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マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン 「ドラゴンランス 魂の戦争」第1部「堕ちた太陽の竜<中>」

 マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマンの「ドラゴンランス 魂の戦争」第1部「堕ちた太陽の竜」中巻です。
 ドラコンランスの新たなシリーズ「魂の戦争」。前作「夏の炎の竜」から38年後を描く今作は、これまで中心人物だったキャラモンの死、そして死んだはずのタッスルホッフの登場、たくさんの新キャラクタの登場と、なかなか物語についていくのが大変です。今のところは、シルヴァノシェイを中心とするシルヴァノシェイでの物語、ミーナを中心とするネラーカ騎士団の物語、タッスルホッフ及びジェラードを中心とするクオリネスティでの物語の3つに大きく分ける事が出来そうです。ミーナはシルヴァネスティを目指すようなので、今後はミーナ及びシルヴァノシェイの物語が合流する可能性が高そうです。また、ローラナ、ゴールドムーン、ダラマールなどの第一世代のキャラクタや、パリン、ギルサス、ウーシャなどの第二世代のキャラクタもまだ生きているようで、今後の登場が期待出来そうです。
 それでは以下、マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン「ドラゴンランス 魂の戦争」第1部「堕ちた太陽の竜<中>」のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 シルヴァノシェイは、キラースのローランと共にシルヴァネスティの首都シルヴァノストを目指していました。ローランの仲間達は、先行して王位継承権者シルヴァノシェイが現れたとの噂を国中に流しています。このためシルヴァノシェイは、旅の途中で人々に注目され、歓迎されます。
 首都シルヴァノストでは、実質的な権利を握っているレイル・コナル将軍が宴を開いていました。シルヴァノストにも既にシルヴァノシェイの噂は伝わっていました。コナル将軍は、魔術師のグローカスとこの噂について話し合います。グローカスは、シルヴァネスティに<シールドの樹>を植える事で、シルヴァネスティを囲むシールドを作り出した魔術師です。グローカスは、コナル将軍の助言者であり、エルフの中でも特に美しく、人々の人気を集める存在です。近年、この世界の魔法の力は弱まり続けており、コナル将軍はシールドが弱まっているのではと懸念しますが、グローカスはそれを否定し、シルヴァノシェイがシールドを突破したのは自分が入れたからだと話します。グローカスは、これまでコナル将軍の甥のキリンを評議長にするよう勧めていましたが、キリンは受け入れませんでした。グローカスは、シルヴァノシェイを評議長にしてコナル将軍が実質的に支配権を持つ事で政情不安も収まると話します。そしてグローカスは、自分をシルヴァノシェイの摂政に推薦するようコナル将軍に求めます。
 サンクションの近郊で待機しているネラーカ騎士団では、ミーナが<唯一神>の力で負傷者を治療し、ミーナの支持者は増加していました。ガルダー及び騎士達は、ミーナがミルズ卿からサンクション包囲戦を引き継ぎ、勝利へ導いて欲しいと考えていましたが、ミーナは、サンクションに関心はなく、より大きな武勲に導かれると話します。その後、<夜卿>タルゴンヌに報告へ向かったミルズ卿の部下ジェレクが戻ってきます。タルゴンヌからの命令書を受け取ったミルズ卿は自害します。ジェレクはミーナにもタルゴンヌからの命令書を渡し、命令書にはミーナによるシルヴァネスティの征服が命じられていました。ミーナは、志願者から精鋭500人を集めてシルヴァネスティ征服の部隊とし、残りをサンクション包囲の部隊とします。またタルゴンヌがサンクション包囲を引き継ぐよう命じていたドガー将軍に対して、シルヴァネスティへ向かうよう命じる偽の命令書を作り、ガルダーに命令書をドガー将軍に届ける事を命じます。
 タッスルホッフ及びジェラードは、クオリネスティの森の近くまでやってきます。しばらく進むと、この地域を支配している大緑竜ベリルが2人の頭上に現れます。ベリルは2人を観察して去って行きます。その後、2人はクオリネスティの国境となっている河に至り、河を渡る橋は暗黒騎士とエルフの警備兵に守られています。<混沌戦争>の後、暗黒騎士はベリルと手を結んでクオリネスティを支配しています。暗黒騎士に変装しているジェラードは、暗黒騎士団の魔法使いから秘宝を盗み出した罪で捕らえられたケンダーを護送していると言って警備兵を騙し、橋を渡る事に成功します。その後、ジェラードはクオリネスティの首都クオリノストの近くまで来て夜営をします。ジェラードが寝たふりをしていると、エルフ及びフードを被った人間が2人を襲います。捕まったジェラードがエルフに殺されそうになり、タッスルホッフはジェラードが暗黒騎士ではなくソラムニア騎士である事を話します。ジェラードの名を聞いた人間は、ジェラードの事を知っており、エルフを止めます。この人間は、ジェラード及びタッスルホッフを連れて行く事をエルフに命じます。
 その頃、クオリネスティの首都クオリノストでは仮面舞踏会が行われていました。仮面舞踏会は、タニス及びローラナの息子であるギルサスが<太陽の評議長>に就任して以降に定着した行事でした。クオリネスティの実権を握っているパルサイノン長官は、仮面舞踏会にギルサスの結婚相手の候補を集めていましたが、身体の弱いギルサスは早々に部屋へ戻ってしまいます。仮面舞踏会には、ネラーカ騎士団のメダン元帥も招待されていました。ネラーカ騎士団がクオリネスティを征服して以降、メダン元帥は厳格な統治を行っていますが、これは大緑竜ベリルからクオリネスティを守るためでもあり、メダン元帥はクオリネスティやエルフ達を好意的にみていました。ローラナがメダン元帥に話し掛け、2人は優雅な会話の中で、互いに牽制し合い、探り合いの駆け引きをします。メダン元帥はエルフの抵抗組織の活動を止めさせるべきと言い、ローラナは自分に関わりのないことだとしらを切ります。その頃、体調が良くないと自室へ戻ったギルサスは、従者のブランチェットに後を任せて、王宮を抜け出します。
 タッスルホッフ及びジェラードは、エルフ達によって洞穴に連れて来られます。エルフ達に命令していた人間は、被っていたフードを外して素顔を見せます。この人間はパリン・マジョーレでした。<混沌戦争>の後、パリンはソレースに<魔法学院>を開きました。しかしこの世界で魔法の力が衰え始め、大緑竜ベリル及びネラーカ騎士団の魔術師達が魔法の力の衰えを<魔法学院>の仕業と考え、<魔法学院>を襲撃してパリンを捕らえて拷問しました。その後にパリンは解放されますが、拷問で指はねじ曲がり、身体はやつれ果てていました。ジェラードは、キャラモンの死を告げると共に、クオリネスティへやってきた経緯を話します。パリンは、洞穴の奥へ進んでローラナの家へと移動し、ジェラードと共に捕らえたケンダーと対面します。パリン及びローラナは、ケンダーが本物のタッスルホッフである事に驚きます。
