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林譲治 「ZEONIC FRONT 機動戦士ガンダム0079」 第2巻

 林譲治さんの小説「ZEONIC FRONT 機動戦士ガンダム0079」第2巻です。全2冊なので、これで完結です。
 第1巻では、ジオン軍の第二次地球降下作戦からオデッサの戦いまで、ジオン軍の「闇夜のフェンリル隊」の活躍が描かれています。時代的に連邦軍がモビルスーツを戦線に投入する以前の物語だったので、ややザク無双な展開でした。しかし、ここからは連邦軍のモビルスーツも敵として登場するはずですし、ラスボスとしてはガンダム6号機が登場するはずで、激戦化が予想されます。
  それでは以下、林譲治さんの「ZEONIC FRONT 機動戦士ガンダム0079」第2巻のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 オデッサでの戦いは連邦軍が優勢で、司令官であるマ・クベ大佐は宇宙へと脱出してしまいました。マ・クベ大佐はオデッサに残された兵士達に何の指示も残さずに逃げてしまったため、オデッサのジオン軍は混乱に陥っていました。ゲラート少佐を含む各部隊の指揮官が話し合って臨時の司令官を決めて連邦軍との戦闘を継続しますが、ジオン軍の敗色は濃厚でした。ゲラート少佐達は、オデッサからの撤退を決定し、黒海にいるユーコン級潜水艦を利用する事になります。フェンリル隊は、友軍が撤退する際に通るドニエプル川の橋を連邦軍の攻撃から死守する任務を行う事になります。
 エイガー少尉は、敵の「闇夜のフェンリル隊」とオデッサでの再戦を望みますが、ジャブローへの移動命令が与えられます。
 フェンリル隊は、撤退するジオン軍の最後尾で連邦軍との戦闘を行っていました。敵は戦車部隊ですが、その数は膨大です。フェンリル隊は、地雷などを利用して、少しでも長く撤退の時間を稼ぎます。友軍がドニエプル川の橋を渡り終え、最後にフェンリル隊が橋を渡ろうとしたとき、連邦軍の爆撃機が現れて橋を破壊します。フェンリル隊のモビルスーツは汎用機ですが水中で活動する事は出来ないため、橋を破壊されてパイロット達はモビルスーツを捨てる覚悟をします。しかし、ユーコン級潜水艦が直接迎えに現れ、フェンリル隊はモビルスーツと共にオデッサから撤退する事ができました。
 オデッサから撤退したフェンリル隊に、2人の女性パイロットが加入します。ソフィ・フラン少尉及びサンドラ少尉です。2人はオデッサの生き残りで、元の所属部隊は既になかったため、フェンリル隊に編入されました。フェンリル隊を乗せた潜水艦は、以前にフェンリル隊が占領した北米キャリフォルニアベースの潜水艦基地へ戻って来ます。ジオン軍は連邦軍の本拠地であるジャブローの攻撃を計画しており、フェンリル隊もジャブロー攻撃の作戦に参加する事になります。フェンリル隊は本隊の総攻撃に先駆けて、ジャブローの地下基地への入口を探索する任務が与えられます。
 フェンリル隊はユーコン級潜水艦でジャブローへ向かい、9機のモビルスーツを3機一組に分けて探索を開始します。ジャブローには連邦軍のモビルスーツが配備されており、ニッキ少尉、シャルロッテ少尉及びスワガー曹長はパトロール中の2機の連邦軍モビルスーツに遭遇します。連邦軍のモビルスーツはザクと同等かそれ以上の性能を有していそうでしたが、パイロットの腕は未熟で、ニッキ少尉達は2機の連邦軍モビルスーツを撃破します。ル・ローア少尉、マット軍曹及びレンチェフ少尉達もパトロール中の2機の連邦軍モビルスーツに遭遇しますが、これはレンチェフ少尉が1人手倒してしまいます。
 ジャブローでガンダム6号機の開発を行っていたエイガー少尉に、パトロール中のジムがジオン軍のモビルスーツに撃破された事が知らされます。エイガー少尉は、連邦軍のモビルスーツパイロットの技量が低い事を痛感します。
 キャリフォルニアベースに、ジャブロー攻撃のためのモビルスーツやガウ攻撃空母等が集まっていました。しかしその数は想定より少なく、ジオン軍の内情が苦しい事を物語っていました。フェンリル隊の前回の任務でジャブローへの入口はいくつか判明していましたが、司令部の位置は掴めていませんでした。ただし司令部の位置に関していくつかの候補は挙がっており、フェンリル隊はそれらの候補地の1つを攻撃する任務が与えられます。そしてジャブロー攻撃作戦が始まり、フェンリル隊はガウ攻撃空母でジャブローへ向かいます。ニッキ少尉、シャルロッテ少尉及びスワガー曹長の3機のザクは、ガウ攻撃空母から降下して、発見していたジャブローの入口の1つから内部へと侵入します。
