサマナがサラブレッドへ接近します。フィリップは、ユウを援護するためにガンダム5号機を狙って隕石を蹴り、この隕石はフォルド中尉をかばったルース中尉のガンダム4号機に激突します。この事故で模擬戦闘は中断されます。模擬戦闘は引き分けとなりましたが、ルース中尉はチーム力で完敗を認めます。
 サラブレッド隊と別れたモルモット隊は、ニムバスを追ってジオン軍の支配宙域へ入ります。アルフ大尉はブルー3号機の整備を進めていました。アルフ大尉は、ブルー2号機はサイコミュ受信機能を抑えてリミッターを外した機体であり、ブルー3号機はサイコミュ受信機能が強い機能だとユウに話します。ユウは、ブルーに乗っているときにマリオンという少女の存在を感じる事をアルフ大尉に話します。アルフ大尉は2号機でも同じ現象は起きていると推測し、ユウはニムバスがマリオンの声をなぜ聞こうとしないのかを考えます。ブルーのテストパイロットだったクレア少尉はマリオンが意識を失ってどこかで生きているとユウに話しており、アルフ大尉はEXAMシステムを介してマリオンを起こす事が出来るかもしれないと推測します。
 モルモット隊より先行して偵察隊がサイド5へ向かい、ニムバス及びブルー2号機がいるコロニーを探していました。偵察隊は、廃墟のコロニーからエネルギー反応を検知し、このコロニーへ向かいます。するとルール連邦軍の機体コードを持つギャンから救援を要請する通信が入ります。ギャンのパイロットはジル・ジグラと名乗り、敵基地から脱出して追撃を受けていると言います。偵察隊はジルの救援へむかいますが、ジルのギャンは偵察隊のジム・ドミナンス及びボールを撃墜します。ジルは、1機のボールをあえて逃がします。
 偵察隊が持ち帰った情報は、モルモット隊に届けられます。この情報から、ニムバスの本拠地の位置と、ジルがスパイだったという事実とが判明します。アルフ大尉は、EXAMシステムの研究施設の近くにあるクルスト博士の自宅に、EXAMに関するデータを残してきたとクルスト博士が言っていた事を思い出し、このデータを回収すべきと考えます。これによりモルモット隊は、ブルー2号機の奪還と、クルスト博士のデータ回収とを最終目的とする事が決まります。このため、サマナのジム・キャノンが旗艦ランケアの護衛、フィリップのジム・ドミナンスがアルフ大尉と共にデータ回収、ユウのブルー3号機が敵への強襲及び撹乱を担当する事になります。フィリップは、スパイのジルと恋人同士だった自分を外すべきと言いますが、仲間達はフィリップを信じていました。
 EXAM研究施設があるニムバス大尉達の本拠地のコロニーでは、戦力としてジルが集めた兵士達がモビルスーツの模擬戦闘で賭けをしていました。この行為にトリスタンは怒りますが、ニムバス大尉は兵士達を導くのが騎士だとトリスタンに語ります。
 敵基地のあるコロニー近くまでやってきたモルモット隊の旗艦ランケアからブルー3号機が出撃します。これに対してトリスタンが率いるモビルスーツ部隊が迎撃のために出撃します。圧倒的な力でブルー3号機がザクやドムを撃墜していきます。見かねたトリスタンがゲルググでブルー3号機へ攻撃し、これを見た兵士達はトリスタンに助けられたと思い、トリスタンを援護するように攻撃し始めます。トリスタンは、実力を見せる事で兵士達がついて来る事を知り、兵士達と共に協力してブルー3号機を攻撃します。
 その頃、フィリップのジム・ドミナンス及びアルフ大尉のボールは、敵コロニーへの侵入を果たしていました。コロニー内でフィリップは、ニムバスとジルが乗るジープを発見します。アルフ大尉は、ジープの後をつけて、クルスト博士の私邸を突き止めようと考えます。
 ユウのブルー3号機は、大量の追加武装を装着しており、多くの敵モビルスーツに対して1機で弾切れを起こす事なく対応していました。ドミナンスはゲルググでブルー3号機に接近戦を挑みます。時間稼ぎは十分と判断したユウは、追加武装をパージし、圧倒的なスピードでゲルググを攻撃します。被弾したゲルググは動作不能となり、ブルー3号機はトドメの一撃を放とうとします。しかし、ジオンの兵士達はトリスタンを庇い、トリスタンに勝利の希望を託してブルー3号機へ特攻していきます。
 敵モビルスーツを全滅させたユウに、アルフ大尉からの通信が入ります。アルフ大尉はコロニー内へ入るようユウを促し、何かを言いかけます。それを遮ってニムバスからの通信が入ります。ニムバスは、ユウにマリオンの事を知るべきだと言い、待っていると言います。
 少し前。ニムバス及びジルが乗るジープは、クルスト博士の私邸へやってきます。フィリップ及びアルフ大尉はジム・ドミナンスに乗ってニムバスの前に姿を見せますが、ジルの姿は見えません。ジルはギャンに乗って現れ、フィリップ及びアルフ大尉にユウ・カジマ中尉との会談を要求しました。ブルー3号機と共にやってきたユウは、ブルー3号機を降りてニムバスに対峙します。ニムバスは、ユウ及びアルフ大尉をクルスト博士の私邸へ招き入れ、クルスト博士が残した資料を見せます。しかし資料には、クルスト博士がニュータイプに対する恐怖を綴っただけの価値のないものでした。ニムバスは、EXAMシステムの実験中にマリオンが意識不明に陥った事をユウに話します。ユウは今のマリオンの声が届いていないのかとニムバスに問いますが、ニムバスは答えません。ニムバスは6時間後にブルー同士での一騎打ちを望み、ユウはこれを受けます。

 以上が、たいち庸さんの「機動戦士ガンダム外伝 ザ・ブルー・ディスティニー」第9巻の物語です。
 長く続いた水増し物語がやっと終わり、とうとう最終決戦の目前まで物語が進みました。おそらく次巻で完結でしょう。雑誌ガンダムエースでの連載が順調に進めば、半年後くらいに次巻が発売されるはずですが、・・・これまでの発売ペースを見ると、一年後くらいになりそうな気がします。
 所で、これまで散々馬鹿にしてきた兵士達にトリスタンが救われる展開。少し無理がありませんか?違和感あり過ぎの陳腐な展開でした。あんな上官のために死にたくないですね。
 長かった物語もあと少し。あまり内容に期待はしていませんが、完結は待ち遠しいような気がします。

 

雑誌「ウォーロック・マガジン」第9号

 雑誌「ウォーロック・マガジン」第9号は、2021年1月に発売されました。
 この雑誌には、編集者からのコメントのような文章が冒頭に掲載されるのですが、今号のコメントは悲報でした。それは、この「ウォーロック・マガジン」が今号で最後というお知らせでした。グループSNEは「ゲームマスタリーマガジン」という雑誌を出版しているのですが、この「ゲームマスタリーマガジン」と「ウォーロック・マガジン」とが合併されて1つの雑誌になるそうです。雑誌名は「GMウォーロック」を予定しているとのこと。
 T&T(トンネルズ&トロールズ)の専門誌として登場したFT書房の「トンネル・ザ・トロール・マガジン」がグループSNEに乗っ取られ、AFF(アドバンスド・ファイティング・ファンタジー)が加わって「ウォーロック・マガジン」に変わり、最近では「パグマイア」が加わってT&Tの記事が減り…。「ゲームマスタリーマガジン」はグループSNEの大黒柱製品である「ソードワールド」を扱っている雑誌のようで、これと合併されればT&Tの記事が減るのは目に見えています。と言うか、全くなくなってしまう可能性もありそうです。
 そろそろこの雑誌を買うのを止めようかと考え始めていたところで、この合併話。ここらへんで手を切れといる天からの声が聞こえてきているように思えます。とりあえず合併第1号は様子見で購入しようと思いますが、恐らくそこで卒業かな…。中山将平さんのT&T漫画が生き残っていたら、購入を続けるかもしれません。
 これを機に、FT書房さんが「TtTマガジン」を復活させて欲しいな。1年に1冊とかで構わないので、何とかお願いします、FT書房さん。
 それでは以下、雑誌「ウォーロック・マガジン」第9号の記事を簡単にまとめます。ネタバレ注意です。

<第1特集:FFゲームブック復活>タイタンの放浪者、こあらだまり、安田均
 「火吹山の魔法使い」、「バルサスの要塞」、「盗賊都市」、「モンスター誕生」、「火吹山の魔法使いふたたび」の5作品を一冊にまとめた書籍が出版される事が決定したそうです。最初の4作品は過去作品の復活、最後の1作品は初邦訳だそうです。これはスゴイ!欲しい!のですが、税込8250円・・・は高い・・・。完全受注生産との事で、この機会を逃すと手に入らない可能性大なのですが・・・。最初の3作品は旧版のものを持ってるし・・・。悩む所です。今後に期待して御布施のつもりで買うかもしれません。
 特集はこの5作品の紹介記事です。悩む悩む。