 パリンは、タッスルホッフが持つ魔道具が本物の時間航行装置である事を確認し、タッスルホッフに事情を聴きます。その昔にタッスルホッフは、キャラモンの葬式で演説するためにフィズバンから時間航行装置を借りて未来のキャラモンの葬式に参加しました。その時にタッスルホッフは葬式が終わった後に到着したため、演説ができませんでした。このときの葬式には、パリンや多くの仲間達が葬式に参加していました。このときのパリンは、白ローブの魔術師の長になっていました。葬式が終わってタッスルホッフは元の時代へ戻ります。その後に<混沌戦争>が起こり、巨人がタッスルホッフを踏み潰そうとしたとき、タッスルホッフは時間航行装置をもう一度使ってキャラモンの葬式が行われる未来へ飛びました。タッスルホッフが参加した二度目の葬式は一度目のものとは全く異なっていました。パリンは、タッスルホッフが一度目に訪れた平和な未来が、「そうなったかもしれない」未来の1つであり、どこかで未来が変わってしまったのだと考えます。パリンは、時間航行装置の事をもっとよく知るために、ダラマールに会う必要があると考えます。ダラマールは行方不明で生死不明でしたが、恋人だったイエンナなら何かを知っているのではとパリンは考えます。パリンは、生きている魔道具を使ってイエンナに連絡をとり、ソレースで落ち合う約束をします。ローラナはグリフォンに乗ってソレースまで行く事を提案し、パリン、タッスルホッフ及びジェラードの3人がソレースへ向かう事になります。
 大緑竜ベリルの元にエルフの密偵から情報が入ります。ローラナの家に隠れているパリンが魔法の秘宝を手に入れ、これを調べるためにグリフォンでソレースへ向かうという情報でした。ベリルは、メダン元帥にパリンを捕らえる命令を出すと共に、自らも何か手はずを整えます。
 クオリネスティから抜け出したギルサスは、パックス・タルカス砦に近いどぶドワーフが経営する<がぶがぶげっぷ>亭の地下室にいました。ここは、メダン元帥も手を焼いているエルフの抵抗組織カンサーリ団の隠れ家でした。抵抗組織のリーダーは雌獅子(ライオネス)と呼ばれる女戦士ケリアンで、ケリアンはギルサスの秘密の妻でもありました。ケリアンは、<野生エルフ>カゴネスティのエルフであり、クオリネスティのラシャス元老員議員の家の奴隷でした。ギルサスがラシャス元老員議員の家に幽閉されていたときに2人は知り合い、後に結婚しました。ただし、結婚を知っているのはローラナ及びブランチェットの2人だけです。隠れ家へやってきたギルサスに、ケリアンは、シルヴァネスティの近くでアルハナ軍とオーガー軍との戦闘があり、<スティール軍団>の救援で何とかアルハナは生き残りましたが、シルヴァノシェイが行方不明となっており、既に死亡しているとみなされているという情報を伝えます。ギルサスは、この隠れ家でトラヴァルディンのドワーフの王であるターン・ベロウグラナイトと面会します。ギルサスは、クオリネスティの人々をクオリネスティから脱出するためのトンネル作りをターン王に依頼しており、ターン王は既にクオリネスティの近くまで地下トンネルを掘り進めていました。ドワーフ達は、ウルカンと呼ばれる巨大なミミズのような生物を使ってトンネルを掘っており、あと二週間程度でトンネルは完成する予定でした。ターン王との会見が終わり、ギルサスは急いでクオリネスティへ戻り、朝にパルサイノン長官が訪れるギリギリのタイミングで自室のベッドに潜り込みます。
 シルヴァネスティでは、シルヴァノシェイの帰還は歓迎され、シルヴァノシェイが<星の評議長>に即位する事が決まっていました。そしてグローカスが摂政になることも決まっていました。シルヴァノシェイは、王の地位に酔いしれると共に、グローカスに心酔していました。即位式が行われる日の朝、コナル将軍の甥であり、シルヴァノシェイのいとこにあたるキリンがシルヴァノシェイを訪ねてきます。キリンはグローカスの事を警告しますが、シルヴァノシェイは聞き入れませんでした。コナル将軍及びグローカスは、シルヴァノシェイが扱い易い若者である事に安心していました。コナル将軍はシルヴァノシェイがシールドを突破した事を危惧していましたが、グローカスは王が必要という自分の無意識の願いにシールドが反応したのだと説明し、これ以後はシールドを突破する者はいないと保証します。
 サンクションを出てシルヴァネスティへ向かうミーナの軍勢の前に、1人の盲目の乞食が現れます。ミーナは軍勢を止めて、乞食と2人で話しをします。乞食はミーナの古い知り合いでした。ミーナはゴールドムーンに引き取られたみなしごでしたが、三年前にゴールドムーンの元を去りました。ミーナはその理由をゴールドムーンが自分の問いに答えてくれなかったからだと乞食に話します。乞食は、ミーナが深い闇を歩んでいると言います。ミーナは、<唯一神>の声を聞いたのだろうと乞食に問いますが、乞食は答えずに去って行きます。この乞食の正体は、ソロミラニウスという名前の<光の砦>を守護する銀竜でした。
 パリン、タッスルホッフ及びジェラードの3人は、ローラナの家を出ます。3人は、ローラナの配下の1人のエルフの案内で、ソレースへと運んでくれるグリフォンが待つ森へ向かいます。森に着くと案内役のエルフは、グリフォンの餌を探しに一行を離れ、3人は案内役が戻るのを待ちます。その頃、3人の近くには、メダン元帥が2人の配下を伴って待ち伏せしていました。エルフの案内役は、メダン元帥が送り込んだスパイでした。しばらくすると、パリン達から少し離れた場所にグリフォンがやってきます。しかし同時にパリン達はメダン元帥達の奇襲を受けます。ジェラードは、1人でその場に留まって暗黒騎士達と闘い、パリン及びタッスルホッフはその隙にグリフォンの元へ走ります。パリン及びタッスルホッフはグリフォンに乗り、飛び立ちます。ジェラードを助ける余裕はなく、一頭のドラゴンがグリフォンへ向かって来ます。グリフォンは巨大な雷雲に突入してドラゴンの追跡を何とか逃れます。ジェラードは、メダン元帥の配下2人を倒し、メダン元帥に迫りますが出血が多く、意識を失って倒れます。メダン元帥は、ジェラードの戦いぶりに感心し、傷の応急手当てをして馬に乗せ、連れて帰ります。
 ドラゴンの追撃を逃れたグリフォンは、ソレースへ到着します。パリン及びタッスルホッフは、ソレースの<魔法学院>跡で待っていたイエンナに再会します。パリン達は、ソレースにあるパリンの家へ向かいます。パリンの家には、旅から戻ったウーシャがいました。ウーシャは、パリンの妹とヘイヴンへ旅しており、苦労して戻ってきたところでした。久し振りの夫婦の再会でしたが、パリン及びウーシャは喧嘩し、ウーシャは家を出て<憩いの我が家>亭へ行ってしまいます。パリンは、イエンナにタッスルホッフ及び時間航行装置の事を話します。イエンナは、ダラマールが何かを探し求めており、その何かを見つけ出して姿を消したと考えていました。世間では、ダラマールはパランサスの<上位魔法の塔>を破壊して自殺したと噂されていましたが、イエンナはダラマールが生きていると考えていました。パリン及びイエンナは、タッスルホッフが持つ時間航行装置をダラマールに届けるのではなく、自分達で使用する事を決めます。
 パリンは、タッスルホッフに装置の使い方を教わり、時間航行装置を使って過去へ向かいます。パリンは<混沌戦争>まで遡り、更に昔へ遡ろうとしますが、<混沌戦争>より前の世界は無でした。元の時代へ戻ったパリンは、<混沌戦争>でカオスが倒される時点より過去が存在しなかった事をイエンナに話します。パリンは、この世界はカオスに踏みつぶされて死ぬはずのタッスルホッフが死ななかった事で生じた未来だと考えます。タッスルホッフが一回目に参加したキャラモンの葬式はタッスルホッフが死んだ未来であり、二回目に参加した葬式はタッスルホッフが死ななかった事で生じた未来だとパリンは考えます。タッスルホッフが死ななかった事でカオスは倒されず、カオスが神々を追放した結果が今の世界だとパリンは考えます。パリンの話から、このままではカオスに踏みつぶされる過去に連れ戻されると考えたタッスルホッフは、時間航行装置をこっそりと操作して、パリン及びイエンナの前から姿を消します。タッスルホッフに逃げられたパリンは、タッスルホッフがゴールドムーンに会いたがっていた事から、ゴールドムーンのいる<光の砦>へ逃げたと推測します。パリンは、タッスルホッフを追って<光の砦>へ向かう事を決意します。