 エイガー少尉達はジャブローの地下研究施設でガンダム6号機の開発を行ってきましたが、ジオン軍によるジャブロー攻撃が開始された時点で未完成の状態でした。そして近くの入口から3機のザクが侵入し、研究施設へ近付いています。研究施設には6機のジムがありましたが、既に2機はザクに倒されています。エイガー少尉は、未完成状態のガンダム6号機で出撃する事を決意します。
 ジャブロー内部へ侵入したニッキ少尉達は、合計6機のジムを倒し、宇宙船ドックに出ます。宇宙船ドックには木馬と同型の新鋭艦もありましたが、まだ稼働してはいないようでした。ニッキ少尉達はこの戦艦を破壊しようと攻撃を行います。そこへ、二門の巨砲を搭載した連邦軍の新型モビルスーツ、ガンダム6号機が現れます。重量級モビルスーツのガンダム6号機は、大出力のパワーユニットが搭載されていましたが、その冷却機構が未完成という問題を抱えていました。ニッキ少尉達は3機のザク無双でガンダム6号機に対します。ザクの武器では重装甲のガンダム6号機にダメージを与える事は難しいですが、ベテランパイロットの域に達しているニッキ少尉達のザクをガンダム6号機が倒す事も容易ではありません。ニッキ少尉達の攻撃で炎上した木馬型新鋭艦の熱でガンダム6号機はオーバーヒートして動きを止めます。しかしザクの武装も尽き、ちょうどゲラート少佐からの撤退命令も出た事から、ニッキ少尉達はガンダム6号機にトドメをさす事が出来ずに撤退します。
 ジオン軍によるジャブロー攻撃作戦は失敗に終わりました。キャリフォルニアベースへ戻った闇夜のフェンリル隊は、連邦軍によるキャリフォルニアベース攻撃に備えて、メキシコ湾岸の索敵任務が与えられます。フェンリル隊は、丘陵地帯の盆地にミノフスキー粒子を大量に散布して隠れている連邦軍の部隊を発見します。海を渡ってやってくる連邦軍の本隊が上陸する際に、ジオン軍の基地への攻撃を行うための部隊と推測されました。フェンリル隊は、連邦軍の上陸作戦が始まるギリギリまで待ち、上陸作戦が始まる寸前にこの部隊を攻撃して倒します。ジオン軍の基地は、上陸しようとしている連邦軍へのミサイル攻撃を行います。
 ジオン軍のミサイル攻撃で連邦軍の上陸部隊の第1次船団は大きな被害を受け、上陸のスケジュールに大幅の遅れが発生します。エイガー少尉及びガンダム6号機は、第2次船団に含まれており、被害はありませんでしたが、海上で長時間にわたって待機させられる羽目になります。
 連邦軍の総攻撃を前に、キャリフォルニアベースのジオン軍ではHLVによる脱出が進められていました。闇夜のフェンリル隊は、HLVによる脱出が完了する最後まで基地の防衛にあたる事になります。しかしそれは、自分達は脱出出来なくなる可能性が高い任務でした。ゲラート少佐は、フェンリル隊のパイロット及び整備士達から志願者を募り、志願者のみでこの作戦を実行する事にしますが、全員が志願します。キャリフォルニアベースからの脱出はHLVによるものの他に、潜水艦でのアフリカ又はオーストラリア等への脱出も行われていましたが、HLVに乗る事が出来なかった兵士達の中には早々に連邦軍へ投降する者もおり、ジオン軍の士気は下がる一方でした。その中で、自ら残る事を志願したフェンリル隊の士気は高く、キャリフォルニアベースに残された人々の頼みの綱となっていました。フェンリル隊は、直接的なHLVの護衛は他の部隊に任せ、キャリフォルニアベースのHLV発射基地の周辺を攻撃する連邦軍部隊の司令部のビッグトレーを破壊してHLV打ち上げの時間を稼ぐことになります。全てのHLVの打ち上げ完了後、フェンリル隊は、ユーコン級潜水艦が待つ軍港へ向かい、潜水艦でキャリフォルニアベースから脱出する予定になっていました。
 作戦が開始され、フェンリル隊の9機のモビルスーツは、ビッグトレー及び護衛の5機のジムを破壊する事に成功し、撤退の準備にかかります。そこへ、パトロール中の2機のジムが現れ、レンチェフ少尉がこれを倒そうとしたとき、どこからかの攻撃でレンチェフ少尉のグフが破壊されます。ただしグフのコクピットまでは破壊されておらず、レンチェフ少尉は破壊されたグフから脱出します。2機のジムは、ル・ローア少尉のザクが破壊します。
 少し前。エイガー少尉は、フェンリル隊の目撃情報を得ます。更に司令部との通信が出来なくなった事から、フェンリル隊が司令部を破壊したものと推測されました。エイガー少尉は、整備が終わったガンダム6号機で出撃し、フェンリル隊との決戦上へ向かいました。