<はじめてのAFF>中山哲学
 AFFのリプレイ漫画です。火吹山の周辺での冒険シナリオでした。「火吹山の魔法使い」と「火吹山の魔法使いふたたび」の間に起きた事件、を想定したもののようでした。シナリオも掲載されているので、合わせて読むと面白いです。

<第2特集:それぞれの三都物語>ピピン、柘植めぐみ、ベーテ・有理・黒崎、ゼサン
 AFF、T&T、パグマイアのそれぞれの世界について主要な三都市を紹介しています。
 AFFは、「アリオン」、「カーレ」及び「ポート・ブラックサンド」。
 T&Tは、「カザン」、「コースト」及び「ガル」。
 パグマイアは、「パグマイア」、「マウ・シティ」及び「ウォータードッグ港」。

<ブラックサンド ランダムイベント表>ピピン
 シナリオの幕間に役立つイベントを集めたものです。36個のイベントが掲載されており、サイコロD6を2回振ってイベントを決定します。

<秋田みやびの謎解き日記>秋田みやび
 日常の出来事のコラムかと思わせて、マーダーミステリーの新作「魔女は黄昏の鐘に消える」及び「あの夏の囚人」の紹介です。

<犬猫の手の取り合いのすすめ>ベーテ・有理・黒崎
 「パグマイア」と「マウ連合君主国」とを混ぜて遊ぶ場合の遊び方を紹介しています。

<マウ連合君主国シナリオ「失われしアモセンの書庫」>ベーテ・有理・黒崎
 スミロドン君主国の廃虚の北にあるという遺跡、失われしアモセンの書庫を探し出すという内容のシナリオです。「マウ連合君主国」の3レベルの猫達を想定しています。14ページという大きめボリュームのシナリオです。

<マウ連合君主国ソロアドベンチャー「ナナミユの秘密」>ゼサン
 付属のキャラクターを用いて遊ぶソロアドベンチャーです。パラグラフ数は全部で63です。

<パグマイア&マウコミック「英雄犬ポメロスくん」>ゼサン
 相変わらず、絵も内容も素人の落書きのような漫画です。ページが減って2ページだけになりました。

<パグマイア最新情報>
 本国で「Pirates of Pugmire」という海洋冒険をテーマにしたサプリメントが発売されたそうです。日本語版が出るかは未定とのこと。
 「パンの新米開拓者ガイド」の前日譚となる「パンの物語」のアドベンチャーゲーム形式の動画が公開されたそうです。
 グループSNEのホームページに「パグマイアの世界」という特設サイトが公開されたそうです。
 「フェッチクエスト」というカードゲームが発売されたそうです。
 三遊亭楽天さんのYouTubeチャンネルでパグマイアが紹介されたそうです。

<三遊亭楽天のTRPG四方山噺>
 日常生活の中で感じるファンタジーっぽい出来事を語っています。

<AFF2eシナリオ「火吹山へ至る」>こあらだまり
 リプレイ漫画のシナリオです。初期作成のヒーロー3~4人を想定しています。

<タイタン見聞録 第3回 タイタンの歴史年表(旧暦編)>タイタンの放浪者
 AFF2eの背景世界の年表&解説の記事です。旧暦300年頃~1999年の範囲です。これは読み物としても面白く、資料としても役立ちそうないい記事でした。次回は新暦の年表だそうです。

<FF最新情報>
 海外で発売された新作ゲームブックFF69「嵐のクリスタル」を紹介しています。その他には「Creature of Mishna」、「The Warlock Returns Issue 01」、「不気味な森」など、海外作品が簡単に紹介されていました。

<それでもゲームで遊びた医>Dr.リノ
 第3回は「赤ちゃん生物学」と題して、人間の赤ちゃんの生態を参考に、色々なファンタジー生物を考案します。なかなか面白かったです。新しい生物を作り出すときの参考になると思います。

<はじめてのシティブック1>中山将平
 汎用RPG資料集「シティブック1」を元に作られたT&Tシナリオのリプレイ漫画です。もちろんこの後にシナリオが付いている最強コンビです。次の雑誌でこの漫画が生き残っていたら、買うかもしれません。

<「シティブック1」の楽しい使い方>柘植めぐみ
 リプレイ漫画のシナリオです。「シティブック1」を参考に作られたオリジナルの港町を舞台とする冒険です。

<T&Tソロアドベンチャー「逃亡の山嶺」>松田洋平
 ソロアドベンチャーコンテストで選外佳作となった作品です。3レベル以下の戦仕向け。戦争で敗北した兵士が追っ手から逃げるという内容のようです。パラグラフ数は100です。

<T&Tシナリオ「トロールの国のアリス」>岡和田晃
 前号の「天空の国のアリス」の続編シナリオです。でも、単体でのプレイも可能なようです。

<T&Tシナリオ「吸血鬼岩悪魔、秘蔵の麦酒」>たまねぎ須永
 高位の魔術師の依頼で、コッロールの吸血鬼岩悪魔の迷宮にビールを取りに行くという内容のシナリオです。作りたてのキャラクター4人、プレイ時間3時間前後を想定しています。「トンネル・ザ・トロールマガジン」の第4号に記載された「ラヴクラフト・ヴァリアント」のルールを使用します。

<T&T情報コーナー>安田均
 海外で「モンスター!モンスター!」の第2版が発売されたそうですが、日本での発売は予定されていないそうです。第2版での変更点や、収録されたシナリオなどをグループSNEのホームページに載せるかもと安田均さんは述べていました。

<ウォーロックの骨>柘植めぐみ
 街での冒険を取り上げ、パグマイア、AFF、T&Tでのタレント、技能等を比較しています。

<ウォーロック・サロン>
 ウォーロック・マガジンとゲームマスタリーマガジンとの合併について語っています。

<AFF2e「ミシュナ島のモンスターたち」より>ベンジャミン・クィントン=ボトリー
 日本ではまだ発売されていない未訳サプリメント「ミシュナ島のモンスターたち」の一部を紹介する記事です。

<AFFソロアドベンチャー「欲望の旅路~ミシュナ島の冒険~」>笠竜海
 「ミシュナ島のモンスターたち」を基に作られたソロアドベンチャーです。パラグラフ数は116です。

<付録「ウッズエッジのひなげし」>水波流
 ソロアドベンチャーコンテストの入選作品です。
 13歳の少年の「僕」が主人公で、能力値も予め決められたキャラクターで遊ぶ、ストーリー重視のソロアドベンチャーのようです。パラグラフ数は71です。


中山七里 「連続殺人鬼カエル男ふたたび」

 中山七里さんの「連続殺人鬼カエル男ふたたび」は、2018年5月に単行本が出版され、2019年4月に文庫化されたミステリー小説作品です。2011年に出版されている「連続殺人鬼カエル男」の続編です。作品内の時系列では、前作の事件から数ヶ月後の物語となっています。
 前作「連続殺人鬼カエル男」は、タイトルのインパクトだけで本を購入し、読んでみて中々の当たり作品だった記憶があります。ただ、物語は完全に完結しており、続編を作る余地があるようには思えない結末でした。物語内では数ヶ月後ですが、現実世界では約7年の歳月が経過した後に続編が出版されていることから考えても、作者も続編を書くつもりはなかったのではないかと思います。ところが続編が出版された、という事は恐らく作者に何かヒラメキのようなものがあったのでしょう。そのヒラメキに期待大の作品です。
 それでは以下、中山七里さんの「連続殺人鬼カエル男ふたたび」のあらすじを記載します。前作「連続殺人鬼カエル男」の物語が前提のため、どうしてもあらすじで前作の犯人等に触れる可能性があります。2作品分のネタバレ注意です。