 以上が、「ドラゴンランス 魂の戦争」第1部「堕ちた太陽の竜<中>」の物語です。
 上巻には登場しなかった懐かしのキャラクタ達が続々と登場しました。パリン、ウーシャ、ローラナ、ギルサス、イエンナなどなど。そしてこのシリーズから参戦の新キャラクタ達も続々と登場しています。シルヴァネスティにシールドを張った魔術師グローカス、ギルサスの秘密の妻ケリアン、クォリネスティを占領するネラーカ騎士団のメダン元帥などなど。この辺は後々まで物語に絡んできそうな重要人物になりそうです。
 上巻では重点的に描かれていたシルヴァノシェイ、ミーナは、中巻にはあまり登場せず、物語の進展は少なめでした。シルヴァノシェイはシルヴァネスティの評議長になり、既に魔術師グローカスの傀儡になりかけています。気になっていたアルハナ軍対オーガー軍の戦いの結果がサラッと記載されており、アルハナが生き残ったことが分かってホッとしました。ミーナが率いる軍勢はシルヴァネスティを目指して進軍中です。ミーナ軍対シルヴァネスティの戦いが早く始まるのを期待しているのですが、もう少し引っ張りそうな予感がします。
 タッスルホッフの方も無事にクォリネスティ入りしてパリンやローラナと再会できました。タッスルホッフが見た1回目のお葬式と2回目のお葬式との差が生じた原因も少しずつ明らかになってきています。タッスルホッフがカオスに踏みつぶされる直前に未来へ逃げたことで歴史が変わってしまったようです。この先の物語で、過去を変えて平和な未来を得るという展開はやめて欲しいと思っているのですが…。
 次の下巻で第1部は終了です。第2部、第3部と続くのですが。下巻では、ゴールドムーンの登場が期待できそうです。あとは、ミーナ軍がどこまでたどり着くか、ギルサスによる脱出計画は実行されるのか、当たりが注目点でしょうか。