 グフを倒した連邦軍のモビルスーツは、ガンダム6号機でした。ニッキ少尉は、ジャブローでのガンダム6号機との戦いの経験を仲間達に伝えます。フェンリル隊の8機のモビルスーツ対ガンダム6号機の戦いが始まります。ニッキ少尉、ル・ローア少尉及びマット軍曹の3人は、連係攻撃でガンダム6号機の足下の崖を崩し、転倒したガンダム6号機を攻撃しますが、僅かにダメージを与えた程度で反撃を受け、ル・ローア少尉及びマット軍曹のザクが破壊されます。幸いに、2人はザクから無事に脱出する事ができました。
 ガンダム6号機との戦闘の様子をモニタしていたゲラート少佐は、整備班が所有する旧ザクで自分が出撃する決意をします。整備班のミガキ班長は、以前に戦車部隊の砲撃で破壊された旧ザクを修理し、更には戦闘可能なようカスタマイズしていました。
 ガンダム6号機は、ニッキ少尉のザクを追撃していましたが、どこからかの攻撃を受けて右肩の火砲が破壊されます。新たに現れた旧ザクの肩に固定されたバズーカの攻撃でした。ガンダム6号機は接近する旧ザクに対してビームサーベルで攻撃しようとします。しかし旧ザクは煙幕弾で周辺に煙幕を張り、姿を隠します。旧ザクにはミガキ班長が高性能な音響センサを搭載させており、ゲラート少佐は煙幕の中でガンダム6号機のおよその位置を把握する事ができました。ゲラート少佐は、ガンダム6号機を旧ザクに接近するようおびき寄せ、バズーカの全弾をガンダム6号機へ打ち込んでパワーユニットを破壊します。その後、HLVの打ち上げが完了し、フェンリル隊は戦場から撤退して潜水艦が待つドッグへ向かいます。ドッグでは潜水艦がフェンリル隊の到着を待っていました。フェンリル隊は、3機のモビルスーツを破壊し、潜水艦に搭載可能な3機のモビルスーツと共に潜水艦へ乗り込み、キャリフォルニアベースから脱出します。
 その後、闇夜のフェンリル隊は、北アフリカのリビア砂漠に現れます。エイガー少尉は、フェンリル隊を追って北アフリカへ向かいます。エイガー少尉が北アフリカへ到着したときには、ア・バオア・クーを落とされたジオン軍が降伏して一年戦争が集結していました。北アフリカの連邦軍は、フェンリル隊を含むジオン軍の兵士達の拠点を突き止めており、戦争が終わった事を告げて投降を呼びかけましたが、兵士達はこれを信用せず、抗戦の構えを解きません。エイガー少尉は、戦争終結を告げる軍使として、非武装のヘリに乗ってフェンリル隊の元へ向かいます。

 以上が、林譲治さんの小説「ZEONIC FRONT 機動戦士ガンダム0079」の物語です。
 第1巻はモビルスーツを持たない連邦軍との戦いばかりでザク無双な展開でしたが、第2巻は連邦軍のモビルスーツが敵として登場し、戦闘の緊迫感が増しています。特にガンダム6号機はザクよりも圧倒的に性能が高いため、強大な敵となっています。とは言っても、モビルスーツの操縦技術や運用技術の差で、敵がジムであるばフェンリル隊が圧倒的に強い状況には変わりなく、ガンダム6号機も期待したほどの凶悪なボスキャラを演じてはくれませんでしたが。
 ガンダム6号機のパイロットであるエイガー少尉は、物語の中では優秀な人材として連邦軍内で扱われていましたが、本当に優秀なのか疑問な人物でした。初戦で旧ザクを戦車部隊で撃破した功績は認めるとしても、その後はフェンリル隊に負け続けています。何だか、優秀なはずの赤い彗星シャアが木馬に負け続ける、エリート部隊ティターンズのジェリドがアーガマに負け続ける、というような敵キャラの宿命を背負わされた不憫なキャラでした。
 林譲治さんのガンダム作品を2つ読み終えましたが、共通しているのは、死人が出ないことでしょうか。ホワイト・ディンゴ隊も闇夜のフェンリル隊も、誰一人欠ける事なく終戦を迎えています。フェンリル隊は9人もパイロットがいて全員が生き残っており、ガンダム作品としては驚異の生存率ではないでしょうか。レンチェフ少尉なんか、いかにも死にそうなキャラだったのですが。通常のガンダム作品だったら、ジャブローでの未完成版ガンダム6号機との戦いで1人くらい死亡し、完成版ガンダム6号機との戦いで2~3人死亡してもおかしくはないと思います。林譲治さんが死人を出すのが嫌いなのか、ゲームとの絡みで上からの要望があったのか。
 また2つの作品に共通しているのは、敵味方のキャラクタが登場し、戦いを繰り返した後に、敵味方の枠を超えて仲間意識を持つに至るという点。この点については、あまり共感できない部分です。スポーツ作品なら違和感ないのですが、あくまで戦争を扱う作品なわけで、仲間や部下達を失いながら、こんなにお互いが理解し合えるでしょうか?これこそが、ニュータイプの理解し合う能力な気もします。
 林譲治さんはガンダム以外に多くの戦記物の作品を執筆されているようですが、本当は争うことが嫌いな優しい方なのかもしれません。林譲治さんのガンダム作品はまだいくつか残っているので、読破したいと思っています。