 カエル男の事件から十ヵ月後。病院を退院した当真勝男は、千葉県松戸市白河町へやってきます。勝男はここにある一軒の家のチャイムを鳴らします。家からは現れた御前崎宗孝は驚いた様子で勝男を出迎えます。
 11月16日。御前崎の家で爆発が起こります。家からは爆発で粉々になった肉片等が見つかり、DNA鑑定の結果、肉片は御前崎宗孝のものと判断されます。御前崎はカエル男を操っていた人物で、カエル男事件を担当していた埼玉県警の古手川和也は、その上司の渡瀬と共に事件現場を訪れます。地元の松戸署の帯刀警部は、現場で発見された紙片を古手川及び渡瀬に見せます。紙片には、かえるのなかにばくちくをいれてひをつけた、というような文章が記されており、以前のカエル男事件のときのものと酷似していました。以前に「あ」~「え」の名前の人が殺されており、今回の犠牲者が「お」である事から、五十音順に犠牲者を選ぶというカエル男の法則も満たしています。御前崎の家から当真勝男の指紋が発見され、カエル男事件の関係者である勝男が御前崎殺しの容疑者として追われる事になります。千葉県警から協力要請を受けて、古手川及び渡瀬も捜査に加わります。
 古手川及び渡瀬は、以前にカエル男に殺害された被害者の関係者に会いに行きます。第1被害者の恋人だった桂木禎一は、第2被害者の孫娘の指宿梢と恋人同士になっていました。第4被害者の衛藤和義弁護士の妻の佳恵は、犯人として捕まったカエル男が精神鑑定で責任能力なしと判断され刑法第39条で裁かれない事に憤っていました。しかし殺された衛藤は刑法第39条を悪用していた弁護士であり、これがカエル男の事件が発生した原因でした。過去に、小比類麗華及び娘の美咲が古沢冬樹という男に殺された事件で衛藤は犯人の古沢の弁護を担当し、刑法第39条を悪用して古沢を無罪にしました。殺された麗華は、御前崎の娘でした。古手川及び渡瀬は、殺された麗華の夫の崇に会いに行きます。これらの人々は、勝男の写真を見せても知らないと答えます。ただし崇は、義父である御前崎の家の現場検証に立ち会っており、御前崎が様々な情報を書き込んでいたノートが見あたらなかったと話します。
 事件から数日経過しても警察は勝男の所在を掴めずにいました。古手川及び渡瀬は、八王子医療刑務所に収容されている有働さゆりに会いに行きます。そこには先客としてさゆりの弁護を担当している御子柴礼司弁護士がいました。さゆりはピアノを弾く事で精神が安定してきたようですが、事件の記憶が欠落しているようでした。勝男の行方に心当たりもなさそうです。さゆりはベートーベンの「情熱」の第一楽章をピアノで演奏し、古手川及び御子柴は演奏に聞き入ります。
 11月20日。熊谷市の「屋島プリント」の工事で、濃硫酸のプールに佐藤尚久という男性が転落して死んでいるのが発見されます。その後、工事入口ドア付近で発見された紙片には、かえるをとかす、というような文章が記されていました。更に紙片には、こんどはさからはじめよう、とも記されています。筆跡鑑定の結果、以前のカエル男のものと一致し、カエル男の五十音連続殺人はあ行からさ行へ移ったようです。古手川及び渡瀬は、殺された佐藤の自宅を調べ、警察署へやってきた佐藤の両親に話を聞きますが、めぼしい情報は得られません。古手川は勝男が昔勤めていた歯科医を訪れ、勝男が住んでいたアパートを訪れますが、ここでも情報は得られません。
 次の日。カエル男の復活が新聞で報道されてしまいます。尾上善二という記者が書いたスクープ記事でした。これをきっかけに、カエル男の事件がテレビでも報道され、カエル男の恐怖が広まっていきます。古手川及び渡瀬は、勝男の弁護を担当した弁護士の清水幸也に会いに行きます。しかし清水は勝男の弁護に熱心ではなく、最後に勝男に会ったのは3ヶ月以上前でした。
 荒川総合運動公園を根城とするホームレスの兵さんは、最近その辺りに住み着いた男に声をかけます。男は無口で、ジャンパーのフードを深く被っており、人相も年齢もよく分かりませんでした。
 11月29日。JR神田駅で線路に飛び込んだ志保美純という女性が列車に轢かれて死亡します。当初は事故か自殺と考えられていましたが、駅の掲示板の足元近くで貼り紙が発見されます。貼り紙には、かえるをせんろにおとしてみた、というような文章が記されており、カエル男の事件として埼玉県警、千葉県警及び警視庁による合同捜査本部が立ち上げられる事になります。渡瀬は、合同捜査本部の指揮をとる鶴崎管理官や、警視庁の霧島という刑事と面識があるようで、鶴崎管理官に良い印象は持っていないようです。駅の貼り紙の文字は、これまでのカエル男のものと一致する事が確認されましたが、駅は混雑しており、監視カメラの画像からカエル男を特定する事は出来ませんでした。渡瀬は、カエル男が被害者の名前をどのようにして知ったのかを探る事が肝心だと霧島に話します。古手川及び渡瀬は、志保美純の両親や勤め先から話を聞きますが、勝男との繋がりは見いだせませんでした。
 松戸市常盤平のある住宅の前にマスコミが集まっていました。殺人を犯しながら責任能力無しとして無罪になり医療刑務所に収監されていた古沢冬樹の実家でした。古沢冬樹が近々退院するという情報がどこかから漏れたようでした。新聞記者の尾上善二は、これらマスコミ達からは少し離れた場所から古沢邸を見張っていました。しばらくすると警察が現れてマスコミ達に立ち退くよう命令し、マスコミ達は退散していきます。その後も尾上が古沢邸を見張り続けていると、ホームレスが現れ、古沢邸の郵便受けを物色して去って行きます。尾上はこのホームレスを尾行しますが、ホームレスが細い裏道へ入った所で見失い、直後に後頭部を殴られて意識を失います。
 古手川及び渡瀬は、神田署を出た所で報道陣に囲まれ、朝倉という女性記者に質問を受けます。渡瀬は質問には答えず、逆に朝倉から記者の尾上が襲われたという情報を得ます。古手川及び渡瀬は、松戸署へ向かい、尾上が襲われたのが古沢邸の近くであること、怪しいホームレスが目撃されている事を帯刀から聞きます。尾上は意識不明の重体で病院に収容されていました。
 医療刑務所に収容されている有働さゆりの病室に、担当看護師の百合川がやってきます。百合川は日課の注射をさゆりに打った後、さゆりとピアノの話しをします。さゆりは、演奏のコツを教える方法があると話し、百合川にそれを実践します。さゆりは、目を閉じて音楽と自分が一体化するイメージを思い浮かべるよう百合川に言い、百合川はさゆりの教えに従います。百合川が目を閉じると、さゆりは後ろから百合川の首を締め上げ、百合川は意識を失って倒れます。さゆりは百合川のナース服を奪い、病室を出て更衣室で百合川の衣服に着替え医療刑務所を正門から出て行きます。さゆり脱走の連絡を受けて古手川及び渡瀬は、医療刑務所を訪れますが、刑務所が不祥事を隠そうとしたために初動捜査が遅れ、さゆりの行方は全く分かりませんでした。
 12月3日。精神科医の末松健三は、診療を終えて病院を出ます。しばらく歩くと路上にホームレスがおり、末松の目の前で倒れます。ホームレスは末松の脚を掴み、背後に回り込んで末松を殴り倒します。末松は気が付くと縛られてリヤカーに乗せられていました。ホームレスはリヤカーを引いて製材所へ入り、破砕機のスイッチを入れると、末松を破砕機へ放り込みます。末松は破砕機噛み砕かれて死亡します。
 通報を受けて古手川及び渡瀬は製材所へやってきます。末松を殺した破砕機の近くにはいつもと同様の文章が書かれた紙片が発見され、筆跡からこれまでと同じカエル男のものと判断されます。殺された末松は、松戸の母子殺害事件の犯人である古沢冬樹を精神鑑定した医師であり、衛藤弁護士と組んで古沢を無罪にした人物でした。遺留品のリヤカーの持ち主は荒川総合運動公園に住むホームレスの兵さんと特定され、兵さんはリヤカーが盗まれた日から1人のホームレスが姿を消したと話します。
 カエル男の事件は次第に大きく報道されるようになり、カエル男の連続殺人をいまだに許していることや、更には有働さゆりの脱走を許した事も重なり、警察への批判は高まって行きます。捜査本部の鶴崎管理官も焦り、捜査会議は険悪な雰囲気となります。古手川は、鶴崎管理官を批判する発言をし、捜査から外される事になります。渡瀬は、自分でケジメをつけろと古手川に言います。
 古手川は、1人で御子柴弁護士の元を訪ねます。御子柴はさゆりの行方は知りませんが、さゆりが脱走した動機を考えろと古手川に助言します。古手川は、さゆりが勝男と合流しようとしていると考え、勝男の次の標的は、御前崎の標的でもあった古沢だと考えます。
 岡崎医療刑務所に収容されている古沢冬樹は、仮出所が近付いていました。古沢は、衛藤弁護士の戦略に従って精神疾患のふりをして無罪を得ましたが、その後は医療刑務所に入れられました。古沢は、精神疾患のふりを続け、精神疾患が寛解したように装って仮出所を得る事に成功しました。仮出所まであと数日でした。
 古手川は、単独行動で古沢の両親が住む松戸市の自宅を訪ねます。古沢の母は、古沢の出所日時を知りませんでした。古沢の出所日時は12月23日午前10時と既に決定されており、医療刑務所から両親に通知が届いているはずです。古手川は、何者かが古沢の出所の通知を郵便受けから抜き取ったのだと推測し、尾上が襲われたのはこれを見られたためだと考えます。
 12月23日。岡崎医療刑務所を出所した古沢が歩き始めると、橋の袂にホームレスがうずくまっています。古沢がその横を通り過ぎようとしたとき、ホームレスが古沢に襲いかかります。しかし、刑務所から古沢を尾行していた古手川が古沢を助けます。ホームレスは手に持っていた注射器を古手川に刺し、メスを取り出します。注射器には麻酔薬が入っていたようで、古手川は徐々に身体が痺れ、ホームレスにメスで刺されます。絶体絶命のピンチに古手川を助けたのは渡瀬でした。ホームレスは渡瀬が連れてきた複数の捜査官によって取り押さえられます。渡瀬も刑務所から古沢及び古手川を尾行していました。ホームレスが被っていたフードを取ると、現れたのは勝男ではなく、御前崎の顔でした。
 御前崎は、自分の患者だった老人を身替わりにするため自宅で生活させ、この老人の毛髪などを研究室などに残して爆殺しました。また御前崎を訪ねてきた勝男を殺し、その存在だけをカエル男の正体として利用しました。2人目及び3人目の被害者は、御前崎が殺したのではなく、事故の報道で名前を知ってカエル男のメッセージを残しただけでした。末松を殺した御前崎の最終目標は古沢でしたが、古沢は無事でした。御前崎は、さゆりには衛藤弁護士以降の殺人についても刷り込んでおいたと渡瀬に話します。
 クリスマスイブ。自由の身になった古沢は、バーで1人飲んでいました。古沢は、バーで出会った女性とラブホテルに入ります。服を脱ぎ始めた女性にあっち向いててと言われた古沢は女性に背を向けます。古沢が振り返ったとき、さゆりはナイフを振りかざします。