 

映画 「キングダム」

 映画「キングダム」は、原泰久さんの漫画「キングダム」を実写化した映画作品であり、2019年4月に公開されています。
 原泰久さんの漫画「キングダム」は、以前から気になっていた作品で、いずれ読みたいと考えながらも、現在60巻にまで達しているその分量に躊躇して手を出せずにいた作品です。実写映画化が発表されたときには、「最近、漫画の実写化映画が多いな…」くらいにしか思わず、「どうせコケるだろ」と思っていました。ところが、映画が公開されてみると高評価を得ているようで、漫画原作の実写化映画の数少ない成功例となったようです。既に続編の映画化も決定しているようで、楽しみな作品です。
 それでは以下、映画「キングダム」のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 古代の中国。大平原を一台の馬車が進んでいます。この馬車には奴隷として売られた子供達が乗せられていました。馬車は大将軍の王騎(大沢たかお)の軍勢とすれ違い、馬車に乗せられていた少年の信は大将軍に憧れを持ちます。里典(六平直政)に買われた信は、ここで先に奴隷として働かされていた少年の漂に出会います。漂は、奴隷の身分から脱するには剣の腕前に頼る他ないと信に語り、信と共に剣の稽古を始めます。
 数年後。青年に成長した信(山﨑賢人)及び漂(吉沢亮)は、共に大将軍となることを夢見てあれから毎日剣の稽古を続けていました。ある日、2人が剣の稽古をしている様子を1人の貴族が眺めていました。その後、信及び漂が山仕事と剣の稽古とを終えて里典の家へ戻ると、先ほど2人を見ていた昌文君(髙嶋政宏)がいます。昌文君は、漂を買い取りたいと言います。貴族の下で働けるまたとないチャンスでしたが、漂は信も一緒にと願い、それを断られると1日だけ考える時間が欲しいと答えます。昌文君はこれを承知して引き上げていきます。漂は昌文君の申し出を受けるつもりだと信に語り、信は必ず追いついて見せると答えます。そして漂は去り、信は1人で剣の稽古を続けます。
 しばらくしたある夜。立派な服装を纏った漂が深手を負って信の元へ戻ってきます。漂は何者かに追われているようで、信に地図を渡し、地図に描かれたある場所へ行くよう信に言い残して死亡します。漂の死に怒った信は追手を迎え撃とうとしますが、理典に諭され、漂が持っていた剣を手に、漂の遺言に従って地図に記された場所へ向かいます。信が去った後、漂を追っていた刺客の朱凶(深水元基)と、刺客を差し向けた左慈(坂口拓)及びその部下達とが現れます。左慈は漂の死体を見て偽物と判断し、口封じのためにこの村の全員を殺害して焼き払うよう部下達に命じます。
 目的地へ向かって走る信の姿を、梟のような被り物を装着した小柄な人が見ています。しばらくして、信の前に盗賊団が現れます。先ほどの小柄な人が呼び寄せたようです。信は盗賊団を1人であっさりと倒し、先へ進みます。信が地図に記された目的地に到着すると、そこには天幕が張られており、中には漂と瓜二つの男がいました。この男は、秦国王の「えい政」(吉沢亮)でした。(「えい政」の「えい」の漢字が表示できないので、以下では単に「政」と呼びます。)政は信の事を漂から聞いて知っており、信はこの政の身代わりに漂が殺されたのだと悟ります。そこへ、刺客の朱凶が現れます。朱凶は信及び政の2人がかりにも余裕で対応する強さを見せますが、苦闘の末に信が朱凶を倒します。信がトドメを刺そうとすると朱凶は命乞いし、信はためらいますが、政が朱凶にトドメを刺します。刺客は倒しましたが、信の村が燃えているのが遠くからでも確認でき、敵軍も近くまで迫っているようです。信及び政は敵軍を突破することを決意しますが、そこへ梟のような被り物の小柄な人が現れ、抜け道を教えると言います。この小柄な人は被り物を取るとまだ子供で、河了貂(橋本環奈)と名乗ります。貂が褒美を目当てにしていることから政は貂を信じることにします。
 秦国では国王の弟である「成きょう」(本郷奏多)が反乱を起こしていました。(「成きょう」の漢字が表示できないので、以下では単に「成」と呼びます。)成に味方する竭氏(石橋蓮司)は、暗殺した政が偽物だったこと、偽物の死体が発見された村を焼き払った事などを成に報告します。成は、政の弟でしたが母親が異なっており、政の母親は身分が低い女性だったことから、自分の方が国王にふさわしいと考えて反乱を起こしました。成は、身分の低いものを人と思わない横暴な人物であり、政の首を早く持ってくるよう命じます。
 信及び政は、貂に案内されて抜け道を進んでいました。政は、弟の成の反乱を昌文君が察知して替え玉として漂を連れて来たこと、漂は喜んで政の替え玉の役割を引き受けたことを話します。政は、奴隷へ戻るか、自分と共に修羅の道を進むかを選べと信に言い、信は政と共に行く道を選びます。政は、まず昌文君と落ち合う予定の場所へ向かう事を決めます。
 その頃、成の元には、刺客として放った朱凶が返り討ちにあったとの方向がなされていました。成は、いつまでたっても政を倒せないこと、更には昌文君にも逃げられていることに怒ります。そこへ、隠居したと噂されていた王騎将軍が現れ、昌文君の首を取ったと言い、昌文君の首を差し出します。その首は損傷が激しく昌文君のものかはっきり分かりませんでしたが、王騎将軍は自分と戦えば誰でもこうなると豪語します。王騎将軍は昌文君が治めていた領地を要求し、成は王騎将軍にこの領地を与えることを認めます。
 信及び貂は、政に導かれて「山の民」の領域へと足を踏み入れます。400年前に秦国と山の民とは同盟を結んでいた事がありましたが、今では皆から恐れられている存在です。3人が竹林を歩いていると、政を狙う刺客が現れます。この刺客ムタ(橋本じゅん)は、毒吹き矢を使います。信は、刺客ムタを倒しますが、毒矢を受けて倒れます。
 気が付くと、信は傷を手当てされ、綺麗な建物の中に寝かされていました。この建物は、400年前に秦国と山の民とが交流するために建てられたもので、今でも綺麗に保存されていました。政は倒れた信を担いでここ間で運び、貂が解毒剤を調合して信を手当てしました。政は、後ろ盾だった呂不韋が遠征で都を離れた隙に弟の成が反乱を起こしたという事情を信及び貂に話します。政は、信じられるのは昌文君のみで、この建物が昌文君と落ち合う約束をした場所だと話します。そして昌文君が味方の兵士達と共に現れ、政との合流を果たします。
 王騎将軍が昌文君の首を取ったと信じる竭氏は、呂不韋との戦いのために8万人の兵士を集めていました。その中には、通常の人間の倍以上の巨体を誇るランカイ(阿見201)もいました。成は、政の母親は庶民の出であり、高貴な血を引く自分こそが王に相応しいと兵士達に語ります。
 昌文君は、成による反乱が起こった際の出来事を政に話していました。昌文君及び配下の兵士達は、影武者である漂と共に隠し通路を通って城から脱出し、馬に乗って逃走しました。しかし追っ手に囲まれ、昌文君及び兵士達には諦めの雰囲気が漂い始めます。そのとき、漂が王として先頭に躍り出て兵士達を鼓舞し、兵士達と別れて1人で敵を引き付けて走り去って行きます。漂の行動は、昌文君及び兵士達を助けるためのものでした。信は、やはり漂はすごい男だと感じます。その後、政達は、今後の対策を相談します。政は、これまでの後ろ盾だった呂不韋が、自ら王になる機会を窺っており、政が倒されて成が王になるまで動かないと予想します。他に援軍の当てはなく、政は山の民の力を借りるべく、山の民の王に会いに行く事を決めます。
 山奥へと分け入った信、政、貂、昌文君及び兵士達は、山の民に遭遇します。山の民は平地の民に対して敵対心をもっており、信達に縄をかけて王の元へ連れて行きます。政は、山の元の王である楊端和(長澤まさみ)に力を貸して欲しいと頼みます。しかし、400年前の同盟は秦国の裏切りで破綻し、この時に多くの山の民が秦国に殺された過去があり、政の頼みは受け入れられません。政は、争いを無くすために国境を無くす、つまり中国を統一するという自身の目的を語ります。信は、先祖の無念を晴らしたいなら、先祖の夢を叶えてやれと言います。楊端和は、政と手を結ぶ事をかめ、山の民の兵を集めるよう指示を出します。ただし、政の配下が30人、山の民ですぐに集められるのが3000人、これに対して成の軍勢は8万人でした。政は策を練ります。
 成がいる王城の前にに、山の民の軍勢約3千人がやってきます。この中には、山の民に変装した政及び信達も混じっています。山の民は成との同盟を結ぶためにやってきたと告げ、呂不韋との戦いに備えて少しでも援軍が欲しい成の陣営は山の民との同盟を受け入れる事にします。成の陣営は、山の民の王と、配下の50人までとに城内へ入る許可を出します。山の民から精鋭40人と、信の配下から精鋭10人とが選抜されて、楊端和と共に城内へ入ります。選抜メンバーには、政、信、貂及び昌文君が含まれています。城内へ入った政は、山の民の仮面を外して素顔を見せます。これにより、政及び山の民と、成の兵士達との戦いが始まります。政は敵を引き付けるための囮であり、この隙に信を含む数名は隠し通路を通って成のいる本殿を目指していました。
 しかし隠し通路には、左慈及びランカイが率いる兵士達が待ち構えていました。左慈は、山の民の戦士を軽々と倒す腕前でしたが、政が居ないことに気落ちし、兵士達に後を任せて帰って行きます。信達は、敵兵士達を優勢に戦って倒しますが、ランカイは強敵でした。仲間達と協力して信はランカイを倒しますが、ここで時間をロスしてしまいます。この間、政達は、多勢に無勢の戦いを何とか持ちこたえていました。
 本殿で戦いを見守っている成及び竭氏達は、政が攻め込んで来たことを逆に喜んでいました。政を倒せば、堂々と秦国の王になることができます。そこへ、ランカイを倒した信達が成を倒そうと現れます。しかし、信達の前に左慈が立ちはだかります。左慈は、元将軍でしたが、虐殺を行って追放され、今では人斬りになっていました。左慈は圧倒的に強く、信及び仲間達が束になってかかってもかないません。仲間の山の民の戦士達が次々と倒され、信も追い詰められますが、左慈の剣を折るほどの一撃で辛くも勝利します。
 政達は次々と現れる兵士達との戦いを続けており、徐々に疲れが出始めていました。その戦場に突然、成が現れます。
 その少し前、左慈を倒した信が玉座に座る成に対していました。臣下の貴族達は、成を置いて逃げ出して行きます。竭氏も逃げようとしますが、それを貂が阻止します。貂は、以前に倒されたムタの毒吹き矢を拾っており、毒矢を竭氏の顔に刺します。竭氏は、短剣で貂を刺し、山の民の戦士に斬り殺されます。信が貂に気を取られた隙に、成は玉座から逃げ出します。貂は、梟の被り物の下に頑丈な鎧を着込んでおり、無傷でした。
 成を追って信達が戦場へやってくると、戦いは止まっており、政及び成がにらみ合っていました。成は剣を抜いて政に斬りかかりますが、政は軽々とこれをかわし、成の腕を軽く傷付けます。自分の腕から血が流れている事に動揺した成を、政は殺す価値もないと殴ります。成に味方していた兵士達は、このままでは反逆者として裁かれる事になると考えで、政達に襲いかかろうとします。そのとき、王騎将軍が軍勢を引き連れて現れます。王騎将軍は政に玉座を取り戻して何をしたいかと問い、政は争いを無くすために中華の統一王となることと答えます。王騎将軍は政を認めます。
 王騎将軍は、成に付いていた魏興(宇梶剛士)及びその配下の兵士達に投降を求めます。兵士達はこれに従わずに王騎将軍へ向かっていきますが、王騎将軍は巨大な槍を振り回して兵士達をなぎ倒します。魏興は政へ向かっていきますが、成を守る信の剣に敗れます。王騎将軍は、自軍に撤退を命じ、去って行きます。信は、王騎将軍に自分の名前を告げ、天下の大将軍になる男だと豪語します。王騎将軍は、次は本物の戦場で会おうと答えます。
 王騎将軍は、成の内乱から民を守るよう自軍を配置し、昌文君の偽の首を差し出して昌文君の領地をもらい受ける事で昌文君の領地の民をも守っていました。この事を後に知った昌文君は、王騎将軍の偉大さを痛感します。
 こうして、政の軍は勝利を収め、政は秦国の王に戻ります。信は、武勲を立てて大将軍になる事、政の中華統一に力を貸すことを改めて決意します。

 以上が、映画「キングダム」の物語です。
 前評判が良かったので期待して見ましたが、期待したほどではありませんでした、というのが正直な感想です。少し期待し過ぎたのかもしれません。面白くなかったという訳ではなく、普通に面白い映画だったとは思いますが、まぁ普通くらいの面白さでした。
 原作の漫画は読んだことがありませんが、評判が良かったところを見ると、原作の雰囲気を上手く実写化できていたのだろうと想像します。前評判は、原作の再現度に対する高評価だったのでしょう。
 原作抜きで映画の物語を見ると、王座を奪われた王様が蛮族の力を借りて王座を取り戻すという、良く言えば王道の展開、悪く言えばありきたりの展開でした。何となくこの展開に見覚えがあるようなと考えてみたら、映画「ブラックパンサー」が同じ展開だったことを思い出しました。他にもまだまだ似た展開の作品がありそうな気がします。漫画「キングダム」は2006年から連載が開始されており、映画「キングダム」は連載初期の内容を実写化したものと思われるため、2018年公開の映画「ブラックパンサー」に似てるというのは的外れかとは思いますが…。ただ、映画「キングダム」は2019年公開ですから…。強いて言うなら、映画化が遅すぎたということかもしれません。
 また、敵が大軍、見方が少人数という不利な状況の場合、優れた知略でこの状況を挽回して勝利するというのを期待するところです。この映画では、山の民に化けて城内へ入り、数人の別動隊が隠し通路を通って敵ボスを倒しに行くという作戦がとられていました。こんなショボい作戦でいいの?しかも、最も守らなければならないはずの王様が囮として先頭を進むという…。ほぼほぼ力押しと言ってもいいような作戦でした。もちろん、映画ですからこの作戦が成功してしまうのですが、あれだけの戦力差で王様が死ななかったのはほぼ奇跡ではないかと。この作戦だったら、王様が城へ乗り込む必要はなく、外で待っている方がベストな気がします。
 話は変わりますが、この映画にはほとんど男性しか登場しなかったのが印象的でした。女性のキャラクタは、長澤まさみさんが演じた楊端和と、橋本環奈さんが演じた河了貂との2りだけ。河了貂は、橋本環奈さんが演じているのだから多分女性だと思うのですが、性別がよくわからないキャラクタでした。この男臭さが良かったです。大沢たかおさんが演じた王騎将軍が女性っぽいキャラクタだったのが何故?と疑問に思いましたが。王騎将軍が登場するシリアスなシーンで思わず笑ってしまいそうです。
 何だかいろいろ批判的な事を書いてしまいましたが、この映画は面白かったですよ。続編の製作も決定しているらしいので、ぜひ見たいと思っています。次は、やたらと意味深だった王騎将軍が敵になるのか、今作で名前しか出てこなかった呂不韋が敵になるのか、それとも?




ウォーハンマー 「”大胆なる”オブリン」 塗装前

 「ウォーハンマー・アンダーワールド:シェイドスパイア」に含まれるストームキャスト陣営のウォーバンド「スティールハートの勇士たち」の一員である「”大胆なる”オブリン」の塗装をしようと思い立ちました。その前に一応、未塗装状態の写真を紹介しておこうかと。
 「スティールハートの勇士たち」のウォーバンドは、3人のキャラクタで構成されています。隊長のスティールハート、以前に塗装したアンガラッド・ブライトシールド、そして今回の”大胆なる”オブリンの3人です。アンガラッド・ブライトシールドは女性キャラだったのでやや細身のミニチュアでしたが、”大胆なる”オブリンは男性キャラでゴツイです。盾は持たず、巨大なハンマーを両手で持っており、攻撃重視の戦士というイメージです。

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 ウォーハンマーのミニチュアは、合わせ目が目立たないよう工夫されていることが多いのですが、この”大胆なる”オブリンのミニチュアは、左肩の肩当てが真っ二つに分かれているため中央に合わせ目があり、とても目立ちます。右肩の肩当てにはハンマーの模様が凹凸で描かれているためあまり目立たないのですが、左肩の肩当てはツルンとしているためこのままではかなり見苦しいです。ここだけは合わせ目を消す努力をした方がよさそうです。
 それ以外は文句なしのカッコよさ。巨大ハンマーがいいですね。主武器がハンマーと言うのが海外っぽさを際立たせています。いかにもパワータイプのキャラクタで、もし映画化されたらスティールハートとアンガラッドの2人を助けて死にそうなキャラクタです。
 足元にある巨大な顔が気になります。ストームキャスト達の顔(兜)の大きいやつに見えますが。壊れた神像の頭部か何かでしょうか。何色に塗ればいいのかよくわからない…。とりあえず、金色が汚れた感じにしようかなと。