 以上が、中山七里さんの「連続殺人鬼カエル男ふたたび」の物語です。
 前作の「連続殺人鬼カエル男」は中山七里さんの3番目の作品、今作は35番目の作品だそうです。流石に30作品以上を書き上げているだけあってか、「連続殺人鬼カエル男」はやや読み難さがありましたが、「連続殺人鬼カエル男ふたたび」は文章が格段に読みやすくなっているように思えました。
 ただし、読み終えた後のインパクトの強さは「連続殺人鬼カエル男」の方が上だったかなと思います。前作で物語が一度完結しているだけあって、「連続殺人鬼カエル男ふたたび」の物語はすこし無理があるように感じられました。
 私が御前崎の立場だったら、まず古沢を殺すことを考えると思います。であれば、カエル男の事件なんか起こさずに、まず刑務所から出てきた古沢を殺すのが一番確実です。カエル男の事件を起こして警察の監視の目を厳しくする必要は全くない。弁護士だの精神科医だのはその後についでに殺せればいい訳で、あえて先に殺して古沢を殺す可能性を下げる必要はありません。
 また、第2、第3の事件についても、事故の報道で名前を知ってカエル男のメッセージを置きに行ったという事ですが、リスクがかなり高いのでは?濃硫酸の事故の後は工場周辺に警察官などもそれなりにいたでしょう。列車事故も混雑していて監視カメラに事故の詳細が映っていませんでしたが、もし明らかに事故で転落する様子が監視カメラに映っていたらトリックがバレバレじゃないですか。事故の報道で監視カメラの詳細が伝えられるとは思えません。しかも人が多い駅にメッセージを残しに行く危険、メッセージを残している姿を監視カメラに捉えられる危険は全く考えていないのでしょうか。
 また、五十音順殺人が「さ行」になり、「さ」「し」と犠牲者が出た後、次の「す」の犠牲者が母子殺害事件の関係者の末松になる可能性を誰も考えていないというのも不自然です。誰も気が付かなくても、少なくとも渡瀬なら気付いてもよさそう、というか気付いて当然では。末松に刑事2人くらいの監視を付けておけば、もっと早くに事件が解決できたでしょうに。
 考えれば考えるほど、不満が湧き出すので、この辺で止めておきます。これらは、五十音順殺人にこだわるから生じる矛盾なのでしょうが、五十音順殺人でないならカエル男でなくてもよい訳で、痛し痒しですね。カエル男の正体がもう少し驚くような人であれば、不満も一気に吹っ飛ぶところだったのですが、御前崎では…。なーんだ、またお前かよ、って感じです。カエル男が勝男ではない事は薄々感じられるわけですから、もう少し意外な人物を持ってきて欲しかったところです。でも、誰をと言われると困りますが。無責任に言うのであれば、カエル男の正体が古手川とか、死んだはずのさゆりの息子とかだったら驚くかな。
 話は変わって、この「連続殺人鬼カエル男ふたたび」の文庫本の巻末には、中山七里さんのこれまでの作品のあらすじと登場人物の相関図とをまとめた資料がついています。1ページに1作品を紹介していて、全部で40作品です。結構なページ数で、手元に置いておいて損はない貴重な資料だと思います。この資料で「連続殺人鬼カエル男ふたたび」が35作目という事を知りました。また、古手川及び渡瀬が登場する作品が他にもいくつか存在しておりシリーズ化されている事、今作に登場した弁護士の御子柴は他シリーズからのゲスト出演である事などもこの資料から知ることができました。とりあえず、古手川及び渡瀬の別の作品を読んでみたいと考えています。

 

鈴木央 「七つの大罪」 第26巻

 鈴木央さんの漫画「七つの大罪」第26巻は、2017年5月に発売されています。
 前巻では、妖精王の森にいたキング及びディアンヌが<十戒>グロキシニア及びドロールによって三千年前の世界に送り込まれました。キングはグロキシニアの身体、ディアンヌはドロールの身体で三千年前の聖戦を追体験することになります。三千年前の世界で2人はメリオダス及び女神族のエリザベスに出会い、<四大天使>対<十戒>の戦いを目撃します。今巻はこの続きからで、三千年前の世界での物語です。
 それでは以下、「七つの大罪」第26巻のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 インデュラ化した<十戒>モンスピート及びデリエリの攻撃は、<四大天使>リュドシエル、サリエル及びタルミエルをも圧倒します。<十戒>ガラン及びフラウドリンは、巻き込まれるのを避けるために撤退します。戦場へと向かうメリオダス、グロキシニア(中身はキング)及びドロール(中身はディアンヌ)は、倒れているエリザベスを発見します。傷付いたエリザベスはリュドシエルが作った結界の中にいました。メリオダスは、自身が傷付く事も気にせず、結界を突破してエリザベスを連れ出します。すぐさまエリザベスはメリオダスの元から飛び立ち、睨み合う<十戒>及び<四大天使>の間に割って入り、自分か<十戒>を救うとリュドシエルに言います。エリザベスが放った光はモンスピート及びデリエリを包み、インデュラ化した2人の姿が少しずつ戻っていきます。しかしモンスピート及びデリエリはこれに対抗し、両者の力が拮抗した状態が続きます。この隙にリュドシエルは<十戒>の2人を倒そうとしますが、メリオダスがリュドシエルの邪魔をします。リュドシエルはサリエル及びタルミエルに加勢するよう命じますが、2人はエリザベスに加勢し、モンスピート及びデリエリはインデュラ化が解けて元の姿に戻ります。リュドシエルは、意識を失った状態で倒れているモンスピート及びデリエリを殺そうとしますが、これをディアンヌが阻みます。
 孤立したリュドシエルは、遠話でネロバスタに<天界>から援軍を呼ぶよう命じます。ゴウセルに操られていたネロバスタは、リュドシエルからの遠話を受けて正気に戻ります。ネロバスタの前には<十戒>のゴウセル及びメラスキュラがおり、<天界>の門はメラスキュラの術で侵蝕されており、<魔界>の門に変わろうとしていました。
 妖精王の森にある<光の聖痕(スティグマ)>の拠点には、構成員である妖精族、巨人族及び人間達が待機しており、グロキシニアの妹ゲラード及び人間の戦士ロウも含まれています。ネロバスタから<十戒>の2人の侵入が知らされ、この2人を倒すよう<光の聖痕>の人々に命令を下します。<光の聖痕>の人々はネロバスタの元へ向かおうとしますが、ロウ及びその仲間達がこれを阻みます。ロウ達は魔神族に味方する人間であり、ロウは自分達の目的が<光の聖痕>の抹殺だと宣言します。
 拠点での異変を察知したキング及びディアンヌは、メリオダスに後を任せて拠点へと引き返します。しかし、キング及びディアンヌの前にゴウセルが現れます。キング及びディアンヌは、ゴウセルの登場に驚きますが、自分達の知るゴウセルとはどこか違うように思えました。ゴウセルがメラスキュラの仲間であり、<十戒>の1人である事に、キング及びディアンヌは更に驚きます。ゴウセルは、<光の聖痕>の本拠地へ戻ろうとする2人に攻撃を行います。キングはゴウセルの攻撃が精神攻撃であり、ディアンヌの記憶を消したのが三千年後のゴウセルである事をディアンヌに話します。
 その間にも、ロウ達による<光の聖痕>の抹殺は進み、メラスキュラは<魔界>の門を開く作業を続けます。そして門が開いたとき、メラスキュラは自分が開いたのが<魔界>の門ではなく、<魔界>の牢獄の門である事に気付きます。メラスキュラはゴウセルに操られていたようです。門からは、車椅子に乗った1人の男性が現れ、男性は「私がゴウセルだ」と言います。本物のゴウセルは、魔神王に「無欲」の戒禁を与えられた後に幽閉され、自らが作り出した人形のゴウセルを通じて外の世界と接してきました。ゴウセルは、この世に別れを告げると語ります。