鈴木央 「七つの大罪」 第28巻

 鈴木央さんの漫画「七つの大罪」第28巻は、2017年10月に発売されています。
 前巻では、三千年前の聖戦の物語が終わり、試練を終えたキング及びディアンヌはパワーアップしたようです。特にキングは、背中に小さな羽根が生え、この羽根が大きくなれば更なるパワーアップが期待できそうです。またエリザベスが三千年前の女神族のエリザベスの生まれ変わりであることが分かり、エリザベスの記憶には何か秘密が隠されているようですが、今のところは不明です。
 <七つの大罪>が勢揃いしてキャメロット王国奪還に向けて動き出しました。キャメロット王国は次元の歪に囲まれて浸入できず、この次元の歪みの発生源がある城塞都市コランドへ向かうことになりますが、この場所には<十戒>メラスキュラが待ち構えているようです。
 今巻はこの続きで、城塞都市コランドが物語の舞台になりそうです。バン&エレインに焦点があてられた物語になるのでしょうか。
 それでは以下、「七つの大罪」第28巻のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 ホークママと共に移動する<豚の帽子>亭の一室はエレインの部屋になっており、エリザベス及びディアンヌ(人間サイズ)が集まって話しています。エリザベスが三千年前の女神族のエリザベスの生まれ変わりであり、エリザベスが記憶を失って転生する事を繰り返しているという事実と、その事についてメリオダスが話を誤魔化す態度を取っていることを聞かされたエレインは、何か思い出して欲しくない事情があるのかもと推測します。ディアンヌは、辛い思い出の中にも必ず幸せな思い出はあるはずと、自分やゴウセルの例を挙げて、エリザベスが記憶を取り戻せるよう応援すると言います。
 ヘルブラムは、この先に何が待っているかに気付いているようで、キングに対して普段とは違う態度を取ります。
 次の戦いの相手がメラスキュラであると推測しているバンは、この戦いから抜けさせて欲しいとメリオダスに頼みます。エレインはメラスキュラの術で生き返っており、メラスキュラを倒せばエレインも再び死んでしまいます。メラスキュラを倒さなくても、エレインは日に日に弱っており、もう長くは生きられそうにありません。バンは、残された時間をエレインと過ごしたいと考えていました。メリオダスは、バンの頼みを聞き入れ、お前の気持ちはよく分かると言いかけますが、バンに好きな女を二度も死なせる気持ちが分かるのかと責められます。
 エリザベスが急に意味不明な事を話して暴れ出します。エリザベスの瞳は、女神族のものに変わっていました。そしてエリザベスは、気を失って倒れます。メリオダスは、記憶が戻り初めているのだろうと皆に説明し、もし記憶が戻ったらエリザベスは3日で死ぬと話します。メリオダスは、仲間達に三千年の旅の目的を語り始めます。
 三千年前の聖戦で、メリオダスは魔神族を裏切り、エリザベスは魔神族をも救おうとした事で、2人の神から罰を受けました。2人の神とは、魔神族を統べる魔神王と、女神族を束ねる最高神とであり、この2人に戦いを挑んだメリオダス及びエリザベスは、圧倒的な力の前になす術なく殺されました。しかし、しばらくしてメリオダスは目覚め、傍らに死んでいるエリザベスを発見します。この時には聖戦は終わっており、メリオダスはブリタニアをさまよい歩くうちに、蛮族として生まれ変わったエリザベスに出合います。エリザベスは記憶を失っていましたが、そのうちに女神族の力に目覚め、とうとう記憶を取り戻します。全てを思い出したエリザベスは、自分達が2人の神から呪いを受けたと言います。エリザベスは、いつかこの呪いを解くと約束する事をメリオダスに求め、メリオダスから約束するとの答えをもらった後、呪いの事をメリオダスに話します。メリオダスにかけられた呪いは、永遠の生、即ち二度と歳をとらず死んでも蘇るというもの。エリザベスにかけられた呪いは、永劫の輪廻、即ち記憶を忘れて転生を繰り返すというものであり、もし記憶が戻ったら必ず3日で死ぬというものでした。またエリザベスは、転生する度にメリオダスと出会って恋に落ち、メリオダスの目の前で死ぬ事が定められていました。これを語った蛮族のエリザベスは3日後に死亡します。メリオダスは、この三千年の間に107人のエリザベスと出合い、106人のエリザベスを看取っていました。呪いを解くためには、魔神王か最高神の力、もしくは、それに匹敵する力が必要で、例えばゼルドリスが魔神王から借り受けた力がこれに相当します。メリオダスは、呪いを解くための自分の戦いに巻き込んだ事を詫びます。そしてメリオダスは、今は次元の歪みを破るという目的に集中しようと言います。
 とある村で、村長の息子ペリオは、魔神族の言いなりに生け贄を差し出していることを批判し、自分が魔神を倒すと言います。これを魔神に聞かれてしまい、ペリオは魔神に捕まって殺されそうになります。そこへ、ゴウセルが現れてペリオを救い、魔神を倒します。この村は以前にゴウセルがアーマンドという名前で世話になった村でした。村に巣くっていた魔神達は<七つの大罪>により倒され、ペリオはゴウセルとの再会を喜びます。
 村の平和を取り戻し、<七つの大罪>は旅を再開します。バンは、好きな女を二度も死なせる気持ちが分かるのかとメリオダスを責めた事を悔やんでいました。ディアンヌは、記憶を思い出すようエリザベスを応援した事を悔やんでいました。ホークは、エリザベスを救う方法が必ずあると励まします。
 そして、<七つの大罪>は、城塞都市コランドに到着します。コランドの入口には、ゼルドリスが待ち構えていました。早速、メリオダスはゼルドリスを攻撃しますが、これはメラスキュラが作り出した幻覚でした。メリオダスは、メラスキュラの「暗澹の繭」に捕らわれて姿を消します。その後、周囲に散乱していた骸骨が動き出し、<七つの大罪>と死霊軍団との戦闘が始まります。暗澹の繭に取り込まれたメリオダスは、真っ暗な空間にいました。この空間はメリオダスの負のエネルギーを吸収するたむ、メリオダスは脱出する事が出来ません。また吸収されたエネルギーは、外で<七つの大罪>が戦っている死霊軍団へ供給される仕組みでした。これにより死霊軍団はパワーアップし、もはや雑魚とは呼べない存在となっていました。しかし、試練をクリアしてパワーアップしたキング及びディアンヌ、傲慢に強いエスカノールの敵ではありませんでした。焦ったメラスキュラは、メリオダスから奪ったエネルギーを一体の死霊に集めて更にパワーアップさせようとしますが、エネルギーに耐えきれずに死霊は崩壊してしまいます。
 メラスキュラは作戦を変えて、死霊達の怨念を利用した精神的な攻撃を<七つの大罪>に放ちます。ディアンヌは怨念に捕らわれて操られ、仲間を攻撃し始めます。ゴウセルはディアンヌの心に侵入し、ディアンヌがエリザベスの記憶を戻す手助けをしてしまったと後悔している事を怨霊につけ込まれていることが分かりますが、元に戻すには至りません。更に操られたディアンヌは、自分自身を傷つけ始めます。<七つの大罪>がなす術ない中、キングの兜に宿るヘルブラムがディアンヌに取り付いた怨霊に話し掛けます。この怨霊達は、過去にヘルブラムがコランドを滅ぼしたときに殺された人々のものでした。ヘルブラムは、キングに別れを告げ、怨念の前に身をさらし、怨念に操られたディアンヌに握り潰されて消滅します。これで大部分の怨念は消え、ディアンヌの意識が戻りますが、一部の怨念が残ってディアンヌの身体を操り続けます。そこへ、エレイン及びエリザベスが現れ、エレインがディアンヌの動きを止め、エリザベスが怨念を浄化します。
 記憶が戻ったエリザベスは、女神族の力を使いこなし、戦いで傷付いた<七つの大罪>を一瞬で回復させます。そこへ、メラスキュラが現れ、巨大な蛇に姿を変えて<七つの大罪>に襲いかかってきます。メラスキュラは以前に心臓を潰された恨みのあるバンを丸呑みにしようと口にくわえ込みます。エレインはキングの制止を振り切ってメラスキュラに向かって行き、バンを救出します。エレインの背中には、大きく立派な羽根が生えていました。
 エリザベスの記憶が戻った事を知ったメリオダスは、メラスキュラの暗澹の繭から自力で脱出してきます。脱出のために魔力を極大まで解放したメリオダスは、これまでの暴走状態よりも更に上の「殲滅状態」となります。エスカノールは神器リッタを呼び寄せてメリオダスと対峙し、マーリンは完璧な立方体にメリオダス及びエスカノールを閉じ込めます。この隙にメラスキュラは<七つの大罪>の残りのメンバーを倒そうと考えますが、<七つの大罪>の力はメラスキュラが想像した以上に高く、逆に追い詰められてしまいます。メラスキュラは逃げようとしますが、エレインが作り出した風の壁がそれを阻みます。ゴウセルがメラスキュラの動きを10秒だけ停止させます。マーリンは、メラスキュラを倒せばエレインが再び死んでしまう事から、エレインの覚悟を確かめた後、メラスキュラにトドメをさそうとします。しかしエリザベスは、メラスキュラを浄化して瘴気を取り除きます。メラスキュラは、一匹の蛇が魔界の瘴気を浴び続けた事で生まれた存在であり、瘴気を取り除かれたメラスキュラは小さな蛇に戻ります。マーリンは、この蛇を捕まえて試験管内に閉じ込めます。
 完璧なる立方体の中では、魔神と化したメリオダスとエスカノールとの壮絶な戦いが繰り広げられていました。メリオダスが優勢でしたが、時刻は正午に近づいていき、エスカノールは徐々に強さを増していきます。エスカノールの闘級は11万を超え、エスカノールは懇親の一撃をメリオダスに放ちます。しかしメリオダスはこれに耐え、メリオダスの反撃を受けたエスカノールは両膝を地面に付きます。

 以上が、鈴木央さんの「七つの大罪」第28巻の物語です。
 とうとうエリザベスの記憶の秘密が明かされ、メリオダス及びエリザベスの三千年間の歴史が明かされる重要な巻でした。メリオダスが不老不死、エリザベスが転生の繰り返し、という呪いを魔神王及び最高神から与えられたという事でした。エリザベスは記憶が戻ると3日後に死んでしまうというおまけ付きです。今巻でエリザベスの記憶は戻ってしまったので、あと3日間の命です。
 この「七つの大罪」は、現在は連載が終了して物語は完結しています。単行本は全41巻です。今巻が第28巻だから、あと10冊以上は残っています。残り3日間で10冊以上を引っぱるのは流石に無理でしょう。かと言って、今のエリザベスが死んでしまって、次のエリザベスの時代まで時間を飛ばすには少し巻数が足りない気がします。途中で呪いを解くことができるのか、あるいは呪いの進行を一時的に止めるような方法があるのか。例えば、地上とは時間の進む速度が異なる天界とか魔界とかに行く展開はありそうな気がしますが、どうでしょうか。
 事前の予想通り、メラスキュラは既に雑魚でした。ただ、メラスキュラを倒してエレインは死んでしまうと思っていましたが、メラスキュラを倒さずに浄化したことでエレインは生き残れているようです。何だか少しズルい気もしますが。エレインが生き残っているという事は、メラスキュラの術で墓から蘇って暴れていた死人達も消えていないという事ですよね。これはこれで問題ありな気もします。
 エレインに羽根が生えてかなりパワーアップしていました。キング&ディアンヌも試練をクリアしてパワーアップし、ゴウセルも記憶を取り戻したことでパワーアップしています。<七つの大罪>の中でバンだけがパワーアップしておらず、メラスキュラに苦戦してエレインに助けられていました。バンだけが雑魚なじょうたいで少し不憫ですね。今後の展開でバンがパワーアップすることがあるのでしょうか。死なないと言うだけでただの人間のバンに、これ以上のパワーアップが可能なのか。まぁ、エスカノールだって人間だから、バンも強くなれる可能性はあるのか。ただ、エスカノールは人間として扱っていいものか謎ですが。
 メリオダスが邪悪モードになってしまいました。正午のエスカノールでも勝てないくらい強いようです。でも、目覚めたエリザベスの力があれば、メリオダスを正気に戻すくらいできるんでしょう、と予想しています。

 

マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン 「ドラゴンランス 魂の戦争」第1部「堕ちた太陽の竜<上>」

 マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマンの「ドラゴンランス 魂の戦争」は、ドラゴンランスシリーズの最も後の時代を描いた作品で、第1部~第3部の三部作で構成されています。ただし、第1部だけ上中下の三冊に分けられ、第2部及び第3部は一冊ずつという、やや偏った構成です。第1部の三冊は、後に一冊にまとめられたものが発売されていますが、近所の図書館にはなかったので、三分冊の上巻を借りました。
 「魂の戦争」は、「夏の炎の竜」で描かれた戦い(今作でこの戦いは<混沌戦争>と呼ばれています)から38年後の物語です。クリンから神々が去った後がどのような世界なのか。強大な敵を倒した後は平和な世界が訪れているのか。
 前作で主要な人物達が大勢死亡しており、更には38年も経過しているため、今作は登場人物がほぼ一新されています。ただし、エルフにはこの程度の年月はあまり関係なさそうですが。主に前作の子孫達が活躍するのだと思われます。
 それでは以下、マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン「ドラゴンランス 魂の戦争」第1部「堕ちた太陽の竜<上>」のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 かつてはネラーカの都があった<死の谷>と呼ばれる場所を暗黒騎士の一部隊が進んでいます。分隊長のエルンスト・マギット、副隊長のミノタウロスのガルダー、及びその部下達の部隊です。暗黒騎士達は、かつてのタキシス騎士団、神々が去った後はネラーカ騎士団と称する騎士団のものでした。ガルダーは、かつては有能な戦士でしたが、戦いで右腕を失い、今では斥候に甘んじています。無能なマギット分隊長は、皆の反対を無視してこの場所での夜営を命じます。夜営の準備を始めたとき、見たこともないほどの巨大な嵐がやってきます。マギット分隊長は雷に打たれて死亡し、嵐は強まるばかりです。この嵐の中を、1人の人物が悠然とガルダー達の方へ歩いてきます。この人物は、丸坊主の若者で、よく見ると少女でした。少女はミーナと名乗り、騎士になるのが自分の使命だと話します。そしてミーナは、ガルダーの失われた右腕を元に戻す奇跡を行い、自分が<唯一神>に仕える者だと話します。ただしミーナは、<唯一神>の名前を口にする事はできません。ガルダー達はミーナ及び<唯一神>に忠誠を誓います。ミーナは、自分の愛馬フォックスファイアに乗り、ガルダー達へサンクションへ向かう事を命じます。現在のサンクションはソラムニア騎士団のもので、ネラーカ騎士団が町を抱囲している状態でした。
 大嵐は、<死の谷>だけでなく、アンサロン大陸全土に被害をもたらしました。シャルシー島にあるゴールドムーンの<光の砦>、エルフ達の住むクオリネスティ、赤竜マリストリクスのねぐら<マリスの峰>、緑竜ベリリンスラノクスのねぐら、青竜ケレンドロスのねぐら、エルフ達の住むシルヴァネスティ、等々。
 シルヴァネスティの近くにある古墳には、元シルヴァネスティ王女のアルハナ・スターブリーズが率いる軍が駐屯していました。シルヴァネスティは魔法のシールドを張って外部からの侵入を拒絶しており、アルハナの軍によるシールドを突破する試みは何度も失敗していました。アルハナの夫であるポルシオスは別行動を取っていましたが、連絡が途絶えて生死不明でした。アルハナ及びポルシオスの1人息子シルヴァノシェイは、アルハナと行動を共にしています。<混沌戦争>の直後に産まれたシルヴァノシェイは、30歳を超えていますが、エルフ社会ではまだまだ子供扱いされ、その事に不満を抱いています。大嵐に乗じて、アルハナ達が避難している古墳にオーガーの軍勢が近付いていました。これを察知したアルハナの副官サマールは、近く砦にいる<スティール軍団>に援軍を要請すること、及びその使者をシルヴァノシェイに任せることを決めます。これはシルヴァノシェイを安全な場所へ遠ざける目的もありました。アルハナ軍が劣勢の中、シルヴァノシェイは<スティール軍団>の砦を目指して出発します。しかし街道は大嵐で倒れた樹木で塞がれており、シルヴァノシェイは迂回を余儀なくされます。迂回したシルヴァノシェイが崖縁を通ったとき、近くの木に落雷し、その衝撃でシルヴァノシェイは崖から落ち、意識を失います。
 大嵐が過ぎ去り、ソレースの町では復旧作業が始まります。80歳を超えたキャラモンは町の大長老的な存在として人々の信頼を得ています。<憩いの我が家>亭は、キャラモンの娘のローラが切り盛りしています。もう1人の娘デズラは、冒険好きで各地を回り、珍しい酒を買い付けて来ることもありました。ティカは数ヶ月前に亡くなっており、それ以後のキャラモンはティカの後を追う日を待ち望んでいるようでした。<混沌戦争>の後、ソレースには<最後の英雄たちの墓>と呼ばれる建物が建てられました。この建物の警護は、ソレースに駐留するソラムニア騎士団の騎士達が行っています。その騎士の1人、ジェラード・ウス=モンダールは、若いけれど醜い顔の男で、家が金持ちで父親が大金を払って安全なソレースに息子を配属させた事もあり、他の騎士達から軽蔑されています。ジェラードは、<憩いの我が家>亭の常連でキャラモンと顔馴染みでした。ジェラードが墓の警護任務に就いていたとき、墓の中から人の声が聞こえてきます。施錠されているはずの建物の中から出てきたのは1人のケンダーで、タッスルホッフ・バーフットと名乗ります。タッスルホッフは英雄の1人として有名で、ジェラードはケンダーの悪戯だと思います。タッスルホッフは、キャラモンのお葬式で追悼演説するためにやってきたと話します。キャラモンは生きており、それを聞いたタッスルホッフは、またしくじったと嘆きますが、今日が葬式の前日だと知って、キャラモンの元へ急ぎます。不法侵入したケンダーに逃げられたジェラードは、その後を追います。タッスルホッフは、<憩いの我が家>亭でキャラモンに再会し、追悼演説を聞かせます。追悼演説によれば、タッスルホッフは時間を遡る装置でここへ来たようですが、タッスルホッフが語る内容はこの世界の歴史と合わない部分が含まれています。タッスルホッフとの再会を喜んだキャラモンは、散歩へ行くと言って<憩いの我が家>亭を出た所で心臓を押さえて倒れ、階段から落下します。急いでキャラモンの元へ駆け付けたジェラードに、キャラモンはタッスルホッフをダラマールのところへ連れて行く事を頼み、ジェラードはこれを引き受けます。そしてキャラモンは、息を引き取ります。
 シルヴァノシェイは、崖下で意識を取り戻しますが、左腕を骨折していました。谷は木々が枯れて灰色の塵が積もる不毛の地でした。応急処置をしたシルヴァノシェイは、何とか崖を登って元の街道へ戻ろうとしますが、どうしても戻る事が出来ません。シルヴァノシェイは、自分がシルヴァネスティを囲むシールドの内側に入り込み、外に出れなくなっているのだと気付きます。絶望したシルヴァノシェイが母アルハナの名前を呟いたとき、近くに隠れていた3人のエルフが姿を見せます。エルフ達はシルヴァネスティのキラースという組織の者で、隊長ローランはシールドを抜けて外へ出る方法はないと話します。ローランは、シールドの内側では多くの者が衰弱の病で死んでいるけれど、<氏族長会議>はシールドを解こうとせず、人々も外界の脅威を恐れてシールドの存在を受け入れています。ポルシオス及びアルハナに会った事があるローランは、父母の面影のあるシルヴァノシェイが王子である事を信じ、シルヴァネスティを救うためにシルヴァノシェイが遣わされたのだたと考えます。ローランは、シルヴァネスティの首都シルヴァノストへ向かい王位継承権を主張するようシルヴァノシェイに提案します。シルヴァノシェイは、もう母はこの世にいないだろうと考え、母がシルヴァノシェイがシルヴァネスティの王座について過去の過ちを正すことを望んでいた事を思い出し、ローラン達と共にシルヴァノストへ向かう決心をします。
 ミーナを先頭に暗黒騎士達はサンクションへ向かっていました。途中で休息を取ったとき、ミーナはガルダーに武器の使い方を教えて欲しいと頼みます。ガルダーは、戦った事がないという事実に驚きながらも、モーニングスターと呼ばれる戦槌の使い方をミーナに教えます。ミーナは、すぐにガルダーと渡り合えるほどに上達します。戦闘訓練を終えたミーナは、再び暗黒騎士達を率いて出発します。
 キャラモンの葬儀が行われ、タッスルホッフは追悼演説を行います。タッスルホッフは、以前に追悼演説をし損ねたキャラモンの葬儀と、今回の葬儀とで様子が異なる事を不思議に思います。タッスルホッフが時間航行装置を使ってキャラモンの葬式に参加するのは二度目であり、一度目は遅刻して追悼演説ができませんでした。一度目の葬式では、世界は平和で、パリンや、ダラマールや、ゴールドムーン等々の昔の仲間達が大勢参加していましたが、二度目の葬式には誰も参加していませんでした。
 葬儀の後、ジェラードはタッスルホッフを連れて騎士団の駐屯地を訪れ、<盾騎士団長>のウォーレン卿に面会を求めます。ジェラードは、タッスルホッフをダラマールの元へ連れて行く事をキャラモンに頼まれたとウォーレン卿に相談します。騎士団の<典範>によれば、末期の願いは叶えるべしとあり、ウォーレン卿はジェラードがキャラモンの願いを叶える事に賛成します。しかしダラマールは行方不明でした。協議の結果、クォリネスティにいる魔法使いパリン・マジョーレに相談する事になります。しかしクォリネスティはネラーカ騎士団の支配下にあり、大部隊での移動は難しいため、ジェラード及びタッスルホッフの2人だけでクォリネスティへ向かう事になります。
 サンクションは、過去にタキシス騎士団が占有していましたが、<混沌戦争>後は有毒な噴煙で人が住めない場所となりました。ホーガン・バイトという謎の魔術師が大気を清めて人が住める場所に戻し、サンクションを立派な都市に成長させました。現在は、サンクションを狙うネラーカ騎士団が街を包囲し、ソラムニア騎士団が街の防衛に当たっています。ネラーカ騎士団は、サンクションの東にあるザカール谷に兵を集結させており、一大決戦が行われようとしています。ミーナが率いる騎士団は、決戦前にザカール谷に到着します。サンクションからは船でソラムニア騎士団が撤退していっており、ネラーカ騎士団は戦う前から勝利を確信しています。ミーナは、ネラーカ騎士団が雇った傭兵隊のサミュヴァル隊長を説得して傭兵隊を仲間に付けます。そしてネラーカ騎士団によるサンクションへの進軍が開始されますが、ミーナは配下達に待機を命じます。ネラーカ騎士団がサンクションへ近付くと、撤退したはずのソラムニア騎士団がサンクションから出撃してきます。これはソラムニア騎士団の罠で、撤退したように見せかけて攻撃のチャンスを待っていました。ネラーカ騎士団は混乱して敗走し、ソラムニア騎士団がそれを追い立ててネラーカ騎士団の騎士達を次々と倒していきます。後方で仲間達を待機させていたミーナは、サミュヴァルの傭兵隊に敗走する味方へ矢を放たせて敗走を止め、兵をまとめて反撃に転じます。ミーナを筆頭にネラーカ騎士団はソラムニア騎士団を押し返し、ソラムニア騎士団はサンクションへ撤退します。ネラーカ騎士団の騎士達はミーナの名を呼び、ミーナを支持します。サンクション攻略の指揮官であるミルズ卿及びその配下の騎士達は、その様子に怒りの視線を向けていました。
 シルヴァネスティは、コナル将軍が実権を握って軍政を敷いていました。魔法のシールドで覆われたシルヴァネスティでは、住民の半数近くが衰弱病で死亡していましたが、シールドを維持する方針でした。コナル将軍に逆らうものは、姿を消すのみでした。シルヴァノシェイが出会った3人のエルフのうち、ローランはシルヴァノシェイがアルハナの子供だと信じていましたが、残る2人は信用しておらず、<真視>の魔法で真偽を確かめる事を要求します。シルヴァノシェイはこの要求を受け、自分が本物である事を証明します。こうして残る2人もシルヴァノシェイに忠誠を誓います。シルヴァノシェイは、王位継承者として堂々とシルヴァノストへ入り、王位を得る事を計画します。シルヴァノストは、自分の計画が大丈夫だと信じて疑いませんでした。
 朝早くに起こされたタッスルホッフは、ジェラードにより手枷をはめられて、連れ出されます。ジェラードは、囚人の護送という名目でソレースを出ます。馬でソレースを離れてしばらくして、ジェラードが羽織っていたマントを脱ぐと、ジェラードは暗黒騎士の鎧を着ていました。ネラーカ騎士団が占領しているクォリネスティに入るための変装でした。初めは冒険をワクワクしていたタッスルホッフですが、ジェラードはタッスルホッフの話しを無視し続け、退屈し始めていました。
 <混沌戦争>の後にタキシス騎士団は<髑髏騎士>ミリエル・アブリーナが仕切っていましたが、<夜卿>モーラム・タルゴンヌがアブリーナを暗殺して実権を握りました。タルゴンヌは、騎士団をネラーカ騎士団へと改名し、ネラーカの北にあるジェレクに騎士団本部を置きました。タルゴンヌは、戦いには全く向かない人物でしたが、財力と心理操作力に優れた人物でした。サンクション攻略の司令官ミルズ卿の副官ロデリックがジェレクを訪れて、戦況をタルゴンヌに報告します。ロデリックは、ソラムニア騎士団の策略を破ってネラーカ騎士団が勝利し、ある下士官の反逆がなければサンクションを奪回できたと言い、その下士官ミーナが騎士達の人気を集めていると報告します。タルゴンヌは、この報告が嘘である事を見抜いており、ミーナをどのように扱うかを思案します。タルゴンヌは、巨竜マリストリクスから要請されていたシルヴァネスティ攻撃の任務をミーナ及び彼女を支持する騎士達に与える事を決めます。またタルゴンヌは、別の指揮官にサンクション攻略の指揮を引き継がせ、ミルズ卿は巨竜マリストリクスにサンクション攻略戦の報告をしに行くよう命じます。