<七つの大罪 人形は愛を乞う>
 ゴウセルは、自分が何者であるかも、<十戒>のことも覚えていません。これは、自らの戒禁により記憶も感情も失ってしまったためでした。
 ゴウセルは、どこかの洞窟内のような場所で目覚めます。そこへランタンを手にした少女が現れます。少女はナージャと名乗り、ここがリオネス城の地下だと話します。ナージャはまた来る事をゴウセルに約束して去って行きます。ナージャが地下から城へコッソリ戻ると、弟のバルトラが待ち構えていました。なお、バルトラは現在のリオネス王国の国王であり、エリザベス達の父となる人物です。ナージャは、バルトラが見た夢の通り、城に地下が存在し、そこに不思議な男の子がいたと話します。
 ゴウセルは、自分がいる地下を調べ、この場所が大木と岩とが折り重なって出来た空間である事に気付きます。ゴウセルは、測定により大木が三千年前のもので、妖精王の森だった事に気付き、過去の出来事を思い出します。過去、本物のゴウセルは自分の夢を人形のゴウセルに託して死亡しました。
 過去を思い出してゴウセルが涙を流しているところに、ナージャが再び現れます。ナージャは、自分の宝物の書物をゴウセルのために持ってきました。書物はメルドルという主人公が活躍する冒険物語でした。ゴウセルはこの書物を一瞬で読み終え、自分の髪の毛をメルドルと同じ長い金髪に変えてみせます。驚くナージャに、ゴウセルは自分が魔法使いに作られた人形だと話し、自分の胸を開いて作り物の心臓を見せます。それは、ハート型のアクセサリーのような可愛らしいものでした。ゴウセルは、魔法使いが心の魔法を詰めてくれた魔法の心臓だと話します。ナージャは、気を失って倒れてしまいます。
 ナージャが目を覚ますと、自室のベッドの上におり、バルトラが看病してくれていました。バルトラは、地下の入口付近で倒れているナージャを侍女が発見したと話します。ナージャは、地下の少年が人間ではなかった事、しかし自分が少年に惹かれている事を話します。それを聞いたバルトラは、隠れていた人を呼びます。それはゴウセルでしたが、何故か侍女の服装をしていました。バルトラは、実はゴウセルがナージャを運んできた事、周りの目を誤魔化す為に侍女の姿に変装させた事を話します。ゴウセルは、ナージャに嫌われていない事を知り、ナージャに抱き付いて喜びます。
 その後、ゴウセルはナージャの新しい侍女として、ナージャと共に生活するようになります。ナージャは以前より明るくなり、楽しい毎日を送っていました。バルトラは予知能力があり、ナージャとゴウセルとの出会いを予見していました。バルトラは、姉とずっと一緒にいてあげて下さいとゴウセルに頼みます。
 その後、ナージャの身体は弱っていき、ベッドで過ごす事が増えて行きます。ゴウセルは、ナージャの心拍が日に日に弱っている事を感じ取っていました。ゴウセルは、自分の生みの親である本物のゴウセルが、自分に出来なかった夢を叶えてくれと言い残して死んだ事、よの夢が何なのか分からない事をナージャに話します。ナージャは、その夢は自分の目で見て、耳で聞いて、手で触れる事であり、既にその夢は叶えているとゴウセルに言います。
 ゴウセル及びナージャは愛し合うようになりますが、ナージャの心臓はとうとう止まってしまいます。ゴウセルはナージャを生き返らせようと、自分の胸の中から魔法の心臓を取り出してナージャの胸の上に置きますが、ナージャは生き返りません。そこへ、騒ぎを聞きつけた衛兵達がやってきます。衛兵達は、ゴウセルがナージャを殺害したと勘違いし、ゴウセルを捕らえます。ゴウセルは、王女殺害の大罪人として、火刑に処される事が決まります。ゴウセルは、ナージャの死に心を痛め、心はいらないと考え、自分はただの人形でいいと考えます。

 三千年前の世界に戻ります。キング及びディアンヌの前に立ちふさがる人形のゴウセルの元に、本物のゴウセルがやってきます。ゴウセルは、<光の聖痕>の拠点で人間による反乱が起きている事を話すと共に、自分の目的が自由の身となり聖戦を集結させる事だと話します。キングは<光の聖痕>の拠点へ向かい、ディアンヌはこの場に残ってゴウセルと話しをします。ゴウセルは未来で聖戦は続いているかをディアンヌに問い、三千年前に終わったとディアンヌから聞いて、自分の死は無駄にならないと言います。ゴウセルは、人形のゴウセルにこれからは1人で生きていかなければならないと告げます。本物のゴウセルは、人形のゴウセルへの最初で最後の贈り物として、心の魔法を詰め込んだ心臓を胸の中に入れたと話します。そして本物のゴウセルは、未来に戻ったら、心も記憶も失っている人形のゴウセルの友人になって導いてあげて欲しいとディアンヌに頼みます。この頼みを引き受けたディアンヌに、ゴウセルは感謝の贈り物をします。
 急いで拠点へと戻るキングは、ゲラードを護る事がグロキシニアからの試練だったのかと考えますが、三千年後の世界でゲラードは生きています。そしてキングが拠点へたどり着くと、傷付いたゲラードを小脇に抱えたロウが立っていました。
 少し前。<光の聖痕>の戦士達と、人間のロウ達との戦いは、ロウ達が押していました。ゲラードはロウに戦いを止めるよう説得しようとしますが、ロウは戦い続けます。妖精族の仲間を攻撃しようとしたロウの前にゲラードがたちはだかり、ロウは自分を殺すようゲラードに言いますが、ゲラードは躊躇します。しかし、ロウの仲間の人間が割って入り、ゲラード及びゲラードの仲間を攻撃します。ロウの仲間は傷付いて倒れたゲラードにトドメをさそうとし、ロウは仲間を殺してこれを阻止します。ロウは傷付いたゲラードを抱えて座り込み、ゲラードはロウの心に悲しいと怒りと共に、自分によく似た少女の顔を見たと話します。ロウは、その少女が幼なじみで、<光の聖痕>に殺されたと話します。ロウが幼い頃、ロウの住む村の村人が行き倒れの魔神族を介抱して助けるという出来事がありました。その数日後に<光の聖痕>の戦士達が村に現れ、村人達を皆殺しにしました。ロウを含む数人の村人は狩りに出ていたためこの難を逃れました。生き残った村人達は、<光の聖痕>に対する復讐を決意し、自分達を鍛え上げ続けてきました。しかしロウは、自分達が行った行為は、<光の聖痕>が行った行為と何ら変わらないと気付きました。そこへ、グロキシニア(中身はキング)が戻ってきます。ゲラードは兄に事情を説明しようとしますが、ロウはそれを止めます。怒ったグロキシニアは、ロウ目掛けて槍を放ちます。

<番外編:やさしい魔法の解き方>
 ドルイドの修練窟での修行で幼い子供の姿に戻ったグリアモールについて、父のドレファスはマーリンに元の姿に戻して欲しいと頼みます。
 その頃、子供グリアモールは、王女ベロニカのベッドで眠りにつこうとしていました。ベロニカは、魔神フラウドリンの死を悲しむ子供グリアモールを慰め、おでこにキスをします。
 マーリンは、グリアモールを元に戻す方法をドレファスに教えます。それは、愛する者からの接吻でした。
 城にベロニカの悲鳴が響き渡ります。ベロニカのキスで元の姿に戻ったグリアモールは、着ていた子供の服を引きちぎってしまい、全裸でした。ベロニカの悲鳴に駆け付けた聖騎士ギーラは、王女のベッドの上に全裸で立ち尽くすグリアモールをに対して、ショット・ボムの攻撃を放ちます。

<番外編:キミに伝えたいのは>
 兄のグスタフが魔神族との戦いで死亡し、ジェリコは自分を責めていました。そんなジェリコに、兄と同じ氷の魔力が発現します。ジェリコは、兄を超える聖騎士になることを決意します。

<番外編:<物欲>のホーク>
 ホークは、何か魔法具が欲しいとマーリンにねだります。マーリンは、ホークの身体を人間に変える事ができる「擬人針」を与えます。擬人針でホークは人の様な姿に変わりますが、小太りオッサン体型で顔は豚のままという姿。ホークは、何か違うとこぼします。
 次にホークは、神器が欲しいとマーリンにねだります。マーリンは、魔法具「ヒートホーク」を神器「ダブルホーク」と改めてホークに与えます。ダブルホークは、食事に使うフォークと同様の形状でした。ホークは、試しにダブルホークを聖騎士ハウザーの尻に突き刺してみます。ダブルホークの特性「あたため」により、ハウザーの尻はじんわりとあたためられます。ホークは、何か違うと叫びます。