 以上が、「ドラゴンランス 魂の戦争」第1部「堕ちた太陽の竜<上>」の物語です。
 前作から38年が経過している事もあり、これまでのキャラクタは死んでいるか、会話の中に名前が登場するくらいでした。その分、新たなキャラクタが沢山登場し、新時代の幕開けを印象づけています。特に、ミーナが目立っていました。彼女が何者なのか、彼女が信仰する<唯一神>とは何なのか、とても気になる謎です。今後はシルヴァネスティへ向かいそうで、シルヴァノシェイとの絡みに期待できそうです。
 旧キャラクタの中で、タッスルホッフだけは今作でも活躍しそうな気配を見せています。これは予想外でした。嬉しいような、嬉しくないような、微妙な気分です。おそらくは、作者のお気に入りキャラクタなのでしょうね。でも、時間を飛び越えて登場しており、歴史が異なる並行世界からやってきている節もあり、何だか少しややこしい存在になりそう。ファンタジーに時間移動とか並行世界とか入れると収集つかなくなりそうで、あまりこの設定は好きではありません。
 初期のキャラクタの中で今後登場しそうなのは誰でしょう?エルフのローラナはピンピンしているでしょうから登場してもおかしくはないですね。タッスルホッフ及びジェラードがクォリネスティへ向かっていることから、早目に登場するかもしれません。ゴールドムーンは人間なのでかなり年老いているはずですが、まだ生きているようです。リヴァーウインドは死んでいるようですが。レイストリンは、生きているのか死んでいるのかよく分かりませんが、登場してもおかしくはない、いえ登場して欲しいですね。
 今巻は、新しい登場人物の紹介と現在の世界状況の説明という感じで、まだまだ物語の発端です。今後、どのような事件が起こって、どのように完結するのか全く予想がつきません。ネラーカ騎士団を倒すのか、ドラゴンを倒すのか、それともラスボス的な存在が今後の物語で登場するのか。<唯一神>とやらがラスボスになる可能性も?
 早速、続きを読もうと思っています。