 以上が、鈴木央さんの「七つの大罪」第26巻の物語です。
 キング&ディアンヌがメインとなる巻かと思っていましたが、予想外にもゴウセルがメインの巻でした。これまで謎が多かったゴウセルの生態(?)がかなり明かされました。この巻の真ん中あたりに挿入された短編「人形は愛を乞う」が、ゴウセルと王女ナージャとの触れ合いを描いた良い作品でした。雑誌連載時はこの短編がどのようなタイミングで発表されたのか分かりませんが、単行本ではまさにこの位置に収録するのがベストの作品でした。巻の真ん中あたりで短編に切り替わったときは、少し驚きましたけどね。この短編での事件が、ゴウセルが<七つの大罪>に加入するきっかけとなるのでしょう。
 本物のゴウセルは、聖戦を終わらせると言っていました。三千年前の聖戦がどのようにして終わったのか、確かにこれまで謎でした。ゴウセルの口ぶりからすると、ゴウセルが犠牲になることで聖戦が終わる、という事のようです。今巻ではそこまで物語が進みませんでしたが、次巻かその次くらいで聖戦の結末が描かれそうな気配です。楽しみです。
 今巻の最後は、再びキング(グロキシニア)に視点が戻りました。ゲラード&ロウの関係はどうなるのでしょう。グロキシニアがロウに対して槍を放つシーンで終わりましたが、この終わり方からすると、逆にロウはこの槍で死なない展開に思えます。三千年後にもゲラードは登場しているので、この段階でゲラードが死ぬことはなさそうですが。
 グロキシニア&ドロールが課したキング&ディアンヌの試練というのも、結局何なのか分かっていません。ゲラード&ロウに関することがキングの試練っぽく感じられますが、よくわかりません。ディアンヌに至っては、特に悩みもなさそうで、試練の要素が見当たりませんが。グロキシニア&ドロールが<十戒>に入った理由も今のところ分かっておらず、この三千年前の聖戦の物語で真相が明かされることを期待します。
 この三千年前の聖戦の物語ですが、まだまだ終わりが見えません。いつまで続くのでしょう。

 

カイ・マイヤー 「七つの封印」 第10巻 「月の妖魔」

 カイ・マイヤーさんの「七つの封印」第10巻「月の妖魔」です。日本では、2004年3月に発売されています。このシリーズのとうとう最終巻です。
 前巻では、死んだといわれていたキラの母親が登場し、しかも母親が外伝の主人公だったデータであることが判明しました。いかにもクライマックスが近付いていることを感じさせる内容でした。
 そしてとうとう最終巻の第10巻です。どんな結末が待っているのでしょうか…。
 それでは以下、カイ・マイヤーさんの「七つの封印」第10巻「月の妖魔」のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 ギーベルシュタインの街は、数メートル先も見えないほどの濃い霧に包まれていました。ギーベルシュタインの北側にある線路の土手に、何か大きなものが姿を現します。
 キラは、市役所の地下書庫にこもって魔女などに関する書物を読み漁っています。キラには、前回の物語で母親と共に異世界へ行った影響で、影がなくなるという現象が起こっていました。ニールスは水ぼうそうにかかって部屋で寝込んでいます。リーザは、恋人のトビーと喧嘩して別れ、自宅でもあるエルカーホーフ・ホテルの玄関先にいました。そこへ、自転車に乗ったクリスがやってきます。クリスは、街中でばらまかれている一枚のビラをリーザに見せます。それには「影絵ショー またとない、すばらしいショーをお見のがしなく!本日、真夜中の月の右側で」と書かれていました。クリスは、謎だらけのこのビラについて調べに行こうとリーザを誘います。
 リーザは、影絵ショーの場所がギーベルシュタインの北側にある草原の何処かではないかと推測します。リーザ及びクリスは自転車に乗ってギーベルシュタインの街の北側へと向かいます。線路の土手にやって来た2人は、廃線になった線路の上に貨車が止まっているのを発見します。2人が貨車に近付いてみると、貨車を引く機関車のようなものはなく、貨車の表面は生き物の皮膚のような手触りです。ただし、2人の腕に七つの封印は浮かび上がってはいません。それ以上は特に情報を得ることは出来ず、2人はギーベルシュタインの街へ戻ります。
 街へ戻った2人は、キラの家でもあるカサンドラおばさんのティーショップのショーウィンドウに貼られたビラを発見します。それには「影絵ショー 時は、本日の真夜中!場所は、きみらがご存じのとおり」と書かれています。カサンドラおばさんは、このビラを誰が貼ったのか知りませんでした。
 2人は、キラがいる市役所の書庫へやってきます。クリスは、書庫を管理するフレック氏に現状を説明し、関係する資料を探すことを頼みます。2人はキラにもこれまでの事を話します。しばらくすると、フレック氏がやってきて、地図を広げます。北の廃線路は、元は森の中にある天文台まで通じていましたが、脱線事故が起こって廃線となったようでした。天文台は古代遺跡の上に建てられ、現在はカールフンケル博士が率いるチームが天文台の職員となっているはずでした。フレック氏の話しを聞いたキラは、影絵ショーを調べる事を決め、早速出発しようとします。しかし沢山の書物を抱えて階段を上ろうとしたキラは、バランスを崩して階段から落ち、足を捻挫して歩けなくなってしまいます。キラは車で迎えにきたカサンドラおばさんに連れられて自宅へ戻ります。リーザ及びクリスは、2人で影絵ショーへ行く事を決めます。
 影絵ショーが行われるであろう街の北へ向かったリーザ及びクリスは、他にも影絵ショーを見に行こうとしている若者達に出会います。若者達は、「影絵ショー 星からのテロ 真夜中の砂利野原にて」と書かれたビラを持っていました。砂利野原に着くと、そこには沢山の観客が集まっています。会場には例の貨車が置かれ、全身真っ黒の9人が会場の要所要所に配置されています。9人の黒い人物達は、観客に黒い風船を配り始め、リーザ及びクリスも黒い風船を1つずつ受け取ります。黒い風船は、空中で微妙に動いているように感じられ、どんなに引いても空中から降りてきません。
 そしてショーが始まり、燕尾服を着た人物、カールフンケル博士が登場します。カールフンケル博士は、観客達に風船を手放すよう言い、風船は観客達の手から離れて空へ上り、ギーベルシュタインの街の方へと流されて行きます。カールフンケル博士は、観客達に列車の中へ入るように言い、最初の観客としてリーザ及びクリスを指名します。
 捻挫したキラは、自室のベッドに寝かされていましたが、リーザ及びクリスの事が心配で眠れずにいました。キラの部屋の天窓で物音がし、キラが見上げると、そこにはヒトデのような生物が張り付いていました。このヒトデ生物は、ギーベルシュタインの街の上空を漂っていた黒い風船が変化したものでした。ヒトデ生物は天窓のガラスを割って部屋内へ侵入し、キラに襲いかかろうとしますが、キラを感知する事が出来ずにいました。ヒトデ生物は、人や物の影を感知しているようで、影を持たなくなったキラを感知出来ないようです。捻挫で歩けないキラは床を這って階下へ向かい、ニールスに電話をかけます。水ぼうそうから回復してきていたニールスはキラの電話を受け、キラはヒトデ生物についてニールスに教えます。電話をしている間に、ニールスの部屋の窓にもヒトデ生物が現れ、電話は切れます。キラは、カサンドラおばさんの部屋へ向かいます。
 キラからの電話を切ったニールスは、影を消すために部屋の灯りを消しますが、部屋の外からの街灯などの光があるため、影を完全に消す事は出来ません。ニールスは部屋の外へ逃げ、ヒトデ生物は窓ガラスを割って部屋に侵入します。ニールスの家はホテルでもあり、センサがニールスを感知して廊下の灯りが一斉に点灯します。これにより出来たニールスの影を感知し、ヒトデ生物はニールスを追ってきます。ニールスは近くの部屋へ逃げ込んでクローゼットの中に隠れますが、廊下からの光がクローゼットの隙間から入ってニールスの影を作っていました。この影を追ってヒトデ生物が部屋の中に入ってきますが、ニールスが廊下からいなくなった事で廊下の灯りがタイマーで消灯されて真っ暗になり、ニールスの影を感知出来なくなったヒトデ生物は去って行きます。
 キラがカサンドラおばさんの部屋へ行くと、ベッドで寝ているカサンドラおばさんの顔にヒトデ生物が張り付いていました。ヒトデ生物からは細い光が立ち上がり、窓の外へと延びています。ヒトデ生物は、カサンドラおばさんの生命エネルギーをどこかへ、恐らくは影絵ショーの会場へと送っているようです。
 リーザ及びクリスは、カールフンケル博士に指名され、黒い人物達によって無理矢理に舞台へ上げられます。カールフンケル博士は、月の支配者が現れて自分の中に入り、自分は月の支配者に生まれ変わったと話します。黒い貨車にはいつの間にか大きな口が開いており、ギーベルシュタインの街から貨車へ光の束が延びていました。カールフンケル博士はリーザ及びクリスを貨車の口へと放り込みます。
 リーザ及びクリスは月の表面に立っていました。近くには火口のようなものがあり、その中へ光の束はのみこまれています。2人は火口の中を覗き込みます。火口の中は、ギーベルシュタインの街の人々の顔で埋め尽くされていました。ヒトデ生物に生命エネルギーを奪われている人々の顔が火口の中に映し出されているようです。そして火口の中から巨大な人型の影が立ち上がります。ギーベルシュタインの人々の生命エネルギーを得て月男が蘇ろうとしているようです。リーザ達の背後では、影絵ショーの他の観客達も月面に送られ、戸惑っていました。月男は、黒い触手をリーザ達の方へと延ばしてきます。リーザは、ギーベルシュタインから月男へ送られているエネルギーを絶てば月男の復活を阻止出来ると考えます。ギーベルシュタインから月男へエネルギーを送っている光の束は、リーザ達の頭上2メートルくらいの場所を通っています。リーザは、クリスに肩車してもらい、自分の体で光の束を絶つ事を提案します。クリスは反対しますが、リーザがクリスを肩車する事は無理でした。リーザ及びクリスは覚悟を決め、キスした後、クリスがリーザを肩車して持ち上げ、リーザは光の束を体で遮ります。
 リーザは気が付くと元の土手に寝ていました。リーザの周りには、クリス、キラ、ニールス及びカサンドラおばさんがいました。黒い貨車、カールフンケル博士及び黒い人物達の姿はなく、黒いコールタールのようなドロドロしたものが残っているだけでした。観客達も無事のようです。月には茨男の模様が戻っていました。クリスは、目を覚ましたリーザにキスをします。

 以上が、カイ・マイヤーさんの「七つの封印」第10巻「月の妖魔」の物語です。
 ・・・。最終巻ではありますが、完結巻ではありませんでした。調べてみましたが、この続きが出た様子も、出る予定も無さそうです。つまりは、打ち切られたという事なのでしょう。日本でどうなのか分かりませんが、本国ドイツで人気が出なかったのかな。いつの日か、この続編が世に出る事を期待します。ただ、この物語をしっかりと完結させようと思うと、どう考えても1、2冊では収まりそうになく、完結は難しそうです。作者の力量を越えた風呂敷を広げ過ぎたように思えます。せっかくの山田章博さんの挿絵がもったいなさすぎですね。まぁ、この挿絵は日本版のみだと思いますが。
 今巻の物語では、一応ですが、キラ、リーザ及びクリスの三角関係には決着がついたようです。最終巻らしい部分はこのくらいでしょうか。その他は何も解決しませんでした。
 最終巻ということは置いておいて、この巻の物語だけを見ると、前巻でキラを活躍させすぎた反動か、今巻はキラの出番がほとんどなく、リーザ及びクリスが主人公の物語になっており、いつもとは違う雰囲気がありました。黒い貨車、黒い風船から生まれたヒトデ生物、カールフンケル博士、月男の復活など、見所も多く、物語単体として面白かったです。ただ、結末があまりにも呆気なさすぎでした。光の束を遮ったくらいで敵が全滅は弱過ぎでは。何故にそんな弱点が丸出しになっているのか・・・。ここへ来るまでの物語が非常に面白かっただけに、残念でした。どうもこの作者は、風呂敷を広げるのは得意ですが、畳む事が出来ない人のようです。


林譲治 「ZEONIC FRONT 機動戦士ガンダム0079」 第2巻

 林譲治さんの小説「ZEONIC FRONT 機動戦士ガンダム0079」第2巻です。全2冊なので、これで完結です。
 第1巻では、ジオン軍の第二次地球降下作戦からオデッサの戦いまで、ジオン軍の「闇夜のフェンリル隊」の活躍が描かれています。時代的に連邦軍がモビルスーツを戦線に投入する以前の物語だったので、ややザク無双な展開でした。しかし、ここからは連邦軍のモビルスーツも敵として登場するはずですし、ラスボスとしてはガンダム6号機が登場するはずで、激戦化が予想されます。
  それでは以下、林譲治さんの「ZEONIC FRONT 機動戦士ガンダム0079」第2巻のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 オデッサでの戦いは連邦軍が優勢で、司令官であるマ・クベ大佐は宇宙へと脱出してしまいました。マ・クベ大佐はオデッサに残された兵士達に何の指示も残さずに逃げてしまったため、オデッサのジオン軍は混乱に陥っていました。ゲラート少佐を含む各部隊の指揮官が話し合って臨時の司令官を決めて連邦軍との戦闘を継続しますが、ジオン軍の敗色は濃厚でした。ゲラート少佐達は、オデッサからの撤退を決定し、黒海にいるユーコン級潜水艦を利用する事になります。フェンリル隊は、友軍が撤退する際に通るドニエプル川の橋を連邦軍の攻撃から死守する任務を行う事になります。
 エイガー少尉は、敵の「闇夜のフェンリル隊」とオデッサでの再戦を望みますが、ジャブローへの移動命令が与えられます。
 フェンリル隊は、撤退するジオン軍の最後尾で連邦軍との戦闘を行っていました。敵は戦車部隊ですが、その数は膨大です。フェンリル隊は、地雷などを利用して、少しでも長く撤退の時間を稼ぎます。友軍がドニエプル川の橋を渡り終え、最後にフェンリル隊が橋を渡ろうとしたとき、連邦軍の爆撃機が現れて橋を破壊します。フェンリル隊のモビルスーツは汎用機ですが水中で活動する事は出来ないため、橋を破壊されてパイロット達はモビルスーツを捨てる覚悟をします。しかし、ユーコン級潜水艦が直接迎えに現れ、フェンリル隊はモビルスーツと共にオデッサから撤退する事ができました。
 オデッサから撤退したフェンリル隊に、2人の女性パイロットが加入します。ソフィ・フラン少尉及びサンドラ少尉です。2人はオデッサの生き残りで、元の所属部隊は既になかったため、フェンリル隊に編入されました。フェンリル隊を乗せた潜水艦は、以前にフェンリル隊が占領した北米キャリフォルニアベースの潜水艦基地へ戻って来ます。ジオン軍は連邦軍の本拠地であるジャブローの攻撃を計画しており、フェンリル隊もジャブロー攻撃の作戦に参加する事になります。フェンリル隊は本隊の総攻撃に先駆けて、ジャブローの地下基地への入口を探索する任務が与えられます。
 フェンリル隊はユーコン級潜水艦でジャブローへ向かい、9機のモビルスーツを3機一組に分けて探索を開始します。ジャブローには連邦軍のモビルスーツが配備されており、ニッキ少尉、シャルロッテ少尉及びスワガー曹長はパトロール中の2機の連邦軍モビルスーツに遭遇します。連邦軍のモビルスーツはザクと同等かそれ以上の性能を有していそうでしたが、パイロットの腕は未熟で、ニッキ少尉達は2機の連邦軍モビルスーツを撃破します。ル・ローア少尉、マット軍曹及びレンチェフ少尉達もパトロール中の2機の連邦軍モビルスーツに遭遇しますが、これはレンチェフ少尉が1人手倒してしまいます。
 ジャブローでガンダム6号機の開発を行っていたエイガー少尉に、パトロール中のジムがジオン軍のモビルスーツに撃破された事が知らされます。エイガー少尉は、連邦軍のモビルスーツパイロットの技量が低い事を痛感します。
 キャリフォルニアベースに、ジャブロー攻撃のためのモビルスーツやガウ攻撃空母等が集まっていました。しかしその数は想定より少なく、ジオン軍の内情が苦しい事を物語っていました。フェンリル隊の前回の任務でジャブローへの入口はいくつか判明していましたが、司令部の位置は掴めていませんでした。ただし司令部の位置に関していくつかの候補は挙がっており、フェンリル隊はそれらの候補地の1つを攻撃する任務が与えられます。そしてジャブロー攻撃作戦が始まり、フェンリル隊はガウ攻撃空母でジャブローへ向かいます。ニッキ少尉、シャルロッテ少尉及びスワガー曹長の3機のザクは、ガウ攻撃空母から降下して、発見していたジャブローの入口の1つから内部へと侵入します。
 エイガー少尉達はジャブローの地下研究施設でガンダム6号機の開発を行ってきましたが、ジオン軍によるジャブロー攻撃が開始された時点で未完成の状態でした。そして近くの入口から3機のザクが侵入し、研究施設へ近付いています。研究施設には6機のジムがありましたが、既に2機はザクに倒されています。エイガー少尉は、未完成状態のガンダム6号機で出撃する事を決意します。
 ジャブロー内部へ侵入したニッキ少尉達は、合計6機のジムを倒し、宇宙船ドックに出ます。宇宙船ドックには木馬と同型の新鋭艦もありましたが、まだ稼働してはいないようでした。ニッキ少尉達はこの戦艦を破壊しようと攻撃を行います。そこへ、二門の巨砲を搭載した連邦軍の新型モビルスーツ、ガンダム6号機が現れます。重量級モビルスーツのガンダム6号機は、大出力のパワーユニットが搭載されていましたが、その冷却機構が未完成という問題を抱えていました。ニッキ少尉達は3機のザク無双でガンダム6号機に対します。ザクの武器では重装甲のガンダム6号機にダメージを与える事は難しいですが、ベテランパイロットの域に達しているニッキ少尉達のザクをガンダム6号機が倒す事も容易ではありません。ニッキ少尉達の攻撃で炎上した木馬型新鋭艦の熱でガンダム6号機はオーバーヒートして動きを止めます。しかしザクの武装も尽き、ちょうどゲラート少佐からの撤退命令も出た事から、ニッキ少尉達はガンダム6号機にトドメをさす事が出来ずに撤退します。
 ジオン軍によるジャブロー攻撃作戦は失敗に終わりました。キャリフォルニアベースへ戻った闇夜のフェンリル隊は、連邦軍によるキャリフォルニアベース攻撃に備えて、メキシコ湾岸の索敵任務が与えられます。フェンリル隊は、丘陵地帯の盆地にミノフスキー粒子を大量に散布して隠れている連邦軍の部隊を発見します。海を渡ってやってくる連邦軍の本隊が上陸する際に、ジオン軍の基地への攻撃を行うための部隊と推測されました。フェンリル隊は、連邦軍の上陸作戦が始まるギリギリまで待ち、上陸作戦が始まる寸前にこの部隊を攻撃して倒します。ジオン軍の基地は、上陸しようとしている連邦軍へのミサイル攻撃を行います。
 ジオン軍のミサイル攻撃で連邦軍の上陸部隊の第1次船団は大きな被害を受け、上陸のスケジュールに大幅の遅れが発生します。エイガー少尉及びガンダム6号機は、第2次船団に含まれており、被害はありませんでしたが、海上で長時間にわたって待機させられる羽目になります。
 連邦軍の総攻撃を前に、キャリフォルニアベースのジオン軍ではHLVによる脱出が進められていました。闇夜のフェンリル隊は、HLVによる脱出が完了する最後まで基地の防衛にあたる事になります。しかしそれは、自分達は脱出出来なくなる可能性が高い任務でした。ゲラート少佐は、フェンリル隊のパイロット及び整備士達から志願者を募り、志願者のみでこの作戦を実行する事にしますが、全員が志願します。キャリフォルニアベースからの脱出はHLVによるものの他に、潜水艦でのアフリカ又はオーストラリア等への脱出も行われていましたが、HLVに乗る事が出来なかった兵士達の中には早々に連邦軍へ投降する者もおり、ジオン軍の士気は下がる一方でした。その中で、自ら残る事を志願したフェンリル隊の士気は高く、キャリフォルニアベースに残された人々の頼みの綱となっていました。フェンリル隊は、直接的なHLVの護衛は他の部隊に任せ、キャリフォルニアベースのHLV発射基地の周辺を攻撃する連邦軍部隊の司令部のビッグトレーを破壊してHLV打ち上げの時間を稼ぐことになります。全てのHLVの打ち上げ完了後、フェンリル隊は、ユーコン級潜水艦が待つ軍港へ向かい、潜水艦でキャリフォルニアベースから脱出する予定になっていました。
 作戦が開始され、フェンリル隊の9機のモビルスーツは、ビッグトレー及び護衛の5機のジムを破壊する事に成功し、撤退の準備にかかります。そこへ、パトロール中の2機のジムが現れ、レンチェフ少尉がこれを倒そうとしたとき、どこからかの攻撃でレンチェフ少尉のグフが破壊されます。ただしグフのコクピットまでは破壊されておらず、レンチェフ少尉は破壊されたグフから脱出します。2機のジムは、ル・ローア少尉のザクが破壊します。
 少し前。エイガー少尉は、フェンリル隊の目撃情報を得ます。更に司令部との通信が出来なくなった事から、フェンリル隊が司令部を破壊したものと推測されました。エイガー少尉は、整備が終わったガンダム6号機で出撃し、フェンリル隊との決戦上へ向かいました。
 グフを倒した連邦軍のモビルスーツは、ガンダム6号機でした。ニッキ少尉は、ジャブローでのガンダム6号機との戦いの経験を仲間達に伝えます。フェンリル隊の8機のモビルスーツ対ガンダム6号機の戦いが始まります。ニッキ少尉、ル・ローア少尉及びマット軍曹の3人は、連係攻撃でガンダム6号機の足下の崖を崩し、転倒したガンダム6号機を攻撃しますが、僅かにダメージを与えた程度で反撃を受け、ル・ローア少尉及びマット軍曹のザクが破壊されます。幸いに、2人はザクから無事に脱出する事ができました。
 ガンダム6号機との戦闘の様子をモニタしていたゲラート少佐は、整備班が所有する旧ザクで自分が出撃する決意をします。整備班のミガキ班長は、以前に戦車部隊の砲撃で破壊された旧ザクを修理し、更には戦闘可能なようカスタマイズしていました。
 ガンダム6号機は、ニッキ少尉のザクを追撃していましたが、どこからかの攻撃を受けて右肩の火砲が破壊されます。新たに現れた旧ザクの肩に固定されたバズーカの攻撃でした。ガンダム6号機は接近する旧ザクに対してビームサーベルで攻撃しようとします。しかし旧ザクは煙幕弾で周辺に煙幕を張り、姿を隠します。旧ザクにはミガキ班長が高性能な音響センサを搭載させており、ゲラート少佐は煙幕の中でガンダム6号機のおよその位置を把握する事ができました。ゲラート少佐は、ガンダム6号機を旧ザクに接近するようおびき寄せ、バズーカの全弾をガンダム6号機へ打ち込んでパワーユニットを破壊します。その後、HLVの打ち上げが完了し、フェンリル隊は戦場から撤退して潜水艦が待つドッグへ向かいます。ドッグでは潜水艦がフェンリル隊の到着を待っていました。フェンリル隊は、3機のモビルスーツを破壊し、潜水艦に搭載可能な3機のモビルスーツと共に潜水艦へ乗り込み、キャリフォルニアベースから脱出します。
 その後、闇夜のフェンリル隊は、北アフリカのリビア砂漠に現れます。エイガー少尉は、フェンリル隊を追って北アフリカへ向かいます。エイガー少尉が北アフリカへ到着したときには、ア・バオア・クーを落とされたジオン軍が降伏して一年戦争が集結していました。北アフリカの連邦軍は、フェンリル隊を含むジオン軍の兵士達の拠点を突き止めており、戦争が終わった事を告げて投降を呼びかけましたが、兵士達はこれを信用せず、抗戦の構えを解きません。エイガー少尉は、戦争終結を告げる軍使として、非武装のヘリに乗ってフェンリル隊の元へ向かいます。

 以上が、林譲治さんの小説「ZEONIC FRONT 機動戦士ガンダム0079」の物語です。
 第1巻はモビルスーツを持たない連邦軍との戦いばかりでザク無双な展開でしたが、第2巻は連邦軍のモビルスーツが敵として登場し、戦闘の緊迫感が増しています。特にガンダム6号機はザクよりも圧倒的に性能が高いため、強大な敵となっています。とは言っても、モビルスーツの操縦技術や運用技術の差で、敵がジムであるばフェンリル隊が圧倒的に強い状況には変わりなく、ガンダム6号機も期待したほどの凶悪なボスキャラを演じてはくれませんでしたが。
 ガンダム6号機のパイロットであるエイガー少尉は、物語の中では優秀な人材として連邦軍内で扱われていましたが、本当に優秀なのか疑問な人物でした。初戦で旧ザクを戦車部隊で撃破した功績は認めるとしても、その後はフェンリル隊に負け続けています。何だか、優秀なはずの赤い彗星シャアが木馬に負け続ける、エリート部隊ティターンズのジェリドがアーガマに負け続ける、というような敵キャラの宿命を背負わされた不憫なキャラでした。
 林譲治さんのガンダム作品を2つ読み終えましたが、共通しているのは、死人が出ないことでしょうか。ホワイト・ディンゴ隊も闇夜のフェンリル隊も、誰一人欠ける事なく終戦を迎えています。フェンリル隊は9人もパイロットがいて全員が生き残っており、ガンダム作品としては驚異の生存率ではないでしょうか。レンチェフ少尉なんか、いかにも死にそうなキャラだったのですが。通常のガンダム作品だったら、ジャブローでの未完成版ガンダム6号機との戦いで1人くらい死亡し、完成版ガンダム6号機との戦いで2~3人死亡してもおかしくはないと思います。林譲治さんが死人を出すのが嫌いなのか、ゲームとの絡みで上からの要望があったのか。
 また2つの作品に共通しているのは、敵味方のキャラクタが登場し、戦いを繰り返した後に、敵味方の枠を超えて仲間意識を持つに至るという点。この点については、あまり共感できない部分です。スポーツ作品なら違和感ないのですが、あくまで戦争を扱う作品なわけで、仲間や部下達を失いながら、こんなにお互いが理解し合えるでしょうか?これこそが、ニュータイプの理解し合う能力な気もします。
 林譲治さんはガンダム以外に多くの戦記物の作品を執筆されているようですが、本当は争うことが嫌いな優しい方なのかもしれません。林譲治さんのガンダム作品はまだいくつか残っているので、読破したいと思っています。